2020/08/31 のログ
持流 童男 > 「よーし今日は、異常なしでござるな」

そう思いながら、スラムを離れる

ご案内:「スラム」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「スラム」に水無月 沙羅さんが現れました。
水無月 沙羅 > 山本先輩との事件も収束し、謹慎期間も解け、ようやく本格的に風紀委員としての活動を再開する。
落第街やスラムにおける警邏活動。
ここ最近抜けの多かった風紀委員は人手が足りず、多くの人員が走り回っている状況だ。
そんな中、十日間も穴をあけてしまっていたのだから、少しは自分も働かなくてはならない。

風に聞くところによると、山本先輩も現場復帰し、レイチェル先輩の容体も回復しつつあると言う。
これから夏休み期間も終わり、少しずつ人も戻ってくるだろう。
この島はゆっくりとだが活気を取りもどしてきて来ていた。
島の活気が戻るという事は、同時に島に存在する裏側も、また活発になりえるということだ。

風紀の腕章を腕に止め、およそ十日ぶりの薄暗い道を歩く。

何処かの『鉄火の支配者』ほどの効果は望めないが、パトロールくらいは務まるはずだ。
辺りを見渡し、異常がないかを確認している。

ご案内:「スラム」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 >  
「おーおー、オシゴトに精が出ますことで」

ざし、と地面を鳴らして彼女の前に立ちふさがる。
煙草の煙を吐き出し、吸殻を地面に投げ捨てて。

「風紀委員サマがこんな『歓楽街』の奥深くに何の御用でしょうかねぇ?」

あからさまな敵意。
彼女を邪魔するように、進路へ立ちふさがる様に仁王立ち。

水無月 沙羅 > 「ん……? 貴女は……、確か、龍宮 鋼さん……ですよね?」

伊達に普段は本部で書類の海に埋もれているわけでもない。
この落第街、及びスラムにおいて問題の上がってきた生徒に関してはある程度把握している。
特に彼女の様な、所謂『問題児』に関しては顔と名前を一致させてある。
龍宮 鋼、半龍半人の異邦人。
過去、二級生だったことがあり、現在は正規学生になっていたはずだ。
喧嘩っ早く、風紀委員の中でも悪い意味で有名だ。
余り騒ぎにならないほうが、彼女の学生生活にとってもいいとは思うのだが。
さて、今回自分の目の前に現れたのはどんな目的があるのか。
仁王立ちして、なおかつ敵意を発している時点で何となく察しはつく者の、あまり荒事にもしたくは無い。

「何の用、と言われましても。 もちろん警邏のお仕事ですけど。
 そちらこそ、私に何か用ですか?」

敵意を出すわけでもなく、挑発するわけでもない。
かといって怯えている理由もない。
舐められていては警邏の意味もないからだ。

龍宮 鋼 >  
「警邏、ねェ……」

ザシザシ、と地面を軽く蹴る。
その様子は明らかにイライラした様子だ。
一度目を離し、再び向けたその目は、縦に細く裂けていた。

「こんなトコにオマエらが見て回るようなモンはねェよ。さっさと帰んな」

威圧するように。
いくら嫌っているとはいえ、流石にいきなり風紀委員に殴りかかる程考えなしではない。
しかしだからと言って仕事だからと言われてハイそうですかと引き下がれるほどオトナでもない。
何よりここらは自分のナワバリだ。
相手が風紀委員であろうとよそ者に我が物顔でうろつかれるのは我慢がならない。

水無月 沙羅 > 「見て回る物は無い、ですか。」

溜息を吐いて少女の言に多少の苛立ちを見せる。

「鋼の両翼……落第街の自警団を自称するグループ、でしたっけ。」

書類に書かれていた文面を思い出す、つい先日に日下葵とひと悶着の在ったグループの筈だ。
その結果として、彼女は短期間の謹慎処分を言い渡されていた。

「あなた方がきちんと機能して、この街に何の問題もないというのであれば、私たちも楽なんですけれどね。
 無くならない違法部活、先日の『異能殺し』の一件。
 この街は長期休暇になろうとも、依然として『風紀』を乱し続けている。
 さて、見て回るものが無い様には思えませんが。」

威圧されようとも引く事は無い。
自分達は学園の風紀の象徴であり、退くという事は『風紀委員』が屈したという事実に繋がりかねない。
実質的な警察組織として、自警団にへりくだっている様では困るのだ。

それにしても、自警団が此処まで挑発的というのもどうなのだろうか。
もう一度溜息をつく。

龍宮 鋼 >  
「あァ?」

自らの組について評されれば、機嫌が二段階ほど一気に下がる。
無造作にポケットへ突っ込んだ両手を引き抜き、上半身を前傾させて。

「ロクな人員も確保出来ねーで、ナツヤスミのたびにひーひー言ってるよーな奴らに言われたかねェな」

歯をむき出しにして威嚇を強める。
扱いを間違えれば途端に破裂する爆弾のような危うさ。

「『異能殺し』の一件も『鉄火』がアホだったからだよ。風紀はアホの集まりか?」

まともなヤツならばあんなバケモノに歯向かおうなんて考えない。
よっぽど自分の強さに自身があるやつか、よっぽど頭が足りない奴か、よっぽど派手なケンカがしたい奴かのどれかだ。
つい先日、自身をあの名で呼んだ奴にしろ『鉄火の支配者』にしろ、どいつもこいつも風紀は頭のおかしい連中の集まりなのだろうか。

水無月 沙羅 > 「ひーひー言わせている街を御しきれていない組織のトップが言う台詞とは思えませんね。」

自分を拾ってくれた組織を小馬鹿にされればこちらもイラつきもする。
何より彼女は自分の地雷を踏み抜いた。

「『鉄火のアホ』ですか、あの人のことも知らないで、よくぬけぬけと。」

沙羅の瞳は、紅蓮の如く燃え盛る様にゆらめく。
冷たい視線で、自分の最も大切な何かを貶した相手をここで初めて敵視する。

「そうですか、自警を名乗る割に『腰抜け』の集団だとは思いませんでした。
 あなた方の様な自警団もどきに少しでも期待する私たちが、確かに悪かったようですね。
 謝罪しますよ、これ以上過分な期待は持たないことにします。」

それは心からの軽蔑だ。
誰かを守るために戦い傷ついた人に、侮蔑の言葉を向けるこの輩に、自警を名乗る資格などない。

龍宮 鋼 >  
「常世の警察機構が自警組織相手に同じ目線たぁ、俺らも出世したもんだな」

へら、と馬鹿にしたような顔。
こちらを敵視しだした彼女を更に挑発するように。

「知らねーよ、知ったこっちゃねえ。知ってんのは『異能殺し』に異能頼りの戦闘仕掛けた身の程知らずのアホだっつーだけだ」

タンタンと地面を足で叩きながら。
前傾姿勢から体勢を戻し、だらんと腕から力を抜き、いつでも戦闘に移れるように。

「ハッ、ハナから期待なんてしてねーだろうがよ。都合のいい時だけ調子のいいこと言うだけの口だけの連中だろテメェらはよ。そんなだから『異能殺し』との相性もわからねーでボロ負けしてんだよ『鉄火』のヤツァよ」

どうやら彼女は『鉄火の支配者』と浅からぬ関係らしい。
そう睨んで彼を絡めた挑発を。

水無月 沙羅 > 「あなた、頭も悪ければ無知でもあるとは救いようがないですね。」

彼女の言葉に、これはただの喧嘩好きのチンピラかと判断して嘆息する。
これはいつまでも喋っていては時間の無駄だし、警邏に戻ったほうが良いだろう。
自分から手を出して始末書になるのも馬鹿らしい。

「その異能殺しに対して一定の戦果を挙げたから、彼は生きて帰ってきた。
 臆病者のチンピラと違って、『弱い者いじめ』しかできない人と風紀は違う、という事です。
 良かったですね、お怪我が無くて。
 そのボロ負け? したと思っていらっしゃる風紀に守ってもらえて。」

戦闘態勢に入る少女の横を通り抜ける様に歩き抜ける。

「私は警邏に戻りますから、巣穴に帰ってはどうですか?
 鋼さん?」

龍宮 鋼 >  
「守ってねーだろうがよ」

その後ろ姿に声をかける。

「風紀がまともに活動してんなら今の俺はこんなことしちゃいねーんだよ」

その後ろ姿に向けて歩いていく。

「私達がやってることは正しいことです。自分たちが出来なかったことは見ていません、だから私達は正しいですってか?」

その肩に手を伸ばす。

「俺に帰る場所なんてねーんだよ!! テメェ等がまともに仕事してねーからこんなとこでこんなことやってんだろうが、あァ!?」

その肩を掴めるのならば、こちらを向けと言うように無理矢理振り返らせるだろう。

水無月 沙羅 > 「……」

無言のまま、パシンと腕を払いのける
振り返るも、その目線は冷たいものだ。

「助けてもらう事だけを期待している人を、助けられることなんてないんですよ。
 助かろうとあがく人にその手は差し伸べられる。」

「風紀がまともに活動していないから? いいえ、あなた達の様に秩序を乱す人が居るからです。
 帰る場所がない? あなたたち自身が帰る場所を無くしているのでしょう?
 自分の至らない部分を省みようとせず、変わろうとしないから居場所だってできない。
 正規学生になっていまだ、二級生の様な振る舞いをしていることが良い証拠です。」

不幸自慢をする少女に興味などない。

「貴方と違って、私は這いあがった。
 まともな居場所が欲しいなら、そう叫べばいいものを。
 そこでいつまでも『チンピラ』で居るのを選んでいるのは貴方でしょう。」

龍宮 鋼 >  
「――!」

ギシリ、と歯が音を立てる。

「テメェらが――」

一歩。
強く強く踏み込む。

「――わかった様な口ィ聞いてんじゃねェぞ!!」

吠えると同時に、ぶん回すような右拳での一撃。
ズドン、と地面が揺れるような震脚により、地面の重さを乗せた鋼の拳。
それを彼女の顔面へ叩き込もうと全力でぶん回す。

水無月 沙羅 > 「……。」

避けるようなことはしない。
身体強化を用いて、脚に踏ん張りの力を入れる。
吹き飛ばされることだけは耐える様にした。

大きな打撃音があたりに響き渡る。
同時に、幾つかの骨が折れる音、血が地面に滴る音が殴った相手には伝わるだろう。

地面は足にめり込むようにして、その場から微動だにしない意思を如実に表している。

可笑しな方向に折れ曲がった首は、鋼がそのまま放置しているのならば数秒で完治するだろう。

龍宮 鋼 >  
「うァああ!」

拳を振り抜いた反動を、拳を引き絞る動きにそのまま繋げる。
背中を向けるほどに捻り切った身体を、弾かれるように解放。

「――ッらァああアア!!!!」

再び地面を踏み付け、今度は腹を下からぶち抜くようなアッパー。
先ほどよりも更に多くの質量を乗せて、ブチかます。

水無月 沙羅 > 「先に手を出したのは、貴女ですよ。」

ぐるん、と急速に負傷個所が回復する。
瞳に魔力を宿し、相手の魔力の動きからその行動を予測する。
全身に身体強化を施して、少女ではありえない膂力と瞬発力を体に宿した。

毎日のように自分を投げ飛ばしている、白い少女に比べれば。

「遅い。」

振り上げられる拳をそのまま握り、タオルを振る様にして鋼を持ち上げる。

「殺人未遂で、貴女を拘束します。」

そのまま地面に叩き落とそうと、腕を振り下ろす。