2019/02/24 のログ
アリス >  
「へー……そういえば授業でも近代では魔術や異能を使って改良が成された農具や農法がいっぱいあるって」
「…秋、職人だったんだ……」

ただの人助けに躊躇いがなくて背が高くて異能が強い頼れる友人だと思ってた。
それはただのじゃないか。

「うん、葉わさびと水菜だった。ちょうど旬で分けてもらったわ」

針金のリクエストに頷いて。

「わかったわ、任せて」

両手を祈るように合わせると、掌の間に針金の束を錬成した。
ついでなので針金用のニッパーも錬成して渡す。

「これ、使って」

笑ってそれらを差し出す。自分の異能ながら、よく考えると不思議。

「…頬、錆か土かわかんないけど、汚れてるよ?」

くす、と笑って。平和だなー。

白鈴秋 > 「一応はな、今は修理屋みたいな仕事しかしてねぇが」

 自分で話して少し気恥ずかしくなり、はにかむように笑う。とっさに言ってしまったが職人は言いすぎたかもしれない。

「へぇ、葉わさびと水菜……どっちも使い道が多くて良い食材じゃねぇか。そういうのもらえるなら俺も入っておくべきだったな」

 あまり食材には無頓着でいつも適当に買っている為そういうのはあまり買わなかった。聞けばなんとなくそういうのを使いたくなる。
 針金とニッパーを差し出されると受け取る。

「ありがとう、これでだいぶ楽が出来る」

 受け取るとすぐに作業に戻ろうとするが……ふといわれて。

「あ?」

 手袋でゴシゴシと擦る。結果余計に広くなってしまうが。

「……取れたか?」

 本人は気がつかない。手袋の汚れがふき取ったからできたものとでも思ったのだろう。

アリス >  
「じゃあ、人の生活を支えてるわけだね」

同じ一年生なのに、彼は自分のやるべきことを知っているんだ。
う…羨ましい………!
親の庇護の元でぬくぬくゲームしてる自分! 自分!!

「ああ、違う違う。広がっちゃったわ、こっち来て」

ハンカチを錬成して手招きする。
人様の畑に許可なく入ってはいけないので秋に近づけない。

「もう、やってることは立派なんだからしゃんとしなさい」

白鈴秋 > 「まぁ、広く言えばそうなのか?」

 支えているとまで言うほどなのかは自信がないが。結果的にそうなっていた。
 なので少し考えるがまぁそれで言いかと頷く。

「あ? ああ、わかった」

 一旦針金をその場に下ろして近寄る。
 それから少しだけ目を開いて、フッと笑う。

「しゃんとはしてるっての……たぶん」

 たぶんとつけてしまう。実際やれているというと保障はできない。
 自分は今少なくとも立派とはいえない気もして。
 目線をそらすように答えた。

「そういえばそのハンカチ汚しちまってかまわねぇのか?」

 拭くという事はそういうことだ。場合によっては洗って返さねば。

アリス >  
「そうよ、絶対そう。一人一人の力で成り立っている学園都市だもの」

ふふ、と笑いながら彼の顔をハンカチで拭う。

「できたわ。そう言うと思って、これたった今、錬成したものだから」

ぽい、と放り捨てるとハンカチは分解されて落ちる前に消えてしまう。

「後でお野菜分けてあげるわ、料理はする?」

ちなみに私はしない。できない。
やらないから。将来的にはできるようになりたい。

「って、作業の邪魔しちゃったわね……」

そう言って手を後ろに回して下がる。
秋が真剣に取り組んでいるのであれば、仕事の邪魔をするのは本意ではない。

白鈴秋 > 「そういってくれると少しはやる気が出そうだ」

 少し笑うが、拭かれると少しだけ驚いて。
 そしてふぅと軽く息を吐き出す。
 
「……渡してくれりゃ自分で拭くっての。ってそういう事か、なら安心か」

 誰かに拭かれるなどあまり経験も無いのでどうにも慣れない。
 消えるハンカチを見て便利だなとか少し呟いたりして。

「ああ、まぁ自分で食うくらいだけどな。だからそういう色々と使えるのは助かる」
 水菜も葉わさびもあると凄く便利だ。幅が広がるだろう。
 
「いや、気にするな。今回はアリスのお陰でかなり作業が進むし」

 そうすると針金を手に作業を進める。それを緑の板を刺した場所に巻き付け、伸ばして次の場所へ、そうして全部を結ぶと入り口付近の1番大きな機械へと結びつける。 

「これでよし。後はしばらく見てるだけだから大丈夫だ」

 電源をつけると水が噴出。後はどれだけ消えないかだ。
 アリスの見ている場所のそばにきて。少しだけ言いにくそうにしながらも。

「……あぁ、アリス。その……あれだ」

 少しだけ下を見た後にそっちを見て。

「ほら、前俺乗り込んじまったけど。あれ以降あいつらに嫌がらせとかされてねぇか?」

 自分が入ったせいで悪化とかなっていなければ良いが。少し気になってそう聞いてみた。

アリス >  
「ダメ、汚れた手で拭ったらまた汚れるかも知れないし」

便利といわれるのは嬉しい。
誰かを傷つけるためだけの力じゃないと言ってくれているようで。

「ふふ。便利でしょ、私の異能」

もらっておいてなんだけど。
そういえば葉わさびって何に使うんだろう?
水菜はママが鍋に入れてくれたのを知っているけど。

彼の作業を見守る。
さすがに手際がいい。
そして水が噴出すのを見ると、おーと声なんか上げたりして。

「…ん。大丈夫! 秋のおかげか、何もされてないよ」

彼が気遣ってくれたのが嬉しくて、それを誤魔化すためににひひ、と笑って。

「よっぽど秋の顔が怖かったのかな?」

そう言って笑顔で頷いた。大丈夫だよ、と。

白鈴秋 > 「……たしかにそれを言われるとその通りか」

 少し汗を拭おうとした手を止める。また汚れるところだった。少しだけ苦笑いを浮かべた。

「本当にな、色々とすげぇ能力だ。俺のなんて糸が出るだけだしよ」

 色々と使い道はあるんだけどなと少しだけ答えてから少し移動。カバンの中からコーヒーを取ってくると元の場所へ。
 さて、彼女がなんとも無いといえば少しだけ安心したように一息吐き出して。

「そうか、良かった……まぁそれもあるかもしれねぇな」

 自分でいうのもなんだが結構怖い顔をしているのは理解している。その上ある程度怒気を含ませたのだからその可能性もある。
 まぁ奴らにどう思われようが知ったことではないが。

「てか、2年もこの講義取るのかお前」

 ふと思い出して聞いてみる。少しさっきこの講義に興味を持ったのもあるが。

アリス >  
「でも、その糸に守られたことがあるよ?」
「空中から落下してきた時と、本の世界に閉じ込められた時」

自分以外の誰もが自分じゃなくて。
それが怖かった頃もあるけど、友達ができた今は少し嬉しい。

「秋、笑ったら印象違うのにね?」

そんなことを言って、くすくす笑う。
友達と冗談を言い合える時間がある。
だから、自分の中の歪みについても、ゆっくり向き合っていこうと思える。

「わかんない、とりあえず授業時間が他と被ってなかったらかなー?」
「私以外に12人くらいしかいない不人気講義だったし…」
「あ、でもお野菜もらえるし、農業区の手伝いは結構楽しいかも」

そう言ってリュックを下ろし、中から野菜を取り出す。
そして、大きなリュックの中に入れていた自分の手提げ鞄の中に。
友達に贈ろうと思って結局機会を逃していたバレンタインデーのチョコレートを見つけて。

イタズラっ子の表情で、同じ袋に詰めた。
感謝の気持ち、持ち帰ってから気付けー秋ー。

「お野菜、ここに置いておくわ」

変にニヤニヤしながら取り分けた袋を畑の隅に置いた。

白鈴秋 > 「ああ、あの時か懐かしいな……本の世界に関しちゃ俺もお前に助けられたけどな。あれ俺一人だったら脱出できるか怪しかったし」

 ああいうのを内部から破壊するのは非常に難解だ。出来なくは無いかもしれないが、非常に難しいだろう。
 
「むしろ笑った顔と普通の顔が印象同じな奴っているのかよ」

 軽くツッコミを入れる。むしろそんな奴が居たら見てみたい……と思ったりはするが。
 自分の場合何時もは無駄に色々と考えてしまっている結果というのもあるのでなんともいえなかった。
 
「なるほどな、もしかしたら俺が取るかもしれねぇからよ。野菜がもらえるのは一人暮らしには結構デカいし」

 学生でありながら単位でも知識でもない思いっきり物欲という履修理由を出すが本人は普通の表情である。

「ん、ああありが…………お前、なんか変な物いれてねぇだろうな」

 イタズラっ子の表情を見て少し目を薄くしてみる。特別辛いのだとかかなり苦いのだとか。その辺を仕込んだのだろうかとか思いながら見る。

アリス >  
「一人じゃ超巨大赤ちゃんの攻撃から逃れるので手一杯だったし、お互い様かな」

不思議の国の大冒険。ちょっとグロテスクな思い出。

「う、確かに」

笑っても普通の顔でも同じ印象の人はいない。
そんなのサモエドくらいだ。あ、人じゃない。

「…一人暮らしって大変なんだね………」

授業、生活にかかる時間、そして修理の仕事。
大変な生活をしているのかも知れない。

「えっ! い、入れてないよ! 本当に入れてないったら!」

声が上擦った。というか、大それたことしてない? 私?

「そ、それじゃ私はこれで失礼するから! またね、秋!」

ぶんぶん手を振って大きなリュックを背負いなおし、その場を後にした。
スマイル・スマイルで買ったチョコだけど、食べてくれたらいいなって。

ご案内:「産業区/農業区」からアリスさんが去りました。
白鈴秋 > 「そうだな、お互い様だ」

 そういって少し笑った。懐かしいというにはあまりにグロテクスだが。少し懐かしい思い出だ。

「大変っていうか面倒だ。結局買い物で野菜とかもありきたりな物しかかわねぇし」

 そう答えて空を見上げる。まぁ結局面倒につきるのである。仕方の無い話ではあるのだが。
 さて、それから上ずったのを見て。ふぅと一息吐いて。

「わかった、気をつけて袋は開けさせてもらうよ」

 そう答えて少し笑う。態度などからその嘘はわかっていた。
 もっともそれがバレンタインチョコだとは気がついていないわけだが。

「ああ、じゃあな。気をつけろよ」

 そういって見送る。それからコーヒーが飲み終わるまでの間畑を見ていた。
 水は止まらない。

「……ありきたりな補修でもなんとかなるものだな」

 単純に言えば緑の板はそこにマナを流す役割をしており、針金はいわばマナが通る道。細い分強く伝わるという事だ。それが緑の板に触れるとそこにマナが流れ水をその地点から加速させる。本来は板の位置全てに印を刻むのだが。かなり楽になった。

「さてと、後は細かい修復だ」

 針金を外れないように補修して、土の中へ隠す作業。それらを済ませると自身も畑を後にする。畑の所有主には早いうちに配管全てを入れ替えるように伝えておいた。
 さてその後。帰ってからチョコに気がつき。少しだけ笑った事だろう。そして美味しく頂いた。

ご案内:「産業区/農業区」から白鈴秋さんが去りました。