2020/10/01 のログ
虞淵 >  
「そんなモンだ」
「何回負けようが最後に勝ったほうが強ぇ、強くなったのは明白だ。
「プライドだのなんだのがある分、そう何度も挑むヤツはいねェけどな」

まぁ、中には何度負けても喧嘩しに来るヤツはいるだろう
自尊心だとか、プライド…言ってしまえば喧嘩の上での美学すら、
本質的な闘争には邪魔なモノなのかもしれない

──が、この男にとっての喧嘩は娯楽である
娯楽には勝ちはもちろん負けもなければ面白くない
それが喧嘩と殺し合いの明確な違いだ…と男は思っている

「ヤりゃあいいさ。──もうコイツにゃ絶対負けねェ、そう思った時にな」

オマエも負けたくない相手だ、と言われれば楽しげに口の端を歪めてそう答える

龍宮 鋼 >  
それこそ、ケンカなんてのは人の数だけやり方がある。
ただケンカ出来ればいい奴、勝つのが楽しい奴、とにかく暴れたくて仕方ない奴。
結局のところは、好きにやれ、と言うことに尽きるだろう。

「――ハ。まるで今はそう思ってねぇみたいなこと言うじゃねぇか」

笑う。
獰猛に、楽しそうに。

「やめだやめだ、らしくねえ。どうかしてた、口だけべらべら動かすなんてよ」

硬く硬く握りこんだ拳を、引く。
口より先に拳を出すのが自分だったはずだ。
倒したい相手はぶん殴って、蹴り飛ばして、叩きのめして。
そうやってやってきたはずだ。
どうにも、丸くなりすぎた。

虞淵 >  
「オウ。リベンジマッチが女々しいかどうか、なんざ気にしてるような女にゃ負ける気しねェからな」

硬く拳を握り込んだ女に、はっきりと言葉を告げる
ずぶ濡れの女相手なんかに拳振れるかよ、と言った風情

「やらねェよ」

獰猛に笑う鋼に対し、男は木箱に腰を降ろしたまま。呑気に煙草を吹かしている

「とっとと帰ってシャワーでも浴びるンだな。風邪引くぜ」

龍宮 鋼 >  
「――だろうな。オマエはそう言うと思ってたよ」

わかっていたように拳を下ろす。
正直、今はケンカの気分ではなかった。
無理矢理に奮い立たせてみた者の、断られれば急速に熱が冷めていく。

「ま、楽しみは後に取っとくわ」

そう言って背中を向ける。
しばらく歩き、振り向いて。

「そん時はよ。メインディッシュの前の前菜替わりに食い散らかしてやるから、首洗って待ってろ」

び、と人差し指を突き付けて。
そうして今度こそ雨の中を歩いていく――

ご案内:「スラム」から龍宮 鋼さんが去りました。
虞淵 >  
「クク、この俺が前菜ねえ」

そのメインディッシュってのは、さぞや美味なんだろう

「しかしこの街にゃあんな女しかいねぇのか?」

いやまぁ血の気の多いのも嫌いじゃないが
スラムなんて廃れた場所では、むしろあれが純粋培養か?
相変わらず浮かんでくるくだらない考えを煙に撒くように、雨が止むまでの間、ただ煙草を吹かしていた

ご案内:「スラム」から虞淵さんが去りました。