2020/10/17 のログ
ご案内:「黄泉の穴」に吸血鬼《ヴラド》さんが現れました。
吸血鬼《ヴラド》 > ――この場所に訪れるのは、二度目だ。
≪裏切りの黒≫の一員になるにあたって、当時に世話になった『卒業生』に

     『恐怖として知っておけ』

と連れてこられた。

ここは、黄泉の穴の魔術結界とも呼べる『バリケード』からやや離れた朽ち果てたビルの七階。
魔術に片足でも踏み込んでいれば分かる。
ここは――未だ『終わっていない』。

応急手当のように施された処置は何時まで維持できるのか。
時間がコレを解決してくれるとは、俺には。

「信じる事はできない」

これが、

    『――手遅れになった結果だ』

そう、呟いた先達の言葉が脳裏に再び過る。

吸血鬼《ヴラド》 >  
無知であると――理解する。
知れば、恐怖する。
現実的ではないこの光景に、俺は何が出来るだろうか。
そんな悩みを抱くことなどアヤマチだ。

ここは最早、抑える事しか出来ない特異点/恐怖。

ヒトには、耐えきれぬほどの――恐怖を。
 
 
 
 
 
      「知るか――そんなことは」
 
 
 

穴を高所から見下ろし、黒に身を包んだ男が出す結論はそんな事だった。
勝ち目のない戦いだから、どうしようもない、何も出来ない。

「俺は『手遅れ』を重ね続ける気はない」
 
 
彼女を失った――あの日から、世界を信じることが出来る希望とやらも見つけられていない。
これが、永遠に続くとは思わないが……。

「普通では『手遅れ』になるなら」


「俺は『悪』を選ぶ」

だったか……
『卒業生』の先輩には、また今度、花でも添えに行こうか。

吸血鬼《ヴラド》 >  
忘れてはならぬと、胸に刻むために。
気がつけば黒い男の影は消えていた。
 
赤い液体と《怪異》と争ったような痕跡だけが僅かにその場に残っていた。

ご案内:「黄泉の穴」から吸血鬼《ヴラド》さんが去りました。