2021/03/03 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
落第街への物流を取り締まり始めて数日。
今のところ、住民の生活や落第街の根幹が揺るぐ様な大規模かつ広範囲な取り締まりは行っていない。
そもそも、其処まで手広くやるだけの人員もいない。
此方が行っているのは、あくまで大通りや大規模な輸送、搬送の取り締まり。
トラックでの搬入は監視できても、徒歩や異能、魔術等を用いた輸送迄は監視しきれない――という程度のもの。
一見、手温く見えるかもしれない。しかし――

「……どんなに軽微でも"影響が出ている"という事実だけ『表』で支援している連中に伝われば良い。落第街の連中に、経済活動というものを教えてやらねばなるまいしな?」

落第街の経済圏は、全てが『裏』だけで完結している訳では無い。
完結出来る訳がない。
だからこの取り締まりは寧ろ――『表』を締め上げているに等しい。
"違反部活へ物資を提供すればどうなるか"
"輸送に協力すればどうなるか"
それを、具体的な数字――所謂金銭――として、教えてやれば良い。

「……とはいえ、此の地区への物資流入はデリケートな問題ではあるが…」

落第街の最奥。泥濘の掃溜め。
そんなスラムの入り口とも呼べる通りに築かれた検問所を少し離れた場所から見守りつつ、小さく溜息を吐き出した。

神代理央 >  
スラムは、落第街の中でも特に生活環境が悪い地区だ。
偏在する建物も、薄汚れた集合住宅やバラックの類が殆ど。
大通り程の活気も秩序も無いが、生命力には満ちている。
そんな区域を訪れる車両といえば、人道支援を語った物資の搬入が殆どだ。
流石に、それを追い返す訳にもいかない。

(…まあ、本当に"慈善活動"であれば別に後ろ暗い事も、書類も物資も問題無い筈ではあるのだがな)

ちょうど目の前で、検問所を通り抜けられず運転席から運転手が引きずりおろされ、トラックが隊員によって移動させられているところだった。
この車両は『表』に実在する生活支援の部活動の依頼で物資を運搬している――という偽造書類だけは持っていたが、問い合わせをすればそんな依頼はしていないとあっさりバレてしまった。
荷物を改めれば、一見風邪薬だの包帯だのといった医療物資ではあったが――錠剤もカプセルも、簡易な検査にかけてみれば全て違反薬物。

勿論、本物の医療物資も積んではいたのだが。
此の物資がスラムに行き渡る事は無いだろう。
車両も中身も、全て此方で押収してしまうのだから。