2020/06/13 のログ
ご案内:「スラム」に閃 天兎さんが現れました。
閃 天兎 > 「ここで死ぬか、それを振るか今きめろ」

夜のスラム、細い路地、死体と二級学生。
黒い剣を相棒を殺された二級学生の首にわずかにめり込ませながら静かに問いかける。
先日拾った賽子。どうにもスラムやら落第街に妙に浸透しているようだ。
全員が全員持っていると言うわけではないが、今まで調べた限りでは最低でも1割近い住民が所持しているらしく、ここ数日で最初にこの賽子の存在に気づいた時に遭遇したような化け物も何度か目にしており、その殆どが賽子を所持、もしくは 付近に賽子や元賽子が落ちていた。

最初に化け物がこの賽子を持っていた時点で、ある程度の関連性は予想できていたが、ここまで行くともう無関係とはいえないだろう。
調査したいが、自分で振るわけにもいかず、こうしてスラムの二級学生を脅して振らせようといているのだが、中々振らないので、片方殺してやった。

「死にたいようだな」

何を考えているかは知らないが、震えたまま一向に賽子を振る気配がない二級学生に痺れを切らして首を跳ね飛ばそうと剣を少し引いた瞬間、その二級学生は理解できない言語を発しながらその賽子を真下にぶん投げた。

閃 天兎 > 転がってゆく賽子を目で追いつつ、逃げ出そうとする二級学生の腱を切って動けないようにする。

「...六」

賽子の出目は六。
そこに転がり手だけでなんとか逃げ出そうとする二級学生に渡した賽子は六面の物、つまり最も大きな目が出たわけだが。

「さて、どう変わるか...」

先ほどから2mほど直進した二級学生から5mほど離れて変化を待つ。
数秒して、二級学生の体が急激な膨張を開始した。
二級学生の僅かな呻き声とともにその肉体が大きく変化する。
着ていた服は破け、腕の先端が団子のように相手を押しつぶす形となり、掌を包むこむ。
目を隠すように前頭部が膨張し、リーゼントのような形になり垂れ下がる。
太腿が肥大化し、切った腱も復活したのか徐々に立ち上がる。

結果、賽子を振らせて15秒程度で不健康な肉体だった 二級学生の身体は健康的...ではないが、随分と立派なものになった。
この姿であれば舐められることもなくスラムを歩けるのではないだろうか。
私からすればそこらへんの不良にしか見えないが。

「これまでに見たサイズで大きな部類に入るな。やはり出目に依存するのか?」

今までの化け物は、出目は確認できなかったが、賽子である以上出目は何かしら関係あるとは思っていた。
さて、実験の時間だ。
相棒を殺され自身も足の腱を切られた異形がその腕をハンマーのように天兎に向けて振り下ろした。

閃 天兎 > 自分に向けて振り下ろされたその腕を体の向きを逸らして回避し、肉団子のようになったその一部を削ぎ取るように切り取る。
ここら辺のデータは個体差があるようで、皮膚が岩のように硬い化け物や、脆い分即座に回復した化け物もいた。
もちろんその両方を中途半端に備えていたやつもいた。
こいつはどうにもそこそこ硬い上に弱い再生能力を備えているようで少しずつ傷口が塞がって盛り上がって元の形状に戻ろうとしている。
それと、あの肥大化した手首はどうにも肘の皮のように伸縮しているだけのようだ。
出血もないし、痛覚がないのかもしれないが痛がる様子などはない。

「さて...切り刻みながら様子を見るか」

振り下ろされたもう片方の腕を身体をくねらせブーメランのように沿って回避しながら切り落として着地する。
腕を切り落とされた化け物が耳を擘く喧しい悲鳴を上げるが、切断された腕の断面からさらに剣を深く差し込み、そのまま剣を肩まで伸ばして貫けば、上に切り上げる。
化け物の腕が縦に割れて開かれた筒状のケースのような状態になって垂れ下がる。
化け物がその場を叫びながら飛び退き、回避行動を取るが、追撃せずに見るだけで。
やはり、痛覚自体は通っているようで涎をたらして呼吸荒くしながらこちらにそのリーゼント上の頭部を向けており。
そして、傷口も再生するようで少しずつくっつこうとしている。

「さっさと切り取った方が再生も早いと思うのだがな」

そのまま化け物が回復し切るまで、その場で待とうか。

閃 天兎 > 化け物の傷が再生し切るまで約2分。
途中からこちらが攻撃を仕掛けないことに気づいた化け物が無事な方の腕で攻撃を仕掛けてくるが、全て回避する。
途中から攻撃手段に単調な振り下ろし攻撃に加、薙ぎ払いが追加されたが、やはり腕が主体の化け物なのだろう。
それに多少の知能はあるようで、薙ぎ払って飛び退いたところに振り下ろし攻撃など、攻撃手段に進化が見られる。

「さて...私の反撃の時間といこうか」

化け物の傷が治り切ったタイミングで、鏡の悪魔を利用し、化け物の背後へと移動し、バク転して化け物の正面へと躍り出れば肥大化した頭部を切り落とし、全力で蹴り飛ばす。

「これで前が見れるだろう?」

蹴り飛ばされ、頭部の一部を切り落とされた化け物が絶叫と共にこちらに三つの凶悪な瞳を向ける。
リーゼントの内側に隠れていたようだが。
しかし、睨むような瞳とは裏腹にこちらに恐怖を抱いているようで、後ずさるように動き出した。

ご案内:「スラム」に閃 天兎さんが現れました。
閃 天兎 > 「今更気づいたのか?何を勘違いしていたんだ?
君は最初から私にモルモットだ」

怯えて逃げ出そうとし、化け物になって力を得たと勘違いでもしたのか襲いかかってきた二級学生。
さて、いつ彼が力を得たと言うのだろうか私の前ではモルモットに等しいと言うのに。
刀身が5m程までのびた剣を数度振り、最初と同じように、足の腱...がどこまでかわからないため膝より先の部分を切り取ってしまい、ついでにその異常発達した腕も肩から切り落としてやる。
芋虫となった化け物が悲鳴を上げながら退散してゆくが、知ったことではない。
そのまましばらく、悲鳴をあげる化け物の腕や足を再生するたびに切り落として見守ってやった。

15分程経過しただろうか。
辺りは化け物の血で汚れ、その真ん中には化け物の素体となった二級学生が腕も足もない状態で倒れ伏していた。
体力が尽きたのか、制限時間付きのマジックアイテムなのか。
まあ何れにせよこの賽子は人間を化け物に変え、そして消耗もしくは時間経過で元の人間に戻すアイテムだと言うことが判明した。
人間に戻る...さて、先日出会った情報屋の言っていた「あがり」に到達しても、果たして人間の姿に戻れるのか。

「まあ順次試していけばいい。次は戻してみるか...道具を用意しなければな」

二級学生の死体や血痕を異空間に飲み込み、痕跡を抹消する。
辺りの破壊痕は回収できないが、ひとまずこれで良いだろう。
次の実験の準備や死体の遺棄のためその場を離脱した。

ご案内:「スラム」から閃 天兎さんが去りました。