2020/12/25 のログ
ご案内:「スラム」に『虚無』さんが現れました。
『虚無』 >  
 スラムの一角。少し高い廃墟ビルの屋上。そこに腰を下ろしスラムを見下ろしている影があった。
 世間はクリスマス。スラムはいつも通り? 否、どこかスラムにもいつもに比べると柔らかな空気がある。
 スラムの一角がまるで一つの家族のように。寄り添って小さなパーティのような物を開いている景色がここからも見えていた。
 そんな自身も手元に転がすのは黒いテーピング。

「まったく、あいつもよく気を回すな」

 思いだして少しだけ苦笑いを浮かべる。本当におせっかいなサンタクロースだと。
 だがプレゼントをもらうなど恩人に拾われて以降初だったのもあり、そう思いながらもどこかうれしかったりもしていた。
 眼下を見る。少しだけ柔らかなスラムを眺めていた。

「せめて今日くらいは静かだといいんだがな」

 いつもは犯罪の絶えないスラム。しかし今日くらいはと思ってしまうのは悪い事だろうか。

『虚無』 >  
 場所が変わっても住んでいる人が変わるわけではない。
 クリスマスには祝うし元旦にはみんなで集まる。むしろここの方が周りとのつながりも強いのではないか。そんな風にすら感じてしまうほどに眼下のスラムは柔らかな雰囲気を放っていた。
 外のように夜景があるわけでもない。イルミネーションがあるわけでもない。
 だがところどころにある火の明かりが、そして小さく聞こえる歌がここにもまたクリスマスがあるのだと感じさせる。

「何か食べ物でも持ってくればよかったな。少し……味気ない」

 眼下のスラムから目を反らし上を眺める。
 上は上で星が広がっていた。そこはこの街も外の街も変わりない。

『虚無』 >  
 小さな声と共に流れてくるクリスマスの歌。
 それに合わせるように鼻歌を歌う。
 せめて彼らが1日でも多く幸せにいきられますように。
 そう願った。

ご案内:「スラム」から『虚無』さんが去りました。