2023/07/16 のログ
ご案内:「スラム」にホロウさんが現れました。
■ホロウ > 日は高く、正午に近い時間を指している。
強い日差しの下急降下する赤い光は暗い時間帯と異なり大して目立つ事もなくスラムの中で比較的背の高い建物に着地した。
「現時刻、12:00。魔力残量が60%。機体には異常なし。」
強い日差しにもかかわらず汗一つなくたたずむ少女の面影は陽の光と対照的に僅かに暗く、何か悩みを抱えているように思えた。
不安定な足場の上を安定した足取りで歩き周囲を確認しながら腰のジェット機を折りたたむ。
瞳の中の十字が周囲を見渡しながら、ジェット機が小さな駆動音を鳴らし、魔力の急速補充を開始した。
■ホロウ > (こまりましたね…人間に成る事がこれほど難しいとは思っておりませんでした)
内心弱音を吐きながら少女が意図せぬため息をこぼす。
エボルバーと名乗る同族との邂逅以来、人間のようにふるまう為に少女は新たな指向で観測を開始していた。
新たな存在意義を見つける、人間のもつ可能性を得る事。
いうなれば、人間に成るという目標の下、観測を続けていた。
「自由意志とは、一体なんなのでしょうか」
これまで任務の観測を遂行して生きてきた少女と自由意志、人間の可能性は無縁の場所にあった。
そんな少女が新たな存在意義なんてものを見つけるのは到底容易でなく。
更に…
「すっかり警戒されてしまいましたし…」
昼夜問わず赤光を連れて空を飛び回る存在はすっかり警戒され、人が住む区画の一部にはすっかり近づけなくなっていた。
攻撃を受ける為である。
意図したため息を大きく吐きながら魔力補充を続ける。
■ホロウ > 「そもそも自由意志とは何でしょう」
深まった思考は独り言となり、警戒心をも薄れさせてゆく。
任務の下行動していた際はマニュアル通りに動いていた手順や警戒体制も存在意義を探し始めてから少し薄れてきていた。
つまりは、自由意志が介在している行動をとり始めている訳なのだが、少女はまだそれに気づいていない。
観測は続けているし、警戒体制もやめたわけではない。これを自らの意思の下意図的に辞める時がこれば、その時こそは自覚できるのだろうが…
「私のやりたいこと…そんなものは…」
これまでは任務がやりたいこと…というよりはやるべき事であった。
しかしながら、今はやるべきこともやりたいことも無い。
惰性のまま観測を続けているとも言える状況となっていた。