2019/03/12 のログ
ご案内:「スラム」に白鈴秋さんが現れました。
白鈴秋 >  情報を得る為に派手に動きすぎたのだろうか。ある意味でそれは自身の失策であったといわざるおえない。
 それがこの様だ、本当に……軽率な自分が嫌になる。
 黒のジャケットを纏った彼は静かに立ち尽くしていた。その身に怪我などの痕は無いだが。

「……最近、平和だったからな。少し気が抜けちまってたか?」

 思わずそう漏らす。その声にはどちらかというと嫌悪感の方が色濃く出ていた。
 事情は簡単だった。最近噂となっている夜の子。それについて聞き込みをした、だが話しかけた相手は自身を知っている相手であった。
 つれてこられた先はスラム、その一角の少し開けたエリアであった……簡単に言ってしまえば、待ち伏せを受けた。
 前までのように気を張っていればもしかしたら未然に防げたのかもしれない。だが最近は平和な期間が続いた。”普通の高校生”として過ごせている期間が長かった結果……この様だ。
 彼の周囲には既に物言わぬ躯と化した人物が数人。自身の弱点を狙ったような構成に手加減などする余裕は無かった。
 嫌悪感をあらわにしていた理由は単純だ。どれだけ表向き取り繕っていても自分は表ではなくこっちの人間なのだと思い知らされる。
 男達を手にかける刹那……否、今でさえ迷いや気の動転など一つたりとも無かった。
 まるで普通に学校へ行くときと変わらない感覚。下手すれば苦手な科目でない分気が軽いほど……それほどまでに命を奪うことに戸惑いを感じていなかった。
 ヒュルルと風が吹く、男の懐から現れるのは手配書。

「……本当にくだらねぇ」

 そこに書かれていたのは自身の顔。報酬を見て思わず少しだけ笑ってしまう。
 殺されるという恐怖より先に出た感情は”この程度の金額で雇える奴で俺を殺せるわけが無い”そんな感覚であったのがさらに自分のゆがみを浮き彫りにした。

ご案内:「スラム」に蛭谷エルさんが現れました。
蛭谷エル > 「ふむ...口ではそう言っているが、随分と迷いのない行動だな。」

腰に下げているマチェットを抜けば、脇道からひょっこりと姿を現す。
ガスマスクを着用している為か、少々籠った声でそう声を掛ける。
小さな騒ぎが起きたと聞いて此処に来てみたが、これは殺人事件という奴だろうか。

「それにしてもこれをお前一人で?
どういう手段を取ったのか、実に興味深い。」

地面に倒れ伏すそれらを一瞥すれば、顎に手を当てそう問いかける。
規格外の相手、自分でもこう上手くはできないだろう、ならば此方から相手の油断を誘おう。
仕事の準備は、整った。

白鈴秋 > 「……」

 声をかけられ、そちらを見る。そして露骨に浮かべる面倒くさいという顔。
 増援として攻撃ヘリが現れる方がまだマシというものだ。それほどにもっとも来て欲しくない相手……風紀委員が出てきた。
 だがここで変に誤魔化すわけにも行くまい。はぁと溜息を吐き出すと。

「そりゃ迷いもねぇよ、やらなきゃやられるって時に迷ってなんていられねぇだろ」

 そう語り、能力である糸を発動させ、先ほど風で転がり出た手配書を手繰り寄せるとそれを見せ付ける。
 そこにはたしかに彼の顔と一般人にしては高い程度の金額。

「こんな物が出てるみたいでな。小銭の為に命狙われるんじゃたまったもんじゃねぇよ……手段は今見せた通りだ。異能だよ」

 相手に見せたのち腕を振るうとその手配書はシュレッダーにでもかけられたかのように細切れになる。
 他の奴も持ってるだろうし欲しいなら漁れば良いぞと付け加える。
 風紀ならば糸を使う人物ということでたまに違反組織を破壊して著名で通報してくる謎の人物についての噂は聞いたことがあるかもしれない。その大半の例で死者は出して居ないが。

蛭谷エル > ふむ、思ったより嫌そうな顔だ。
数度の現場に立ち会って分かったが、どうやら風紀委員はあまり好かれない立場のようだ。
だからと言って手を抜く訳にはいかないのだが。

「ふむ、確かに。合理的だ。」

同感だ。
手配書、俗に言う賞金首という奴なのだろう。
面倒な連中につけ狙われるのであれば、強行手段を取った方が幾分か利益がありそうだ。

「...また異能か。
どこもかしこも異能...。実に非合理的だ。」

相手の持つ異能は糸。それも異常な程鋭利な。
賞金首、殺人。情報はある程度手に入れた。
...さて、仕事だ。


マチェットが熱を帯び、数舜で赤く発光する。
それと同時に彼の元へ走り出せば、大きく振りかぶる。

「お前を拘束させてもらう。」

白鈴秋 > 「非合理ね……それはまだ解明が進んでねぇだけだと思うが」

 自身がそれを合理的に出来るような道具を作る技師だからこそそう答える。
 しかし、相手の空気が変わるのであればこちらとて何もしないわけではない。といっても……見た目には何も変わらないが。

「これじゃどっちが悪党かわかった物じゃねぇな風紀委員。話も深く聞かず抜刀か。それとも話は署でってやつか?」

 振りかぶり走るのであれば、……走りよらんとする風紀委員である彼の視力は如何ほどだろうか。もし優れているのであれば、もしくは歴戦の感覚で悟るのであれば。見えるだろうかその卑劣な鳥かごが。

「俺は風紀委員と争うつもりは今はねぇ。実際、俺の立場はこいつらに狙われて反撃しただけだからな。だが……拘束されるのは面倒だ」 

 その行く先にトラップのように糸がめぐらされる。あえて見えるように置かれている糸の影に見えにくく黒く変色した糸が隠れる。
 その先で正義の象徴である風紀と戦うというのに表情は変えていない男が。

「ここはお前の言う合理的で行こうじゃねぇか。お互いに何も見なかったって方法でな……見えてるかどうかわからねぇが。その糸が境界線だ。それを超えれば俺は”反撃”させてもらう」

 ある意味で卑劣な方法。つまり相手に開戦を切らせるという方法。それでいて自身は守れるように最低限の防御は整えておく。

蛭谷エル > 「不安定なものこそ統制し、制限させるべきだとは思わないか?」

異能を捨てた世界の住人である自分には彼の意図が理解できなかった。

「なるほど、悪党か。
...どう思われようが、俺は仕事をするだけだ。」

猪突猛進の勢いで接近していた彼はピタリと静止する。
張り巡らされた糸、まるで蜘蛛の巣のようだ。
なるほど、境界線とは...中々どうして。

「ふむ...。確かに一理ある。」

ガスを使ったとしても此方が後手、突っ切ったとしても後手。
先手を取ってこその自分の戦術なのだが。

「やはり異能というものは気に食わないな。」

マチェットを納める。蜘蛛の巣を知覚できたのもほぼ偶然。
ここは相手の話を飲むとしようか。

白鈴秋 > 「統制し制限した先には終わりしかねぇよ。不安定な物を安定させてこその成長だ」

 自身の考えを述べる。そうして普遍的に全員が異能や魔術を使えるように。そんな理想が自身の家の願いだった。
 そして相手の動きを見ている。そして相手が動きを止めたのを見ると。

「……わかってくれる相手で嬉しいな。風紀とやりあって学校にいられなくなるのは俺もいやなんだ」

 といっても、相手の不意打ちがどうくるかわからない為に糸を全ては撤収させない。
 さて、そうして最低限を残して糸を引き下げ相手との距離を図る。能力も何もわからないのはこちらの方だ。

「まぁ拘束されるのは面倒だといったが事情を話すのはやぶさかじゃねぇよ。それに事情くらいはきかねぇとお前の対面もたたねぇだろ」

 ただの見回りでここまで来る可能性は低い。となれば誰かしらから通報が入ったと見るのが1番近い考えであった。
 少し溜息を漏らす。

「といっても、結局話せる内容なんて多くはねぇんだがな。気に入らないって理由で違反組織を攻撃してる内に裏で人気者になった。結果これだ、それ以上の理由なんざねぇよ。表の奴らに迷惑をかけるような事は一つもやってねぇから安心しろ」

 結局違反組織を攻撃した時点でアウトと言えばアウトなのだが。そう答える。
 その動揺などの無さから真実だと思えるかどうか。少なくとも本来人が嘘をつくときに見せる動き。例えば汗だとか目線だとかは全て正常である。

蛭谷エル > 「ふむ...やはりこの辺りはこの世界と相容れないらしい。」

終わりという発言を聞けばピクリと少し視線を上げる。
共存というのはどうも難しい。

「学校か...。ふむ、そうだな。」

そう呟けば、顎に手を当て、少し考える素振りを見せる。
相手から見ればいまの彼はこの上なく無防備にもみえるだろうか。

「大体の事情は察する。
お前には嘘が無い。今のお前を信じよう。」

「だが...お前のことは一部を除いて報告させてもらう。構わないな?」

白鈴秋 > 「まぁそうかもしれねぇな。そういう世界もあるのかもしれねぇし」

 相手の発言を聞いて少しだけ頷く、頭ごなしに全てを否定するのはまずいだろう。
 そして眼前の相手が無防備になっていれば攻撃の意図は無いと見て残りの糸も撤収させる。
 
「信じてくれるのか。やっぱり見つけてくれたのがお前で助かった。かまわねぇよ、名前も一応話しておいたほうが良いか?」

 一部を除いて報告と聞くとそう答え返事をする。別に隠すようなことでもない。
 というより、ある意味で幸運かもしれないとまで思い始める。そろそろ一人で行動も限界が出てきた。もし一人で行動するよりは入れと勧誘でも受けるのであれば……いっそ従うのも有りだ。
 一応生徒手帳を見せる。まだ開いては居ないので名前などは見えないだろう。