2021/11/25 のログ
ご案内:「スラム」にダリウスさんが現れました。
ダリウス >  
「うーん…噂には聞いていたけど、実際に見てみるとこれは凄い」

スラムの一角に吹き込む秋風
強い風が運んで来るのは枯れ葉と埃、そして独特の匂い

遠目に件の風紀委員による攻撃の痕跡を伺うことができる場所
わざわざ足を運んでまで此処までやってきたのは、当然理由がある

「驚異的、かな。彼の異能の力は。
 怪異でも異邦人でもない、この世界の普通の人間一人の力でここまでの破壊が可能なのか」

ダリウス >  
「まぁ、実際には色々と異能以外の力も投入されたのだろうけど」

ふーむ、と顎先に手をあて、眼鏡の奥の青い眼を細める

「出力のデータが欲しいな…。

 まだまだこの島には優秀な力を持った若者が溢れてる。
 素晴らしいことだね」

やっぱり自分の目で現場を見ていないと実感できないことも多い
紙の上だけとは説得力が違うな、などと納得する

ダリウス >  
自分の求める研究の為には異能者の協力が不可欠だ
自身が異能者でないのだから、それはもう仕方がない
サンプル、という言い方は余り人道的ではないけれど、当然データや協力者は多いに越したことはない
                    ファミリア
「…接触を図ってみるのもいいかな。最近はみんなの稼働率もよくないし」
「研究も基本はやっぱり自分の手足で稼がないとね」

あちこち行くことになるけど、最近運動不足だしそれもいいかもしれない
データを要求してもあまり期待もできないかもしれないし
委員会の中でも特殊な人員達なら秘匿性も高そうだ

ダリウス >  
この島に来てからは研究室に籠もってばかり
たまにリフレッシュに外には出るけれどその程度
今日ここへ足を伸ばしたのだって、外出ですか珍しいと受付の子に言われたくらいだった

そんな生活をしていればまあ体力も落ちるというもの
40歳を超えてからは徹夜も響くようになってきたし、困ったモノである

「氷架が生まれた頃なんかは2日3日の徹夜は全然平気だったのになあ…、っとと」

普通に歩いていただけで転びそうになった
いやまあ足場がひどく悪かったせいだけど

「…うん。漸く完成も見えてきたし、僕も少し表に出ないとダメか」

ダリウス >  
そのためには協力者がより多く欲しい
特に強力な異能の持ち主の、協力者が

または異能に悩む人間──

異能の制御難易度が高い者
内面に異能を持ちつつも、発現できない者
強力すぎる異能の反動に肉体を蝕まれる者

そういった人間が、望ましい

「(実験台になれ、と言うのも気が引けるんだけどね)」

ぽつりぽつりと、小さな雨が降り始めた
濡れるというほどではない程度の、ゆるゆるとした小雨

ダリウス >  
しかし気が引けたところで、新しい何かを生み出すためには実験が不可欠だ
人に対して使う薬ならば、当然最後は人で実験をしなければならない

サー─……っと降り始めた雨を避けるように、雨宿りのできるビルの影へ

「(…そういえばあの時も色々と言われたな)」

自分の実娘である氷架を治験の対象として選んだこと
倫理的な観点や、人道的な否定の言葉をあの時は同僚からも随分と耳にした記憶が蘇る

まるで記憶の断片が粒となって降ってきているように、雨音が色々と思い出させてくれる