2021/02/02 のログ
ご案内:「スラム」にF.U.R.Yさんが現れました。
■F.U.R.Y >
「――――」
スラムに、一人の男がやってくる。
ここに戻ってきたのは何度目だ。
少し前までは住んでいた筈が、月にいつの間にか数えれる数程度戻ってくるだけになってきやがった。
相も変わらず、いるのは阿呆共ばかり。
少しばかり前に人が一気に減りやがり、その後になってまた阿呆共が群がりやがって。
治安も随分クソだ。
元々クソだが。
「――――――かったりィが、仕方ねェ」
ケッ、と唾を吐き捨て……かつて自分が生きていた寝床の辺りに立つ。
ここらの人間は前はクソの中でも幾分マシな奴らが揃っていた。
そこにいた奴らは、今はもう土の下だ。
弔う気はねェ。
どうせロクでもねェ死に方するのは知ってて此処にいた奴だ。
そんなモンを、オレに求めちゃいねェ。
だったら、何しに来た?
簡単な話だ。
■F.U.R.Y >
「―――――――」
左腕を握りしめ、力を籠める。
込めるのは”怒り”だ。
兎に角、体の隅から隅に滾る感情を、拳に集める。
それが力になり、形になり、オレの腕は”変わる”。
黒々とした溶岩を塗り固めたような、バケモンの左腕。
怒りの象徴。ニンゲンじゃあなくなった証。
さんざネェ頭で考えたが、やっぱコイツが一番”オレ向き”なやり方だ。
「……阿呆共がよ。
オレがいねェ間に随分と荒してくれたじゃねェか……
”オレのシマ”をよォ」
変わりきった腕。
もっとだ。
もっと怒れ。
何に?
今この面倒くせェ状況を作りやがった連中全部だ。
人様の住処を勝手に荒した奴。
人様のツレに手ェ上げやがった奴。
人様が消えた事を良い事に好き勝手胡坐かきやがった奴。
勝手にオレの事を頼り、良い奴だのなんだの抜かす馬鹿共。
面倒臭ェにも関わらず、放り捨てもできねぇオレ自身。
だが足りねぇ頭。
全部を込め、右腕でその湧き上がる感情の渦で出来た左腕のを思い切り押し込む。
はちきれそうなソイツに、駄目押しを一発決めりゃ……それが合図だ。
「…‥‥…ラース……オブ……」
■F.U.R.Y >
「ドゥオ…‥‥…ッッッ!!!!!」
――――”ソイツ”は、怒りを爆発させるための掛け声みてェなモンだ。
溜めたモンを爆発させる、ただの言葉。
大事なのはその後。
ただ、爆発したソレを、地面に、殴りつけるだけ。
全力で、何も考えず。
ありたけを、ただ、ぶつけるのみ。
■F.U.R.Y > ―――――――スラムの一角に地響きが鳴り響く。
それと共に、巨大な爆発が起きたかのように、砂ぼこり……いや、嵐と呼ぶのが正しいのかもしれないそれが、巻き散る。
不幸にも近隣にあった家屋の内、既にボロとなっていたものはその衝撃で音を立て崩れる。
辛うじて残る家屋の中にも、砂塵と衝撃で亀裂が走るだろう。
そして、それを起こした張本人のいた場所から、おおよそ半径3,40M程は、まるで隕石が落ちたかのようにクレーター状に”抉られ”る。
あるのは、その中心地点で佇む男一人だけ。
他には、何もない。
「……――――」
巻き込まれた奴がいるかなど考えてはいないが、なるだけ阿呆共以外いねェ場所を選んだつもりだ。
その証拠に轟音を聞きつけて姿を現す奴らは、どいつもコイツも見覚えのあるようなゴロツキに毛が生えたようなツラばかり。
それで問題ねェ。
ソイツらに用があって来たんだコチトラ。
■F.U.R.Y >
「―――――――」
息を吸い、肺が膨れ上がるまで空気を詰め込む。
こっからすんのは”宣戦布告”だ。
どいつもコイツも耳揃えて聞きゃいい。
■F.U.R.Y >
「良く聞けや、クソ共ッ!!
今からここァ”オレのシマ”だッ!!!
オレのシマで気に要らねぇ事する奴は誰だろうが関係ねェ……ブッ潰す!!
死にたくねェならさっさと消えやがれや!!!」
■F.U.R.Y >
「文句ある奴ァ……今直ぐかかってこいやゴラァアアッ!!!!」
■F.U.R.Y >
人とは思えぬ轟音のような声。
ここにいる気に入らねぇクソ共に向けての宣戦布告。
分かりやすくケンカをふっかけてやる。
あとは一人ずつココを諦めるまでブッ潰してくだけ。
ここに、寄り付く気すら起こらなくなるまで、徹底的に。
随分と難民共を置いとく場所で頭悩ませたが、結局ァ簡単な話じゃねェか。
場所がねェ?
なら作りゃいい。
どうせムカつく奴らを潰すしかできやしねェんだ。
それならそれで作る。
邪魔すんなら……ソイツらを潰す。
それだけだ。
■F.U.R.Y >
―――――――某日、スラム街の某所。
一人の男が、その地に”宣戦布告”を行った。
男はその場所を”自身の領地”と宣言。
そしてその地を縄張りとしていた悪質な違反部活郡を攻め入り、抵抗する違法部活郡の多くに壊滅的被害を与えた。
早々に撤退を行った一部の違反部活は拠点を移す事となり、壊滅せずともその活動に大きな打撃を受けたという。
たった一人でスラム街の一部に宣戦布告し……数週にも及ぶ抗争の末に自らの領土を得た男は、こう呼ばれる事となる。
”憤怒の獣”と。
ご案内:「スラム」からF.U.R.Yさんが去りました。