2021/10/13 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
この日、風紀委員会の面々はある委員の行動予定表に首を傾げる事になる。
ついで、何時もの様に提出された許可証だの申請書だのの内容に、更に首を傾げる事になる。
というか、傾いた首がゴキリといきそうな勢いだ。
尤も、特務広報部という半ば私兵集団と化した面々の申請書など
部長が自分で作って自分で判子を押すだけだ。
余程大規模な事案なら兎も角"今回"の様なものであれば特に。

「……そうだ。A班とB班はそのまま現地を警護していればいい。
C班からE班は、ミーティング通り各員に連れ添って護衛につけ」

スラムの一角。何処にでもあるような廃墟。
廃ビル、ですらない。単なる廃墟。
其処に、タブレット片手に四方に通信を飛ばす少年委員の姿があった。

「…そうだ。最重要で守るべきは、連中でいい。
………何のために其処に本部を置いたと思っている?
何、怖がられていて困る?私が知るか。
各自のコミュニケーション能力で何とかしろ」

何時もの様に。厳しい口調で指示を出す。
それは、部下達にとっては慣れた事、ではあるのだが。

「……ミーティングを聞いていなかったのか?
帰ったら折檻……………冗談だ」

「今回の護衛対象は『芋煮会』と『ボランティア部』の炊き出しだ。
炊き出しの現場に仮の警備本部を設置し警護。
及び、スラムの居住区を巡回しての支援物資配布活動の護衛」

「我々は些か敵意を買い過ぎている。だから、なるべく前に出るな。
今回の任務は、我々の顔を売る事ではない。ボランティア部に
借りを作る事でもない」

「あくまで、唯の警護だ。それを、忘れるんじゃないぞ?」

神代理央 >  
さて、通信を終えれば無人の廃屋で一息。
懐から取り出した煙草に火を付ければ、蛍の様に揺らめく焔。
そして、甘ったるい紫煙が室内に漂う。

「……さて。先ず一手は打った。
此方が動かなければ、情報も得られぬだろう。
動いてやったぞ。最初の手を、晒してやったぞ」

ぷかり、と紫煙を吐き出す。
誰に向けた訳でもない独り言が、崩れかけた室内に木霊する。

「人気取り、と取るか。懐柔、と取るか。
降伏宣言と取るか。
好きに取ると良い。そして、思う様に動くと良い。
こういった知謀策謀は不得手なのだ。そういった事は
出来る者に任せたいところだったが…まあ、仕方あるまい」

まだ見ぬ敵へ。
心当たりはある。しかし確証はない。
そんな、敵へ呟く独り言。

「私から、仲間を奪ったのだ。得意技を奪ったのだ。
相応の覚悟は、して貰わねばな?」

ご案内:「スラム」にモノ・クロさんが現れました。
モノ・クロ > 「何か楽しいことないかな~」
そうつぶやきながら、スラムを練り歩くモノ。
彼女の姿を見るやいなやスラムは静かになる。
いくら生気の少ないスラムとはいえ異常である。
理由は、『彼女ら』に狂わされた人間が少なからずいるからだ。こういう危険情報は、スラムだからこそ広まるのが早い。
助けを呼べる立場ではないからこそ、なのだ。

神代理央 >  
通信が入る。
曰く「炊き出しの最中に急に人が減った」とのこと。
特務広報部への警戒心、という訳では無い様だ。
曲がりなりにもその日の飯にも困っている様な連中が
その程度の事で恐れをなす、とは思えない。
と、言う事は他に何か原因があるのだ。
その日の食糧よりも優先すべき、退避すべき何かが。

「……ボランティア部に危害を出すなよ?
それと、原因が分かり次第すぐに連絡を入れろ。
私も、今から本部に向かう」

と、短く通信を入れて廃墟の外へ。
薄汚いスラムの道路を進み、炊き出しを行っている中央部へ
向かおうとするが――

モノ・クロ > 「…人がいる気配はあるんだけどな~」
そこにいたのは、人型でありながら、あまりにも異常であった。
四肢の先は無く、代わりに全身に張り巡らされた禍々しい紋様が四肢の代わりをしており…開かない右目の代わりに禍々しく光る左目が、更に異常を際立たせる。

目的もなくぶらついているようであり…神代理央には気付いていない。

神代理央 >  
"異常"の原因は直ぐに明らかになった。
というよりも、一目で理解出来た。
此の世ならざるモノ。化け物。怪異…か、どうかは兎も角。
ヒトならざるモノ、であることは確かなのだ。

「………撤収準備をしておけ。念の為、な。
私から30分後に通信が無ければ、そのまま撤収しろ」

短く通信を入れた、後。
此方に気付いた様子の無い"化け物"へ、歩みを進める。

「…今晩は、とでも挨拶すべきかな?
良い夜だ、と気の利いた台詞を並べるつもりはないが」

投げかけた声は、何時もの様に尊大で傲慢。

「話が出来るのなら良いが。理性ある化け物である事を、願いたいものだな?」

と、首を傾げつつ。モノ・クロの前へ姿を露わそう。

モノ・クロ > 「あ、こんばんは!」
見た目からは想像できないような、あまりにも気さくな挨拶だった。
しかしそんな情景とは裏腹に、すぐに異常に気付くだろう。
あの赤い目に見られた瞬間から、粘ついた視線が…勘の良い者なら呪いをかけられている事に気付くだろう。

「化け物って私のこと?」
わざとらしく、首を傾げ。その表情は悪意はなく…ただ子供のような疑問符を浮かべている。

神代理央 >  
「他に思い当たる対象があるかね?」

思っていたよりも理性的…というよりも友好的だ。
だが、向けられる視線は全く以て友好的ではない。
魔眼、の類に近いのだろうか。
ぞわぞわとした、不快感。

「まあ、初対面の相手に化け物、というのは品が無いやもしれぬな。
だが、ヒトならざる見た目の者に他に投げかける言葉もない。
名前すら、知らぬのだからな」

と、そこで少し考える様な素振り。

「……私は、風紀委員会の神代理央。
主に、違反部活や生徒に害する怪異の討伐を行っている。
貴様の名を、尋ねても良いかな?」

向けられる視線にも、呪いの様な重圧にも臆する事は無く。
尊大に、傲慢に。名を尋ね乍ら、首を傾げた。

モノ・クロ > 「私?私はモノって言うの!私、ちゃんと人だよ?」

くるりと回ってみせて。全裸であるが故、扇情的に見えるかもしれない。呪紋が無ければ、四肢があればの話ではあるが。

「あなたって風紀委員なのね?じゃあ凜霞お姉さんの知り合い?」
するすると、近付いて。のぞき込むように見上げるだろう。

神代理央 >  
普通の生徒…いや、普通の人間であれば、彼女の扇情的な姿に
何かしら注意を行うべきなのだろう。
スラムを出歩くには、余りに無防備過ぎるその姿に。
…とはいえ、それは『普通』であればの話。
今の彼女の姿に、男性として興奮を覚える事も、注意を促す事も無い。
強いて言うならば、彼女と出会う者達に注意するくらい、だろうか。

「……まあ、今はそれでいい。モノ、だな。宜しく」

とはいえ、曲がりなりにもヒトを自称するのならそれを否定する事はしない。
むやみやたらに怪異と敵対しても碌な事はない。
味方でなくても、敵対的でなければ――

「……ほう?」

そこで、興味深い名前が出た。
伊都波凛霞。
今正に落第街に囚われた彼女の名前が、怪異から、出る。

「…知り合い、ああ、そうだな。共に戦う仲間、だよ。
モノは、伊都波先輩と知り合いなのかな?」

物腰が柔らかくなる。
高圧的な態度が消える。
"コレ"は使えるかもしれない…と、思考を巡らせる。

モノ・クロ > 「えぇ。と言っても…最近は会えていないのだけど」
クロにこっぴどく叱られて暫く会うのは自粛していたのだ。
いくら夢の中とは言えやりすぎたという自覚はあり、自発的に会うことは避けていた。

しかし。
「…何か企んでるんだ?」
呪いに深く関わってる故に、そういう機微にはかなり敏感だ。