2021/10/10 のログ
ご案内:「黄泉の穴」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > スラム最奥――その果ての岬付近にその穴は存在する。
その穴から少々離れた一角にて喉元にまるでマフラーかスカーフのように乱雑に包帯を巻いた人影。
「………。」
無言でその穴を睥睨する。場所が場所だからかここの大気の魔力密度や流れは明らかに異質だ。
――あの穴の向こう側に興味が無い訳ではない。色々と役立つモノも多そうではあるが。
(――何の対策も備えも無しに気楽に飛び込める訳も無し…か。)
先ほどから何処かざわざわとした、悪寒とも高揚とも取れるよく分からない感覚。
…成程、”擬い物”の身でもこの場ではそれなりの反応や変化が出るものらしい。
■狭間在処 > (…とはいえ、そっちの当ても無い一匹狼としては矢張り単独でどうにかするしかない訳だが…。)
やや引き攣れたような吐息を漏らす。言葉は発せずとも溜息くらいは零せる。
先ほどから一定の距離を保って穴へと近付かないのは自身の状態と彼我の距離の関連性を測っているからだ。
取り敢えず、この距離ならばさして影響は高くは無いと判断する。
ゆっくりと瓦礫の山から飛び降りれば、いっそ無造作とも言える歩みで真っ直ぐに穴へと歩を進める。
(……この距離でも深刻な影響は無し…か。…業腹だが人工怪異の体に感謝するべきなんだろうな。)
多少なり変調はあるが、肉体の動きに影響が及ぶほどのものではない。周囲の魔力にも今の所は拒絶反応も無い。
――と、なれば出来損ないのコピーの魔術師喰いによる魔力吸収は可能という事か。
■狭間在処 > 穴の淵まで残り5メートルを切った所で静かに足を止める。
不測の事態に備えて流石にこれ以上距離は詰めないが、肉体的には保ちそうだ。
それだけでもまぁ収穫と言えば収穫――少なくとも、穴の向こう側は別としてここでの活動は可能という結論。
(……と、なれば穴の向こう側をどう探索するかだな。)
一匹狼は組織などのしがらみが無くて動き易いし楽だが、コネが無いのでこういう時に困る。
そもそも、顔見知りすら殆ど居ない――見知った者は大抵は殲滅目標だから無理も無いが。
どちらにしろ、今回はあくまで黄泉の穴の周辺地域の状態の確認と、己の肉体が適応できるかどうかの確認だ。
常人なら何の備えも無しでは長くは保つまいが、欠陥品の体でもこういう時は最大限役に立つ。
(…それが確定しただけでも御の字としておかなければな。)