2019/03/01 のログ
ご案内:「訓練施設」に柊真白さんが現れました。
柊真白 >  
(訓練施設の一室。
 柱だったり鉄棒だったり箱状のものだったり、大小さまざまな障害物が並ぶ室内に多数の人影が走りまわっている。
 そのほとんどは所謂ダミー人形で、指定されたプログラムに従って駆けまわっているだけだ。
 生きている人間は自分ひとり。
 やっていることは「追いかけっこ」である。

 しばらく仕事で島を離れていたのだが、ちょうど試験の時期と被ってしまっていた。
 更にトラブルで帰島が遅れ、試験を受けることが出来なかったのだ。
 当然追試となり、昨日の時点で筆記の追試は終わった。
 今やっているのは実技の追試である。
 学校に届けている異能は「超加速」であるので、その精度の測定が実技試験であり、その試験方法がこの「鬼ごっこ」と言うことらしい。
 正直本気を出せば、十数体のダミー人形など一つ一つ確実に潰していけるのだが、流石に試験でそんなことをするわけにもいかない。
 なので律儀に逃げ回る。
 壁を、柱を、鉄棒を足場に。
 跳ね、潜り、支え、向きを変えて。
 ギリギリを装いながら逃げる。)

ご案内:「訓練施設」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 今回、己に与えられた任務は幾分珍しいものであった。
訓練施設を用いて実技の追試を受ける生徒がいる間の施設の護衛。追試の監視。問題が発生した場合の対応と教師への報告等々。

追試の補助任務の様なある意味で平和な任務に、久し振りに楽な任務が来たものだと息を吐き出す。大方、風紀委員の過激派に所属する自分を落第街やスラムに送りたくない誰かの横やりなのだろうが。

とはいえ、仕事は仕事。警備システムを確認し、職員と打ち合わせを行い、演習施設と訓練施設を順に回っていく。
特に問題も無く巡回は進み、最後の一室の扉を開き――

「……部屋を間違えた訳では無さそうだな。追試という単語が似合わぬ者がいる様に見えるが」

生徒が追試を受けている、という日常的な風景も彼女が対象になればいきなり非日常だ。
部屋を飛び回る少女の姿に、一瞬本気で部屋を間違えたかと端末に視線を落とした後、呆れた様な口調で声をかける。

柊真白 >  
(ダミー人形から逃げ回りながら空いた扉へ視線を送る。
 見知った顔。
 逆上がりの要領で鉄棒に上り、更に跳ぶ。)
 そして空中で柱を蹴り方向転換。
 地面に着地したタイミングでブザーが鳴った。
 追試終了の合図。)

――「バイト」で島の外にいた。

(動きを止めて崩れ落ちるダミー人形たち。
 それらを避けて彼の方に歩み寄りながら、無表情で問いに答える。)

神代理央 > 「成程。試験期間中の不在か。ならば仕方のない事ではあると思うが、貴様に試験だの追試だのという言葉を当てはめる事自体に違和感を感じるな」

寧ろ、その曰くありげな"バイト"とやらの方がしっくりくる、と締めくくりながら、クスリと小さく笑みを零した。
鳴り響くブザーに部屋を見渡した後、再度少女に視線を向けて。

「追試は無事に終了した様だな。お疲れ様。貴様ならば、此の程度何の問題もあるまい」

歩み寄る少女の無表情さにも慣れたもの。
小さく肩を竦めつつ、尊大な口調と態度で労を労った。

柊真白 >  
評価してもらえてるようでなにより。

(あれだけ動き回った直後でも、汗だくと言うことはない。
 もちろん運動した分体温は上がっているので汗もかくのだが、まだまだ余裕はある。
 部屋の隅に置いてあった袋からタオルとスポーツドリンクを取り出し、汗を拭いて水分補給。)

ありがとう。
――貴方は?

(試験は無事終えたのだろうか。)

神代理央 > 「何せ、相応にやり合っているからな。貴様の実力は、我が身でしみじみと思い知っているとも」

全く息を荒げず、寧ろ涼し気な有様の少女を眺めながら苦笑いを零す。
水分を補給する少女の姿に、人外染みた彼女も人並みに水分は必要なのだなと幾分失礼な事を考えつつ――

「……俺が試験を取りこぼす様な間抜けに見えるかね?これでも教師の間では優等生で通っているからな。万事問題ない。今日は、貴様の様な問題児達の追試の監視だよ」

幾分揶揄う様な口調と共に、緩く口元に弧を描いて見せた。

柊真白 >  
そう。
――飲む?

(褒められている、のだろうか。
 見られているのに気付き、一度ペットボトルに視線を落としてからそれを彼に差し出してみる。)

そう。
ちゃんと勉強してるなら、良い。

(そういうところで見栄を張るような男でもないだろうし、そう言うのならそうなのだろう。
 陰謀にかまけてばかりいないでちゃんと学生の本分も全うしなさいと言うように。)

問題児相手なら押し倒して無理矢理服をはぎ取って乱暴してもいいんだ。
ふうん。

神代理央 > 「…別に喉が渇いている訳では無いのだが。だが、くれると言うのなら遠慮なく頂こう」

差し出されたペットボトルを受け取りながら溜息を一つ。
少女と出会った頃ならば、幾分恥じらいや躊躇いもあったかも知れないが、時間とはげに恐ろしいもの。
寧ろ少女の方は自分がこれを飲んでも構わないのだろうか、等と考えながら、二口程喉に流し込んで少女に差し出した。

「風紀委員が追試や落第では生徒を指導する訳にもいかんからな。先ずは己が模範を示さねば、誰もついてくるものはおるまい」

僅かに肩を竦めつつ、幾分小言の様な口調の少女に言葉を返す。
しかし、次いで投げかけられた言葉には流石に高慢な表情も色を変える事になる。

「……事実を否定はしないが、それではまるで俺がとんでも無い人でなしの様では無いか。第一、其処に至るまでの経緯を省くのは如何なものかと思うがな」

深いため息の後、じとっとした目線を少女に向ける事になる。

柊真白 >  
(彼にペットボトルを渡し、中の液体を口に流すのを見て、返されたペットボトルを受け取る。
 思春期真っ只中の少女、と言うわけでも無いのだ。
 他人との回し飲みなど、どうとも思わない。)

良い心がけ。
出来ればその心がけで風紀の仕事にも当たってほしい。

(出来れば、あまり過激なことはしないで欲しい。
 彼のためにも、それ以外にも。)

そういう返し方をされる言い方をする貴方が悪い。
――まだ続けてるの?

神代理央 > 「…まるで俺が、そういった心掛けを持たずに風紀委員として活動している様な言いぐさだな。先程も言った通り、優等生の風紀委員で通っているんだがね」

尤も、風紀委員としての評価は意見が分かれるところではあるが。彼女の様に己の行動を諫める者がいないでも無いのだし。

「…私も事実以外を告げた覚えは無いが。全く、相変わらず口の達者な事だ。
……それが、あの夜貴様に咎められた事なのかと言う事ならば、答えは是だ。そろそろ、落第街やスラムでも顔が割れ始めてやりにくいことこの上ない」

少女に答えた言葉と共に浮かべたのは、何時もと変わらぬ様な高慢な笑み。
闘争と力で他者を支配する事に疑問を持たない、僅かな獣性を帯びた笑みで緩やかに頷いた。