2021/10/05 のログ
ご案内:「特定異能研究区 - ロビー」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
ただ広い研究区画の中の建物の一つ
その一階、ロビーの椅子にかけた少女が一人
手でスマホを弄ったりしつつも、ちらちらと呼び出し口の係員を横目で見たり
どことなく落ち着かずソワソワとしている様子
■伊都波 凛霞 >
SNSを眺めたり、ショートメールの返事を返したり
そこそこ手持ち無沙汰でないにしても、待つ時間というのは長く感じるもので…
『22番の方』
「はっ、はいっ!」
呼び出し口からかけられた声に、手元の番号札を確認して少し慌てた様子で返事し、立ち上がる
■伊都波 凛霞 >
『こちらが検査の結果になります』
窓口に行くと、そんな言葉とともに4枚ほどのプリント表が手渡される
ありがとうございましたと頭を下げ、椅子に戻る間にもプリントに目を通して
はー…っ、という、安堵の溜息が漏れた
椅子に腰を降ろし、改めてにらめっこ
呼び出し口のほうで"奥へどうぞ"なんて言われたらどうしようかと思ったところ…
今日は健康診断ならぬ、異能の力の診断にやってきていた
■伊都波 凛霞 >
確か4歳だか、5歳だかの頃に発現した自身の異能
一般的にはサイコメトリーなんて呼ばれる、テレパスやテレキネシスなどと並ぶ
比較的認知度と分布の広い、超能力の一種である
この辺りのいわゆる"珍しくない力"は特異な異能と比べてかなり古くから確認されているのもあって、
個々人による細かな差異こそあれど、大凡は脳にその力の根源があると言われている(らしい)
「…松葉博士にヘンなコトされた時におかしくなってないか心配だったけど…とりあえず安心、と……」
診断結果で異能の力による脳への深刻な影響はなかったことが確認されて、大きく胸を撫で下ろす凛霞だった
■伊都波 凛霞 >
元々、"リーディング"を酷使した時などは強烈な頭痛に襲われることがあった
それも異能医の言うところによる『脳への負荷』の問題らしく、
前回意識を失った時は情報の洪水のようなものを読み取って一時的に脳がハングアップした状態になったのだとかなんとか…
専門知識はないので詳しいことはわからない
そして、その時に読み取ったものも、断片的にしか記憶には残っていない
とりあえずは今、脳に異常が見られないということに安心していた
「これをレイチェルさんに提出して、本格的に現場復帰。…かな?」
運動能力面にまだ不安は残るけど、他で補うことはちゃんと出来る
長い時間負担をかけた分、精一杯やろう…と
改めてそんな意思を固める
「よし。それじゃ… …ん?」
診断書をしまおうとして
過去にはついてこなかった、5枚目があることに気づいた
■伊都波 凛霞 >
「……"リーディング"以外の、データフロー…?」
その記述は、凛霞の脳が処理する異能の力が
リーディング…、サイコメトリー以外にも在ることを示すもの
詳しい検査を希望する方は下記…と続く記載に目を奪われる
■伊都波 凛霞 >
心当たりは、あった
過去一度、精密な異能の検査を受けたこともある
けれどあの力は、完全に消失したはずのもの…
妹との"あの事件"の後は、何度検査してもその異能の力は確認できなかった
「……」
僅かな不安が滲む
また、あんなことが起こるのではないか、と
あの事件は、自分と妹のためには必要な試練だった
でも、もう一度繰り返すには余りにも、悲しい出来事でもあった
……が
■伊都波 凛霞 >
「…違う」
以前と同じ異能の力が再発現したのであれば、此処にデータは残っているはず
つまり、以前の力とはまた違う何か……
新たな異能に目覚める
複数の異能を一つの身に宿す
なんていうことは、稀に見られるものである
主にそれは…精神的に急成長したり、何か事故にあったり…
偶発的な出来事や、強烈に意識化に影響を与える事象からというパターンが多いようだ
「…思い当たるフシは…ありありだネ」
安堵とは違う、別種の溜息が漏れた
■伊都波 凛霞 >
「…っていっても別に自覚するような何かはないんだけど」
うーん、と首をひねって自身の頭を手でこつこつと軽く叩く
何か別種の異能が発現していて、自覚がないとしたらそれはちょっと怖い
いや、かなり怖いコトだろうと思う
「……精密検査、受けときますか」
自分の計り知れないところで何かが発現していて、
それが他人に迷惑をかけるなんてことになったら、目も当てられない
脳に起因する力なら、何に影響する力なのかを特定することも…
まぁ他の、原因不明の異能の力よりは、一応希望が持てるだろう、きっと、たぶん
■伊都波 凛霞 >
……実のところを言えば
新たな力を望んでいなかったわけではなかった
松葉博士との一件で対異能者戦闘において
デフォルトの身体能力だけではどうにもできない壁を思い知った
余りにも、何も出来なかった
風紀委員としての戦闘能力は、高い方であると自負する
事前に準備が適うならば大勢の異能犯罪者相手でもどうとでもなるだろう
けれど
"限られた条件の中でしか真価を出せないようではプロとは呼べない"
昔に何かで聞いた、どこかの偉い人の言葉を思い出した
「……よし」
診断書をバッグに仕舞い、再び立ち上がる
向かう先は施設の出口ではなく…奥に向けて
もし自分に新たな力が芽生えたのなら……
ほんの僅かな高揚と、とても大きな不安
その2つを胸に抱いて、一歩一歩、歩みを進めていった
ご案内:「特定異能研究区 - ロビー」から伊都波 凛霞さんが去りました。