2020/09/14 のログ
ご案内:「スラム」に日下 葵さんが現れました。
日下 葵 > 夜のスラム。
マルレーネさんの失踪事件が解決して、数日たった。

数人の風紀委員が負傷、という情報が流れるのは想定されていたが、
その数人というのが幅を利かせていた委員となると事情が違った。
風紀委員の誰が負傷して行動不能になっているのか、
その情報が表に出回るまで、時間はかからなかった。

「そんな話聞いたら犯罪者は浮足立ちますよねえ」

落第街、路地裏、スラム……
およそ治安が悪いとされている場所では、
一部の違反部活が動き始めたとかなんとか。

だから、というわけではないが、
心なしか警邏に出向く風紀委員の表情が硬い。
そんな雰囲気の中、図太くもいつも通りの仕事をする風紀委員が一人。

別に負傷していた彼らだけで治安を維持していたわけじゃない。
そんな考えのもと、図太く、気にせず、いつも通りの巡回をしていく>

日下 葵 > 「最近の私は平和でいいですねえ。
 島全体でどうかは知りませんが」

最近は尋問の仕事も少ない。
自分の周囲で不穏なことが起きたり、そういうことはあっても、
自分自身に至ってはとても平和だった。

「ぶっちゃけ、誰かが欠けても組織は動きますし」

別に主要メンバーが欠けて瓦解するようなこともないだろう。
当人とそれに親しい人にとっては、そんなことはないだろうが。

むしろ誰かが怪我をしたくらいで浮足立つ違反部活も、
自分がなんとかしないといけないなんて責任感を感じる風紀委員も、
真面目だなぁと傍から見ていて思うほどだ。

「どうせ手の届く範囲のものしかどうこうできないのに」

だから、私はいつも通りの仕事をする。
そんなことで世の中が変わりっこない、そう高らかに説くように、
普段と何ら変わりのない警邏をする>

日下 葵 > 「……なんて啖呵を切ったものの、
 私が普通でも周りが普通じゃないんじゃあやりづらいですねえ」

スラムに住む人々が風紀委員にむける視線は様々だ。

身分を保証されていない自分たちを、
救ってくれはしないものの秩序を保ってくれる存在。
あるいは、この現状を放置して改善しようとしない無能。

兎角いろいろな視線を浴びせられる。
しかし今日の警邏で向けられる視線はいつもより落ち着きがない。
そんなもんだから、こちらも落ち着かない。

「そんな身構えなくったっていいのに、とは思うんですけどねえ?」

普段通りの警邏をするつもりが、
その心づもりのせいで一層変化を感じざるを得なくなってしまった。
この状況が、何と言うか……気に食わない>

日下 葵 >  
「とはいえ、いつも通りにしていろという方が酷ですか……
 名前が売れるというのはそれはそれで難しいものです」

自分が折れたらパワーバランスが変わる、とまではいかずとも、
ちょっとした騒ぎになるなんて状況は考えたくなかった。
それだけの重荷を背負って任務なんてできないし、やりたくない。

「手の届く範囲で、完結させたいものです」

そういう意味で、
死なないだけで必殺技を持たないこの立場は私向きかもしれない。
そんなことを考えていないと仕事ができないあたり、
私も影響を大いに受けている。
皮肉だなぁと笑いながら、その後の警邏を続けるために、
スラムの黒に溶けていくのだった>

ご案内:「スラム」から日下 葵さんが去りました。