2021/11/02 のログ
ご案内:「産業区/農業区」にノアさんが現れました。
ノア > 産業区の寂れた一角、自動化の波に呑まれて人の気配の消えた工業区域の中、動く一つの影。
とある施設を前に、運んできた黄色いゴミ袋を降ろす。
施設としてそもそも作りが甘く、環境に配慮した結果とうの昔に使用を廃止され観音開きの扉は南京錠がされている。

「よいせっと!」

パキンと、音を立てて金属がねじ切られる。
手に握られたのは二本のスパナ。テコの原理を使った錠破壊だ。
敷地外自体は厳重に管理されているが、改竄されたパスで中に入ってしまえば多少自由に動いたとて咎める動きは特にない。
コケむした銀色の扉を開けて、その中にゴミ袋を放り込んでいく。

一つ、二つ、三つ。
ドサリと、いう鈍い音に交じって聞こえる骨の折れるような音。
それらを気に留める事無く、乗り込んできたハイエースの中からいくつかの着火剤と燃料を一緒に投げ入れる。

「マッチ一本なんとやら……」

言いつつ最後に小さな灯をともすマッチ棒を一本投げ入れ、
扉を閉じる。

ノア > ほどなくして、黒い煙が高く伸びた煙突の先から僅かに漏れ出していく。
閉じた銀扉の中から、プラスチックを燃やした時の独特の匂い、肉の焦げたような物が混じる。

5分、10分、15分。時計を片手に空を泳ぐ黒い煙を眺め、やがてそれも小さくなっていくのを見届け、
それが完全に消えた頃、ポケットから取り出した壊したものと全く同型の南京錠で扉を封印する。

「さて、工業区第8製造ライン。天気は上々、今日も今日とて異常なし」

白々しく言い放ち、去り際に落としていた警備システムの再起動とダミーのログデータの読み込みを行う。
誰の手も入らなくなって久しい、無人の箱庭。
今日も自動化された工業製品が無機質に常世の島の為に生産されている。
ハイエースの後部座席に纏めた荷物を放り込み、運転席に乗り込む。
乱雑に鍵を回すと、ろくに整備されていないエンジンが文句を言うように低い音を立てて嘶く。
学園から離れた産業区の一角、知る人ぞ知るスポットとしてよく燃える"ゴミ捨て場"があるとか、なんとか。

ご案内:「産業区/農業区」からノアさんが去りました。