2020/06/29 のログ
アーヴァリティ > 「この島の治安を守ってる...うーんなんだろ。
強い人たちみたいな感じかなあ」

そして僕の遊び相手。
まあ、言わないけどね。
せっかく僕と遊んでくれる相手なのに嫌われたくないよね。
なんて思いながらその後をついて行く怪異。

「それは楽しみだなあ」

なんて、わざとらしく後ろで手を組んで作り笑い。ただし見た目は普通の笑み。
怪しんでなんていませんよ、と言わんばかりの無警戒。

ル・ルゥ > この辺りでいいだろう。おもむろに足を止めた。
左右を高い壁に囲まれ、頭上には電気の通っていない電線が張り巡らされている。
万が一の下水道(だっしゅつけいろ)も把握済み。
表通りからはだいぶ離れており、叫んだところで届く声はないだろう。

「それじゃあ───遊びましょう?」

ゆっくりと振り返った少女の前髪の下で、人のそれとは異なる瞳が妖しく光った。
『幻惑』の魔術。この光を見た者は軽度の認識障害を受け、これから見るものを脅威と判断できなくなる。
……もっとも、受けたのがただの人間であればの話だが。

アーヴァリティ > 「良いね!遊ぼうよ!」

魔術の類かななんて、認識がわずかに揺らぐ。視界が揺らぐわけじゃないけど脳が少し揺れるような感じがする。
まあ、それだけ。
とりあえず、この少女が僕と同類、怪異か何かは知らないけどー
楽しみ

「眩しいなあ...なあに?今の」

なんて、白々しく言い放とうか。

ル・ルゥ > 「あら? あまり効果がなかったかしら」

紅い瞳のまま小首を傾げる。
しっかり効いていれば意識がぼんやりするものなのだが。
まぁいいか。多少の抵抗は力尽くで捩じ伏せればいいだけだ。

「今のはね、おまじない。わたしが愉しく"遊ぶ"ためのね」

クスクスと嗤いながらワンピースのスカートを持ち上げる。
布の下から覗くのは白く細い足……ではなく、脈動する悍ましい肉の塊。
明らかにその空間には収まり切らない量の触手が溢れ出し、地面や壁を這うようにしてあなたへと殺到する。
まず手足を掴み、腰を巻き取り、持ち上げて逃げられなくしてから再び幻惑の魔術をかけるのが常套手段。
視界を覆い尽くす無数の触手が迫るが───

アーヴァリティ > 「へえ、何したの?」

小首をかしげて笑う少女に、演技ががった笑みを向けて。

「そう、遊びなんだね」

目を細める。
持ち上がったスカートに警戒し、肉塊が視界に入れば口もとを三日月のように歪めて

「やっぱり!!!!僕と同じ怪異だ!!!」

なんて叫日ながら、こちらへと迫る触手を避けるのではなく、右手を引き絞り、跳戟を発動する。
少女の方、何もない空間に向けて、放たれた拳の先から放たれた衝撃波が触手を妨害するだろう。

ル・ルゥ > 「──────!!」

歓喜の声と共に触手が"止められた"。
否、不可視の衝撃波によって押し留められたのだ。
麻痺毒の滴る触腕が少女に触れることはなく、先の言葉から察するに───

「なんだ、お仲間だったのね」

どうりで幻惑の効きが鈍いわけだ。あれは魔族や怪異に容易く通じるものではない。
獲物としては"はずれ"の部類なわけだが、こちらも退屈していたところだ。
もう少しばかり遊びに付き合ってもらっても罰は当たらないだろう。

「面白い防ぎかたをするのね。けれど、いつまで耐えられるかしら?」

再び触手を差し向ける。数は先程の二倍。
予備動作のある防御行動には物量と手数で攻めるに限る。
上下左右から手足を掴もうとする傍ら、壁に突き出ている折れた水道管に一本の細い触手を潜り込ませた。
先端には針が付いていて、身体の機能を低下させる毒を注入できる仕組み。
パイプは少女の背後まで伸びている。奇襲を狙う腹積もりだ。

アーヴァリティ > 「そうだよ!僕は君の仲間だよ!
食べたら美味しいんじゃないかな!?」

今の僕よりもよっぽど怪異な少女。
スカートの中が肉塊だなんて、随分と怪異らしい。
それで知能があるだなんて、面白い相手だ。

「逆に君がいつまで攻めてられるかな!
防衛になってないようにしてね!」

何て言いながら左拳、そして左足で回し蹴り、跳ね返された触手を切断して。
背後から襲いかかる触手は小さなシールドで防ぐ。
その手段は自分が使うものと同じだ。
触手使いなら同じことをするとは思った。

なんて、右拳の根元、ボロ布に隠れた肩のあたりから触手が生え、そこに身体強化や跳戟の魔術をかけて攻撃の準備を進める。

ル・ルゥ > 「あら……それじゃ読めてしまうわよね」

同じ、というのは大カテゴリだけの話ではなかったらしい。
奇襲も防がれ、相手にも触手が生えてきたのを見て立ち回りを変えざるを得なくなる。
こちらの触手はいくら千切られたところで痛くも痒くもない。
薄汚い路地裏に肉片を撒き散らしつつ、切断面から新たな触手を伸ばす二段構え。
とはいえ、これも触手を使う者なら想定内だろう。

「あいにくと、攻撃的な魔術は持ちあわせていないの。
 お仲間と遊ぶのははじめてだから」

幻惑、魅了、認識阻害。とにかく"惑わす"ことに特化した魔術適性。
それでも彼女がこれだけの知性を得るまで生き延びてこられたのは、引き際を心得ているからで。

「だからいいのよ、次はあなたの番。
 どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみだわ」

既に手は打ってある。ゆえに、ル・ルゥは余裕を崩さない。

アーヴァリティ > 「そう?やっぱりわかっちゃうか!」

少女が読める、といえばまあそれはそうか、と。
だが、別にバレたところで、って感じはするけどね!
あちらが物量で押すならばこちらは少数精鋭。
両腕の付け根から生えた触手、左右合わせて4本。
且つて刃鬼に対して用いた手法。

ただ、即座に使うわけでもない。

「じゃあ!見せてあげるよ!」

なんて、指先に小さな、それでいて高出力の竜巻を生成し、少女と自分の間に撃ち込む。
地面に触れた竜巻がそのエネルギーを解放し、少女の触手を巻き込み乱す。
それすら突き抜けてくるようであれば跳戟で各個撃破してやろう。
そして、その竜巻の裏で触手を縮め、風を纏わせ、ばらついた触手の間と竜巻を抜けて触手が少女の肉塊へと突き刺さらんとー

ル・ルゥ > 二体の間に巻き起こった風の奔流。
地面に散乱していた肉片が壁際まで吹き払われる。

「うふふ、すごいすごい。あなたって色々できるのね。
 わたしの肉体(からだ)ばらばらになっちゃった」

伸ばしていた触手たちが竜巻の中で捩じ切られていくのを見据えながら、ル・ルゥは"仕込み"を動かした。

竜巻の向こう側、あなたの足下に落ちた肉片が蠢き、肉の弾丸となって左右の二方向から挟撃を仕掛ける。
ル・ルゥの肉体は"魔核(コア)"から生み出される魔力によって構成された質量自在の細胞群。
本体から離れたところで、粉微塵にでもされない限りコントロールを失うわけではない。
これが策の一つ。

「わたしじゃ、とてもかなわないわ。だから───」

直後、竜巻を抜けたあなたの触手が白いワンピース姿に突き刺さる。
ぞぶり───肉の中に深く沈み込むような感触がして、幼い少女の躰が膨れ上がった。
"魔核"の場所は一定ではない。単なる"疑似餌"である少女はもちろん、それと繋がっていなければならない決まりもない。
辺りに散った肉片の内のどれかに潜み、下見しておいた下水道から地下へと逃れた。

『また今度、遊びましょう?』

いくつかのダミーの肉片に口だけが浮かび上がり、無邪気な声を狭い路地に響かせる。
残された少女だったモノは更に膨張すると、そのまま竜巻ごと飲み込まんとあなたへ覆い被さってきた。

アーヴァリティ > 「僕よりも随分と怪異らしいね!
僕よりも多彩なんじゃないかな!」

左右から襲いかかる細切れの肉弾を、両手を左右に振り下ろして地面に強い風圧とともに叩きつけ防ぐ。
次はもっと短期で決めよう。これは戦うほど、その場を散らかすほど強い。

 叩きつけられた触手はまだコントロールは損なわれていないのだろうが、一時的にその動きを止めることはできるだろう。

「あ!逃げるな!くそ!
やっぱり僕より全然怪異してるよ!君は!」

手応えはあるけど、そうじゃない。
沼に刺さってるような...この感じは攻撃にならない。
竜巻はこちらの視界も防ぐ。よく見えない着弾場所。
一先ず触手を引っ込め、少女ではなくなった肉塊と口を持つ肉塊へと触手で順次攻撃するも芳しい反応は得られず。
ダミーしかないと判断すれば諦めて。

「無かったら怒るからね!!!!!!!」

自分を飲み込むにくる肉塊の波、随分とグロテスクな風景をみながら、やけくそ気味に。
両手で竜巻を合わせ、波の中心に打ち込めばその部分に穴を開けて、そこから波の反対側へと出て。

「あー逃げられちゃったなー
また会いたいなあ」

少し悔しげな表情を浮かべて。
戦いの意味でも、触手仲間の意味でもまた出会いたいな、なんて思いながら、肉塊で凄まじい状況を醸しているその場を飛行でさっていった。

ご案内:「スラム」からアーヴァリティさんが去りました。
ル・ルゥ > 肉塊のほとんどは竜巻によって消し飛んだ。
ぱしゃぱしゃと降り注ぐ肉片たちも、"魔核"が離れたことで塵に還っていく。
暴風の主がその場を去れば、後に残るのは静寂のみ。

そしてまた、どこかにル・ルゥは現れるのだろう。
無邪気な子供の姿で。

『ああ───おなかすいた』

ご案内:「スラム」からル・ルゥさんが去りました。
ご案内:「スラム」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 「風紀委員か公安に入らずになぜ、某は単独でヒーローをやってるのでござろうかな」
唐突に思った。

確かに、組織に入れたら、「数」も、「給料」も手に入って、楽に助けられる。それ自体は悪くないでござる。
だけど某は本当にそれでいいのでござろうか。
学校でオタクが原因で、いじめられ、推しにあって、・・・違うでござるな。

某は誰かに、助けてほしかったのでござるな。そしてなりたかったんでござるな。

「身分も、差別も、組織も関係なく、泣いてる誰かがいたら。いじめられてて、辛くて苦しい人がいたら、飛んでいける。
守れる正義のヒーローに」

といつの間にか口ずさみ

『じゃあ、なぜあの話し合いの場に、行ったのか。行ってしまったのか。』

それは、興味本位だ、「興味本位」でいった。最低だ。その間にも助けられる人たちがいた。唇から血がにじむ

持流 童男 > 「なんででござるか。」

「なんで・・・!!!」

「なんで某はこんなに中途半端なんでござるか!!!!!!」

とスラムの地面を思いっきりたたき、嗚咽を流し、本気で自分自身に悔しがり。

「某は「興味本位」でしか人を救ってなかったでござるか・・!?!」

と自分に対してショックを受けて。涙を流しながら。

「なんで某は、「あの話し合いの場所に行ったでござるか!!!」」

と地面を血が滲み出るほど叩き。何回も何回も悔しがるようにたたきつつ。

持流 童男 > 雨が降っている。
持流 童男 > 「だから、また立ち向かうでござる。「己自身」に今度は負けないように」

直せるところを直す。

「某がしたいことは、泣いてる誰かのために体で「行動」することでござる。非難を受けようが、誰かに侮蔑を受けようが。
それでも向き合い「助ける」ことでござる。そして推したちを幸せにするために、「守る」ことでござる。なんで今までやってきたことなのに。こんなに中途半端なことをしちまってたのでござろうかな」

と雨に濡れつつも不屈の意思を目に宿らせながら。

今の現状じゃだめだ、だったら、

「風紀委員に、入るでござる。」

持流 童男 > と言いつつ、路地裏を力強い足取りで後にする
ご案内:「スラム」にNullsectorさんが現れました。
持流 童男 > いつの間にか、空は晴れていた
Nullsector > 男が路地裏を後にしようとする最中、裏路地の出口に、女がいた。
濡れたアスファルトを踏みにじり、晴れた空に、煙草の煙が立ち上る。

「────……随分と、大きな独り言だったな?」

男に静かに、言い放つ。
冷めきった胡乱な双眸が男を見ている。

持流 童男 > 「うむ・・・?お恥ずかしい、聞かれてたでござるか。」

としっかりと、目線を合わせながら、路地裏の女性に対して、

と言おう。

Nullsector > 「……雨の中でも、あれだけ叫べばな。」

うんざりした溜息交じり。
どうも、女の雰囲気に気だるさはぬぐえない。

「そうでなくても、お前の事は知っているよ。"持流 童男"……私は此の島をよく見ている。」

平然と女は、男の名前を口にした。
口元の煙草を二本の指で挟み、白い煙を吐き出す。

「……老婆心で聞いてやる。お前は雨の中、何を決意した?」

持流 童男 > 「なぜ某の名前を・・?」

と驚いたよようんに言いつつ、

雨の中、「何」を決意したかを聞かれたら。

「「自分自身」・・「興味本位」に負けず、そして、泣いてる誰かのために、諦めぬ「行動」と『意思』を、そして個人と「向き合うこと」でござる。その責任を持つために、某は、風紀委員に入ることを。」

としっかりと言いつつ。

Nullsector > 「……あたいは多くの"目"を持っている。此の島の大よその出来事は知っている。"例の会合"もね。」

自らのこめかみをトントン、と指先で二回叩く。
すると、その左目が赤く変色し、左目を覆うようにホログラムのバイザーが現れた。
それはあたかも、彼女の異能のように見えるだろう。

「…………。」

トントン、と煙草を灰を地面へと落とす。

「……風紀委員か。あの学園の組織は余程の無能でない限り、断られる事は無いだろう。……それで……?」

「お前の言う『興味本位』とはなんだ?何を以て、お前自身の中のそれを排他する?」

気だるそうに煙草を咥え直し、淡々と問いかけた。

持流 童男 > 「某のいう、「興味本位」は、特定の目出つ誰かに興味を持たれるように、助けて、称賛され、ほだされることでござる。」

と血がにじむほど拳を握りしめ

「けどそれじゃだめなんでござる。「特定の目立つ誰れかにだけ」興味を持たれるだけでは、「エセヒーロー」なのでござる。
「特定の目立つ誰かにだけ」助けていたらそれはただのポイント稼ぎのカッコ悪いやつになるでござる」

と苦虫を噛み潰したように言いつつ、

「これを教えてくれたたった一人の少女も、救えなかった。某には当然の名前なんでござろうな。」

それでも、と「「特定の目立つ誰かに」(興味本位)ではなくて、「今も泣いてる誰か」を助けるために、某は、「興味本位」に負けたくないのでござる」

Nullsector > 「ふぅん……。」

酷く適当な相槌だ。
吐き出す煙はふわふわと、晴れ空へと昇り消えていく。

「……お前が誰を救おうと何を成そうとするのも勝手だけどね。」

「お前、本当に今の今迄"特定の目立つ誰かだけ"だったのかい?
 生憎、あたいの目は島の中でしか機能しない。お前が島の外で
 やってきた事は知らないけど、ヒーローやってんなら、救われた人がいるのは事実なんじゃないのかい?」

その気になれば、調べられるだろうが一々そんな事に労力を回す気は無い。
余程、その少女とやらの言葉が身に沁みたようだ。
体がその苦渋を良く表している。
だが、それを見て慰めを掛けるほど、女は優しくない。
男の言葉に一つ一つ、淡々と問いかける。

「ま、何をするのもお前の自由だし、口に出すだけなら簡単だけどね。」

「此の島じゃぁ、余程の事をしなけりゃ排他される事もない。"似非"でも"真"でも好きにすりゃいい。」

「過去の自分を戒める事は、個人的には良い事だけど……結局、お前……」

「その"救えなかったたった一人に、興味持って悔しがってるだけじゃないのかい"?」

胡乱な瞳が、細くなった。

持流 童男 > 「・・・その通り、でござるな。「救えなかった」、たった一人に、某は、興味を持ち、悔しがってる、男でござる。」

と言いつつ、「これこそが、某の「興味本位」なのでござろうな」と一泊おき、一呼吸した後に

持流 童男 > 「それでも、某は、「興味本位」ではなくて「自分自身の意思」「自分自信の責任」をもって、「今も泣いてる誰かのため」に行動するでござる

と目をしっかりと向けながら

Nullsector > 「一応言っておくが、別にお前を虐めに来たわけじゃないぞ?
 お前なんぞ相手してられる程、あたいは暇じゃないんだ。」

女は鼻で笑い飛ばしてやった。
そう言う割にはやたらお節介が如く声をかけてくれば
それはそれ、というやつだ。

「…………。」

互いのレンズ越しの瞳、女は睨むように相手の目を見据える。

「……まぁ、いいんじゃないか?」

素気ない肯定。
ぽい、と煙草を自身の足元へと投げ捨てた。

「前提として、お前の悩みに一切の"正解"はない。それが正しいか間違いかは、後から証明される。」

「人生とは、歴史とは、そう言うものだ。」

きっかけは幾つも存在した。
それが善性か悪性か、後に決められたのは何時も時間が経った後。
"その時の最善"と"後の最善"は異なる。
何とも因果な話だが、人類史がそうと証明している以上、覆す事は出来ない。
女は懐から煙草を取り出し、口に咥えた。

「敢えて口出しすれば、興味本位だの"ああだ、こうだ"と言っているそれこそ、お前は蔑まれて然るべきだったな。」

「"出来もしない事を口にした"。"ブレた信念程、見ていて滑稽なものはない"。」

男が悩むきっかけになったやり取り、人の心根まで見透かしていたわけではない。
敢えて言語がするならば、最適とは言わずともこの辺りが近いか。
煙草の箱をトン、と叩き、伸びる一本の白を相手へと差し出す。吸うか?

「あたいから見れば、"興味本位"だろうと"芯"がある奴のが信用出来るね。
 そもそも、人間興味が無い事に首を突っ込むワケないじゃないか。
 物事のきっかけとなるものを持っているという意味では、充分過ぎる意思だ。」

晴れ空を軽く一瞥した。
今日は通り雨でも多いのか、僅かに雲が陰り始める。

「……この際だからハッキリ聞いてやる。お前の"興味本位"は、今迄"ヒーロー"足り得たか?」

「お前の言う、"泣いてる誰か"とは誰だ?個人か?国か?それとも、無辜の民か?或いは世界単位か?」

「どんなバカげた絵空事でもいい。お前の"やりたい事"を答えてみろ。底の底、お前は何を以て自らを"ヒーロー"と定める?」

「……お前の"芯"はなんだ?お前が"ヒーロー"なり得るきっかけは?……フ、それとも……」

「それも答えられない程の腑抜けか。」

「"たった一人のガキ"や"名前すら分からない見知らぬ女"にコケにされて揺らぐ程度の、柔い芯か?」

陰りに畳みかけるように、鉄を打つように言葉を投げ打った。
再び雲を払えるか、それとも驟雨が通るのかは
全て、其方の答え次第。

持流 童男 > 「「某の・・・「興味本位」は・・」

と初めて言いよどむ動揺する、しかし、助けてきた推したちの顔を、笑顔を思い出し。

頬を濡らしながらながしながららそれでも

「・・・・ヒーロー、足り得たでござる」とぽつりとはっきりした声で

「某のやりたいことは!!!!!!!!!!興味本位でも!!!それでも!!!目の前で泣いてる誰かを!推しを!!!個人を!!
推しに連なる人を笑顔にして助けて、ハッピーエンドにすることでござる!!!」

「目の前の人を笑顔にできて助ける最高のヒーローに!!!!!特定の誰かでも!泣いてたら助ける!」

「個人を!推しを!個人に連なる人たちを助けて笑顔にしてハッピーエンドにすることが!!」

と言いつつ、はっきり言い切る

「それこそが、某の志でござる」

とまるで迷いが吹っ切れたかのように、はっきりとした声で。

Nullsector > 「……ふぅん。助けるってのは、"泣いてなきゃ"いけないのかい?」

フン、と鼻を慣らせば差し出した煙草をひっこめた。

「ああ、気にするな。言葉狩りだ。」

ふ、と女の口元が笑みを作った。
意地の悪い笑みだ。
口元を手で覆い、ジッポライターで咥えた煙草に火をつけた。

「まぁ、言った以上は頑張りな。それがお前の"芯"なら、何時如何なる時も忘れるんじゃないよ。」

「今度こそブレたら、お前はもう"終わり"だと思いな。……お前の人が良けりゃ、それでも助けてくれる馬鹿がいるかもしれないがね。」

言い切る事が出来たなら、それでいい。
張り上げた声に臆したように、晴れ空を遮る雲は消えていく。

「……さて、風紀委員に入る……だったっけ?お前、此の島の現状・組織を外部、内部、何処まで把握してるんだい?」

持流 童男 > 晴れ空を見ながら

「そうでござるな。・・・もうぶれないでござる。」

と言いつつ、頭を下げる

「ありがとう、助かった」

といいつつ、

「あー!!そうだったでござる!風紀委員ってどこから入ればいいのでござるこれ!?」

あわあわしながら

持流 童男 > 「スマヌでござる全く把握してないでござる・・!教えてくれると助かるでござる・・・!」

と先程までの勢いがしょぼんとして。

Nullsector > 「……礼を言われる言われはないよ。次言ったら、頭割ってやるからね。」

白い煙と共に吐き捨てた。

「もう一つ老婆心で言っておくけど、"意固地"には成らない事だね。
 そんな男ほど、見ていて見苦しいものはないよ。男なら
 周囲の状況を把握して、スマートにやってみせな。」

「それと、どれだけお前が頑張ろうと"手が届かない高嶺"ってのはあるものさ。
 知り続けても手を伸ばすか、それとも諦めて見守るかは、お前次第だけどね。」

どれだけ理想を口にしようが、現実がそれに追いつくかは別。
そのギャップに常に喘ぎ続けるのもまた人間。
そして、そこにどのような折り合いをつけれるからこそが、勝負所。
彼にとって、此処から先の転機とも言える。
どうなるかは、蚊帳の外で見守ると女は決めている。

「…………。」

「……お前、一応常世学園と生徒だよな?あたい、もしかしてデータ間違えたか?」

女は訝しげな顔をした。明らかに呆れている。
女が右の人差し指を立てると、その先が光る。
直系約30cm程のホログラムモニターだ。
モニターに直結するホラグラムキーボードを叩けば、モニターに地図と概要が現れる。

「学園地区……此処の委員会街だ。他の都市で言えば、官庁街って所か。」

「各委員会の事務手続きも全て此処だ。天下の生徒会様のお膝下って所かねぇ。」

「まぁ、お前がどんなヒーローを目指してるかは知らないけどね……」

「風紀の連中もピンキリだ。所謂そうね、統治の為なら"過激な事"をやるような連中もいる。果たして、上手く折り合いつけれるかね?お前。」

持流 童男 > 「学園地区・・・委員街でござるな!わかったでござる!行って見るでござるよ」
と地図と概要を見ながら

「周りをみる・・・スマートに・・、見回して、そうでござるな、あr・・・おっとあぶないでござる」

慌てたように口をすっと閉じつつ、

「その時は、某が、間違いを指摘して、スマートに助けるでござるよ。そして折り合いをつけるでござるよ。」

といいつつ自信満々にニッと太陽のように笑いながら

Nullsector > 「…………。」

「今の学生って、自分の住む場所の地図とか見ないのかい……?」

何とも自由というか、なんというか。
そもそも此の島自体異例中の異例。
それなりの規模だ。自分の暮らす場所さえ把握してれば事足りるのは間違いない。

「…………。」

その太陽のような笑顔にペッ、と煙草を吐き出してやった。
避けなければ、ジュッ、と軽く皮膚が焼ける事になる。

「……今のがあたいで良かったねぇ?連中も、ただで過激な行動してるんじゃないんだよ。
 奴らには奴らなりの正しさを以て行動している。
 そうは思ってないだろうけど、自分の正義が絶対とは思わない事だね。」

「……まぁ、過激な連中ばかりよりかは、穏健派ばかりのがあたいの計画はやりやすいか。」

正義の反対はまた別の正義なんて使い古された陳腐な言葉がある。
伊達にこの街の統制、現状の秩序を保っているワケじゃない。
過激な行動でも、バレなきゃいい、認められればいい。
男の発言は、ある意味迂闊だ。

「ま、お前が適当に一発やらかしてくれたほうが、鼻に衝く連中が消えて清々するかもねぇ?」

持流 童男 > 「あっつぅ!!!」

と言いつつ、じゅっと焼かれて、ビクンとしたが、すこしにやけて、「ははは、手厳しいでござるな。」
と言いつつ、少し嬉しそうにしながら

「やるだけやってみるでござる。」

とサムズアップしながら

Nullsector > 「…………フン。」

そのサムズアップに踵を返した。

「まぁ、精々やってみせな。あたいは忙しいんだ、これ以上お前なんかに時間なんかかけてられないよ。」

「……少しばかりは"見届けてやる"から、頑張りなよ。自称ヒーローさん。」

最期まで素気ない態度だ。
女は有無を言わさず、ゆったりとした足取りで立ち去っていくだろう。

ご案内:「スラム」からNullsectorさんが去りました。
持流 童男 > 「おう!!!!!!」


と言いつつ、去っていく女を見ながら、心のなかで

あ り が と う と精一杯の感謝をいいつつ。

「委員街にいくでござるか。」
とスラムを後にした。

ご案内:「スラム」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「スラム」にクゥティシスさんが現れました。
クゥティシス > 廃墟であった。
いや、元から廃墟なのかそれとも人が住んでいるのか判別の付き辛い建物ばかりではあるのだが―

「あー……。派手にやられてるなぁ」

割と見慣れていた風景は、見事に更地になっていた。
人が住みつく隙間など無く、完膚なきまでに瓦礫の山だ。

「……。無事かな、みんな」

ぽつり、呟く。
風紀委員の火力制圧は毎度のことだと笑って居た人もいた。
親を、友人を、子を亡くして泣いていた人も居た。
数日前までそうやって言葉を、感情を交わしていた顔見知りの姿が影も形も無い。

あるのはただ、もの言わぬ瓦礫ばかりであった

クゥティシス > 決して彼らの生活が褒められたものでないのは重々承知の上だった。
時に法を犯してでも生にしがみつく彼らの生き方は、一般学生からすれば汚く、あさましいものに映るのだろう。
だけれども―

「悪い人ばっかりじゃ、ないんだけどな」

はぁ、とため息が漏れた。
スリで生計を立てていたアキは、盗んだ財布から幾らかだけを抜き取り、残りはきっちり持ち主のところへと戻していた。
それが自分なりの誠意だー、なんてカッコつけて笑って居たっけ

売春で日銭を稼いでいたキキは、擦り切れた心と身体に鞭打って、誰の子とも分からぬ赤子を育てていた。
そのうちに自分も妊娠してしまい、兄弟が出来たよ、なんて明るく振る舞っていた。

浮浪児の人身売買の元締めだといわれていたBiG.Dは、確かに犯罪組織の親玉ではあった。
それでも、仕事を、金を求めて己を身売りする子供たちを決して悪いようには扱わなかった。
売り飛ばした相手を逐一監視し、「商品」が「故意に破損させられないか」チェックしていた。
商売は信用だーと強がっていたけれど、その実子供たちを案じていたのはスラムの常識だった。

「みんな、生きてるといいけど……」

交流のあった人達を思い起こし、瓦礫の山を前に座り込む。

クゥティシス > この破壊の傷跡も、自分を含めた生活委員が元に戻す。
きっと一週間もしないうちに、スラムの光景は帰ってくるだろう。
けれど、人はきっと元通りにはならない。

「……こっちに来てくれるって、言ってくれてる人もいたのに」

己の過去を恥じ、やり直せるならと。
これ以上沼に浸かり切る前に、足を洗いたいと。

自分が伸ばした手を見て、そういった人たちがいた。
かつて自分がそうされたように、救い上げることが出来るかもしれなかった。
幾度となくスラムに通い、時に邪見に扱われ、時に脅され、時に実際にケガを終わらされたこともあった。
それでも、通い続けた果てにようやくその手を掴むことが出来そうだった人たちがいた。

そんな彼らは、帰ってきてくれるだろうか?

「帰って来ても…。多分、同じようにはいかないよね」

戻ってきたとて、きっと伸ばした手を掴んではくれないだろう。
自分は所属が違うとは言ってもこの島の学園側だ。
「いないもの」として無感動に家を、暮らしを焼き払う相手の手を無警戒に取るものはそう居ないだろう。

クゥティシス > 自分だって、そうだった。
ワケも分からぬままにこの世界に転移させられて、
拾ってくれた相手はロクでもないヤツで。
こき使われ、殴られ、蹴られ、痛めつけられた。

やっとの想いで逃げ出した先で、生きていくために必要なことを当たり前にこなした。
だけど、「自分にとっての常識」を行使することは、此処では許されなかった。
追われ、撃たれ、逃げることしか出来ず。
周りの全てが敵に見えていたし、実際に向けられる視線も敵意と、蔑視に満ちていた。

「……。それでも手を伸ばしてくれる人は、いる。
 いたからこそ、私は今此処に居る」

そう。それでも、「大丈夫」だと手を伸ばしてくれる人は居た。
勇気を出してその手を掴んだ先に、今の自分がある。
恐れ、戸惑い、時に隠れながら異文化に溶け込もうと努力してきた。
決して平坦な道では無かったけれど、歩くことは出来た。
支えてくれる人たちがいて、転んだ時にはもう一度手を伸ばしてくれる人たちが居たから。

「だから、私も…誰かにとっての「あの人たち」みたいになりたかったんだけどな」

そう決意して落第街やスラムに出入りするようになったけれど、
今この場所に、手を差し伸べられる相手は誰もいなくなってしまった

クゥティシス > また振り出しだ。
また、最初からやり直しだ。
悔しさに唇を噛み締めれば、耳と尻尾の毛がざわざわと総毛だつ。

「ううぅー……がぁーーーーっ!!」

誰も居ない瓦礫の山の入り口に、狼の叫びがこだました。

「風紀もっ、公安もっ、嫌いだっっ!!
 ニンゲンは悪いやつばかりじゃないって、そう言ったのはお前たちだ!!
 それを信じてクゥはお前たちの手を取った!!それなのに―!!」

こみ上げる激情のままに叫ぶ。
人ならぬ身体に力を込めて、叩きつけた拳が無機質に地面に刺さる、知り合いの家だったコンクリートの塊を砕く。
当たり前のように蔓延するこの世界の不条理に、抵抗することも出来ず追われる人々を思い、涙が零れた。

「何でっ、何でその理屈を此処の人たちにも向けてあげないんだッッ!!
 悪いヤツばかりじゃないって!何でっ……何で、思ってあげられないの…」

ぐし、と零れる涙を袖で拭うも、すぐにまた雫が頬を濡らしていく。
悔しい、悔しい、悔しい。
悔しくてたまらない。

自分を信じろと言ったニンゲンが、ニンゲンの行動が、信じる心を容赦なく砕きにかかる。
信じた自分をあざ笑うかのように、この上無く理不尽な「当たり前」を突き付けてくる。

「これも、ニンゲンの文化なの…?
 これも、この島で暮らすなら受け入れなきゃいけない…当たり前、なの…?」

答える者は―いない。

クゥティシス > 異邦人はこの島ではマイノリティだ。
あるニンゲンは言った。
「長い物には巻かれろ」
と。

あるニンゲンは言った。
「周りに合わせなきゃ、やっていけないよ」
と。

あるニンゲンは言った。
「ニンゲンの中で暮らすなら、ニンゲンの文化を守れ」
と。

「みんな、みんなそう言うんだ。
 だからクゥは頑張った。ニンゲンの中に溶け込もうって、頑張ってきた」

頑張っている分には、確かに周りは優しかった。
異邦人である自分を、温かく受け入れてくれたのは事実だ。
けれども、皆が皆、自分のように「当たり前」を変えていけるわけではない。

「別に、此処に来たくて来たわけじゃない、のに…」

意識して考えないようにしていた弱音が思わず漏れ出てしまった。
自分の意思でこの世界に転がり込んできたわけではないのに、どうしてこうも自分たち異邦人は押さえつけられるのだろう。
ニンゲンたちはいつだって「自分たちの当たり前」を変えようとはしない。
ただ異邦人の文化を、「異物」を排除しようとするだけだ。

「クゥは、ルルフールだ。どこまで行っても―ニンゲンには、なれないんだよ」

常識を、文化を捨て去る中で此れだけは守り続けていた己のアイデンティティを口にすることで再度確かめる。

「ニンゲンが考え方を変えられないから。
 そういう傲慢な押し付けしか出来ないから、みんな逃げだすんだ。
 それなのに、逃げ出した時点で「この島の住人じゃない」って。
 あんまりだよ……」

ぐす、ぐす、としゃくりあげながら何度も袖で涙を拭う。
泣いてちゃだめだ。直に生活委員会が―仲間たちが此処の修繕に集まってくる。
涙と弱音は此処でおしまいにして、いつもの自分に戻らなければ。

此処でいつもの自分に戻らなければ―
ニンゲン社会で生きていける、ニンゲンに優しい異邦人に戻らなければ―


自分もきっと、この街の住人達と同じ末路を辿るのだろうから。


胸中に浮かんだ嫌な考えを振り払うようにぶんぶんと頭を振って、気持ちを切り替える。

「っよーし!頑張れクゥ…じゃない、私!私は、負けないっ!」

ぱん、と両頬を掌で叩いて気合を入れると、
一人瓦礫の撤去作業を先に始めるのだった。

ご案内:「スラム」からクゥティシスさんが去りました。