2020/07/04 のログ
■羽月 柊 >
(……空間収納? 次元すらも操るか、
力のみと思っていたが存外器用な龍なのだな…
いや、自力で人間に近い姿を取れると考えれば不自然でもないか)
空より出でた鱗。
目の前に出されたそれに思案を巡らせる。
続けられた話に、手を出すよりも前に、一旦それをテーブルへと置いてもらう。
「……そうですね。お怒りを買うかと思い、濁しておりました。
私は…生来富のある人間でも、権力のある人間でもありません。
ましてや先ほど話したような埒外の力を持つ訳でもない。
本当にただの無力な人間です。
魔法は扱えますが、それとて、セイルやフェリアがいなければ話になりません。
そして竜・龍・ドラゴン…これらの身体の一部は、
魔法を扱うモノにとって、これ以上ない素材なのです。
私が食べていく為に、竜の子達を養っていく為に。
子らの素材を彼ら魔術師やこの島の学園に卸しています。
もちろん、無理に剥いだり、搾取はしておりません。
そうして貯めた金で、親を失った幼体や卵を様々なルートから買い上げ、
新たに子に加えております。
また、私は竜の子達の身体を魔法で縮め、私が養える大きさにし、
その竜を信頼できる方に"ペット"として提供しています。
時折様子を見に行っては健康状態を管理し、対価に自然に出来る素材と料金を頂いています。」
ペット。そう、この部分が怒りを買う要因だと柊自身は思っている。
己が管理しきれない為というのもあるが…。
■■■■■ >
「(弱小なる者の知恵、じゃな。
生きるために仕方なくする悪を、悪と断ずるかどうか、ということでもあるわけじゃが……)」
悪は悪である。
裁くのであれば、裁かれざるを得まい。
とくに、法のもとであれば罪は罪である。
しかし
「(……ぺっと、か。
その定義と、貴様がそれをする理由を答えるのじゃ。
そして、以前も似たことを問うた覚えはあるが……
そうまでして龍を守りつづける――
それが貴様にとって、どのような意味があるのかも、答えるのじゃ。)」
極めて普通の調子で。
いや、いつもの尊大な調子で、問を続けた
■羽月 柊 >
「ペットの定義…そうですね、
愛玩を目的とした動物…愛玩は分かりますでしょうか。
癒しや孤独感からの解放、鑑賞、共に遊んだり、そういった目的で飼われるモノです。
本来貴方様の眷属はとても大きくなる種が多い。
共に戦うような人間もおりますが、そういった種ばかりでは私も管理しきれない故です。」
セイルを肩に、フェリアを片腕に留まらせ、
そのフェリアの背を撫でる。
そう話す柊を2匹は見ているが、そこに憎悪や恨みの念は無い。
この2匹とて、元は親もおらず卵のまま野に打ち捨てられていたのを拾われたのだ。
「これは私のエゴ…利己の意識の元に行う行為ではあります。
貴方様の眷属というどれほどに強い種であれ、
親を失い卵や幼体のままでは生き延びる個体は僅かです。
竜という種に魅せられた人間として、少しでもそういった個体を救えればと思いました。
私がこの人間という短い生涯と、この矮小な身体で抱えきれるだけ多くを望み、
そして至ったのが、小型化という道でした。」
■■■■■ >
「(利己、か……貴様、己の満足のために随分と無法をするのじゃな?
世に連なる眷属を縮め、愛玩させ、かつ、売る、と)」
一つ一つ、あげながら確認していく。
それは罪状確認か
「が――」
「(回りくどいのじゃ。
非才ゆえ、かもしれぬが。
世に連なる眷属を縮めるなど、手間に対する対価が小さすぎるじゃろう。
その愚直さは、評価するのじゃ。
よい、許す。鱗をとらそう。あとは…血でもとるか?)」
法?
自身が法である、といわんばかりに裁を下す」
■羽月 柊 >
「…いえ、鱗だけで十分です。
見たところ傷も全く無いですから…元々貴方様が容易に傷付かない故でしょうけども。
これだけでしばらくはやっていけます。
……どれだけ愚かと言われようと、これが私の辿り着いた答えです。
鱗のお礼といってはなんですが、ついてきていただけますか。」
テーブルの上の鱗を手に取ると白衣を羽織り、そのポケットへいれる。
立ち上がっては金龍を促し、鏡から小竜たちがいる自宅へと入った。
わらわらと、この間のおねーちゃんだーとか、
そんな小竜たちが鳴声と共に集まって来る。
■■■■■ >
「(……なんじゃ、やはり欲がないのじゃな。
無欲もすぎれば毒じゃぞ?
まあ、よい。貴様の覚悟は気に入ったのじゃ)」
からからと爽やかに笑う。
随分と気に入ったようだ。
ついてこい、と言われれば素直についていく
「(おお、貴様ら。壮健にしておったか?
ははは、くすぐったいのじゃ)」
小龍たちにじゃれつかれ、楽しそうに笑う。
その様子は、見た目通りの子供のようにも映る
■羽月 柊 >
「搾取は趣味ではないんです。
竜を扱う上でそういう場面は嫌というほど見ましたからね…。」
道中でちょっとすみませんと言いつつ、部屋の一室へ。
食べ損ねて部屋で哀しく冷たくなった鳥の甘辛煮を冷蔵庫にしまう。
そこから出てくると別の部屋へ入る。
中は少々散らかっていて、魔導書やらが乱雑に積まれていた。
その中の一冊を手にすると、隅の箱を漁り、キューブ状の金属を出してくる。
テーブルの上を軽く片付けて中央に金属を置き、
魔導書が積まれていた箇所の近くの壁をノックするように叩くと、隠し金庫が開く。
そこから血の入った小瓶をいくつか取り出して…準備を進めていく。
「少し待っていていただけますか。
血の匂いがしますが気になさらないでくださいね。」
■■■■■ > 「(搾取……ふむ、愚かな連中のことか。
いっそ噛み砕いてやればよいじゃろうが……
どうせ法が許さぬのじゃろうな)」
面倒なことだな、という顔をする。
しかし一方でもうなれた。わかるわー、という顔もする。
ドヤ顔すぎて、イラッとくる人は来るかもしれない
「(ほほう、なんじゃ魔法か?
薬師か? 面白そうじゃな)」
素直に待ってはいるが、好奇心で柊の手元を覗いてくる
■羽月 柊 >
『…大樹の葉、菊の結び目、我らの音を紡いでおくれ。』
金龍が覗き込むのをそのまま、柊は言霊を紡ぐ。
取り出した一冊の魔導書が宙に浮き、
パラパラと勝手にページをめくる。
どこからともなく金色の切っ先を持つ羽根ペンが飛び出して来ては、
小瓶の蓋が開き、中の血をインク代わりに空に文字を綴っていく。
それは正に魔法。
それと同時に金属のキューブは熱にあてられたように溶け、
形を変え、シュルリと円を描き、小さな輪を形作る。
『現と夢の手助けを、それは祝いと呪いの環。
この世界に芽を出す若葉に、世界からのささやかな贈り物を。』
セイルとフェリアの魔力を借り、それを精密に操る。
自分から捻出できないそれは酷く扱いが難しい。
しかし慣れた様子で、柊はこなす。
■■■■■ > 「(ほう、ほうほう……ほほう……)」
魔導書が浮く
ページがめくられる
ペンが浮き 字を綴る
見方を変えれば、遊園地のような光景
否、そんなモノが龍の世界にあったかはわからない。
だが、確かにそれは、神秘とともにエンターテイメントを提供していた。
「(ふむ……セイルとフェリアが手伝っておるのじゃな……?
この魔力量はそういうことじゃろうか……)」
■羽月 柊 >
男からは全く魔力が感じられなかった。
今男が操っている全ての魔力が、傍らの2匹の竜のモノだった。
小さな輪はちょうど、少女の指に納まる大きさだろう。
空中に描かれた字は小さく細くなり、
環を描き…その金属の環を一周するように重なり、
俗にいうルーン語等の文字そのものが力を持つ機構となって指輪と一体化する。
一切の破綻なく、文字は指輪の文様となる。
最後にふわりと浮いて柊の手に来たそれを持ち、金龍の方へとしゃがみこむ。
「ヒメ様。これを。先程の鱗のお礼です。
つけたまま発語してみてください。」
そういって少女の左手を取ると、中指にはめようとする。
■■■■■ > 「(金属の輪、じゃな……?
●●●がよくつけていたはずじゃが…指輪、じゃったか?)」
ほう、と出来上がったものを感心しながら眺める
どんな用途だったか……確か……
「(うん? ああ……うむ?)」
記憶を探っている間に手を取られ、指輪がつけられる
「ああ、そうじゃった!
指輪とは、●●●の求愛行動じゃったな。
……そういうことじゃろうか?」
ああ、そういえば、と。口にしたのは
何故よりにもよってそこが共通なのかというような中身だった
■羽月 柊 >
「うーーーーーーん…うん……。」
よりよってようやく出た共通言語がそこだった。
いや、翻訳は完璧だったので自分の腕を褒めるべきなのだが。
「腕輪等では失くしやすいし首輪は貴方様にはと思って指輪にしたのですが…
求愛したかった訳ではないんです………ええ…。
とりあえず、翻訳はしっかり出来ているようですね。
そのおそらく『人間』たる特殊言語を除いては。」
ちょっと素が出て頭を掻いた。
■■■■■ >
「翻訳……なるほど、そういうものじゃったか。
それで、貴様の言葉も、少し違って聞こえるのじゃな?
なんじゃ、その話し方のほうがよいぞ」
カラカラと、笑う。
実際は素の話し方が出ただけのちがいではあるのだが……
「これは助かるのじゃ。
正直、●●●の言語を全て覚えるべきか考えたところじゃったからな。」
■羽月 柊 >
「いえ、先ほどは少々素が出ただけですよ…。
本気で言葉を崩すと結構失礼になるとは思いますが。」
『人間』以外の言葉は全て順調に翻訳出来ているようだ。
竜語の辞書と自分の知識を元に作っているから、これは順当。
「貴方様の言う…あー……どうも発語できませんね。
我々の種族を表す言葉が翻訳しきれていないようですが、
それは『人間』と言います。
少し調整させていただきますね。」
抵抗しないのであれば、指輪をはめた手を取り、
自分が同じくはめている指輪をかち合わせるようにするだろう。
そうすれば、●●●と発語した時、人間となるはずだ。
■■■■■ > 「よい、素を出すことを許可するのじゃ。
見下すようなモノは万死に値するが、かといって気安さの一つもないのでは為政者として足りぬのじゃ」
相変わらずカラカラと笑いながら、許可を出す
意外とそういうところには頓着がないらしい。
そして、調整はされるがままになる。
「ん……あー………ニンゲン? にんげん?」
あえていくつか言い直してみる
どうやら、成功のようである。
■羽月 柊 >
素を出せと言われると一つ呼吸。
「あー、ぁー…はぁ、まぁ、素に戻れというなら戻るが…。本当に良いのか…?
君のような竜ではない龍に対しては、礼儀を尽くすべきだとは思うのだが……。」
ガチの素に戻った。愛想笑いすらやめる。
ただし、ここが自分の家な分、外にいるよりは表情は柔らかいが。
「…翻訳はどうやら上手く行ったな。」
■■■■■ > 「は、それでよい。その顔もじゃ
あとは、そうじゃな……」
面白そうに笑う。
その視線の先には、空に遊ぶ龍たち
「すこし、こやつらと遊ぶくらいじゃな?」
くすり、と笑う姿は
威厳とはまた違うものがあった。
■羽月 柊 >
「良いのか……まぁ、ありがたいといえばありがたいが。
正直、何年分かの敬語を使い尽くした気分だったからな。」
魔術を行った部屋から出る。
金龍のその言葉を聞けば、ついとドーム状の建物に繋がる扉を指差して。
「小竜たちは大半がそこの部屋だ。遊ぶなら遊んでやってくれ。
何分、身体を小さくしたせいで子供のような子が多いんだ。
明日になったら生活委員に下着やらなんやらを手配してもらいに行きたいが…。
なにせ今日はもう遅い、俺も実を言うと夕食が途中だったからな…。」
■■■■■ >
「そもそも、じゃ。
言葉だけの敬意なぞ塵のようなものじゃ。
求むるべき本質は、そこではないじゃろう。
肝心な部分さえあれば、それでよいのじゃ。
しかし、なんじゃ。相当無理しておったか?」
呵々大笑。
意地悪いからかいの目線を向けるくらいには余裕を持って。
「はは、愛いやつらじゃ。
よかろう、皇みずからが遊んでやるのじゃ」
ほれほれ、と小竜たちをなでかわいがる
■羽月 柊 >
「世の中そういうモノだけだと楽なんだがな…。
上辺だけでも取り繕わないとやっていけないのが人間社会だ。
…まぁ、無理してたのは認める。
敬意を持っていない訳ではなかったが、ずっとだと肩が凝る……。
普段こんなに言葉を正すのは学会に出る時ぐらいだからな…。」
首に手を当てて軽く傾げる。コキリと音が鳴った。
あまりやってはいけない。
「姿的にどちらの方が過ごしやすいのか分からないが、
もし人間側で眠るのならこの部屋に戻って来るといい。
俺は途中だった夕食を食べる。」
と、ドーム状の部屋の中で小竜達と遊ぶ金龍に声をかける。
「…あぁ、忘れていた。
その指輪だが、装着したまま元の姿に戻るなよ。
間違いなく壊れる。戻る時は外してくれ。いくつも用意は出来ない品だからな。」
何事もなければそのまま日は過ぎ、
翌日、生活委員に訝し気に見られながらも金龍の生活基盤を整えたり、
女性としての服等が与えられるはずだ。
ご案内:「研究施設群 羽月研究所」から羽月 柊さんが去りました。
ご案内:「研究施設群 羽月研究所」から■■■■さんが去りました。