2020/12/08 のログ
日下 葵 > こつ、こつ、とブーツの足音を静かなスラムに響かせていく。
この時期になっても店を出している露店の様子を見ながら、
怪しい者がないか確認していく。
今までの見回りで顔見知りになった店だったり、知っている店が多い中、
今まで見た記憶のない店もあった。

「初めて見る店だと思ったら、クリスマスに向けての店ですか」

ちょっと立ち止まって見せの様子を伺うと、
なんとクリスマス向けのプレゼントを扱っている店の様だった。
こんな場所にもサンタはいるらしい。
そんな皮肉なことを考えながら、商品を一瞥する。
店主は何か取り締まられるんじゃないかと心配して落ち着かない様子。

「……ふうん。
 ”特 に 気 に な る も の は あ り ま せ ん ね”
 なんですか、その顔。何か取り締まってほしい物でもあるんですか?」

普通のプレゼントに紛れていくつか違法なものもあったが、
これといって取り締まることはしなかった>

日下 葵 > 「なんでもかんでも取り締まるようなことはしませんよ。
 そんなことをしていたら仕事がパンクしてしまいますから」

拍子抜けな顔をする店主に呆れたように肩を竦めて見せると、
一歩近づいて耳打ちする。

「言っている意味が解りますね?
『些細なことは見逃してやるから、派手なことはやるなよ?』
 ってことです」

そう言って離れると、再び商品を一瞥した。

”クリスマスですか。そうですねえ、私も何か用意しておきましょうか”

今までクリスマスとは無縁、とまでは言わないまでも、
わざわざイベントの為に何かを用意するようなことはなかった。
でも今年は違う。
可愛いペットも居るし、恋人もいる。
どちらも大切な存在だ。
プレゼントの一つくらい用意しても、怒られることはないだろう。

そんなことを考えていると、
店主から『何か買っていきますかい?』なんて言われる。

取り締まられないと知って調子に乗った店主を軽く殴って黙らせれば、
再び警邏の為に歩みを進めるのだった>

ご案内:「スラム」から日下 葵さんが去りました。