2020/06/15 のログ
ご案内:「研究施設群【学術大会開催中】」に羽月 柊さんが現れました。
羽月 柊 > 昼間に学術大会についての催しがあったとある建物から1人の男が姿を現す。

軽くため息を吐きながら、布のかかった篭を手に下げ、
書類の詰まった鞄を肩に背負う。

公の場に出ていたこともあってか、
紫色の長髪は一つにまとめ、服もある程度かっきりとはしていたが、
息苦しさを感じてネクタイを緩めると髪も解き放つ。


「 "全ての異能は治療されるべき" か……。」

大会に出た傍ら、聞いた言葉を口の中で転がす。

羽月 柊 > 基本的には今回の騒動は自分達に関わりの無い案件ではある。
この男の研究対象は異能ではなく、異世界の事柄という面が強い。
それにしても表向きはともかく、しばらくは騒がしいだろうとも踏んでいる。

――巻き込まれなければ良いが…と


「ん、あぁ、悪いな。今出す。」

手に持った篭からキューキュー、クァァと鳴声が聞こえれば、
道の端に寄ってそれを置き、布を取って篭の扉を開ける。

小さな羽音と共に二体の小龍が飛び出すと、肩や腕に留まらせる。

「狭かったか。流石にあの場では出しっぱなしという訳にもいかなくてな…。」

羽月 柊 > 「それにしてもすっかり遅くなったな…カラスはもう寝てるか…。
 餌やりは任せるにしても、毎日この時間は勘弁して欲しいものだな……。」

男の研究内容は、今出した小さな龍たちについてである。

今回の大きな焦点である異能について関係は無いにしても、
己の研究内容を島に報告しなければいけないこの時期は多忙だ。

今日だって終わったと思いきや、お偉い方やらに捕まって、
龍の権利の話、卵の入手先だの、ペット化した龍が放逐されたらどうなるかやら、
学園に通う龍がとか、龍人との関係性だの、教師になるかという勧誘まで。

ついでと言わんばかりに己の息子として学園に通わせている、
キメラの子供について嫌味までついてきた。脅威は無いと散々説明しているのだが。


とにかく長かった。提出した資料にありますではいけないのかと、
この時期はいつも思う。

布を畳むと袖を軽く捲り金色のブレスレットを露出させ、
篭の手提げの部分に軽くぶつけた。

すると篭は軽い金属音を鳴らし、みるみるうちに小さくなっていくと
手の平におさまるぐらいの小ささになった。

羽月 柊 > キーホルダーのように小さくなった篭をポケットへ仕舞いこむ。
たまにどこへやったか失くすのが困りもの。

「今時、何が異能でそうで無いのか、
 細かく定義付けるのも難しいだろうに…。」

少し頭が良いだけだとか、そんな異能だってあるかもしれない。

下手をすれば自分の髪や眼の色だって異能扱いになってしまう。
れっきとした日本人だと明言はしているのだが。

ぐだぐだした考えを落とし、傍らの小龍たちが返事をするように鳴く。

羽月 柊 > 「ん…あぁ、そうだな。帰らないとな…。」

まるで小さな龍が何を言いたいか分かるかのように、
男はそれに返事をしていた。

ふーと溜息を零し、振り返ると学術大会のあった建物を一瞥する。


「……あの騒動が、こっちの異世界事にまで波及しなきゃ良いがな…。」

そう呟くと、男は夜風に紫髪を遊ばれるまま、帰路へとついた。

ご案内:「研究施設群【学術大会開催中】」から羽月 柊さんが去りました。