2021/11/17 のログ
ご案内:「スラム」に園刃華霧さんが現れました。
園刃華霧 >  
スラムの荒廃した道を歩く。
まったくもって、此処は相変わらずだ。
ボロボロの建物、ボロボロの人間、薄汚れた空気……

相変わらずで、懐かしい。

「ハぁ……」

小さく、息をつく。
この懐かしさは、二つ。

古い古い過去の自分と、少し前の自分。
少し前の自分は、だいぶ吹っ切れた気がしたのだけれど……
どうもそう簡単にはいかないようだ。

「ソーいや、エイジのヤローとか、どーシてんノかネ」

などと、つい思い出にふけったりして……


「アー駄目だナ、マジで。らシくナい」

思わず、首をブンブンふる。
そうこうしている間に、目的の場所が近づいてくる。

それは、店と言うにはみすぼらしく
それは、屋台と言うにはボロボロで

そんな、朽ちかけたようにも見える、ナニカ、だった。

園刃華霧 >  
「おウ、クソ親父。まダ生キてッカ?」

おそらくは、暖簾だったのだろう、と思わしき布をくぐる
迎えるのは、壮年の男だ。

やっぱり生きてやがったクソ親父

屋台の親父 > 「うるせぇな風紀のクソガキ。何しにきがやった」

男はにべもなく応える。

園刃華霧 >  
「アー、クソ親父がクたばッテないカと思ってナ?
 そノ感じジゃ、マだ先ソ―だナ。
 景気はドーよ?」

相手の返事も意に介さず、どかっと席、らしきものに座る。

「ま、かワらず流行ってナさそ―ダけど?」

屋台の親父 > 「うるせぇ、テメェの言う通りだよ。
 いつもどおり。本当に、いつも通りだ」

ボロボロな周りを見渡しながら男は応える。

園刃華霧 >  
「へいへい、じゃーいつも通り、アタシが少シは儲ケさセてやルわ。
 じゃ、テキトーにヨろシく」

ケタケタと笑いながら遠慮なく注文する。
男は渋面で食事の用意を始めた

屋台の親父 > 「大体、テメェみたいな風紀がこんなとこで飯食ってんじゃねえよクソガキ」

もはや何を入れているのかわからないような、ドロリとした液体をかき混ぜながら男は毒づく。
おそらくは、何かの煮込み……と思われる。

園刃華霧 >  
「ヒヒヒ、見回りッテやつダよ。
 一応、仕事ダぞ? し、ご、と」

相変わらず、けたけたと笑いながら男の言葉を雑に受け流す。

「ま、ホントはたダの暇つブしってトコだケどさ。」

身も蓋もない事を言いだした。

屋台の親父 > 「……ったく、本当にクソガキだなテメェは……」

もう諦めた、というような顔で鍋から不気味な液体……のような何かを薄汚れた器に入れて差し出した。

「腹壊しても……って、どうせテメェのことだから平気なんだろうな、クソ」

園刃華霧 >  
「マ―な。そイつも”いつも通り”ダろ?」

けらけらと笑う。

「ま、気にスんナ。アタシは気ニしナい。
 そレに、クソ親父もマー、飯の種ニなんダろ?
 アー……ナんてッタっけ。そう。
 WIN-WIN、だナ?」

ひひひ、と笑って盛られた不気味な食べ物に手を付ける。


「ンー……相変わラず、まっズいナー? ひひひ」

楽しそうに笑う。
そう。決して、うまくない。
だが、それが、いいのだ。

屋台の親父 > 「うるせーや、クソガキ。黙って食え。
 あと、不味いなら食うな。ったくよぉ」

無愛想に男は言うが、すでに何度も繰り返した会話でもう諦めの境地であった。

園刃華霧 >  
「ひひ、悪いナー。たマには親父のマっずい飯くワねート調子でナいんダわ。」

ケタケタと笑うのは相変わらず
ただ、一言小さく

「……懐かシい感じガすルしナ」

そう、付け加える。

「ソんナわけダかんヨー。親父、さッサとクたバんなヨー?
 食いニ行く先ナいとヤだシな。」

どことなく、しんみりと口にした。

園刃華霧 >  
「……フぅ。さテ……」

何もかもをごった煮にしたような、最悪の煮込み料理をぺろりと食べ尽くした。
やはり、これがこの街らしさだ。
この煮込みのように、ドロドロとして、なにもかもがごった煮にされて。
食べれば、常人では腹を下すような……決して美味ではない。

けれど、どこか……生々しくて、生の根源が沈んでいるような……


「ごッそサん」

対価に、金ではなく食材を置く。
どうせ、この場では紙切れよりも実物のほうが役に立つことは多い


「ンじゃナ。また来るワ。よろシくな」

席を立ち。何事もなかったように、ひらひらと手を振って、その場を後にする。

屋台の親父 > 「二度と来るんじゃねえぞ、クソガキ」

あとに残ったのは、男の小さな罵声のみ

ご案内:「スラム」から園刃華霧さんが去りました。