2020/10/02 のログ
ご案内:「スラム」にレクターさんが現れました。
レクター > 少し前からふらっとスラムへとやってきた男は、スラムの片隅の段差に腰を下ろし、両肘を膝に乗せて少し前のめりの体勢になっている。
スラムの住人は、見慣れぬ男の来訪に警戒しているのか声量を抑えて会話をしていた。

「………。」

両の瞼は伏せられており、傍から見ると居眠りをしているように見える。
無論、本当に意識を手放しているわけではなく、自分へ近づく者が居れば瞼を開けるだろう。

レクター > 更に少し時間が経つと複数人の男たちが近づいていく。
その足音を聞き取ってか瞼を開けて顔を上げる。お世辞にも良いとは言えない目付きで見られ、先頭の男は露骨に舌打ちをした。

「何か御用ですか?
 ………なるほど、私が目障りだと。」

スラムの住人にしてみれば、突然やってきて堂々と居座られるというのは気持ちの良いことではないだろう。
早急に立ち退くようにと直球な言葉遣いで要求してくるのを聞き、緩やかに立ち上がる。

「構いませんよ。ただ、一つ質問に答えてもらえれば…」

淡々と会話に応じる態度が癪に障ったのか、罵声と共に殴りかかってくる。

レクター > 「…困りますね。せっかく会話が成り立っているというのに。」

顔面目掛けて振るわれる拳をいなしてから、殴る掛かってきた男へと視線を向けて言葉を口にした直後にその顎を揺らすように裏拳を当てる。
突然ぶれる視界と痛みに殴られたと男が理解する時には、脳が揺れたことにより立っていられなくなりへたり込む。
仲間を攻撃され、一斉に襲い掛かろうとする残りの男たちにも同様に、一人一人丁寧に顎へ一撃を入れていく。

最後に先頭にいた男の顎を一発殴ってから、仰向けに倒れそうになるのを襟首を掴んで引き留める。

「突然すぎましたか?それは失礼しました。
 ………それで、大人しく立ち去る代わりに、質問をさせてもらいたいのですが。」

よろしいか、とまでは続けずにじっと半目で男を見据える。

レクター > このままでは抵抗もできずに一方的に殴られるかもしれないと判断した男は緩やかに両手を上げる。

「難しいことではないです。
 ただ、この辺りで悪いことをした人がいないかどうかを聞きたいだけですので。」

質問を聞いた男が薄ら笑いを浮かべながら小声で呟く。
その内容に興味は無い。恐らくは嘲笑の類だろう。
空いている方の拳を目の前で握ってみせると、途端に焦り出し思い出そうとし始める。

「そうですか、その人はどちらに?
 …どうもありがとう。助かりました。」

男から情報を聞き取り終えると、襟首を掴んでいた手を離した。

レクター > 支えを失った男はそのまま尻もちをつくように地面に崩れ落ちる。
それを見届けてから、宣言した通りスラムから立ち去ろうと歩き出す。

「何をしに行くか?
 悪いことをすれば、罰を受けるのは当然のことではないですか?」

詰まる所はそういうことだ、と言外に答える。
答えを聞いた男はくだらないと地面に向けて吐き捨てた。

その呟きにまで言葉を返すことはなく、そのまま歩いていくのだった。

ご案内:「スラム」からレクターさんが去りました。