2020/07/13 のログ
■持流 童男 > 「なっ・・!!?」
一体何が、起こったかわからなかった。
しかし、目の前の女性が話しかけてきたので、意識を戻される。
「うむ、助けにきたでござるよ!!!大丈夫でござったか!?」
本気でサクラさんを心配しつつも、なんてことない様子を見て、
ホッとしつつも、なんで無事なんだこの子・・?と思いつつ
「女の子がここに夜中に来てはいけないでござるよ。危ない目に会うでござるから」
と注意をしつつ、優しく言いつつもしっかりと目を見て話す。
「某、持流 童男。胸を晴れるヒーローを目指してるものでござる。ここにはパトロールで来たでござるよ。」
ニットわらいつつ自己紹介をする。
■サクラ=ウィンスピー > 「ボクの身体は見て通り、ほら大丈夫。」
少し埃はまだ付いているもののけっこう良い音を立てて壁に激突したにしては身体は綺麗なもので。
クルリと体を回しスカートを太腿が見えるか見えないかくらいまでひらひらとさせて遊ぶくらいには余裕があり。
「にゃはは、ごめんねー。ちょっと楽しくなっちゃって迷い込んじゃいました。」
先ほど男一人をふっ飛ばしたとは思えないくらいに無邪気に笑い戸惑う持流へ軽く謝る。
「ボクはサクラだよ。キミはえーと、こっちのヒトだからドーオが名前かな?よろしくね、ドーオくん。」
ヒーローという言葉には馴染みがなくどういったものか気にはならなかったようで。
名前を聞くと、自分の常識とはまた違った名前の響きに意識が向いてしまい首を傾げながらそっちが名前で合ってるよね?と訪ねるようにしながら名前を呼んで
■持流 童男 > 「うむ・・!?そ、そそそそそうでござる。サクラ殿!」
サクラさんを見て、普通に可愛いと思ったのでどもりまくりつつも
なんとかサクラさんに話す
「ドーオであってるでござるよっよ。サクラ殿!」
そっちが名前であってるよねというっ言葉に応じてどもりつつも
「こっちの人というか、某も異世界から来たみたいなものでござるがね。」
ニット笑いつつも、サクラさんの目を見て話そうとするが、可愛すぎる・・!と思ったので目が泳ぎまくっている!童貞らしい反応だ!!!そして女性耐性がない!
■サクラ=ウィンスピー > 「うんうん、ドーオくんよろしくねー。」
吃る持流にニコリと笑い掛けるサクラ。
相手がどうしてこんなに挙動不審なのかもそんなに気にしていない様で。
「ありゃ、そうなんだ。てっきりここの人だと思ったけどボクたちお仲間みたいなものだねー。」
異世界と聞けば、そうなんだと直ぐに納得する。
自分の知っている世界とは違うのはわかるがそれでも他の世界から来たというだけでも異邦人という一括に纏められているのだし仲間だね、と一歩さらに近寄り笑顔で答えて。
■持流 童男 > 「おおおおお、そうでござるな・・!?」
「同じ仲間でござるな!」
一歩更に近づかれて、少し声が上ずる。
しかしこの言葉だけは勇気を持って言わなければと思いしっかりサクラさんに目を合わせる。
「怪我がなくてよかったでござるし、無事で良かったでござる。」
しっかりと目を見つつも、真摯にいいながら、
しかしすぐに近づかれたことを思い出し、すぐ一歩だけ後ろに下がろうとする。
■サクラ=ウィンスピー > 「イエーイ、ナカーマー!」
声が上擦る持流相手に距離感も気にせず楽しそうにしている。
「この程度ならボクは大丈夫だよー。それよりも、」
こちらに真摯に見つめて告げる姿にクスリと笑う。
まるでこれくらいの場所は日常的に生活していた場所だと言わんばかりに。
それよりもと、先ほどぶん投げた男の方に視線を向ける。
「あのヒトは助けて上げなくてもいいのかな?ボクはあんな子どうなっても良いけど速く治療してあげないと危ないよ。」
怪我を負わされそうになったのは自分なので正当防衛であるのだが、それはそれとして正義感は強そうな、どこか新米の騎士を思わせる彼には殺しの見聞をさせるよりも例え暴漢とはいえヒトを見捨てさせない方が良いだろうと一応助言をしてあげて。
■持流 童男 > 「うおおお!!!そうでござった!!!ちょっと助けてくるでござる!!」
その助言に応じつつ、
いいつつも、怪我をしている二級学生さんに対してバッグから応急手当セットと、初級のヒールをかけてあげつつ、なんとか治療しつつ
「・・・お主も、過去に何かあって、そうせざる得なかったんでござろう。だけど、人も、それ以外も変われる。だからお主自信の弱さと向きう会うでござる。そうしたら少しは変われるんじゃないかでござるか。お主はまだ変われる。だから頑張れ。お主がまた間違えたら、また思いっきり叱ってやるでござるよ。」
慈しむようにそれでも真摯にいいつつも、叱咤する言葉をかける。
そしてサクラさんのところに戻りつつ、風紀委員の仲間を呼びつつ。
「サクラ殿、助言いただきありがとうでござる。」
しっかりと目を見つつ、今度はキョドらずに感謝の気持ちを言い切る。
■サクラ=ウィンスピー > 「いやいや、頑張り給えよ若人よ〜。」
手際も悪くなく応急処置を済ませていく持流を見ていて。
慌てているからか帰ってくる頃には余分な考えも落ちて吃ることも無くキョドる事も無い相手の言いように満足そうに笑い掛けて。
「じゃあ騒がしくなりそうだしボクは行くね。また何処かで会ったらお話しよーね。」
救援も呼んでいたしここもまたヒトが集まってきて騒がしくなるだろう。
ココにはあまり興味を惹くものも少ないわけで長居する理由もない。
相手から一歩離れてクスリと笑うと手を振りながら歩き出して。
今度はちゃんと来た道を戻り歓楽街の方に向かうだろう。
■持流 童男 > 「おう。!!!サクラ殿!またどこかであったら!お話でもしようでご
ざる!」
にっと快活に笑いながら
手を振りながら、そのうち風紀委員が来るだろう。
そうして事後処理をしつつも、暴漢を風紀委員に連れて行っく!
ご案内:「スラム」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「スラム」からサクラ=ウィンスピーさんが去りました。
ご案内:「スラム」に咲坂くるみさんが現れました。
■咲坂くるみ > スラム。
パトロールといえば聞こえは良いが、まあ憂さ晴らしに近い。
正直、エインヘリヤルが来てからというもの、こちらが断れないのをいいことに、ずいぶん横暴に振る舞われている。
マスターに報告は出来るけれども、その気配を察知すると、今度は微妙に報告の必要がない行動を重ねてくる。
こちらとしては非常にストレス極まりない。
かといって、せれなに迷惑をコレ以上かけるわけにも行かない……。
そんなことを考えつつスラムを進む
■咲坂くるみ > 先日もこちらに無許可でナインを引き入れたばかりだ。
確かに、フォーの件もある以上、こちらが断れないのを織り込み済み。
こちらとしては気が気ではない。
こうしてパトロールと称して……チンピラ狩りまがいのことをするしかない。
スラムは何故か命がけでそういう挑発行為に勤しむクズどもが居るのだ。
公務執行妨害には、正当防衛という名で射撃も許されている
■咲坂くるみ > ただまあ、いまは実際問題として。
先程、裏路地から連れ込んだ男を、こうして密室で丁寧にもてなすことくらいしか出来ない。
おかげですっかりボロボロに仕上がっている。
売人なぞ割とどうなってもいいし、大抵はどうしようもない連中なので。
こうやって口を割らせようとするにはちょうどいい
■売人 > 「話すことなんか何もねえよ……ぉ」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る。
■売人 > 「な、何もねえんだよ……ホント」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る
■売人 > 「ぐふ……ぁ、だから何もね……」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る
■売人 > 「うぁ……ぁ、何も、何もねえんだよ……ォ、本当だよぉ」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る。
コレくらいやって吐かない場合。
大体はやばいネタか、本当に知らないかだけれど。
コレはやばいほうだ。
正直、死ぬかどうかまで追い込まないといけない。
ああ、気晴らしにはなるが面倒くさい。
殴る
■売人 > 「……ひ、やめ…………」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る。
よくわからない理由で繰り返し殴られる、というのは非常にストレスを与える。
■売人 > 「ぐ、ふ……ほ、ほんとう、しら、しらねぇんだよ……おれはなんにも知っちゃいね……」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る。
確実に知っている対応だ。
ああ面倒くさい。
面倒くさいし面倒くさい。とても面倒くさい。
AIである私がこう思うあたりがもう面倒くさい。
そろそろ口を割ってもらえそうな気配がでてきたのが幸いだ
■zwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww > 「あ……ぁ」
■咲坂くるみ > 「話せ」
殴る。
話すまで殴る機械だとわからせる。
最近、サイコロ日露などんこともそうだが面倒な話が多い
特に誘惑の多い話が多い場所だ。
よって、必要な情報は必要なときに喋らせておく必要がある
■zwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww > 「a
/
■売人 > 「あああ……あ、頼む、頼むよ……ぉ、おれは、なにも……殺されちま………………あああ」
■咲坂くるみ > 殴る手を止める。
様子がおかしい、ああ、そうか、そうかもしレない。
男の体が裂け始めた。
【喋れないようにされている】
そういうわけだ。
■売人 > 「ぐg…………あ、ああああaaahahahhhhhh……!?」
体が裂け、爆ぜる。
肉が人間のものでなくなる。
■咲坂くるみ > たたたたたん。
何事もなかったかのように頭に銃弾を撃ち込む。
おそらく【いまなら効く】
変わってしまえば、こんな銃ではそうそう効かなくなる。
■売人 > 「が……ga……っh…………ぎゃgya…………あahh」
頭部が破壊されながら、断末魔と言えなくもない声を上げながら。
ふらふらと裂けた足で歩き。
半ば人間をやめた姿で。
そのまま、肉塊となって、壊れた。
■咲坂くるみ > 「……面倒な話もあったものだわ」
喋れなくした上で売人をさせられるしかなくなっている。
つまり【喋れる売人】を探す羽目になる。
しばらく前から薬が出回ってるのは知っていたけれど、まったく厄介な。
エインヘリヤルにあかねの件、それにサイコロと面倒な案件が多いというのに。
■咲坂くるみ > 今回は密室で万全な状態、そして、ただ単に【いじられただけ】の相手だから良かった。
コレがもし。
望んでこうなることを選んだ異能使いなら。
そう考えると非常に面倒くさい。
足元で、湯気を立てて沸騰して溶ける肉の塊を見下ろしながら。
そんな事を考えた。
……とりあえず、報告しておくしかない。
ご案内:「スラム」から咲坂くるみさんが去りました。
ご案内:「スラム」にスピネルさんが現れました。
■スピネル > 常世島のスラムにて今日も笑いが木霊する。
「フハハハハハ、これが偉大な我が力と言う者よ。」
<すげーっす!>
配下のチンピラ集団…新生スピネル護衛団に対し敵対的なグループの本部へカチコミを掛けたスピネル一行。
カチコミと言ってもスピネルが先頭を走り、近づくチンピラ連中を魔法や怪力で滅多撃ちにしていっただけなのだが。
<クソ、なんてガキだ。>
敵対チームのリーダーらしき男が倒れた所で、スピネルが足蹴にする。
「フハハハ、お主らは今日から我が新生スピネル護衛団の傘下となるのだ。
逆らえば皆殺しにするぞ。」
マントを翻しているような仕草を繰り出し、勝利の宣言を行うスピネル。
後方を付いてきた護衛団の連中は口々にスピネルとコールする。
<ス・ピ・ネ・ル!>
<ス・ピ・ネ・ル!>
<ス・ピ・ネ・ル!>
「もっとだ! もっと我を称えるがいい。
現場はスラムの通りからもよく見える建物の一階。
遠巻きに見物人が眺めたりしているが、誰も気に留める者はいない。
■スピネル > 足蹴にされたチンピラがスピネルを見上げ、口を開く。
<お前のチームに入るのはいいんだけどよ、なんて名前なんだ?>
「良い事を聞いたなお主! 今日からは新生スピネル護衛団を名乗るが良い!」
<ス・ピ・ネ・ル!>
<ス・ピ・ネ・ル!>
<ス・ピ・ネ・ル!>
<…まじかよ。>
顔に、ダセエと書いてあるが流石に口には出さないチンピラ。
ご案内:「スラム」に刀々斬 鈴音さんが現れました。
■刀々斬 鈴音 > 「あなたたち、駄目だよー鈴音の縄張りで好き勝手しちゃあ…。」
鞘にはいった刀をてにぱしぱししながら現れたのは制服姿の一人の少女。
落第街では知らないものはいないというほどではないが…情報通ならだいたい知ってる頭のおかしい刀使い。
「ほら…今なら一人3回斬るだけで許してあげるから…おとなしくしててね?」
ゆらゆらとした足取りでチンピラの集団に近づいていく!!
■スピネル > <やべえぞスピネル君!>
<アイツ、この辺りでも有名な人斬りだ!>
「ほう…。」
高笑いを浮かべていたスピネルが少女のチンピラ達の間に立ち塞がる。
なに、弱きものを助けるのは高貴な存在の義務である。
「我を誰か知って言っているのか、小娘よ!
我はこのスラムを今後滑る高貴なヴァンパイアのスピネルであるぞ!」
スピネルが両手を広げると、スピネルの数メートル先の場所で境界線を張るかのように、突如として氷が出現する。
「これ以上近づくなよ小娘。
我がお主を引き裂いてしまうぞ。」
スピネルは少女を威嚇しながら、周囲の状況を再確認する。
ここはスラムと言えど街中である。巨大なゴーレムは呼び出せない。
となるとスピネル自ら相手をするしかないだろう。
■刀々斬 鈴音 > 「えー鈴音やっぱり有名人?照れちゃうなあ…。」
彼女がそう言いながら刀を抜き去ればドロドロとした血と刀身が一体化した刀のその姿が見える。
腐ったような血の匂いが鞘に入れていた時よりも格段に強くなる。
「スピネル…スピネル君…初めて聞いた。鈴音より有名じゃないんじゃない?」
忠告をあざ笑うように二人の間を裂く氷へと向かうとそれを刀の峰で殴打する。
一撃で氷に入るヒビ。
「…鈴音は優しいから、こっちに来てくれたら裂かない程度に斬るようにするよ!」
■スピネル > <やべえよ…やべえよ…アイツ笑ってるよ……。>
<てか、アイツの刀、マジでくっせーーーーーんだけど。>
チンピラ達は後方でひと固まりとなって行方を見守っている。
数十分前までは敵味方で別れていたのが遥か過去の様に。
つまり、彼らの中で眼前の少女に対抗出来得る存在はいないと言うことだろう。
そして、刀身から放たれる錆びた臭いが一様に不安にさせているようだ。
「フハハハハ! 当然であろう! 我は高貴なヴァンパイアであるからな!」
腰位の高さにまで伸びていた氷の一帯を刀で殴打。
その動きは流れるようであり、既に手足のように得物が馴染んでいることを表していた。
「愚かな小娘よ、我はお主にわざわざ近づかずとも仕留めることは可能なのだぞ。
お主こそ刀を捨てて我に従うが良い。」
スピネルは不敵な笑みを浮かべると、既に攻撃準備に入っていた。
右手には炎、左手に雷撃を纏い。いつでも投射できる状態である。
■刀々斬 鈴音 > 「ヴァンパイアってあれでしょ?あのニンニク食べると死んじゃうっていうやつでしょ?
昔テレビで見たことあるよ。」
ニンニク食べて死ぬのはあまりにも命が切ない。
だがそこまででないにしても弱点が多いのは事実!
そして!鈴音はそれらの弱点を突く手段を一つたりとも所持していない!!
「来てくれないの?鈴音が来てって言ってるのに?女の子の言うことは聞いておくのがいいとおもうよ。」
距離が遠いのはあまりよろしくない。
鈴音が使える遠距離攻撃の手段はあまりに乏しい。
…距離を詰めるしかない。
足に魔力を強く込めて地面を踏みしめれば起こる魔力の爆発、生まれる機動力。
氷を超えて真正面から刀を向ける。
■スピネル > 「ニンニクに十字架に陽光か?
他にも色々あったな。 だが、大抵が我には聞かんぞ。」
どうだと胸を張る少年。
実際は陽光が当たると体がだるくなる程度には効果があるのだが。
スピネルとしては吸血鬼の弱点がとされるものがやたらと広まっていることについて一言苦言を呈したいところである。
今はとてもそんな事態ではないが。
「来て欲しければ刀を捨てろと言っているだろう小娘。」
少年の瞳が彼我の距離を測る。
どうみても刀の間合いではない。ならば、動くだろう。
<アイツ、早えぞ!>
チンピラの一人が恐怖のあまりに喚く。
スピネルはチンピラに言われるまでもなく、相手の足の速さに内心舌を巻いた。
だが、真っすぐこっちに向かってくるのなら好都合だ。
右手を翳し、炎が伸びては相手を焼かんとする。
ちなみに左手はまだフリーにしてある。
万が一回避された時の次善の策だ。
■刀々斬 鈴音 > 「捨てるなんていやよ。お気に入りなんだもの…。」
愛おしそうに刀を一撫で。
自らに迫る炎に刀を軽く振るえば明らかにその刀の質量を超えた量の血がバシャリと飛び出しそれを防ぐ。
同時にその血は相手の視界をも遮って…
「斬れて死んじゃったらゴメンね!!」
明らかに伸びた刀が振るわれる!あまりに攻撃的な一手!
■スピネル > 「なんじゃこれは…。」
飛び散った血液はスピネルの右目を汚し、視界を紅く染める。
が、同時に口元に付着した血液を舐めとったことで体に僅かに活力が宿る。
「これは人の血か…面白い。」
振り下ろされる刀を炎を纏った右手が直接受け止めようと。
手を広げ、片手で刀身を掴まんとするだろう。
不死の身体だから出来る捨て身の行動。まともに刃を掴んだ右手はズタズタになり、暫く使い物にならなくなるだろうが。
「面白いぞ、小娘!」
互いの距離が詰まった所で、左手の電撃を繰り出す。
まともに喰らえば体の皮膚が火傷を負い、体中が一時的に痺れて動かなくなるほどの強力な電撃である。
■刀々斬 鈴音 > 「うわ…血舐めてる…流石ヴァンパイア…。」
血を糧にするという点ではこの刀も吸血鬼も近い。
この刀のルーツにも関係がある事でもある。
「これはヤバくない?」
直接受け止められた刃は人外の力で掴まれて簡単に引くことは出来ない。
もう片方の手に纏っていたのは電撃!さっきのように血をぶっかけて消すことは出来ない!
なら生き残るために今使える手段は少ない!
膜のように網目のように薄く張っられた血が少女の前方に現れる。
地面まで垂れたそれはアースの役割を果たし電撃の殆どを地面へと受け流す!!
だが防げたのはあくまで一部。刀を握っていた片腕の表面にはその電撃で焼けた跡。
刀を握っていたその腕は電気が走り碌に動かない!
それでも、もう片方の腕でしびれた腕を無理やり動かし刀を引き抜き距離をとる。
「…流石に痛いし血を使いすぎたし…鈴音かなりピンチじゃない??」
鈴音が逃げたその方向は逃げたチンピラ達がいる方向…
■スピネル > 「貴様、高貴な我を愚弄すると許さんぞ!」
化け物扱いされ、憤慨するスピネル。
顔を真っ赤にし、湯気が出そうなほどに怒っている。
「フハハハ! 人間如きが我に勝てるわけがなかろう。」
掌に刀身が食い込み、血が流れている。
てか、めっちゃ痛い。今はテンションが高くなっているので堪えているが後で痛くなる奴だ。
薄い血がベールのように少女を包む中、スピネルの電撃が構わず放たれる。
身を焼き、僅かに焦げた臭いが漂う。
少女が無理やり刀身を抜いたことでスピネルの右手からは噴水のように血が流れる。
「グォォォ!」
スピネルは痛さのあまり、右手首を掴んでは悶えている。
<うわぁぁぁぁ、スピネル君!>
少女の接近に怯えるチンピラ達。
だが、スピネルは右手を負傷してまともに身動きが取れない。
…ならば。
「スピネル護衛団よ! 我の声に応じ姿を現せ!!」
二つの赤い瞳が輝いた時、上空に赤い月が現れる。
そして、地上ではチンピラ達を取り囲むようにかつて存在したスピネルの護衛団の一部が姿を見せる。
<グゥゥゥォォォォォ!!!!>
10体程度のソンビが吠え、
<ヒヒィィィィン!!>
スケルトンナイトを載せた数頭の戦馬が嘶いた。
手にはランスを携えている。
■刀々斬 鈴音 > とりあえず横になったまま意識を失っていたチンピラを軽く刺して血を補給する。
初めにスピネルに暴力でなぎ倒されていたものの一人だろう。
最低限の血はこの刀に取り込めたが…
「ズルい!!そうやって仲間を呼んで!友達があんまりいない人の気持ちを考えてよ!!」
現れたのは骸骨とあまり血が出なさそうなゾンビたち。これでは倒して血を得ることもできない。
血の補給は出来ず、相手の戦力は増し、体はボロボロ、絶体絶命。
ここで取れる手段は…
「降参!鈴音の負け!煮るなり焼くなり好きにして!」
手に持っていた刀を無造作に地面に放り投げる。
…注意してみれば細い血の糸が刀から伸びていることに気が付けるかもしれない。
■スピネル > <グェェェ!>
<アイツ、や、やべえぞ!>
昏睡していたチンピラが痛みで目を覚ます。
周りのチンピラ達は全身を震わせたまま何もできずにいた。
「フハハハハ! 王とは常に人が集まるものなのだ。」
ここ一番の高笑いを決め込むスピネル。
右手は血を流したままだが、左手は錫杖を。
そして赤いガウンを纏っている。
ゾンビやスケルトンナイトは徐々に少女との距離を詰めていく。
まもなく一斉攻撃が始まろうとしたその刹那…。
「ふむ。力の差を悟ったか小娘よ。
ならばお主も今日から新生スピネル護衛団に加わるが良い。
それで許してやろう。」
スピネルの赤い瞳は穴が開くように少女ではなく、刀身から伸びている糸のような血を見つめていた。
口には出してないが、分かっているぞと言いたげである。
ここで手を下さないのは、スピネルの甘さかもしれない。
単身でここまでの力を発揮した少女をなんとか屈服させて手元に置こうとしているから。
元の世界でもこんな風に力のある使い手を束ねてきたのだ。
■刀々斬 鈴音 > 「集めてるっていったって殆どしんじゃってるじゃない!」
元から命のないものを配下にしていたのかそうでないかは分からない。
何せヴァンパイアだ。
「ここまで追いつめられたら仕方ないなー鈴音ちゃんも新生【鈴音。】
棒読みでそんな風にいいながら刀の糸を動かそうとすればその刀から無機質な声が聞こえる。
「…何ちーちゃん!今まで全然しゃべらなかったのに!名女優鈴音ちゃんの演技を邪魔して!【既にバレている。】
ひそひそと刀をかわす会話の内容が聞こえようが聞こえてなかろうが関係なく…
「…で?その新生スピネル護衛団?っていうのに入ったら鈴音にどんな得があるの?」
刀を普通に拾い上げ鞘にしまえばゾンビたちの向こうヴァンパイアの王の赤い目を見て真っ向から告げる。
■スピネル > 「本当は他にも従者が居るのだぞ。
だが、この寝起きの身体では呼び出せるのがここまでなのだ。」
既に右手の傷は徐々にだが塞がり始めている。
吸血鬼の再生力を垣間見せるか。
但し、予想外に血を失ってしまった。暫くは派手な戦闘は出来なくなるだろう。
<すげえ、流石スピネル君だ。>
<あの人斬りに勝っちまったぞ。>
恐怖に震えていたチンピラ達は皆表情に余裕が戻ってくる。
だからと言って少女に近づくような度胸はないが。
スピネルは勝利を確信したドヤ顔を浮かべ、ゾンビたちは少女の同行を見守っている。
自分で名女優と口にした所で思わず苦笑を浮かべるスピネル。
「何!? 命を取らないだけでなく、我が新生スピネル護衛団に入れて貰えるだけでは不足だと言うのか。」
頭の中では少女が跪き、勝利の宴を想定していただけに目を見開く。
信じられんとでも言いたげな表情だ。
■刀々斬 鈴音 > 「えー…お給料がいいとか、人いっぱい斬れるとかそんな特典ないなら入らない!
鈴音を仲間に入れたかったら何か用意しておくんだったね!!」
少女が動いて目の前のゾンビの首が飛ぶ。
それと同時に振るわれるゾンビの手、スケルトンの振るうランス、数の暴力。
薙いで、払って、突き刺されて、殴られて、蹴られて、噛みつかれてそれでもそのほとんどをなぎ倒し。
「命とられないなんて鈴音にとってはあたりまえ…
だって、鈴音は一番強いんだから。」
そんな風に強がりを言ってからばたりと倒れてしまった。
…刀の血の力を使うために自らの血を使いすぎた故の貧血が原因だろう。
■スピネル > 「給料をやろうにも今の我には領地がないのだ。
スラムを制圧出来た暁には考えておいてやろう。」
目の前で護衛団の面々が少女と組み合う。
徐々に削られ、一人一人と散っていく様に少年は歯噛みする。
が、数名のゾンビと一人のスケルトンナイトを残したところで少女はその場に崩れ落ちた。
「これでよく強がりを言えるものだ。」
足元で倒れている少女を見下ろしていると、チンピラ達の声が届く。
<そいつ、どうするんすか。>
チンピラ達は既に身の安全を確信したのか、それぞれが簡単な怪我の処置をしている。
特に刀で突きさされたチンピラは人に連れられ、闇医者の所に行ったようだ。
「命を奪うのは忍びないが、このまま帰すのも危険すぎるだろう。
どれ、我が眷属にしてやろう。」
数秒ほど思案した結果、呪縛を植え付けることに決めたスピネル。
少女の傍に座り込むと、抱きかかえ、首筋に牙を突き刺すことだろう。
ヴァンパイアであるスピネルはかつて目に付いた相手の首筋に牙を突き立てることで眷属化させ、僕にしてきたことがある。
但し、今の不完全な状態ではその効果もまちまちである。
一回で完全な眷属化を行うこともあれば、噛まれた相手が多少の快楽を感じるだけで終わることもある。
はたまた、直前で目を覚まし抵抗される場合もあるだろう。
■刀々斬 鈴音 > (…いつもは自分が血を吸う立場なのにまさか負けて血を吸われてしまうなんて。)
…意識は手放していないもののボロボロの身体は動かず。
抵抗できずにその首にキバが突き刺される。
「…次は私が勝って…この子に…血を吸わせるから…。」
血を吸われながら自らの刀を持ってそう呟く。
だが、その意志も首筋から広がる感覚に塗りつぶされて…。
少女は完全に意識を失ってしまった。
■スピネル > <どうなったすか。>
チンピラが恐る恐るスピネルに尋ねる。
口元を赤く染めたスピネルはじっと見上げて。
「どうだろうな。 少しは我の言うことを聞くようになるんじゃないのか?
とりあえず、こいつはどこか目立たない場所で寝かせておけ。」
完全に沈黙した少女を物陰に移すチンピラ達。
「フハハハ、我は偉大なヴァンパイアのスピネルである!
誰からの挑戦も受けて立つぞ。」
夜のスラムに吸血鬼の笑いが響き渡るのであった。
ご案内:「スラム」から刀々斬 鈴音さんが去りました。
ご案内:「スラム」からスピネルさんが去りました。