2020/11/19 のログ
ご案内:「スラム」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
──学校帰り、風紀委員の本庁に寄って、本日の警邏のシフトを確認して…今日は黒い外套を羽織り、一人でスラムへとやってきた

…肌寒い日が続く、スラムなどでは暖をとっての生活も厳しいはずだ

「……予想通りというか、なんというか」

口元までを覆い隠していた外套を脱ぎ去り、腕に風紀委員の腕章を手早く装着する
今、このタイミングでの落第街に『黒いシンデレラ』の名は必要ない
ただ風紀委員である、そう思われるだけで十分に…四方八方から、隠れた視線を感じる

それは怯え、戸惑い、恐怖…そんなものに混じって、敵意、殺意、憎悪
刺すようにすら、感じてしまう

言うまでもなく、件の一課の影響だろう

伊都波 凛霞 >  
これまでは、黒いシンデレラ(非公認)としての活動でない時…
通常の風紀委員としての警邏活動の時にはそれなりに、有効的な住人もいたものだ
『あんまり悪いことしちゃダメだよ』
『暗くならないうちに帰りなよー』
笑顔でそうやって声をかければ、応じてくれる住人も多少なりとは、いた
それが…

「(雰囲気、悪いなあ…)」

──…当たり前とはいえど、少々居心地の悪さを感じるレベルだ

此処のところ、行方不明の友人の件もあって精神的に少し落ち着かない
故か、一分の隙も見せない完璧超人たる彼女の姿はそこにはなく、
不安げに足を進める姿は、やや頼りない

伊都波 凛霞 >  
本来今日は、通常警邏の予定ではなかった
なので大規模な火力戦用の下準備こそしてあったものの…
件の一課の活躍?で違反部活はのきなみ慎重になっているし、目立つものはすでに壊滅済み
通常警邏に切り替えるのは問題ないとはいえ、その装備にやや差がある

徒手空拳でも十分に戦えることを自負こそしているが、
異能者を相手とした場合を考えると、不安がないわけではない

「………」

そして心配事を抱えているとどうにも、気が早る

もう一度彼と、理央くんと話をしたほうがいいんじゃないのか
けれど前に話した時となにか違うことを自分は彼に言えるだろうか

……恐らく、何も言えないだろう

自分の無力さに苛まれながら、スラムの路地を歩いてゆく
…考え事をしながらの警邏活動など、普段なら絶対にしないものなのだが

ご案内:「スラム」に殺音さんが現れました。
殺音 > ここのところのこのあたり。
バケモノ騒ぎや風紀の襲撃…誰も彼もが心の休まる時間など無い。
みな、死の影に怯え、あの腕章を憎み、恨みながらも
その存在から身を隠す。
だれだって…死にたくはないのだ。
そんなスラムに現れた、黒い灰被り姫…こと伊都波 凛霞。

便利屋コロネは慎重派。
正面から相対することはない。
ああいう手合は一番相手にしてはいけないと知っている。
が、だが…
どうせ近いウチ奴等にやられるというのであれば…

崩れかけた建造物の上から彼女に声をかける。

「あんた、なにしに来たのさ。そろそろこのあたりの奴等皆殺しにする算段でもついた?」

伊都波 凛霞 >  
降り掛かる言葉
その気配に気づいていたのかいないのか、特に驚いた様子は見せず
小さく息を吐いた後に視線を上へと向けた

「…見ての通り、風紀委員のお仕事をしにきたんだよ」

言いつつ、制服の左腕に取り付けた腕章を引っ張って見せる

「──皆殺しなんて、人聞き悪いね。私は派手なことしても極力犠牲者は出さないようにしてたはずなんだけどな」

──明確には、異能犯罪者を一人。已む無くその場で命を奪ったことがあったが。それを便利屋たる頭上の少女が知るところかまでは、伺い知れない

殺音 > これみよがしに腕章を見せる女。
みての通り、知っての通り。
だからこそ気に食わないってのに。

「あははは、まるで厄介者相手って感じじゃん。ウケるわ。
皆の反応見てわかんねーの?ここじゃ、あーしよりあんたらのほうが厄介もんだってのにさ」

正直彼女がヤバいくらいの戦闘力を持つことしか知らない。
彼女が殺したことがあるとかもまぁ、知ったことじゃない。
だが、そうではない。

「アンタの話なんてどーでもいいの。あんた『ら』がやってることはそーでしょーが」

伊都波 凛霞 >  
「………」

言い返すことが出来ない
此処、落第街で大規模な戦火を拡大しているのは紛れもない風紀委員のやっていることだ
彼らと自分とは、この街への向き合い方も違うということを口で言ったところでそれは此処の住人にとって何の意味もないことだろう

「…それでも、少しでも犯罪行為の抑制に繋がるように、こうやって見回るのが仕事だからね」

武器の流通や、凶器を持って集合する者達が表にいれば早期の発見に繋がることもある
無論見えない場所でこそ行われるものだろう、が…
逆に言えば表立ってそれが行われるようであれば、大きな犯罪の前触れに他ならない

「大事が起こってるからって小事を見逃す理由にはならないから」

少しだけ震えた声
それは自分に言い聞かせっるように言っているようにも聞こえた
…かもしれない

殺音 > 気丈に振る舞っているように見える。
自分の仕事は正しいと、こちらの言ってることがお門違いと
平気の平左という様子で。

「あんたらが大事起こして、あんたらに抑圧された奴等が小事を起こす?
だったらぁ!いつもやってるみたいにやりゃいいだろ!
皆殺して平らにしてーならそーしなよ。
それが嫌なら、はじめっからこのあたりもきれいな街にしとけばよかったじゃん。
そういうプランってあんたらとか生活委員の連中が相談してたてんでしょ?」

インフラ整備ももはや行われず、学園に馴染めないもの…放逐されたものが集まり燻り
誰の手も入らぬようになったからこそ、犯罪を企むものが集まるようになった
多くの人の中には生きるために底に所属するようになったものもいる。
それを今更表の人間が介入し、生死を問わない大暴れ

「ストレス解消に違反部活があると思われたら大暴れ…厄介もん以外のなんなのさ。
最近出てきた化けもんだって、あんたらの仲間が原因だって話じゃん」

伊都波 凛霞 >  
「君の言う通り、かもしれない。──でもそうはならなかった」

整備し、綺麗な街…歓楽街と異邦人街の中間の都市として開発していたら?
もしかしたら、こんな、少女の言うような掃き溜めにはならなかったのかもしれない
しかしそうはならなかった
受け入れる態勢が不十分だったのかもしれないし、
受け入れてもらう側も、信用が足りなかったのかもしれない
──どちらにせよ、歴史にIFはない

「それでも手を求める人には私は手を伸ばそうって思ってるから」
「そういう意味でもこうやって見回りをしてるんだよ」

もちろん、今の落第街の状態でこんな平和惚けもいいところの言葉が通じるはずもない
それを判っていながらも、なんとか笑顔を作ってみせた

「君は、ずっと此処で過ごしていくの?」

殺音 > 「あんたらにとっちゃ他人事かもねー」

そうはならなかった。
たしかにそう。
だが、多くの異能者がいるこの街で…
このような場所を残した。
なまじ街の名残があれば、それを頼る者たちが出ることなど自明だったはずだ。
そうならなかった…たしかに。しかし、そうだ。
そうしなかった。そういうことだ。
そして自分は、そういう場所で生まれてしまった。

「いつ自分の首を絞めるか…いつ自分の命を奪うかわかんねーやつの手なんかとるかよ
あーしだって、できりゃおさらばしたいけどねー」

そんな金も、力もなければ、学園に入れるほど品行方正でもない。
自分は二級学生ですら無いのだ。

伊都波 凛霞 >  
「それはどうかな?私に限らず、誰にとっても他人事だよ。
 共感できるものの数が多いか少ないかの違いだけ」

言いながら、頭上に声を向けると共に、その手を伸ばしてみよう
…少女とは距離もある、物理的にも、精神的にも。届くわけがないそこへ、手を伸ばして

「そうだね。信用できない相手の手はとれない。
 じゃあ、どうしたら君の信用を得ることができるかな?」

笑みは続けたまま、手も伸ばしたまま…

「それを自分で考えろ!なんてことは言わないでね。
 他人事の延長じゃ、永遠に信用なんて得られない。君の信用を勝ち取る方法は、君自身しか知らないことだから」

警邏なんてそっちのけ、目の前の、この街の住人である少女に真っ直ぐに視線を向けて
…よくも悪くも、この女生徒が"普通"の風紀委員とは少し違う…変わり者であることは伝わるだろうか

殺音 > 「じゃ、あーしはあんたらにゃ共感できない」

手をのばす様子を見せる女。
眉根を寄せて不機嫌そうにいえば
つばを足元に吐く。

「考えなくてもいい。
どーせ、共感できない相手だし。
信用は、できない。勝ち取れない。得られない。
そりゃそーだろ?なんで信用されると思ってるのさ」

変わり者には違いない。
だが、そうだとしても、その腕章をつけたものに対しての印象が覆ることはない。

伊都波 凛霞 >  
苦笑して、手を引っ込める
こうなることは当然わかっていた
けれどそれでも差し伸べられている手はあるのだ、ということを示したかっただけである
過去を振り返ってみれば実際にこの手をとってくれた人など、片手で数えられる程度しかいなかった
それが己の力不足なのか、根付ききった軋轢のためなのかは、わからないが

「信用されるなんて虫の良いことは思ってないけど、信用されたいとは思ってるかな」

「そのために私に出来ることがあって、それで誰かの手を引いていけるならそれでいいかな、ってくらい」

「…今は何も、なさそうだけどね」

不機嫌そうな少女を見上げる
…確実に、この辺りの住人との軋轢は広く深く…抉れていることを実感する

「気分を悪くさせてごめんね。
 でもさっさと出ていくってわけにもいかないから」

殺音 > 「されたい…ね」

誰だってそうだ。
そう思うこと事態は自分も商売をしている以上、ある。
だがしかし、彼女個人はそうであっても、彼女の所属する組織はどうだろう。
信用をうっているだろうか?
いや…その答えは…

「ちっ…」

舌打ち一つ。

伊都波 凛霞 >  
「上辺だけの謝罪ならすぐにでもできるよ。"彼ら"に代わって頭を下げることだって。
 でもそれをしたところで無意味なことは私にだってわかるもの」

小さく頬を掻きながら、小さな歯がゆさを噛みしめる

「だから求められることに応えようとすることしか今はできないんだよね…。
 私が風紀委員のおえらいさん、だったら良かったんだけど」

残念ながらヒラですので、と再び苦笑

「……もし気が変わったら声かけてね。
 私は出来る限り、沢山の"人"の手をとりたいな、って思ってるから」

手を伸ばしてもらわなければ手を取ることは叶わない
けれど信用を得られなければ、手を伸ばしてくれることはない
ならば信用を得るために求められたことをしよう。応じよう──
そのスタンスは落第街でなくとも、正直いいカモである

もうちょっと器用にできればいいんだろうけどなあ、なんて内心で思う

殺音 > 「へんなやつだな…
黒い灰被り姫なんて名前のくせに」

そんな恐怖に彩られたダッサイ呼び名をもらってるわりには
変なところで穏やかだ。
少なくとも、彼女にとってはスラムの住人も『人』ではあるらしい。

伊都波 凛霞 >  
「う…っ、あ、あれは勝手にそう呼ばれてるだけで別に自分で名乗ってるわけじゃ… あ」

自分らしくないうっかりミス
そういえば今日は外套を外しているんだから肯定してはダメだった
…まぁ別に変装をしているわけでもなく、黒い外套を羽織っているだけ素顔バレ程度は当然なのだが
なんだかこう、正体を晒している感じで心地が悪い

「…ええと、今日はフツーの風紀委員ですので。
 そのヘンなヤツっていうのは、否定しないけどもね。
 私の風紀委員としての活動なんて、ぬるくって見てらんないって人も多そうだもん」

そう、自分にとってはスラムに生きていたって人は人だ
そういった問答で同僚と言い合いになったこともあったりはしたけれど…考え方はまるで変わっていない

異邦人だって、耳が尖っていたって、竜みたいな見た目をしていたって、言葉が通じるなら言葉をかける
それに固執しすぎて意思疎通の図れない相手を見誤ることもあるのは、ちょっと問題だが

殺音 > 「ふぅん」

そう呼ばれている。
つまり周りはそうみている。
それが彼女の言う信頼につながらないことの証左なのだが…。
自分は便利屋であるがゆえ、彼女が何者か知っている。
肯定されたところで、知ってることだ。なんとも思わない。

「そーだな…伊都波 凛霞。18歳、風紀委員、異能はサイコメトリー。
古武術を操るけど、何でもそつなくどころか最高基準でこなす天才。
自宅は青垣山…なーにがふつうだよ」

ポケットからボロボロのメモを取り出しペラペラとめくって読み上げればハンっと鼻で笑う。

「あーしはどーでもいいけど、昔みたいにカラダ使えば
男どもには歓迎されるんじゃない?
手どころか足も腰もとってくれるっての」

たしかにぬるいし、甘い。
情報にある強姦事件から立ち直ったのは素直に驚くが…
それでこのぬるさというのも妙な話だ。

伊都波 凛霞 >  
「あらら、よくご存知で…」

的確な情報を口にされれば、ややバツの悪そうな顔
普通、というのも使い所が難しい言葉である

けれど続いた言葉には、一瞬呆けたような表情を見せてから、その顔を少し伏せる
手を伸ばそうという自分の言葉を誂う、揶揄する発言だということはよくわかる
普段はもう過去のことと割入り、忘れた素振りで過ごしていてもはっきりとそれを指摘されれば…
ひどいなあ、なんて笑って流すことは……できなかったらしい

「……そういうの、とは…ほら、違う話、だから」

声色をいつもどおりに戻そうとして、わずかに声が震えた

殺音 > 明らかに反応が変わった。
ぬるい態度から一転、なにかに耐えるような態度と
僅かだが、沈み、震えた声。

「ここで裸になって街ん中一周してきたら信用してやるって言ったらやるのか?
やんねーでしょ?昔みたいにされちゃうもんな?そんなの嫌だもんな?
こわいもんな?」

同じ女だ。
自分は幼いが、そうされることに強い抵抗を持つ気持ちはわかる。
だが、だからこそだ。
信用されるためなら求めに応じる。
そんな事を言うやつであれば…できないことを突きつけられれば…

「どうしたら信用してもらえるかなんて、手をとってもらうなんて
自分の手と体の汚れをみて考えろっての。手の汚れの方は、風紀委員って組織…いや…
鉄火巻ヤローを恨みな」

伊都波 凛霞 >  
「……」

きゅ、と唇を噛み締める
わかっている、出来ないのだとわかった上で、投げかけられている
試すだとか、そういったものじゃない
実際に言う通りにしたところでそこに信用は、恐らく生まれないだろう
──が

「…それで信用が得られるとは思わないけど」

ゆっくりと、自分の襟元へと手をかける
声の震えは少しずつ、おさまって

「私が本気でそう思ってる…ってことは伝えられそうだね」

するりと制服のリボンを解く

「……言うとおりにして私のことを嗤うだけだったらそれなりに怒らせてもらうけど、
 本当にそれで君が私の言うことを信じるなら……言うとおりにしようか?
 ──どうせ、君の言う通り汚れたカラダ、だけど」

じっ、と視線を向ける

殺音 > 注がれた視線。
制服のリボンを解いた手。
震えの止まった声。

その様子を見れば口を閉じ、目を細める。
イカれてるのだろうか?この女。

「嗤う気はないけど、信じるわけもない。信じてもらえるとも思ってない。
でも自分は本気だと示すために慰み者にされることもいとわない?
それでよくふつーなんて言えたもんだねぇ。
『イカれた便利な女』以上なんも思うことはない」

女の近く、小さな小石と自分の位置を『入れ替え』傍に立ち

「こんな腕章がなけりゃ少しは手を伸ばせたかもしんないけどな」

風紀の腕章を掴み、引っ張る

伊都波 凛霞 >  
「君に言われたからやってみようとしただけ、信用が得られないなら、やらないよ」

そしてまるで一瞬で自分の側に降り立った少女に目を丸くする
目にも止まらぬ…特殊な歩法か異能か何かかと、当たりをつけて

「いや『フツーの風紀委員』であって私自身が普通とは…まぁ、いいけど…」

イカレた便利な女、という言葉にも微妙に反論がしづらい
仕事などもちょっとお願いされるだけで断れないタイプな自分は、さぞ便利な女だろう

風紀の腕章を、引っ張られる

「……落第街に色んな人がいるみたいに、
 風紀委員にも色んな人がいるってこと知ってもらえただけでも、十分かな…」

怖い人もいれば、変な人もいる…
第一印象を変えるには言葉を交わすのが一番手っ取り早い

「でもこの腕章をつけてるからこそ、それなりの権限で誰かを救えるわけで」

そう言って苦笑い

殺音 > 「この腕章があるからみんな怖がって信じやしないってのに
信じてほしいから言われたままにとかどーかしてるし」

風紀という組織そのものの印象は、あまり変わらない。
彼女がこうしていたとしても
彼女が鉄火巻ヤローを止められてない以上
それを肯定するものだということだし、否定していたとしても
それを止める力も意思もないということだ。

だが、このイカレ女はどうやら本気のようで…

「あーしが女好きで、ヤラせてくれたら信じるって言ってもそーしたんで?」

やや乱暴に腕章から手を離してから
その横…
暴力的にまでに目立つ肉塊を鷲掴み。

伊都波 凛霞 >  
「風紀委員にも色々内情なんかもあったりしてね…。
 話せばわかる、なんてことは言わないけど」

ほんの僅かでも距離感は、変えようと思えば変えられる
もちろん希望的観測に過ぎないことは、わかった上で
それでもあくまでも"人"を保護する立場であるならば、此方から寄り添うのは…筋だろう
と、凛霞は思っていた

「う…意地悪なこと言うね…。
 さっきも言ったけど、そんなことで信じるなんてことにはならな──」

敵意とか殺意を伴わない行動に、少々この女生徒は鈍いらしい

「──…」

ずっしりとしたそれを鷲掴みにされ、声を出すのも忘れて硬直していたという

殺音 > 「なるならって話なんで」

もちもちむにむに。
なんだこれ。
同じ女だとして、自分が成長してこんなもんがここにつくのか?
それはないだろう。
そういう意味でもこの女はふつーとは言えない。
まさに暴力的だ。
むにむにむにむにむにむに

伊都波 凛霞 >  
「──それ、は……ッ」

自然を声が上擦る
無理もない、まるで想像していない状況になってしまった

──もし、目の前のこの少女が誰かに救いを求めてその手を伸ばしていたら
それが自分の手の届く範囲であったなら、必死に手を伸ばす
手をとってもらうことに必要なことがあるならば、それを迷うこともないだろう

「本当に、そうなら…」

………

「わ、わかんない──」

ぶしゅわわわ…と真っ白な湯気が出そうなくらいに真っ赤な顔になっていた
完全に驚いた姿勢のまま身体も硬直。ややされたい放題である

殺音 > 過去に好き放題にされた経験がありながら
恐怖というよりも…なんだろう…
予想外の反応。
それこそまるで、初心な少女のような。むにむに。

「手をとってほしーならそうするんじゃないんで?」

ちょっと意地悪かもしれない。
でも、なんかそうさせる空気を持っている。
なんか、もうちょっと弄びたい。

「あーしに信用してほしいんでしょー?どうなんー?おー?」

もにもに