2020/07/11 のログ
持流 童男(イビルフォーム) > 「対話っていうのはでござるね・・・っていうかお主対話の概念を知っておられない!?」

と仰天しつつも、振り抜かれた刃を義手の左手で受けて。
悪意(思い)をつけたカウンターを決めようとしつつも
自己紹介 
ちなみに悪意は『快楽』 これなら腕がしびれるだろうと思い、
快楽を流し込もうとする

「某の名前は、持流 童男っとぉ!?胸を晴れるヒーローをめざしてるでござるぅ!」

と言いつつ大きく地面を蹴って飛び退きつつ。

「お主のような可愛いオナゴがこんなところに来てはいけないでござるよ!!」

内心ビクビクしながらもビシッと決める

刀々斬 鈴音 > 「対話とか概念とか難しい言葉使わないで!」

刀の一閃で斬れなかったと判断すると身を翻しカウンターを躱す。
あれの攻撃に当たると良くない直感がそう告げている。

「ヒーロー人のために戦うんだ!かっこいいね!じゃあおとなしく切られて鈴音の為に血を出して?」

完全に一人の我欲であるが人の為である事には間違いない。
そのまま距離を近づける。

「えーやっぱり鈴音可愛い?本当の事だけど照れるなあ…。」

気恥ずかしそうに片手をもじもじさせつつもう片方の腕は刀を振るう。

持流 童男(イビルフォーム) > 「うおお!!?そうでござるよ!?そうでござるから!片方の腕がすっげぇどうやって刀振ってるでござるそれすげぇでござるな!?」

驚きつつもこちらも攻撃を避けつつではいるが
無駄のある動作で、思い切り、避け続けるが
拳に刀がかすってしまい拳から血が出てしまう!


「くっそ顔がいいし、スタイルも抜群でござる!!しかも強いとかすげぇなお主!完璧じゃないかでござるか!」

いいつつも、振るわれる刀を避けて、カウンターを加減しつつも、合わせて打とうとする!

刀々斬 鈴音 > 「そこまで言われると鈴音恥ずかしくっちゃう!」

照れ隠しにブンブンブンブン振るわれている刀その軌道は縦横無尽。
だが、当然隙も大きく…。

【油断しすぎだ…】

カウンターを合わせられてしまう。

「痛っ!!なんで?なんでそんな褒めてくれるのに叩いてくるの?訳が分からない!」

かなりいい場所に入ったが手加減されていた故に決定打にはならない!

持流 童男(イビルフォーム) > 「はっはー!、油断するとこうなるでござるよー!それはそれとして本心でござるからな!」

と言いつつ、少し微笑ましく鈴音さんを見つめながらも

「今度はこちらから行くでござるよ、鈴音殿。」

と言いつつ、悪意を腕にまとわせて、拳を震わせようとする。

今回の悪意は先程と同じ「快楽」 とりあえず無力化させる!と思いつつ快楽を叩き込もうとしようとする。

刀々斬 鈴音 > 「くっ!この卑怯者!!!」

特に卑怯ではないとは思うがとりあえずそう罵っておく。

またさっきのやつだ…受けると良くないことになりそうな攻撃だがバランスを崩したこの姿勢では避けようがない!
刀を持つのと逆の手でとっさに防ぐ。

「痛っあれっ???何、なにしたの?」

ダメージと共に来る奇妙な感覚。

持流 童男(イビルフォーム) > その瞬間「快楽」が鈴音さんの体を駆け巡る。

それは突然逆の手から起きた。手の先から快楽の波が、ぽちゃんとそして次第に大きくなっていく

体の至るところが気持ちよくなりつつ。それがどんどん波状のように快楽が、「悪意」が鈴音さんの体を駆け巡る、
どんどん感覚が、過敏になりつつ、快楽が脈打つ、そして最後には、刀を手放してしまうかも知れない。


「お主まさか食らうとは思ってなかったんでござるが・・!?!」
と言いつつもこちらもまさか当たるなんてと思わなくて驚いている。慌てて快楽を消そうとするが時すでに遅し。

『快楽』が鈴音さんの体を駆け巡りまくる。

刀々斬 鈴音 > 「…っ…。」

…鈴音が持つ血腐レは妖刀血の代償として使用者に麻薬を超える快楽を与える。
常時その刀を廃人にならず使い続けることの出来る鈴音は快楽に対しての耐性を持っている。

「ねえ…ちょっと何があったかよく分からなかったからもう一回やってみて。」

…童男の手に手を伸ばしてつかみに行こうとする。
その目はどこか潤んで顔も赤らんでいるような…

持流 童男(イビルフォーム) > 「お・・・おう?。それならばよいでござるが・・・?」
困惑しながらも聞いて無くてよかったーと思いつつ。

『快楽』の悪意をまとわせて、鈴音さんの手を伸ばしつつ掴んで、それを「悪意」を鈴音さんに送り込む。

「しかし効いて無くてよかったでござる・・」といいつつも、波状した快楽に更に嵐のごとく快楽が襲いくる。
二重になったことで、さらに「悪意」の効果が増す。

「だ、大丈夫でござるか・・?顔が潤んであからんでるでござるが・・?」
と言いつつも

刀々斬 鈴音 > 「……っ!!!大丈夫!凄い今いい感じ!!ん!」

二重の悪意、二重の快楽。
普通の人間であれば恐らく耐えられないのだろう。
だが、刀々斬鈴音は救えない存在でどうしようもない快楽主義者。

「ねえ…ちーちゃんこれ、もし今ちーちゃんで血を吸ったらもっと凄い事になるんじゃない?」

【以降の脳の動作についての保証はしない…。】

刀の言葉を聞くが早いかそのまま手に持った刀を目の前の男に突き刺そうとする。
更なる快楽を求めて。

持流 童男(イビルフォーム) > 「・・・・・!?」
驚きつつも、手を握りつつ悪意を流し込んでいるので避けられれない!

「避けられねぇでござる・・!!」と
言いつつもベルトに触れつつ、何かを起動させて
刀が胴体に突き刺さる
血が刀に思い切りつき、血を吸うかもしれない。

「吸われてるでござるなこれ!?」
と言いつつも悪意を、注入しまくってる手を離そうとする!。

刀々斬 鈴音 > 悪意の快楽×刀から与えられる快楽この二つが合わさった。
普通の人間であってもそれをこえる亜人種であってもより優れた種族であっても耐えられない
そんな感覚が少女の身体に流れ込…

【意識・感覚遮断】

刀の一言と共電源が切れたように少女は刀を握ったまま動かなくなり…。
刀が刺さっているそのままで寝息を立て始める。

【あまりに強すぎる快楽を人間は耐えることは出来ない。故に一度落とした。】

刺さった部分からジュルジュルと啜る音を立てながら刀が話す。

持流 童男(イビルフォーム) > 「ぐっは。はは、なかなかやるじゃないでござるか。刀殿」

内心安堵しきった顔をしつつも、

「いや済まなかった。こちらの配慮が足りてなかったでござる。まさかここまで凄まじいとは。耐えれるならば、効いてないかと思ってたのでござるが」
と言いつつ刺さったまま刀に詫びを入れつつ、少女を見る


「刀殿、お主がいてくれてよかったでござるよ。本当に避けれなかった某に責任があるでござるな。あと提案に乗ってしまった某にも責任があるでござるよ」

心底申し訳無さそうにいいつつも安堵しきった声で言いつつ、血を啜られながらもいうだろう

「お主がいてくれてよかったでござる。こう、刀に言うのもおかしいでござるがね。」と言いつつも

「この少女は大丈夫なんでござるか?」
心配そうに言おう

刀々斬 鈴音 > 【…敗北したのは鈴音が欲望に負けたからにほかならない。感覚の遮断を自ら使っていればこのような事になってないだろうに。】

ジュルジュルといまだに啜り続けている。
現在は大体200㏄くらい吸われているだろうか?
献血で400㏄までいけるのでまだまだ余裕はあるだろう。

【甘いな貴様。自らに刀を振るった相手の心配など…】

どうしようもなく無機質な声。
あきれたように聞こえるのは気のせいだろう。

【鈴音かこいつが大丈夫かだと?鈴音はどうしようもない。
 私がいなくなったとしても真っ当に生きることは叶わないだろう。】
 
狂ったみたいに剣を振って路地裏で一人で死んでいく。
今までの妖刀の持ち主たちのように彼女もきっとそうなるのだ。

持流 童男(イビルフォーム) > 痛たと言いながらも、

「・・・・刀殿は優しいでござるな」
少しだけニット笑いつつも

「でもお主はこの子を助けたでござろう?だったらお主が助ければいいでござるよ。」
「個人の主観でござるが、お主が、あの感覚遮断をしてなかったらこの子は今頃、大変な自体になってたわけでござろ・・?」
「どうか、この子を守って欲しいでござる。」

と少しだけ真面目になりつつも吸われつつも真摯に言いきる。

「この子にも、どうしようもなくても、幸せになってほしいでござるよ。・・・ていっても幸せなんて個人の主観でござるがね。すまぬでござる。エゴが出てしまったでござる。」
と言いつつも

刀々斬 鈴音 > 【刀に対して主人を守れなど…】

それはあまりに当たり前の事。
人に言われるまでもない。

【ふん。】

鈴音にとっての幸せとは。
邪魔されずに好きなように斬って、食べて、寝て…。
好きに生きる事、他の幸せを知らない鈴音にとってこれ以上の幸せはない。

【…おい。これ以上私を刺してると失血死するぞ。】

既に1リットル近く吸っている。
成人ではおよそ1.5ℓの血液を失うと失血死するといわれている。
おそらくかなりの貧血を起こしてしまっているだろう。

持流 童男(イビルフォーム) > 「おっと・・すまぬでござる・・」
と言いつつも、刀を抜きつつ。イテテテと言いながらも

「うぅ・少し貧血を起こしてしまったでござる。」
言われるまでもないみたいな感じでござるな
少しだけくすっと笑って。

「刀殿、鈴音殿を、ここから運びたいのでござるが、よいでござるか?住処などないでござるか?それか、某の家に持っていくか。」

ふらつきながらも立ち上がりつつ鈴音さんと刀を抱えようとする。

「無理をしてまでもそれでもちょっとここにこのまま置いていくのはだめかなっておもうのでござるがどうでござろうか、刀殿」

足にしっかり力を入れながらも刀に質問する。

刀々斬 鈴音 > 【住居などというものはない。】

ネットカフェ、カプセルホテル、廃屋などで過ごしている。

【貴様の家に…それでもよいが…。】

家の中にあるものに対して一切保証は出来ない。

【…最悪駅にでもほおっておけ。この時期なら命を落とすこともないだろう。】

持流 童男(イビルフォーム) > 「それなら、某の家に持っていくでござるか。多分、大丈夫でござろうよ。」
にっと笑いつつ鈴音さんと刀さんを抱えあげつつも、
自宅に向けて、二人をもっていこうとしようとして黄泉の穴から立ち去ろうとする。

刀々斬 鈴音 > 【強く生きろよ持流。】

この後、鈴音が起きた後の状況を想像して刀はポツリとつぶやいた。
その無機質な声には確かな同情の色が宿っていた。

ご案内:「黄泉の穴」から刀々斬 鈴音さんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」から持流 童男(イビルフォーム)さんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」に幌川 最中さんが現れました。
幌川 最中 >  
王様の耳はロバの耳。
それを聞かされた葦はなにもかもを詳らかに語った。

秘密を吐き出さずにいられなかった理髪師はどう思ったのだろうか。
もし、幌川最中という男が理髪師だったなら、恐らく同じことをしただろう。

黙りこくって、誰にも言わないなんてことは。
内緒話を自分の中に寝かせることは、幌川にはできやしない。

「穴」。4年前に発生した災禍の爆心地。
《大変容》セクトの一つであり、違反部活「新世魔術師会」の拠点が存在した地。
「新世魔術師会」が蒐集した膨大な禁書類を用いて、
「無名の恐怖」なる存在を召喚しようとした結果、儀式は失敗。傷跡はこの通り。

もし、ここに全てを話したら、「無名の恐怖」は自分に語りかけるのだろうか。
それとも、悪行を誰もに語るのだろうか。誰もが知るところになるのだろうか。

「わかんねえなあ、『こういうの』はさ」

目下に広がる大穴を見下ろしながら、遥か異界に思いを馳せた。

幌川 最中 >  
端的に言ってしまえば、自分がやることは。
『穏健派』の末席に座る幌川の抱く理想は、現状維持だ。

「理想」と「希望」と「夢」を生贄にして、変わらない明日を迎えることだ。
「新世魔術師会」しかり、「トゥルーサイト」しかり、「グレイテストワン」しかり。
かつて、「そういうもの」に溺れて消えていった人間は少なくない。

だからこそ、「理想」も「希望」も「夢」も。
最初から、期待する必要がないほどに安定した世界で生きていたい。
「足りない」と思わなければ、幸せでいられるというのに欲張る。

だから。初めから「足りている」者だけがこの世界に存在していればいい。
必要最低限の生活。必要最低限の充足。必要最低限の人員。

「だから、華霧ちゃんもあかねちゃんも、……」

理想を抱くのは構わない。
だが、もしその「理想」がたしかに顕現して、たしかに成立してしまったら。

「理央ちゃんも」

理想を抱くのは構わない。
だが、もしその「理想」がたしかに萌芽して、たしかに成立してしまったら。


「俺、困っちゃうんだよな」
 
 

幌川 最中 >  
「現状維持」とは、何もしないことではない。

「現状」が破壊された場合には、どういう手段を取ってでも「現状復帰」を目指すこと。
「現状」とされる誰かにとって都合のいいポイントを維持し続けること。

穴の中にすべてを放り込んでしまえば、なかったことになるだろうか。
なかったことになりはしない。一人でも残れば、思想は残り続ける。

だから、必要なことは「全て」を穴の中に放り込むことでしかない。
可能か不可能かでいえば、絶対的に不可能だろう。

だが、不可能だからといってやらない/やめる理由にはならない。

彼女たちが『真理』によって頂きに手を伸ばすというのであれば、
自分はこの両腕でもって頂きに手を伸ばす。

人間という種族は、自らを霊長のものであると遠慮一つせず語る。
どこの何かも知れたものじゃない『なにか』に与えられる『答え』など。

計算問題の答えを書き写すようなものでしかない。
自らの手で、自らの頭で行うからこそ、それは正しく『自分の答え』となる。

幌川 最中 >  
これは風紀委員である/ないの垣根を越えた行為だ。
幌川最中という一個人が、「偶然」自分の周りで「そういう」事柄を見聞きしてしまったから。

もし登場人物が「自分から遠い誰か」であれば何もしなかっただろうが。
生憎と、「現状」を妨げるのは自分から近しい少年少女たちだ。

であるのならば。
「懐の最中(さいちゅう)に潜り込む」のが一番ラクな人間が担うべきだ。

先日の任務で幌川がわざわざ呼び立てられた理由。
神代理央という少年を「懐柔」する手段として、恐らく風紀委員会は自分を配置した。

実にいい配役(キャスティング)である。

であらば、前述の二人の懐の最中に潜り込むのに苦労しないのは?
幌川は、困ったように眉を下げながら、軽く頭を掻いた。

「風紀委員会にアイドルを」。
先月の風紀委員会会議で上がった意見は、実に「わかって」いた。

旗を振る乙女に対峙した「対面」がやることは、今も昔も同じだ。
聖女と呼ばれるジャンヌ・ダルクを魔女に堕した。それが、「人間」の知恵だ。

幌川 最中 >  
これは、明らかな越権行為である。

風紀委員会は、基本的に対症療法的に物事への対処に当たる。
公安委員会は、基本的に物事が起きる前の調査に重きを置く。

では、幌川が行おうとしている『現状維持』は一体どちらであるのか。
「物事が起きる前」の調査を行い、この島で「予防」を行う。

神代理央に説いた原則を踏みつける、確実な違法行為である。

これは、誰にも許される行いではない。
それでも、この行いは「風紀」を守る行いであることには違いはない。
風紀委員会の原則を守るために、風紀委員会の準備したルールを破る必要があるだけ。

理央ですら、凶弾には倒れた。
誰も予測していなかったその一打で、それが知れてしまった。

「神様」は死なないからこそ「神様」でいられる。
神話は揺らぐ。神話の時代は終焉を迎え、人間が霊長を名乗っている。

その再現。
魔術的儀式の一つ。腰から下げた狐の面は、自分では手に入れるのは難しい代物。
それなりの値段のする、魔術的意味合いのある羽月柊という魔術師から借りたもの。

狐を被る。

あらゆる「意味」が、「呪い」に形を変える。
積み重ねた「意味」は、一朝一夕で手に入れられるものではない。
その全てが、「魔術的意味」へと変化する。全てに意味を付与する。

あの日の会話も。あの日の会話も。
あの日の会話も。あの日の物語も。


「――意味は、此処に」


人は、これを古くより、「呪術」と呼んだ。

幌川 最中 >  
野津幌川は、古くより地球にあった川の名だ。
その流域周辺に腰を下ろし、その川の名を一族の名とした。

野津幌川。旧い呪術の家柄に当たる。
そして、幌川はその分家筋に当たる家が名乗った名である。
野津幌川家は、《大変容》を機に全てを失った。一族郎党、なにもかも。
そういう「呪術」の家柄があったことなど誰一人として覚えていない。
忘れ去られた、「人の営み」がそこにあった。

幌川の家系は、細々ながらもきちんと受け継がれていた。
問題はただ一つ、その血を強く引く最後の一人の老化が著しく激しいことだけ。

幌川家の長は、これを好機と見た。
異能の副産物ということにすれば、この最後の呪術を。
内密に、野津幌川の呪術を神秘の貯蔵庫である常世学園で守ることができる、と。

老化が激しい理由など、ただ一つだ。
人を呪わば穴二つ。……誰かを呪う者が、永遠を生きられる理由などない。

「特殊能力の副作用」だなんて嘯いてはいるが、そんなのは安い嘘。
野津幌川の最後の呪術士は、大嘘吐きの「狐被り」である。

そんなことを知る者は、この世界には誰もいない。
この物語を知るのは、穴を覆うことになる葦だけだ。誰も聞くことはできない。

だってここは、黄泉の穴なんだから。

生者に聞かれて困る話は、ここでするに限る。

幌川 最中 >  
 
――話は終わりだ。
 
 

ご案内:「黄泉の穴」にツァラ=レーヴェンさんが現れました。
ツァラ=レーヴェン >  
 
 
         『現状』
 
  
 
常に自分達の傍に在るようでいて、常に移り行くモノ。

それは水の入った風船のよう。
手に提げる分には何もない。
屋台に並べばそれは、一つ一つ水面に漂う魅惑。

だけど、手から落としてしまったら、もしも針を刺してしまったら、
少しの衝撃で破裂し、簡単に中の水をぶちまける。

簡単に、それは元の姿を失ってしまう。


「すーごい穴だねぇー。」

最中が"それ"に瞬きをした次に、張り詰めた現状は割れた。



物語を聞いたか否か、呑気な声が、穴を取り巻くバリケードの一片から聞こえる。

上に立つのは、白。

幌川 最中 >  
「いらんもん捨てるなら、おすすめするよ」

ここにやってきたことを注意することもなく、目を細めて笑う。
いつも通りの幌川最中の表情で。まるで化かされたかのように。

「ここなら、何をどれだけ捨てても誰も怒りやしない」

人影を見かければ肩を竦めてから、「落ちたら真っ逆さまに地獄行き」と笑って。
欠伸混じりに穴に踵を返しながら、やはりのんびりとしたまま。

君がもし他人の思考を覗くことができるならきっと君こそが葦となる。
王様の耳の正体を語り、叫ぶ葦そのものとなることであろう。
一人の風紀委員の立場を脅かし、更生の切っ掛けになるのかもしれない。

それでも、風紀委員会とは。法とは。
法を守らない者も守れるようにできている。

「未遂」で検挙することはできない。
「思想犯」を殺すことはできない。

その両原則を武器と防具に、幌川は堂々と笑った。
「まだ」何もしていない以上、裁かれる謂れもない。

「俺はもう、『捨て』終わったから――次、どうぞ」

軽く穴をジェスチャで示してから、学生街に戻っていく。
仮面を、しっかりと「被り」直してから。

ご案内:「黄泉の穴」から幌川 最中さんが去りました。
ツァラ=レーヴェン >  
「ハァイ。おじさんも"気を付けて"、ね。」

その背を見送り、手を振る白は少年だった。

こんなにも危険な場所で、こんなにも日常の無い場所で、
にこにこ笑顔の少年だけが、残された。



「残念、新しい玩具を拾いはしたケド、
 捨てるようなモノは無いんだ。」

軽やかな声がそう謳う。

足場の悪い中、少年はくるくると回る。
振袖が揺れ、舞うかのように。

蒼い光の蝶が周りに現れては、少年を包む。
ふわっと蝶が散り、大きな耳と、三つの尻尾。


「――呼ばれたのかもネ。僕は君に。」


誰も聞くモノは居ない。


「お楽しみ、お楽しみ。
 狐は君にお呪いをあげよう。」


そう笑う少年は――。


「僕は"幸運の祟り神"。
 カミサマは………君と縁を結ぼう。」


くすくすと笑いながら、
狐の少年は蝶と共に消えていった。

ご案内:「黄泉の穴」からツァラ=レーヴェンさんが去りました。