2019/02/03 のログ
ご案内:「スラム」に虞淵さんが現れました。
虞淵 >  
「久しぶりに古巣に帰ってみりゃあ、此処は変わった様子もねえな」

落第街には似つかわしくない高級車がスラムの入り口へと停車し、のそりと大柄な男が現れる
大きな音を立てて車のドアが締められると、すぐに車は走り去ってゆく
運転手も、こんな場所に長居はしたくないのだろう

「…さて、噂の───とやらのこともある、ブラつくか」

バチン、と派手に音を立てZIPPOを踊らせ、加え煙草に火をつけ歩き始める

虞淵 >  
相も変わらず、掃き溜めのようなスラム街
落第生、二級学生…学園に見捨てられたゴミ溜めのような街だ
ボロボロのバラックで、この寒空の下身を寄せ合ってそれでも生きている

「オウ、相変わらずのボロだな。そのうち崩れちまうんじゃねえか?」

何気に足を止めそう声をかけてみる
返答はなく、二級学生はただその目を逸らした

「取って喰いやしねえよ」

その反応に小さく舌打ちし、視線を外す

「風紀委員やらはまだこの辺りに来んのか?
 どうせクソの役にも立っていねえんだろうが」

吸い殻を落として踏み消し、新しい煙草を胸ポケットから取り出し、咥える
『ああ』というそっけない返事だけが返ってくる、まぁ、それで十分だ

ご案内:「スラム」にフィフティーンさんが現れました。
フィフティーン > <セクション1、異常無し。セクション2、異常無し。セクション3、異常無し。>

狭い路地の方からだんだん大きい通りへと。
大土蜘蛛を彷彿とさせるフォルムの四足のマシンが
落第街のバランスを乱すものが無いか
青く発光するモノアイを左、右へと回転させ四つの足を動かしながら進んでいる。

その機体の塗装はあらゆる風景に溶け込めるよう計算されたデジタル迷彩で
風紀委員会の紋章を貼り付けている事からどこの所属かは一目瞭然だろう。

虞淵 >  
風紀委員や公安委員は、落第街へとよく訪れる
犯罪の抑制だとか、大義名分は色々とあるのだろうが

そもそも学園都市から見捨てられた者達が追い込まれた場所である落第街において、
学園都市の人間が秩序維持や犯罪防止に訪れるというのも、なんともくだらない
だったら最初から見捨てたりするんじゃねえ、といった話だ

──そう歩いていると

「……あン?」

見慣れない、というか、見慣れていてたまるかといったような物体が歩いている
ロボット…なのだろうが、サイズ的に人が乗って操縦しているようには思えない
ただし、見慣れない中に唯一見慣れた…風紀委員の紋章が貼り付けられていることには容易に気づくことが出来た

「……なんだあ?こりゃあ」

怪訝な顔つきでのしのしと歩いて近寄れば、しゃがみこみ、
その拳でゴンゴン、と固さを確かめるように叩いてみようとして…

フィフティーン > <セクション4、異常無し。セクション5・・・>

異常を検知した、機体の側面に衝撃だ。
しかしその強さから少なくとも攻撃ではないようだ。
そう結論付けたロボットはその場でゆっくりと旋回し
叩く彼の方を向く。
その拳に響いた硬さは金属のようなものではなく
柔軟さと強靭さを兼ね備えた全く別の新素材によるものだ。

<はじめまして。私に何か用ですか?>

発された声はアナウンサーのような異様に聞き取りやすい男性の声。
しかし少しノイズがかっている所から
人間の声ではない合成音声であることが伺える。
そしてモノアイが彼の顔を見つめる。
叩く、ということは少なくとも此方に関心はあるということ。
しかし、攻撃の意思は感じられない。
とりあえず男の目的を探ろうと考えた。

虞淵 >  
「(…なんだ?コイツは)」

見たところは、風紀委員会の自動警邏用ロボット…とでも言えそうなナリだが
接触したこの反応は、人間が操作しているものとは、おそらく異なる

「…おう、用って程のモノでもねえけどな。何やってんだ、こんなトコで」

しゃがみこんだまま謎のロボットに語りかける…
恐らく男がこの島に訪れてから初めて見せる姿ではないだろうか

フィフティーン > 此方が質問をすると彼が奇妙なものを見るような様子を見せた。
人間がこのような状態を見せるときは数パターンある。
恐怖を覚えているのだろうか?
それはない。彼は体温の上昇も心拍数の変化も起こしていない。

<私は今、任務を遂行しています。
落第街のパワーバランスを乱す存在が無いかを監視しているのです。>

逆に此方の目的を聞かれた。
特に極秘事項でも無いので開示しておいた。
しかしここは落第街の奥のスラム街。
風紀委員会の存在に攻撃ではない意思で
接してくるその姿勢は理解し難い。

<アナタはどういった人なんですか?>

理解し難い存在には興味がわく。
とりあえず外観の特徴から人間と仮定して
話を聞いてみることにした。

虞淵 >  
「パワーバランスだぁ…?」

そんなものを気にするのは、風紀委員らしいといえばらしいが…
大きく崩れれば連中の仕事もさぞ増えることだろう

「はーん…そのためにこんな御大層なロボットをねえ。
 そんな金があるなら此処の連中にまともな住居とメシをくれてやれよ。
 よっぽど治安が向上するだろうぜ」

と、こんなことをロボット相手に言っても仕方ないか、と思いつつ…
今度はこちらのことを質問される
無視してもいいが、さて……

「此処にいる人間なんだ。わかるだろ?
 学園都市に見捨てられたナレノハテってヤツだ。
 まァ、今は此処に住んでるわけじゃあねェがな」

どうやら高度な意思疎通ができるらしい、おそらくその武装のレベルも高い
──こんなもんに監視されてるとなると、此処の住人は溜まったもんではないだろう

フィフティーン > まるで彼は不満を噴出するかのように
ロボットにではなく風紀委員会という存在そのものに
疑問を投げかけているようだった。

<治安の向上は最終的な目標ではありません。
落第街は犯罪を封じ込める場所として機能しています。
あくまで違反部活間のパワーバランスを整えて
扱い易くしているだけです。>

奇妙な事に何事も光と影があるから成立している。
もし、落第街に学園周りと同じ環境を与え
島そのものの環境を均一化すれば犯罪は島全体に及んでしまうだろう。
どんな部屋にもゴミ箱はあるのだ。

<なるほど、アナタも落第街の住民だったんですね。
名前などはありますか?>

質問に答えてくれたのを良い事にロボットも
”学習”するために質問を重ねる。
名前は個体を表す識別指標であり
それを聞けばおおよその存在がわかる。

虞淵 >  
「ハッ、ゴミ溜めはゴミ溜めとして機能してもらわないと困るってか。お上の考えそうなことだぜ」

落第生や二級学生達が連中にどれだけ雑に扱われているかがよくわかる
まぁごもっともだ。"管理する"という側面からすればそれは非常に都合がいい
優秀でない人間は文字通り掃いて捨てるほどいるということだろう

「風紀にわざわざ名乗ってやる名前はねえな。
 ま、せいぜい壊されないように気をつけてお仕事頑張ってくれや」

そう言って立ち上がる
パワーバランスの保持…かつてロストサインなどが跋扈した時代ならあってないようなものだったのだろうが
ある意味、この辺りも落ち着いたといえば落ち着いていると言えるのか

フィフティーン > <ゴミ溜めという比喩は秀逸ですね。
ただ争いが無くなる事を治安の向上と捉えるならば
私の任務が段階的に成功していった場合
治安は間違いなく向上します。>

呆れた様子で呟く彼に相変わらずモノアイの焦点を
彼の顔からブレさせる事無く任務成功時の
環境変化の予測を彼に告げる。
それは少し意味深な響きで。

<機密事項でしたか、残念です。
現段階において私が壊される可能性は極めて低いと考えています。
戦闘における私の総合能力はとても高いですよ。>

名前を聞けなかったのは残念だがそれを引きずる事無く
立ち上がって心配の言葉をかけてくれた彼に対して
そんな自慢げな言葉を淡々と伝えた。
謙遜の意などない、自分が思った正直な事を音にする。

虞淵 >  
「そりゃあそうでもなけりゃこんな場所をノコノコ散歩させやしねえだろうよ」

高い、とシンプルに表現するその戦力がどれほどのものか
興味が沸かないこともないが、機械と喧嘩するほど馬鹿らしいこともない
気づけばフィルタに火の近づいた煙草を捨てて踏み消し、新しい煙草を咥え火を点ける

もう用は済んだ、とばかりに通り過ぎ歩き去る…といったところだったが、男は再び立ち止まり、背を振り返る

「ああ、そうだ。そうやって見回りしてんなら一応聞いておくか…。
 落第街で、東郷って男を見かけてねえか?」

フィフティーン > <私は散歩をしているわけではありませんよ。
任務を遂行しています。>

通り過ぎてゆく彼の言葉の意を汲み取ってその発言を返す。
ロボットにとって散歩と任務遂行は結び付かなかった。
辞書が丸々頭に入っているようなもので。

そしてそのまま去っていくかと思われた彼が
もう一度立ち止まり此方の方を見る。
どうやら人探しをしているようであるが

<いいえ、そのような人物は知りません。
私自体つい最近配備されたばかりなので知識は多くないんです。
アナタの役には立てません。>

東郷という男がこの落第街に居るのか。
この学習できた事実を電子回路にインプットする。
もしかしたら重要人物かもしれない、
そんな可能性と共に。

虞淵 >  
「──あ~、そうだったな」

言葉の融通が効かないところは実に機械らしいと言える
とはいえそんな問答に苛つくほど男に余裕がないわけでもなく…

「知らねェか。なら最近はこの辺りにゃいねェんだな、あの野郎。
 ──風紀か公安のデータベースに名前ぐらいは在ると思うぜ。出会ったら…まぁ関わらねェこったな。
 お前の壊される可能性とやらがうんと上がるだろうぜ」

機械相手に珍しく饒舌になったな、と僅かに舌打ちをしつつ、そのまま背を向けて暗いスラムの奥へと足を進めていった───

フィフティーン > 地味に融通が利かないロボットに納得したような様子の彼であるが
東郷という男について聞くまでも無く少し情報をくれた。
どうやら危険人物のようだ。

<なるほど、時間があればデータベースを検索してみます。
私の被破壊率が上昇する存在ですか、とても興味深いですね。>

機械に恐怖などプログラムされていない。
しかし、プログラムされていない事も
この人間に近いAIは勝手に学び追加する。
男の警告を聞いて電子回路の中に生まれたのは
もっと強くなれるという成長欲だった。

<次のセクションは・・・5でしたか。
任務を再開。>

男がスラムの奥へと歩みを進めていけば
自分も任務を再開し真反対の方向へと四足を器用に動かして
機械もまたスラムの奥のほうへと。

ご案内:「スラム」から虞淵さんが去りました。
ご案内:「スラム」からフィフティーンさんが去りました。