2020/08/18 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
スラムに響く、地響き。
大地を踏み締める鋼鉄の脚が、吹けば飛ぶ様なバラックを睥睨しながら通りを闊歩している。
背負う砲身は天空に掲げられてはいるが、不規則にその向きを変える事で不安げに見守る住民達に威圧感を与え続ける。
「――…出来の悪いショーではあるが、これで大人しくなってくれるのなら儲けものか。流石に、過度な期待は出来ぬが」
その異形達を従え、皺一つない風紀の制服を翻して歩みを進める少年の姿。
今回の任務は至って単純。『風紀委員会』という組織の暴力性を、落第街やスラムに知らしめる事。
要するに、怖そうなイメージを植え付けるだけなので――こうして、異形と共にてくてくとスラムを歩き回る事となっていた。
■神代理央 >
暑いし、歩くの疲れるし、正直面倒ではある。
しかし、『風紀委員会が此の地区にも力を入れている』という様を見せつける事は重要だ。
己の様に悪名ばかり先行する様な風紀委員がうろついていれば――まあ、少しくらいは大人しくしておこうと、思って欲しいものだが。
「……しかし、暑い…クーラーが…恋しい…」
普段からキッチリと制服を纏う様にはしているが、流石に今夜は緩めたい。というか、上着くらいは脱いでしまいたい。
そんな誘惑に耐えながらも、今度百貨店で涼しくなる様な魔道具を仕入れておこうと固く決意。金に糸目を付けるつもりはない。
■神代理央 >
時折投げつけられる石には、踏み締めた異形の砲身を向ければ忽ち逃げ去るばかり。
道端に放置されているスクラップやら燃え尽きた自動車の残骸やらをわざとらしく踏み潰しながら行進する様は、正しく圧倒的な『武力』の誇示。
風紀委員会に逆らう事の恐ろしさと愚かさを、その視覚と聴覚から伝えようと言わんばかりの、鋼鉄のパレード。
「……今のところは順調そのもの、か。とはいえ、此の辺りも違反部活の活動拠点である事は間違いない。…精々、怯えて貰わねばな」
此方を睨みつける様な落第街の住民達にも涼しい顔。
『何かやれるならやってみろ』と言わんばかりの傲慢な様が、見て取れるだろうか。
実際は、涼し気どころか只管に暑さに耐えているのだが。
ご案内:「スラム」に虞淵さんが現れました。
■虞淵 >
その男は廃ビルの、地下へと伸びる階段から現れた
悠然と歩を進める様子は、行進に畏怖し遠巻きに眺めるスラムの住人とは明確に違う
その姿をのっそりと地上に現せば、黒い短髪に赤い瞳の巨躯の男が悠然と武力の前へと歩み出す
その表情は憮然とし、やや不機嫌なようにも見えるだろうか
「──少し留守にしてる間に、随分なヤツが闊歩するようになったもンだな。俺の街で」
スラムを差し"俺の街"などと嘯く大男は理央を見下ろすように、仁王立ちしその行進の前へと立ち塞がった
■神代理央 >
現れた巨躯の男を前に、異形の群れは足を止める。
スラム中に響いていた地響きが、止む。
「…此の区域は、常世学園の管轄下にある。断じて、貴様個人の街などでは無いのだがね」
鋼鉄の異形達がゆっくりと道を開ける。
ぼrぼろのアスファルトを、上質な革靴で踏み締めて男と対峙するのは――下手をすれば、男よりも3回りは小柄な少年。
その外見的特徴から『力』を露わにする男とは真逆。
鉄火場等訪れた事もありません、と言わんばかりの華奢な体躯に良く整えられた金色のショートボブ。
男と唯一共通しているのは、燃える様に紅い瞳の色だけ。
「……よって、学園組織である風紀委員会が、此の区域を警邏する事に、貴様の許可等不要。それとも、風紀委員が大きな顔をする事が、そんなに目障りかね?」
クスリ、と。穏やかな迄の笑みと共に首を傾げる。
――しかし、その瞳に余裕の色がある訳では無い。
■虞淵 >
「クッ、ハハハ!!
その問答、必要かよ」
踏み出し、言葉を投げかける少年に男は嗤う
「管轄がどうのこうのと理屈を並べ立てて話が通ると思ってンなら見当外れもいいトコだ
そのクセいい勘してるなお嬢さん…
風紀の痩せ犬が大きなツラでのさばってンのが目障り…
全くその通りだぜ!!
ハハハハハハ!!」
スラムの一角に響き渡る男の嗤い声
一頻り笑った後に、男は獰猛な獣のような視線を向ける
「ナワバリのボスに出会った小物は尻尾巻いて逃げ帰るのがお似合いだぜ」
目障りなモノを片付けて、とっとと消えろ、と 男は言っている
──その周囲では、ある変化が起きていた
男の顔を知る者、数年前からスラムで生活していた一部の人間だけが、明確にその場から逃げはじめていた
男がこの街を我がモノと言って憚らないボス犬ならば、取り巻く者はむしろ加担するものだろう
しかし彼らは───避難をはじめた
■神代理央 >
「必要だとも。此の島の『ルール』を知らぬ連中に、先ず説明してやらねばならぬだろう?
此の島を統治しているモノが何なのか。分からぬ儘に暴れまわる阿呆共が多くてな。理解した上で身を引く、というのなら、私は何もせぬよ」
「……それと、私は男だ。対峙している相手の性別くらい間違えるな。この筋肉お化けめ」
獰猛な笑みに返すのは、僅かなしかめっ面と、変わらぬ高慢な声色で紡ぐ言葉。
正しく獣の様な瞳を向ける男に、小さく肩を竦めて見せる。
「縄張りのボス、とやらを気取るのは良いがね。
取り巻き一人おらぬボス、というのは恰好がつかないものではないか?
加勢に来るどころか、逃げ出す者もいる有様では――さぞかし、畏れらているのだろうな、貴様は」
風紀委員会の一員として。また、公安委員会との協力関係を持つとある女からの情報もあって。
己の前に立ち塞がる男の事を、知らぬ訳がない。よもや、此処で遭遇するとは思いもよらなかったが。
『異能殺し』
随分と厄介な相手に目を付けられたものだ。
未だ高慢な態度は崩さぬものの、慢心と油断といった様子は、男に見せる事は無いだろう。
■虞淵 >
「おう、じゃあ俺も現実を知らん犬に説明してやらなきゃならねェか?」
「"掟"はそこに生きる人間が作る。そいつは敷かれた"ルール"とは、また別なんだよ。
ンなこたぁ説明されるまでもなく、わかりきった上で、刃向かって生きてんだ。
釈迦も悪魔にゃ説法するまいよ。お前がやってンのはそういうレベルの無駄な理屈の捏ね方さ」
悠然と語る大男は、理央が自身を男だと主張すればやや肩透かしを喰らったように大仰に肩を竦めて見せた
「生白いヤツだと思ったが男かヨ。
女なら此処の掟を叩き込んでやるのも簡単で手間が省けるンだがな…。
まァ、野郎ならしょうがねえ。消えねェなら、やるのかやらねぇのか、はっきりしな。
──あァ、逃げた連中は知ってんのさ。
このままこの近くに留まっていたら、ワンチャン自分の命が危ねェ、ってな」
廃ビルの打ちっぱなしの側面に片手をついて、視線は少年へと向けたまま
高慢な少年を見下ろす大男は、スラムの理を説きながらも威風堂々──
■神代理央 >
「例え無駄だろうと。例え貴様が私の言葉を笑い飛ばそうと。
私は風紀委員であるならば、その『ルール』を説かねばならない。
それを守って生きている人々の為に、力を振るわねばならない」
「貴様の言葉を借りるなら、此の島の"掟"を破っているのは貴様達の方だ。
所詮、常世島の一区画でしかない此の場所で、自らが法だと吠えるなら――」
「――その思い上がりを正すのも、我等の仕事故な」
高慢さは鳴りを潜め、訥々と、朗々と。
『秩序』の側に立つが故の矜持を、彼に告げるだろうか。
「……期待に応えられず残念だ、とは言わんぞ。
そして、私は退くつもり等無い。此処で私が退けば『風紀委員は臆病者だ』とイメージを植え付ける事に成る」
「……些か貴様を相手取るに諸々不利な状況で有る事は認めよう。しかし、それでも私が風紀委員である以上」
「退く訳には、いくまいよ」
自らの力で此の場の支配者として君臨する男に、身を引く事は無い。
退いてはならないのだ。自らの後に続く風紀委員達の為に。街の平穏を守る同僚達の為に。
此方の言葉に反応する様に、異形達の砲身が軋み、男へと向けられる。しかし、その砲身から砲火が放たれる事は無い。
唯、向けられるだけ。退くつもりなどない、と意志を示す様に。
■虞淵 >
「~ねばならない。ばかりだな」
「30年も生きてねェようなガキが職務に殉ずる覚悟が在る、ってだけでも、
『この島のルール』がイカレてるコトに気づかねェもンかねェ
──ま、それはそれとして、こういう展開ならそれはそれで、歓迎するぜ」
一斉に向けられる砲口
薄々と推察の通り、従えている異形がこの風紀委員の少年の"力"だろう
その攻撃力たるや、推して知るべきか
「此処スラムで真っ先に死ぬのは、退き時を見誤ったヤツだ。
そういった意味じゃあ…」
ミシ…
男が手をついている廃ビルの壁から軋むような音が響く
ミシ、ミシ──ミシミシ─ッ
重い、硬質なコンクリートが"ちぎられてゆく音"
次に響いたのは、廃ビルの内部から──次々に重い金属が破断する音だった
「さっさと逃げていった連中は──お前よりもアタマがいい」
腕を振り抜く
瞬間、ビルに水平に亀裂が走り──理央達に向け、倒壊した
■神代理央 >
「『此の島』も『外』も大差あるまい。
何時だって、ルールというものはそれなりに狂っている。
…それでも、そのルールが多くの人々の秩序を保つものならば、護らねばならない、ルールだ」
そして、男が振り抜いた腕の先。
構造物が、屋台骨が、鉄柱が。
ありとあらゆる物が悲鳴を上げるかの様な音と共に、此方に向けて倒れてくる廃ビル。
崩れ落ちる様な轟音の中で――それを上書きする様に、砲声が轟いた。
完全に倒壊した廃ビル"だったもの"
見渡す限り瓦礫の山。山。山。
其処に、先程まで存在していた異形の群れも、少年の姿も無い。
其処にあるのは――煌々と輝く、金属の巨大な真円。
人工の満月の様に宙に浮く全長5m程のソレは、周囲に小型の球体を無数に纏わせて、静かに滞空しており――
『何か』に命じられたかの様に僅かに振動すると――
眩く輝く無数の光線が、男に放たれるだろう。
■虞淵 >
「──はッ、何だ?そりゃ」
瓦礫の上に浮かぶ巨大な真球
周囲に浮かぶものは…察するに砲台。ビットか
先程まで展開されていた異形は、要するにコイツの異能の一部の姿だったわけだ
そう理解すると、男の口元が笑みに歪む
久々に、狩りがいのある異能者だと
一斉に放たれる光線
それは数瞬の間もなく男に到達し、その身体を貫き──はしなかった
ではそれを避けたのかと言えば、男はその場から動いていない
「ハッハァ!!」
その場で瞬時に放った震脚
アスファルトを叩き割り、陥没させ、その衝撃は男の周囲の大気を歪ませる
強力な圧で変化した空気の壁、光はレンズに逸らされるようにして男の周囲を歪んで駆け抜け、後方へと着弾した
そしてそんまま、震脚によって砕け跳ね上がった大きな瓦礫片に向けて、目にも留まらぬ回し蹴りを叩き込む
この程度の力の操作はお手の物
瓦礫は砕けず、ミサイルの如く空気を切り裂く音を発しながら、空中に佇む真円へと飛来する