2020/07/11 のログ
ご案内:「スラム」に妃淵さんが現れました。
妃淵 >  
夜のスラムの広場
いつもどおり、中央付近には一斗缶に角材がぶちこまれて燃やされている
これが広場の灯りだ

その周辺には二級学生達が屯し、その中にはフェイエンの姿もあった

妃淵 >  
相変わらず盗品の品定めだとか、喧嘩の自慢話だとか
いつもどおりのくだらない話
まぁ、そんなどうしようもない連中ではあるが、
それはそれでなかなかたくましく生きているのだ

スラムの住人は、減ったり増えたりする
一人で生きられないヤツなんかはすべてを捨てて、風紀委員に保護されていくこともある
別にその生き方を否定はしない
首輪つきになったって犬は犬だ
幸せに肥えるか、くだらないプライドに縋って痩せるか
どっちが間違ってる、なんてことはない

だから今日もこの場所には、飽きもせずスラム暮らしを続ける連中がいるわけで

妃淵 >  
「あ、やべー電源切れそ。あっちの廃ビルまだ電気来てたっけ?」

盗品のスマホをいじっていると、バッテリーが残りすくない
なんとなしに仲間にそう声をかけると、ドヤ顔でポータブルの充電器を取り出してきた

「お、いいモン持ってるな。って充電されてねーじゃねーかバカ」

そう言って笑いながら軽くキック
どこか今日のフェイエンは機嫌が良い

『フェイ、どうしたんだその服?』
『ボロっちくないし、マーケットのじゃねえだろ』

妙に小綺麗な格好をしているフェイにそんな言葉が飛ぶ

「はは、いーだろ。買ってもらったンだヨ。
 お前らと違って俺はモテるんだよ美少女だから」

得意げに鼻につく言葉を返しつつも、辺りからは笑いが巻き起こる
オメーみてーなおっかねえ美少女がいるかよ、と
言ったやつの顔は覚えたので後でケツを蹴る

妃淵 >  
『ところでオメーこないだ路地のほうで揉めてたべ?』
『オーなんか風紀のヤローも来てたってな』

話題は先日の一件に
どうやら件の賽子は落第街でちらほら噂になっているブツらしかった

「(…あのラリ女が持ってた賽子。捨てたのは惜しかったかもな)」

うまくすればなんか金になったかもしれない、とやや悔やむ
童男とかいうデブが回収していったのであとのまつりだが

『しかしまた最近また此処らも物騒になったな』
『ロストサインがいた頃と大してかわんねーべ』
『だべ』
『だべな』

「だべだべうるせー。
 …まァ、妙な組織の話も聞くけど俺らにゃカンケーねーって。
 ただ此処に住んでるだけの善良な俺らにはなー」

別段違反部活として活動してるわけでもなし
特にそいつらと敵対して何かをしたいわけでもなし──

「そーゆーのはステンレスとかに任せときゃーいいんだよ」

スマホをポケットへと突っ込んで、大あくび
本人が聞いてたらまたキレるだろうーか、なんて思いつつ

妃淵 >  
『なーフェイ、今日はどうよ』
『色々ギってきてから金あんべー、俺ら』

「あー、最近見ての通り羽振りよくってさ。
 お前らに売るほどでもねーんだわ。ダッチでも抱いてな」

なんだてめー、あーコラ?、オォン?ぎゃーぎゃー、騒がしい
まぁ、この喧騒がなんとなく落ち着くあたり、落第街の住人として随分慣れきってしまったところはある
歓楽街に足運ぶのなんて、本格的にカモを探す時か、超退屈な時くらい

「あー、バッテリー切れるクソ。電源探してくるわ」

『別にいーじゃねーか、誰かから電話でも来んのかよ』
『来ねーしどーせこんへん電波ワリーから意味ねーぞ』

うるせーなほっとけ、と返しつつ、立ち上がる

まだ電気来てるビルくらいどっかにあるだろ、と広場を離れ歩きはじめた

妃淵 >  
一人になり、ポケットからスマホを取り出し、歩く
歩きスマホ良い子の皆はダメゼッタイ。こいつは悪い子だ

受信トレイ:1件 新着:1

残りバッテリーも10%を切っている画面を見て、ふっと口元を緩める

『昨日楽しかったです。また会ってください』

そんな文面を見て、フードの奥の眼を細めて

「律儀なやーつ」

すいすい、とスマホを操作し……立ち止まる
立ち止まって、やや思案した後、操作を再会、返信する

『いいよ 気が向いたらな』

たった二言
この二言を返すのに随分時間がかかったのは…まぁ色々心中あってのことだったが

「あ」

スマホの画面が消える、バッテリーが切れた

妃淵 >  
「…ウーン。ま、こいつが使える内はちゃんと返事してやっか…」

盗品なのでいつまで使えるかも定かではないが
電源の切れたスマホをポケットに突っ込んで、歩いてゆく

電気のきてそーな空き家かビルか、なんでもいいか、と探し歩くのだった

ご案内:「スラム」から妃淵さんが去りました。