2020/12/07 のログ
ご案内:「黄泉の穴」に幣美奈穂さんが現れました。
幣美奈穂 >  
防弾などの改造がされたお車で美奈穂はどんぶらこ~。
このお車はお外が見えないのでつまらないのです。
そしてお暇だから同情しております委員会や祭祀局の方に話しかけますが、
皆様、緊張の色で言葉が少ないのです。

――神無月。
日本の神々の加護が薄れるこの時期は、封が緩みやすい時でもあります。
そこで、定期的に穴の封を『締める』ことをするのです。
今日のお役目はそれ。
美奈穂にとっては、定期的にやっているお仕事ですけど。
そこに行くまでも言ってからも大変・・主に、美奈穂の方向音痴と、
その力の片寄りによって。
普通の人に殴られる方が怖いぐらいの美奈穂を一人で行かせるわけにもいかず。
護衛されながらなのです。
他の封する力を持つ者たちもおり、代わりばんこや地域ごとに分かれて
封を何回か締めなければいけない時期なのです。

魔術的バリケードの前に、5台の同じような車が止まります。
ばらばらと各々の装備を整えた人たちが降り、周囲を固める中。
真ん中の車に乗っていた美奈穂はんしょっと両足で降ります。
おっとっと。転びそうになります。
あいも変わらずあまりきれいな所ではありません。
へにょりです。
でも、ここどこらへんなのでしょう?
美奈穂はいつも送られて来るので、ここがどこか判っていないのです。

「えっと、ここですわね・・あっ、ありましたありました!」

穴から零れるモノ、あるいは入る者を防ぐためのバリケード。
事件の後に来てみると、立派に煌びやかに(美奈穂視点)なバリケードを、
開錠の手続きをして中に入り確かめていたのですけど。
それは複雑に絡み合って一時間以上かかるものなのでした。
そしてそこから、徒歩で侵入するのです。
それを見ていた美奈穂。首を小さく傾げたものです。

今は・・

「――お邪魔しますの」

二拝二拍一拝して、中に対して宣言。
そして、美奈穂が『魔術』に直接手をかけて・・がらり。
一切の魔術的な封や絡みつきを崩さず乱さず。
車が悠々入れます範囲で魔術的バリケードを横にずらします。

幣美奈穂 >  
「わっ、ちょっと濃くなってますね」

とんでもない開け方をするのですけど、何でもない事のように入る美奈穂。
中に入るとうわぁ~っとお掃除を数年していなかった埃が待っているような、
濃い瘴気が美奈穂には見えます。
・・が、美奈穂の周辺だけぺかぺか近づく瘴気が全て浄化。
お昼のテレショッピングのお掃除道具かくや、という素早さ。
開いた入り口も、別に魔術的バリケードの力が損なわれたわけではないので、
普通に瘴気が常世に零れるのを防いでいます。
そこを最初は前方を警戒する人が、
次に速度を落とした車がぶろろ~っと通ります。
最後に後ろを警戒する人が通りまして。
ゆっくり通るお車の横を、美奈穂が榊でぺしぺしとします。
車にも穢れ払いの膜を張っておくためです。
そして5台とも通れば、美奈穂は魔術的バリケードに作った戸口を、
とてとてっと閉じてしまいます。
・・もう、よほどの者でないかぎり、そこが開かれた場所だと判らないほど。
きちんと閉じた魔術に元通り。

「こっちはやっぱり穢れや穢れ溜まりが多いですね」

再び車に乗った美奈穂、きょろきょろとします。
他の人達にはどう見えているのか判りませんが、
美奈穂はそう見えるのです。

護衛が警戒するのは、常なら一番は異界のモノでしょうが。
今は違います・・侵入者。
それも、能力や魔術、異能の伴わない普通の銃器や武器の存在です。
力ある異界のモノほど、その存在に対して相性が悪い者がいるので、
こちらから手を出さない限りは互いに不干渉になることが多いのです。
――そういう存在であるほど、知恵があるので。

幣美奈穂 >  
トランプしませんか?
と鞄からトランプを取り出して両手で上げて見せましたが。
やんわり断られて、美奈穂はしょんぼりです。
おやつのかりんとうをしょんもりと、かりかりとします。

「あっ、着きましたの?」

今日のお役目の場所です。
なんか、皆様が降りられてからというので待つ美奈穂。
出ていいといわれましたので、お車からおります。

「おぉ~・・罅が入ってますね」

一目で、封の一つが薄くなり。
ぴしりぴしりと線が入っているのが美奈穂には見えます。
最近、ここで何かやったのかもしれませんし。
余りそうであってほしくありませんが、人が近場で何人も亡くなり
その魂が贄になったのかもしれません。

普通には見えないその封も、祭祀局の方などは流石です。
少し力を込めますと、封する為の呪具、見た目は普通だったのに。
それが赤茶色・・血の色に侵食されている様子を見つけるのです。
早めに封を締めなおしてください、と慌てられます。
まあまあ、準備がございますから。

折畳の神棚や、四方に岩塩を封じたクリスタルキューブを置きます。
美奈穂の何処でも神事セットです。
『今日はまさか、前と同じではないよね?』
祭祀局の方のジト目を受け、しっけいな!、とほっぺを膨らませます。
前のはちょっとした失敗です。
美奈穂は同じような間違いはしません!

前は、七味で七福神とか・・とやってみたら、本当にお船に乗った七福神が来まして、
美奈穂がふりふりしていたスーパーの特売で買った七味の瓶を見て目が点に。
そして見つめ合う事1分ぐらい。
へにゃっと笑顔を返しますと、向こうもなんか気まずそうな笑顔を浮かべてから
お船が去っていったのです。
その記憶はもう古い昔・・一か月ぐらい前のお話です。
忘れましょう。

「今日は、わたくしも納得のバランス。
 スペシャル味塩胡椒、スパイス入りです!」

ちょっとお高めな味塩胡椒です。
それをカバンから取り出して両手で掲げます。
今日はそれをまだ使っていない新品を開けずに持ってきました。
神無月の宴会にでも使っていただこうという考えです。

溜息をつく祭祀局の方に「開けてくださいませ」とお願いします。
・・美奈穂、最初の封のビニールが苦手です。
時々、爪の間に入って痛いからです。

幣美奈穂 >  
『穴』から過剰な穢れが零れ落ちないようにされた封。
その前に味塩胡椒をぱらぱら~、ぱらぱら~。
そして台の上に味塩胡椒のボトルを置きまして。
座り・・目を閉じて深呼吸、そしてゆっくりと半眼で目を開きます。
――キィンッ
音が聞こえそうなほどの静謐さがぶわあっと広がります。
周囲にあった、美奈穂が来たために薄まっていた穢れの残滓も、
音もなく消され、静謐な雰囲気と清浄な空気に包まれます。
異界然していたそこが、一瞬で整えられ。
見えないですが深い森の中になったような雰囲気に。

祝詞を上げ、そして神楽舞を。
周囲の人には穴が叫び抵抗するように暗く輝きますが、それを柔らかい光が押し込めるように見えます。
あまりのまぶしさに手で目元を隠す人も。

――キィンッ

また何か音らしきものを周囲に居た護衛の方が魂で感じれば。
光も収まり、静かな空間となっています。
いつの間にか神楽舞も終えていたようで、美奈穂は座り。
そして手をついて頭を下げまして。
ゆっくりと息を吐きます。

「はいっ、終わりましたわ。
 これで暫く保ちます」

保つ「はず」や「かもしれない」ではない、断定です。
祭祀局や力のある術者の目には、封の呪具の赤茶色も消え、
力強い封、そこに青い泡が下からぷくりぷくりと湧いている様子が見えるかもしれません。
・・美奈穂の目にはどう見えているのでしょうか。

でも、お片付けと神事セットを箱に詰めなおして鞄にいれる美奈穂。
それを背負って照れたようにえへへ~っと笑う姿は。
いつもの緩い美奈穂なのです。

車に乗れば、また魔術的バリケードの前。
そこで念のために各員と車の穢れ落としをしてから、
美奈穂がまたスライドして開けたバリケードを通り外に出ます。
きちんと閉じて起き、頭を下げて元通りにしておく美奈穂です。

半日や一日がかり、あるいはそれ以上かかる場合もある『穴』の封の締め直し。
美奈穂は出て、4時間ぐらいで委員会に戻ってくるのです。

ご案内:「黄泉の穴」から幣美奈穂さんが去りました。