2021/01/22 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
スラムというものは、貧民層の住居……という一面以外にも様々な側面を持つ。
例えば、違法な品々を取り扱う闇市。犯罪者の隠れ家。違反部活による人狩りの狩場。
そして今宵は――狭苦しいバラック小屋の隙間をすり抜け、こじ開ける様に、一台の高級車が『逃げ道』として使用していた。
「………素直に投降すれば命までは取らぬのだがな…。此処に逃げ込まれると、色々と面倒なんだが…」
逃げ惑う高級車を、遠くからのんびりと眺める少年。
背後に控えた金属の異形達は、物言わず主に付き従うばかり。
「……まあ、もう済んだ話ではあるが」
視界に映る高級車はどんどん小さくなっていく。
時折バラックの陰に隠れ、姿を見失う事もしばしば。
だが、少年に焦った様子は無い。甘ったるい缶コーヒーで、喉を潤す余裕すらある始末。
「……さて、生きていれば良いのだがね」
ぱちり、と指を鳴らした瞬間。
甲高い音と共に、異形の一体が物々しいまでの長砲身を掲げ――砲弾を放つ。
所謂『電磁砲(レールガン)』と呼称される兵器。制圧火力は兎も角、その威力と初速は申し分ない。
此れを異形で再現するのは些か骨が折れたが、漸く形となりつつあった。それを、高級車に向けて数度、放つ。
数秒と経たずして――爆音と共に吹き飛ぶ車の残骸が宙を舞う様が、此方からでも視認出来た。
■神代理央 >
今回追っていたのは所謂金融関係に携わる違反組織の幹部。
既に組織そのものは刑事課を中心とした風紀委員達によって制圧されていたが、幹部クラスの面々は情報を察知して逃亡を図っていた。
その内の一人が丁度落第街へ向かっていた己と鉢合わせ。
異能の砲撃を交わし続けた操縦技術は素直に感嘆に値するものであったが。
「……証拠とか色々、残っていると良いんだがなあ」
異形達を引き連れて、のんびりと車の残骸へと向けて歩き出す。
本来危険な地である筈のスラムだが、己にとっては自宅の中庭に等しい。
無数の異形を従え、のんびりと"現場"へ向かう様をスラムの住民達は様々な――主に負の――感情を込めた視線で見つめているのだろうか。