2020/08/14 のログ
ご案内:「産業区/地下 海底トンネル直結」にオダ・エルネストさんが現れました。
■オダ・エルネスト >
そこは魔導融合機関の研究、開発をしている部活動の工場。
幾つもの機械が動き犇めく機械の冥き森。
その最奥に、その魔物は今息を潜めて眠っている。
ハイエンジン・モータービークル
――次世代 魔導融合機関 自動車 Lancer-N.E.X.T.
通称、ネクスト。
ガンメタリックカラーの塗装と新世代に相応しい魔術と異能による効果を受け入れようとし生まれたその車は、魔物と呼ぶべき姿だ。
昔ながらの四輪駆動車でありながら、これまでの常識を凌駕するその性能は、
かつてのFF、FR、MRなどの自動車の駆動方式の中に現れた4WDの存在に近しい。
今の時代の『R』になってくれるかも知れない。
そんな期待を、夢をネクストは今の世代に与えている。
「やぁ、調子はどうかなって見に来た」
今は静かに眠る その魔物の周りには何名かの技術者たちがいた。
天使の調律者ニシミ。 数々の魔物的な機関《エンジン》調整を行ってきた今の世代でもトップクラスのチューナーで、自動車のニシミチューンと言えば速度に取り憑かれた者たちには有名である。 自分も元々は速度に取り憑かれた存在であり過去に起こした事故で顔に傷を持つ。
プロフェッサー・フィエマン。 次世代魔導誘導機関の開発技術協力者の一人でフィエマン教授と呼ばれているが学生だ。 老け顔なのが玉に瑕。
プログラマー川田。 魔術CPU制御プログラムを描く理系魔術士で、こと自動車のCPU制御においては川田の効率だけではないと言われる制御能力は一部のドライバーに高く評価されている。 本人は趣味でやってると言っているが、その実一番生活を犠牲にしている学生だ。
全員おっさんみたいな見た目をしているが、近い世代の学生だ。
不健康そうな生活をしてるから老けて見えるだけに違いない。
■ニシミ > 「ククク……どうって、本当はお前自身が一番気になってるんだろ」
分かってるんだぜ、と笑みを浮かべて男はオダに返す。
「あの日、ネクストを降りた時のお前の物足りなさそうな顔を見ちまったら誰でも分かっちまう」
悪魔のように囁きのように笑いながら、男は言う。
■フィエマン > フォッフォッフォッと老人に似合うような笑い方をして、
「体にかかる負担については考えなくてもよいとは、面白い事を言う男と思ったが。
どうやら、本当に『速度』にメロメロなようじゃな」
しらがのような白い髪を揺らして男は、川田の座る椅子の隣に座る。
■川田 > 「彼、ネクストにメロメロなんですよ。
実は何度か集合の日でもないのにネクストを見にきてましたヨ」
フフフ…と機嫌良さそうに笑いながら川田は端末のキーボードを叩いている。
どうやら、ネクストのCPU制御データを弄っているようだ。
■オダ・エルネスト >
「好き勝手言ってくれる……。
だが、身体への負担を無視……多少の無茶はしなくてはネクストの性能は発揮しきれないだろ」
呆れながらも、笑みを浮かべて青年は3人とその横に見えるネクストを見た。
「次はいつ頃になる?」
フォ…ン と一瞬、かかっていないはずの機関音を幻聴してしまうほど、
青年は気に入っていた。
このネクストの走り心地を。
■ニシミ > 「ククク……そう焦るナ。
気持ちは分かるが、前回フェーズ1の試験で外部からの影響をエンジンが受けちまってたと分かった。 エンジンまわりにそういう遮蔽効果を持たせるのは中々の高等技術でな」
だけどヨ、とニヤリと笑ってニシミは言う。
「オマエ、あの暴走状態のようなフィールが好きなんだろ?
だから、あの状態でもう一度走りたい。
分かるんだヨ。 俺は、俺も魔物に魅せられてる一人だからヨ」
クククと笑いながらオダの顔を見てニシミは言う。
■川田 > 「それに、面白いことにネクストが走ったあの日の夜移行に誰かが見てたのかも知れないが、
車やバイクの販売数が少し伸びた。 もしかすると学園側かも知れないがちょっとした商売に僕ら、利用されてるかもネ」
一度、キーボードを叩く手を止めてマグカップに入った黒色の液体を口につけた。
■オダ・エルネスト >
フン、と鼻から息を吐き捨てて
「なるほどな、悪い話ではないな。
この島の道路のあの速度をネクストと我々だけで独占するのは、少し寂しいところだろう」
青年もまた、この場にいる彼らと同じような笑みを浮かべて。
「私達のネクストが、かつての『悪魔』に次ぐ存在に相応しいか。
試される時は近いという事だ。
こういう時の私の勘はよく当たる」
■フィエマン > 「全く面白い男じゃ。
だが、それでこそネクストの《ドライバー》じゃ」
そう言って少し笑うと
コホンと一息ついて、真剣な顔をオダに向けて言った。
「では、次回までのネクストは確実に私とニシミで仕上げる」
■オダ・エルネスト >
「ああ、君たちプロジェクトOVER-N.E.X.T.の輝きを――」
そこまで言っていいや、違うなと首を横に一度振った。
「我々、OVER-N.E.X.T.こそが今の常環で最速の魔物であると示そう……!」
地下深くに静かな熱気が、今、道へと流れだそうとしていた。
それはやがて、全ての道へと繋がっていく……のかも知れない。
ご案内:「産業区/地下 海底トンネル直結」からオダ・エルネストさんが去りました。