2020/07/18 のログ
ご案内:「スラム」に焔誼迦具楽さんが現れました。
ご案内:「スラム」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「スラム」に焔誼迦具楽さんが現れました。
焔誼迦具楽 >  
 落第街は行き場のなくなった人々の行きつく先。
 その象徴とも言える路地に形成されたスラム街。
 そこに住むのは、この島の中でも特に貧しく、表の世界で生きる術を持たない者たちだ。

「ふぅん、この辺りはあまり来なかったけど――」

 綺麗とは言えない廃材で設けられたような、スラムの街並みを眺めながら。
 スラム街には似つかわしくない、小奇麗な恰好をした少女が歩いている。

「意外と美味しそうな人間もいるし、ここなら問題にもならなそうだし。
 お腹がすいたら、一人二人くらい食べに来ようかしら」

 スラムの様子に興味を隠そうともせず、物騒なことを呟きながら散歩気分で歩いていた。

焔誼迦具楽 >  
 スラムを眺め歩いていれば、よそ者に対する視線が鋭く突き刺さる。
 楽し気に歩く少女に、スラムの住人達は警戒心を隠すことはないだろう。

 しかし、迦具楽にとってそこらの人間や怪物程度は、ちょっとしたオツマミのようなものだ。
 警戒されようと、威嚇されようと、迦具楽にとってはそよ風ほどにすら感じなかった。

 当然、スラムの住人は落ちぶれてはいても、馬鹿ばかりではない。
 堂々と歩いて回る迦具楽を見て、侮って掛かるような人間はとっくに淘汰されているのだろう。
 自身よりも強い相手をかぎ分ける力は、表の人間よりよほど優れているのだ。

 とはいえ、この日は『食事』に来たわけではない。
 先日落第街を歩いたときに聞いた、新種の薬物が出回っているという噂。
 その事実確認をするつもりで、やってきたのだ。

焔誼迦具楽 >  
 しかし、はっきり言って、迦具楽は荒事の方が本業。
 情報収集などは、得意分野だとは言えない。
 もちろん苦手というほどではないのだが、その手段は大抵、力技となってします。

「――都合よく、情報通の人間とか見つかればいいんだけどなあ」

 そうすれば、その人間から『聞き出す』だけで済むのだが。
 なんとか楽に情報を得られないだろうかと、ふらふら、スラムの散歩を続けている。

ご案内:「スラム」にフィーナさんが現れました。
スライム > ぽよぽよ、ぽよぽよ、と。路地の先から、スライムが出てくる。
核を持ち、『結晶』をその身に抱えている。
その姿を見たスラムの人間たちの殆どは、逃げ隠れしている。

一部、隠れて様子を伺っている者も見えるだろう。

フィーナ > それを、遠くの高い建物から、眺めている人影が一人。
親玉とも言える、ヒトガタのスライム。
見た目ではスライムとはわからない。

見下ろし、放ったスライムの動向を見ている。

焔誼迦具楽 >  
「んー?」

 周囲がにわかに騒がしくなる。
 何事かと見に行けば、大きな水まんじゅうのような物体がうごめいていた。

「えっ、なにあれ。
 生き物――みたいだけど」

 見たことのない生き物だった。
 おそらく怪異の類なのだろうけれど、青垣山で出会うタイプの怪異とは異なっている。
 興味を持ち、特に警戒することもなく近づいていく。

「液体、ってほどじゃないけど、水っぽい?
 中の赤いのが中枢ってところかしら。
 ねえ、あなた、知能とか持ってるの?」

 近づいていき、すぐ目の前でじっくりと観察し始めた。
 周囲の人間の反応など、気にしてもいない。

スライム > ぽよぽよと。結晶を見える位置に移動させながら、佇んでいる。

そして突然、体当りしてきた。

焔誼迦具楽 >  
「うわっ」

 眺めていたら、突然の体当たり。
 大きなゲル状の体がぶつかろうとしてくる。
 とっさに右足を蹴りだして、相手を蹴り飛ばそうとした。

 今の迦具楽が保有するエネルギー量は膨大だ。
 その分、身体能力や、肉体の構築密度も尋常ではなくなっている。
 とっさに出した蹴りであっても、その威力は砲弾すらも軽く上回っているだろう。

スライム > 「!?」
ぱぁん!と、弾け飛んだ。
残ったのは弾けたゲルと、割れてしまったコアと、『結晶』だ。

隠れ、様子を伺っていた一人が、それを奪い取ろうとする。

焔誼迦具楽 >  
「えっ破裂した?」

 弾けて散らばったゲル状物質を浴びないよう、とっさに傘を作り出して防ぐ。
 そのため、結晶を取りに来た人間は目に入らない
 まあ、見えていたとしても特別、それを止める理由もなかったが。

「水まんじゅう、というか、水風船みたいね。
 もうちょっと加減すればよかったかしら」

 うっかり吹き飛ばしてしまったゲル状生物を勿体なく思いつつ。
 蹴り飛ばしてしまった右足を見下ろした。

スライム > うごうご、ぶよぶよ、もにゅもにゅ。
さっきの爆発を聞いてか、それとも死に際にスライムだけが聞こえる断末魔を上げたのか。
3匹のスライムが出てくる。

やはりどれも、結晶を抱えている。

焔誼迦具楽 >  
「うっわ、また出た。
 なんなのこれ、大量発生してるの?」

 どこからともなく現れた、さらに三匹のゲル状生物。
 この怪異が人間を食べるかどうかは知らないが、少なくとも友好的な存在でないことは確かだった。

「ねえ、アレ、片付けて良いの?」

 周囲の隠れている人間に聞こうと声をあげてみれば、何とかしてくれと言う声。

「仕方ないなぁ。
 やっていいならやるけど――」

 と、言いながら、右腕にエネルギーを集めて、《変質》と《創造》を組み合わせる。
 右腕を巨大な機関銃〈ガトリングガン〉に作り替えて、連続する凄まじい発砲音と共に、無数の鉛玉をゲル状生物たちへと浴びせた。

スライム > ばちゅばちゅ、と。何発も鉛玉がそのスライムの体に吸い込まれ…うち2匹が、コアに被弾し破裂する。

しかし、一匹は上手いことゲルを前方に出し、鉛玉を捉え、溶かしていっている。

焔誼迦具楽 >  
 下手な鉄砲も数打てば当たる。
 ゲル状生物にどの程度効果があるかはわからなかったが、とりあえず二匹は潰せたようだ。
 しかし、もう一匹は弾丸をそのゲル状の体で受け止め、溶解させている。

「ふぅん、金属も溶かせるんだ」

 なるほど、これは先ほどとっさに加減もせず蹴ったのは正解だったかもしれない。
 あの体で皮膚を溶かされるのは中々の苦痛を伴う事だろう。

 どうやらあの体に貫通力での攻撃はそれほど効果的ではなさそうだ。
 となれば、爆発物か――ミサイルでも打ち込んでしまえば楽そうだったが、スラムを焼き払うつもりまではない。
 右腕を再び《変質》させ人の腕に戻すと、その手の先に巨大なハンマーを作り出す。
 頭の大きさは直径三メートルほど。
 ご丁寧に側面には「3t」と書かれている。

「よっ、こいせっ!」

 それを大きく振りかぶり、生き残ったゲル状生物へ振り下ろした。

スライム > ずる、と。その身を棒状にし、振り下ろされるハンマーの口(打撃を与える平面)を捉える。
そして、そこから頭(ハンマー部)の側面へゲルとコアを移動させ―――

―――叩き降ろされる頃には、口に残るゲルはわずかで、頭にスライムは乗り移っていた。

焔誼迦具楽 >  
「うわっせこい!」

 ゲル状生物の器用な動きに、驚きつつも、そのままハンマーを振り下ろす。
 衝撃で地面がクレーター上に抉れるが、ゲル状生物にはうまく逃げられてしまう。

(仕方ないなあ)

 燃費は悪いが、未知の相手でもある。
 さっさと退治してしまうに越したことはなさそうだ。

 ゲル状生物が乗り移った巨大なハンマーは、突如、急激に発熱し、高温の物質へ変わった。
 ハンマー自体が、赤熱し融解しながらもゲル状物質を蒸発させようとする。

スライム > じゅわ、と溶ける。ハンマーから剥がれ落ちる。
最初見た時よりゲルを消費して小柄になってしまった。

ぱきり。

スライムの中にある結晶の一つが、砕ける。

ボコボコと、膨れ上がる。先程よりも大きくなる。

とおもったら、核が二つに別れ…そのまま、ゲルも分割し、元通りの大きさぐらいになる。

そして、二手に分かれ、逃げ始めた。

焔誼迦具楽 >  
「――で、逃げると」

 二つに分かれたゲル状物質に、視線を送る。
 逃げるのなら、わざわざ追いかけなくても良いと言えば良いのだが。
 使わされたエネルギーの分は、痛い目に遭ってもらわなければ困る。

 自身で生み出した熱源、赤熱する融解したハンマーから、熱を奪い、両手の先に収束させる。
 ハンマーの残骸は急速に熱を失い、周囲の気温すら急激に低下、今や真冬並みの温度だった。
 その代わりというように、迦具楽の両手の先に白く発光する熱源が生まれた。

 無差別に集めた熱を収束させた、超高温の光弾。
 数百度の熱を発するソレを操り、逃げるゲル状物質へ投げつける。
 光弾は完全に制御され、まっすぐにゲル状物質へと高速で飛来するだろう。

スライム > 逃げながら、迎撃しようと触手のようにゲルを伸ばす。
光弾にゲルの先端が触れ、溶ける。しかし、数百度であれば『一瞬で全て溶ける』というようなことはない。
触手の太い部分で側面で受け、『避弾経始』の原理を使い、その職種を溶かしながら、弾き飛ばそうとする。

スライム > 職種→触手
焔誼迦具楽 >  
 触手が迎撃しようとするならば、触れた瞬間に光弾は拡散し、熱を放射する。
 至近に居るゲル状生物は表面からじりじりと熱に焼かれていくことになるだろう。

「――ま、こんなものかしら」

 指先を指揮するかのように振るいながら、熱の制御を手放す。
 これで死んでも生き残られても、別にどちらでもよかった。
 そもそも、この未知の生物を退治するのは目的じゃないのだから。

スライム > ジリジリと焼ける。
ゲルの水分が失われていく。
ゲルを固形にし体外に吐き出しながら、物陰へ逃げる。

追撃がなければそのまま逃げ延びるだろう。

そして、残るのは死んだスライムの残骸と、いくつかの結晶だ。

結晶には、魔力が籠められている。

焔誼迦具楽 >  
 ゲル状生物が逃げていくのを眉をしかめて眺めつつ、周囲に目を向ける。
 飛び散ったゲル状生物の残骸に、なにかの結晶だ。
 近づいて、トングを作り出し結晶を一つ拾い上げた。

「なにかしらこれ」

 どうやら魔力が込められているようだが、特別高価なものにも見えない。
 転がっているほかの結晶も、特別な差異はなさそうで、迦具楽はどうしたものかと首を傾げた。

スラムの住人 > 「な、なぁ」
隠れていたうちの一人が、近付いてくる。

「あ、あんた、つよいんだな。も、もしさ。それ、いらないんなら、もらっていいか…?」
図々しく、頼み込んでくる。乞食のように。いや、乞食なのだろう。

焔誼迦具楽 >  
 スラムの住人が近づいてくれば、その住人と結晶の間で視線を動かし。

「え、こんなのが欲しいの?
 んー、これは持って帰って調べたいけど、ほかに転がってるのは好きにしたら?
 別に私のってわけじゃないし」

 トングに掴んだ結晶はそのままに、周囲に転がっている結晶を示した。
 

スラムの住人 > 「あ、ありがとう!」
地面に這いつくばり、一心不乱にかき集める。
そして、拾い集めたらそのままスライムが逃げた方とは別の路地に消えていった。

焔誼迦具楽 >  
「なんなのかしら」

 一体何がそうさせるのか。
 結晶をかき集めていった住人を見送りながら、怪訝そうに首をかしげる。
 こんな結晶に何があるのだろうと、まじまじと結晶を眺めた。

結晶 > 乳白色の、八面体結晶。
魔力を含有し、一見すればただの宝石に見える。

本性は魔力とスライムのゲルを凝縮した結晶であり、多幸感を齎す麻薬作用がある代物。そして、この結晶が他と一線を画す効能が、『スライムに対する警戒が薄くなる』というもの。

先程逃げずに隠れて様子を伺っていた人間の一部が、そうなっていたのである。

焔誼迦具楽 >  
「ねえ、誰かー。
 これが何なのか知ってる人いないー?」

 周囲の人間に声を掛ける。
 それがどんな物質であっても、結晶を解析する手段のない迦具楽には知りえない事だ。
 過去に存在したものならまだしも、新しく生み出された新物質となればなおさらである。

「というか、さっきの変な生き物についてもー。
 誰か知ってる人いないのー?」

 そう、スラムの中で声をあげてみるが。
 さてそれにこたえる者がいるのやら。

爺さん > 「なんじゃなんじゃ、さっきのスライムはもう行ったんか?」
のそのそと、老人がバラックから出てくる。

「あぁ、お前さん。それは金になるやつじゃ。落第街でそこそこの値段で売れるんじゃよ。何に使ってるかは知らんがの。」

焔誼迦具楽 >  
「へえ、アレがスライム?
 実際にいるもんなんだ」

 と、スライムの残骸を見ながら、得心したように言う。
 なるほど言われてみれば、所謂『スライム』という怪物の特徴に一致する。
 それがまさか、スラムの中に生息してるとは思いもよらなかったが。

「ふうん、お金にねえ。
 ありがと、おじいさん。
 なんだか怪しそうだし、ちょっと調べてみるね」

 そう老人に礼を言うと、自分のポケットを探りながら至近距離まで近づく。
 そして情報料とばかりに老人の手に万札を一枚握らせると、「じゃあねー」と言って離れていく。

爺さん > 「…………????」
唐突に万札を渡され、パニックになる爺さん。

当たり前のように子供にスられていった。

焔誼迦具楽 >  
 老人がスられたところで、すでに渡したものがどうなろうと興味はなく。
 トングで掴んだ結晶を眺めながら、スラムを歩いていく。
 そうしながら、どことなく居心地が悪そうに、首の後ろを掻いた。

「――なーんか、さっきから変な感じ。
 誰かに見られてる、ような」

 きょろきょろと、落ち着かない様子で周囲を見回す。
 けれど当然、スライム相手に大立ち回りをした迦具楽は注目されており、居心地の悪い視線の主は特定できない。
 眉をしかめながら、釈然としない様子でスラムを去っていくだろう。

フィーナ > 「…………」
結晶の効果を確認したヒトガタのスライム。
高所から降り、そのまま姿を消すだろう。

ご案内:「スラム」からフィーナさんが去りました。
ご案内:「スラム」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「スラム」にハルシャッハさんが現れました。
ハルシャッハ >  
――スラムに住む者達は様々な事情を抱えている。
一般の社会からすればはみ出した者であったり、
表で暮らすにマナーが守れぬものであったり、
あるいは食い詰めて暮らしが成り立たなくなったものであったり。

大体はそんな穏やかな者達も多い。
しかし、そこに豊かさがあれば文化の一つも成り立つのだろうが、
貧困そのものが悪因を引き連れてパレードを起こす。

全く、ままならないものだと思う。

そんな中、スラムの暮らしを眺める男は、
いつもの服装に救急キットを横につけただけの装備である地域を見回りに来ていた。

――男が救急キットを付ける場所。
それは、相応の危険を孕むところであることを意味する。

視線の先に有るのは、ある建物だ。
遠くから眺めるにとどめ、脱出できる距離からある程度の規模感を図る。
近々、風紀や治安の人間を手引する予定の場所だ。

(――だいたいこの辺りか。 搬入口からすれば中型から大型。
 規模感的には相応にデカイブツを運び込んだか。

 ――『番犬』の可能性がデカそうだな。
 ケルベロスかミノタウロスとか、そのあたりが多いが。)

――『番犬』。 転移荒野からは魔獣がよく運ばれてくる。
大体は、違法組織の守り神として飼いならすのが目的である。

ハルシャッハ >  
魔獣の類が増えれば地域は荒れる。
スライムの類であれば液体タンクの中に詰める形で搬入することが多く、
獣であればチョークリードを付け、魔術的に拘束した状態で搬入することが多い。

他に一般的な手法としては石化した状態で搬入する手法も使われている。
必要な時に解除さえできれば、石化の手法は極めて便利だ。
餌を必要とせず、必要なときにだけ『解凍』すればいい。

違法組織からすればコレ以上に便利な代物はないとも言える。
そんな連中を相手にするのだから、風紀や治安という組織は大変だ。
影に潜む男からすれば、正面からの戦闘など御免被るが。

(――痕跡は……。)

離脱するように距離を離しながら、車の痕跡を追って魔獣の種類の手がかりを探す。
情報は金になる。 下手すれば当座の活動資金を充足できる程度に。
男はそれを知っていた。 金になるなら探さない理由はない。

(――流石に落ちてねぇか。 しかし、泥とタイヤの跡が見えるところからすれば、
 やはり転移荒野の辺りから来てるのは確定だな。)

これだけでも人身売買の線が薄くなる。
いくつかの外部情報から推察できるものは沢山あるのだ。利用しない手はない。

ハルシャッハ >  
他に警戒するべきは、意外にも幽体系の魔物をもってくるパターンが有る。
封印用の鏡やクローゼットを利用し、魔術的に抑え込んだものをそのまま搬入するのだ。
使わなければそれで良し、使うときは開放して暴れさせるだけでも十分。

――全く、ヒトという生き物は面倒なものである。
悪知恵ばかりがよく回ってくるのが本当に面倒だ。

(良し、情報としては十分――。
 乞食たちにいくつか後で更に情報をもらうか。)

外部情報を固め、ある程度スラムでも表寄りの地域へと移動する。
この地域は、ヒトもあまり寄り付かない。
札付きの悪がほとんどだからだ。

少し表寄りの場所へと移動すれば、乞食たちの数も少しづつ増えてくる。
――いつもの通り、通貨と缶詰等の食料を弾めば、
口からは情報がたくさん出てくるのが常だ。

「――いつも悪いな。本当に助かるぜ。」

1kgの米の袋でさえ、こちらでは高級品だ。
それだけでも情報に対する寸志としては、大きな分類だった。
風紀やその他の人種も、この辺りならうろついている事が多いが――どうなるか。

ハルシャッハ >  
――最も、何事もないのが一番では有るが。
影に潜み、静かに目的のみ果たせれば盗賊としての本懐は成る。

表立って騒がしく(ラウドに)やる手も有るが、
男はそんな手法は好きではなかった。

いくつかの情報が手に入り、
そして必要であれば出せる情報になっていればそれでいい。

乞食の話でさえ、話を聞く時にメモを取る癖のない男は、
そのようなことを長くは覚えていない。
しかし、後でなにかしらの書き捨ての紙にざっくりと断片はまとめるだろう。
そのくらいのことは男はやる時はやっていた。

「――さて、そろそろ一旦戻るかね。」

宵闇に白のローブが朧気に消えるのは、そう遅い話では、ない。

ご案内:「スラム」からハルシャッハさんが去りました。