2020/08/25 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
今宵も、落第街に響く地響き。
大通りを通り抜け、鋼鉄の巨体の行きつく先は落第街の深奥であり、片隅。深淵であり宵闇。
最も力無き者が集うが故に闇深き場所。
明日をも知れぬ様な持たざる者の集う場所に『暴力』を象徴する異能の象徴。無数の砲身を背中から生やし、歪な多脚で大地を踏み締める鋼鉄な異形は、持たざる者を睥睨するかの様に行進しているだろうか。
「……流石に此の地区では、敵愾心を感じる様な事は無いな。似たり寄ったりな視線は、飽きる程に感じてはいるが」
最早、立ち向かう力も勇気も持たぬ人々の集う此の場所では、落第街の大通りの様に明確な敵意を向けられる事は無い。
向けられるのは、泥濘の様な――憎悪を煮詰めた様な、負の感情。
「私個人への憎悪であれば、良いのだが」
小さく肩を竦めながら、己を守る大楯の異形を近衛兵の様に従え、スラムを巡回していた。
■神代理央 >
今のところ、違反部活が大きな動きをしているという報告は無い。
過密なシフトながらも、警邏を密に行っている事が功を奏したのだろうか。心身を削って違反組織の摘発に当たる委員達の努力によるものか。或いは、その両方か。
どちらにせよ、夏季休暇が終わる迄平穏でいてくれればそれで良い。既に島に戻り、シフトに戻っている委員達もいる。
「……風紀委員会は揺らがない。それを知らしめていれば、学園の治安を乱そう等と言う者も、現れぬ」
「持たざる者同士が争うのは構わぬ。この落第街でだけ収まっていれば、多少は目を瞑る。『社会』を乱さなければ、それで、良い」
懐から取り出した煙草に火を付けて、甘ったるい紫煙を宙に吐き出す。漂う紫煙は異形達を包み、そのままスラムへと消えていった。