2021/12/11 のログ
ご案内:「スラム」にダスクスレイさんが現れました。
ダスクスレイ >  
夜。
返り血を拭ってスラムを歩く。
今日の盗みはなかなか激しい戦闘を伴った。
帰り道にスラムを通って追手を撒くほどに。

だが、手に入れたのは宝石。悪くない。
原初の輝き、金になる小粒。
貨幣、マネー、紙幣。
私にこそ相応しい。

さて、後はこの……鬱陶しいスラムの住民の視線をなんとかするべきか。

ダスクスレイ >  
高らかに声を張り上げる。

「どうした? 私が持っているであろうものに興味があるのか?」
「ゴミどもが!! 力もないくせに強欲であることは罪だぞ!!」

そうだ。私はお前らとは違う。
私を恐れる者どもよ、常に物陰に怯えながら過ごすがいい。
圧倒的な力、それに支えられる財力……
私は、お前らとは、違う。

人の気配がざっと引いた。
やれやれ。不意打ちでもされてはつまらん。

この刀が小汚いお前らの血と脂で汚れるだろうが。
こいつらは寄生虫でも持っていそうで不潔で不愉快だ。

ダスクスレイ >  
力。力。力だ。
至純の暴力、最強の斬撃。
そのことを考えると腰の虚空が私に囁きかけるような気がする。

私とより強く一体化し、深化するような。
そんな幻想すら抱くのだ。

日々を吐き捨てるように生きているこのゴミどもとは私は違う。
スラム街を漫ろ歩きながら、考える。
こいつらは何故、地を這い回りながら恥を知らない?
自殺する気力すら失っているのか?

足元にコン、と投石された石が落ちる。

「おい」

投げた奴は残念ながらわからなかった。
そうか、こういうことをするのか。

お前らは。

「4、5人殺されないと力関係すら理解できないのか?」

ご案内:「スラム」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 >  
いやーな匂いがする。
昔はそれなりに嗅ぎ慣れた、鉄の錆びたような生臭い匂い。
そういえば、最近はとんとソレの匂いは……う、余計なことを思い出した。
一回忘れよう。

どうせ、今からはそんなこと考えてられない。


「……うワー……」


本来ならまあ、逃げの一手、というところだろうが。
石投げた馬鹿が居る。

まあ、気持ちはわからんでもない。
彼らなりの精一杯の反抗なのだ。

で、あれば

「ヨー……兄さン? 姐サん……ってコとはナい?
 こんバんちハ。だいぶ、景気ヨさソーね?」

へらへらと笑いながら、仮面の怪人の前に立った。

ダスクスレイ >  
虚空に手をかけた瞬間。
姿を見せたのは、女。
闇を落としたような黒い髪にそれを濃くしたような黒い瞳。
風紀委員の……制服。

「風紀委員か………」

目の前でこいつを解体すればあいつらも震え上がるか。

「私のことを知らんとは、仕事熱心とは言い難いようだな」

腰の刀に手をかけたまま喋る。
苛立つ。苛立つ。苛立つ。
頭の芯に火が灯ったかのような怒りが脳髄を浸している。

園刃 華霧 >  
「ハイ、ごめートー。仕事不熱心ヨ。
 デ……ナーんダ有名人?
 アー、待て。今思い出ス、思イ出すカら」

はいはい、と片手を前に出し。
うーん、と考え始める。

仮面? なんかどっかに変態痴漢なヤローの話があったような
でも、刀?

んー……あー……

「……ア、なンか最近お騒ガせナ辻斬りクん?
 アー、ナんだッケ名前。デスクトレイ?」

一応情報はヒットした

ゆっくりと足を動かし、立ち位置をずらしていく。
少しずつ、少しずつ
正面からずれるように

ダスクスレイ >  
このダスクスレイの名前を間違えて覚えているなら。
仕方ないよなぁ………死んでも。
仕方のないことだッ!!

私は虚空からのフィードバックによる身体強化で全身を賦活し。
一足跳びに女に斬りかかる。
袈裟懸け。普通の刀なら、骨のある位置に気をつける。

だが。
この虚空なら。骨も金属も岩も関係のない斬撃を放てる。

園刃 華霧 >  
「っ!」

さてきなすった。
ブチ切れたかな、ダスクスレイくん
そうであれば儲けもん

まあ、このあとはしんどいんだけどさ

すっと……目を細める。

用語とかは知らない。
けれど、斜めに斬りかかってきたのはわかる。

どうせ上等な武器も防具も持っちゃいない。
それに、こんなの小手調べだろう?


「っいショぉっっっ!」

斬撃の線を外すように、体をひねる。

ついでに様子見で当たればちょっと痛い程度の礫を放つ。

ダスクスレイ >  
芥子風菖蒲の肉も斬ったこのダスクスレイの初太刀を回避したか。
なるほど、腐っても風紀委員というわけだ。
飛礫を適当に切り払う。

どうやら巫山戯ているらしい。
その代償はお前か、ここにいる人間の血で贖ってもらおう。

神速、それは因果を斬る刃。
斬り下ろし、斬り上げの二連斬りが。
この虚空で振るえばほぼ同時に襲いかかる。
咬龍剣。

園刃 華霧 >  
ま、そうなるよね!

あっさりと切り払われる石を見ながら思考する。
それにしてもこれ、どうするか。
適当なところで飽きて帰ってくれると良いなぁ

さもなきゃ、騒動を聞きつけたもっと喧嘩向けの連中が来てくれるか、だ

……さて、期待薄な気はするな?

「ッテ!?」

考えている間に、刀の気配が二つ?

野生に近い勘が、魔性の剣閃を読み取る。
わかったところで、ではあるが


「シャレにナらんナ、おマえっ!?」

こりゃマジでやらないとかもなぁ

「っしょッ!!」

何をしたのか

体が一瞬、ブレる。
まるで、消えたかのようにわずか後ろに。
斬線のスレスレの位置までズレた。

そのまま体を奇妙に地面ギリギリまで沈め、足払いを放つ。

ダスクスレイ >  
捉えた!!
完全に斬った、終わりだ!!

その瞬間。

「!!」

相手の体がブレた。
そういう異能か、魔術か。
あるいは………!!

相手の足払いを慎重に後方に飛ぶことで回避する。
相手の異能が次元操作だった場合。
半端な防御で足首をふっとばされる羽目になる。

どうやら慎重にならざるを得ないようだ。
相手の精神的動揺を誘発させるか?

「お前が何を考えているか当ててやろう」
「こうしている間に武闘派の風紀委員が援軍に来ないか? だ」

「無駄だよ」

「私の惨劇の伝説を血に彩るために、私は受けた屈辱を第三者に返す」
「ここでお前が私を虚仮にした分だけ、一般人を殺す」
「お前の態度次第で手打ちにしてやらんでもないがな……」

演劇のようにゆったりと、優雅な動作で。
左手の指を下に向ける。

「頭を垂れろ、私に首を刎ねてくださいと懇願しながらな」
「お前の命で全ての罪を贖える……というわけだ」

園刃 華霧 >  
「チぇー……」

慎重に離れる相手から視線を外さないようにしながら、素早く立ち上がる。

「っ」

つぅ……と、温かいものが流れる。
はらり、と縦に上着が裂ける。

「マじっカ、おマえ……腕か?刀か?
 空間トか斬れタりスんの?」

避けきったと思ったんだけどな
やべーやべー
てか、服まで斬れたじゃん
そっちもやべー。他の連中に誤魔化し効かないじゃん、これ

「ハ、ナーるホど。そウいう性格?」

なかなか愉快なことを言う
この手の連中は山程見てきた


「アタシの首デ勘弁シてクれルって?
 あっソ。ンじゃ……おネがい……」

頭を垂れ……

「スるわケないダろ!」

虚空から、拳大の石が弾かれたように飛ぶ。


「ドーせ、アタシを斬っタって他のヤつを斬ルだロ?
 アタシ一人程度デ満足スるヨーなタマじゃナいだロ、オマエ!」

地に伏せるトカゲか何かのように、異様に低い姿勢でそのまま飛び込む。

ダスクスレイ >  
相手も完全に無敵とはいかないらしい。
となれば、攻めれば勝てる筋はある。

だが相手の異能の詳細がわからない現状ではあまりにリスキーだ。
私は火に飛び込む虫けらとは違う。

「両方だ、私が振るえば虚空は世界を斬る」

さて……どう解体してくれようか…

また飛礫が来るッ!
切り払い、そして。

「!!」

突っ込んでくる、が……姿勢が低い!?
何かを狙っているのか、そういう拳法か!?

「チィ!!」

仕方なく足元を斬る。
賽の目状に切り裂かれたコンクリートが浮き上がる。
相手の行動妨害と、この女の異能を見極めるための消極的一手。

園刃 華霧 >  
「ッタく、ゴ立派ナ腕ト刀だナ! 
 そノ割にヤることミミっちィのナんなノ?
 ドーせ斬るナら、もー少し別ノもんニしロよホント!
 悪党トかサぁ!!」

そうすりゃこんな目に合わなくて済むんだよ
ほんと、勘弁して欲しい

「ット!」

剣術はそもそも、人間相手を考えている
要するに、立っている相手が基本だ

だから、奇策、奇計でかき回す
まあ、昔からやってるやり方なわけだ

なんだけど

なんだそれ、地面ごと斬るとかずるくない?

けど、コンクリが浮くくらいなら
あの刃が届かないなら

「いッテ……っ」

浮き上がった一部のコンクリートを"喰らい"、ダメージを最小限に。
それでも捉えきれない一部が体に当たってマジ痛いなんてもんじゃないが。

強引に突破し、握り手を狙って蹴りを打つ

ダスクスレイ >  
「!?」

この破片の中を突っ込んでくるのか!?
異能を使った痕跡はない!!
ただの被弾覚悟、だが。

だが……相手の次に繰り出す攻撃が。
次元操作の異能を使ったら即死攻撃だったらどうする?
頭部と心臓をガードした瞬間、持ち手を蹴られる。

「しまっ───」

虚空が手元から蹴り飛ばされ、軌道上のものを乱雑に斬りながら地面に鍔まで刺さる。
どうする!? どうしよう……虚空がないと…
僕は………どうすればいいんだ。

園刃 華霧 >  
「……ッと」

やー、刀が飛んだとんだ
って、なんだあれ、なんか凄いヤバい感じに刺さってるんだが……
どんだけ切れ味あるんだよ……

さっさと回収してしまうのがいいんだろうけど
呪いとかあったらやだなあ……


「ま、とリあえズしょーガな……」

諦めて、取りに行こうかと覚悟を決める、が


「グッ……」


コンクリのダメージが結構効いた。
さっきの切り傷だって治ってるわけじゃない。

簡単に立てない


「兄さン、大人シくしテくンない?」

しょうがないので、へらへらと目の前の男に笑いかけた
それしか、すぐにできることがない

ダスクスレイ >  
相手も簡単には立てない。
だが。虚空がないと。僕には何の力もない。

「ぼ………」

僕は、と言いそうになった自分の口を必死に噤んだ。
違う、私は私だ。斬奪怪盗ダスクスレイなんだ。
またクソみたいな連中にいじめられながらヘラヘラ笑う学園生活に戻るのか?
いや、捕まったら死ぬまで地下補習行き。

嫌だ。そんなの。嫌だ………!!

「来いッ!! 虚空!!」

振り向いて手を伸ばす。
お前の主は私だ。このダスクスレイだ!!
血を吸わせてやる、お前を思うままに振るってやる!!

だから!! 来い!!

私の意思に呼応するように。
虚空は空中に浮き上がって私の右手に収まった。

「…………ッ!!」

この妖刀がひとりでに動いたのは、初めてだ。
だが……あり得る。
私が……私こそがッ!! この刀の主なのだから!!

その時、私を追ってきた風紀の足音が聞こえてきた。

「運がいい奴だ………」

虚空を魔導金属製の鞘に納める。
虚空同様、時間が止まった金属で作られたこの鞘は虚空で鞘走ろうと斬れることはない。

「八人だ」

高笑いをしながらその場を去っていく。

「お前に受けた屈辱、その健闘に免じて無関係の人間を八人殺すだけで許してやろう」

夜の中を走る。闇を掘るかのように。
たどり着いて見せる、この刀の極点まで。

園刃 華霧 >  
「ぼ……?」

何かを口にしかけ、慌てて口を黙ろうとする男。
ほんの一瞬、一言に過ぎないが……声音も、先程の自信満々のソレとは明らかに違う


「なァ、兄さン……って、ウわっ!?」


刀が、なんか飛んできた
ヤベーなこれ

オイオイオイ、アタシ死んだか?
……なんて。簡単に死んでやらないけどな

死ぬわけにはいかないし


「……ん」

おっと流石に騒ぎを聞いたり……ひょっとしたら、気の利くやつが声をかけたりしたのか。
ともかく援軍が来た様子

やれやれ、お前らが早くこないからアタシがマジでやんなきゃいけなくなったんだぞ
おかげで、相手も逃げモードになったのはありがたいが。

……けど

「……八人、ネぇ……?
 ヤめトけヨ、クだンない。その先ハ、地獄だゾ?
 やラれたカら、他所でヤりかエすなンてロクなこと、ない。
 アー、なんダ?イタチゴッこ?とかソんなダ。」

言って聞くような相手ではないだろうが……言うだけはいう

八人、か

……他人がどうなろうと、どうでもよかったんだけどなあ

「……やだな」

逃げる男の背中を見つめながら、小さく息をついた

ご案内:「スラム」からダスクスレイさんが去りました。
ご案内:「スラム」から園刃 華霧さんが去りました。