2019/05/29 のログ
ご案内:「訓練施設」に天月九郎さんが現れました。
天月九郎 > 戦闘訓練用ブースに足を踏み入れると何度か利用したがやはりこの場所に来るとピリリとした緊張感を覚え
未だそれを心地良いと思える域には達しておらず大きく深呼吸して気持ちを整える。

「やるか」

天月九郎はほんの数ヶ月前までは異能も魔術も持たないただの中学生であり、戦いとは無縁の生活をしていた。
しかし目覚めた異能を使いこなし、自らの夢のためには必要な事であると意識をセット。
自身の腰の前に手をかざしその奥へと意識を伸ばし……ぐっと瞳に意思を込め両手で輪を作るとその中央に光が凝縮。
中央にリボルバーの弾倉を前から見たようなシリンダーを持つガジェットが出現し、ジャッと音を立てベルトが腰の周りに巻き付き、固定される。

天月九郎 > 「変身」

低く呟き胸の前で拳を握りこみ、光があふれ手の中に大きな弾丸状のガジェットが出現する。
白銀の地金の上に浮かぶ紋様が示すのは「運命」を意味する古代文字。
それをベルトの上部に開口したスロットに装填、撃鉄を降ろすと込められたエネルギーが循環を始め、ベルトが問い掛けを発する。

<<Call your name>>
「ロード・アルカナ」

ゆっくりと円を描くように腕を回し、戦士の名を口にしながら掠めるようにタップすれば撃鉄が弾け、シリンダーが高速回転を始める。
循環により増幅されたエネルギーは少年の全身を覆い……光がはじければそこには黒いボディに真っ赤な瞳、白銀の胸甲にフルフェイスのマスクを纏った胸甲騎士の姿があった。
身長は少年の姿から大きく伸び、体に纏わりつく光を腕を払って散らすと同時、赤いマフラーへと変じ首元に巻きつき、セットアップが完了する。

天月九郎 > 「……っく」

五感はまるで今までが霧に包まれていたのかと思うほどにクリアに、あふれるエネルギーはなんでも出来てしまいそうな全能感を与えてくる。
異能の力を十全に発揮する戦士の姿を取るたびに襲われる溺れてしまいそうな感覚に呻きを漏らしながらシステムに開始の合図を告げる。

浮遊し自立駆動するボールが次々と九郎……ロード・アルカナに向かい殺到し、身体がくるりと回転し回し蹴りで迎撃、その勢いを殺さずに拳を振るいと舞うように捌いていく。
終わりと始まりを繋ぐ円環の動きを意識したそれはマトモな戦闘訓練をついこの間始めたばかりの少年に出来るものではない。

それは魂に撃ち込まれたバレットが与えてくれる、戦士として戦うための戦闘技巧。
が、あくまでそれは身体の動かし方を覚えただけでしかなく――

「ふぐっ……」

顔面を襲うボールを咄嗟にガードし、視界が塞がれた隙にがら空きのボディを襲う、といった単純なフェイントに引っかかり呻き声を上げてくの字に折れる。
与えられた技術は達人のもの、しかしそれを操るセンスと意識は少年のままでしかない。

ご案内:「訓練施設」にアリスさんが現れました。
天月九郎 > 「くそっ……!」

素早く襲い掛かるボールの動きはハッキリと見て取れる。
それを打ち払う動きも速度、力ともに申し分ない。
だというのにフェイントを、陽動を交えながら打ち込まれれば容易くそれらを掻い潜られクリーンヒットを貰ってしまう。

出来るはずなのに、出来ない。
そのもどかしさに歯噛みしながら本能的に飛び出る練達の動きを拙い意思で制御し、擦り合わせ、過熱していく思考の中で何が悪かったのかと次に繋ぎ、理想像を自分の中で組み立てていく。

アリス >  
最近、時々訓練施設に足を運ぶようになった。
パンデミックの巨大蜂にターゲッティングされていると知ってから。
あいつに勝つための戦闘法を練習しているわけで。

「ぐぬー」

しかしこの訓練、やってる側もかなりの危険を伴う。
訓練室の一つから出てきた私は髪がボッサボサ、ストッキングも伝線している。

訓練施設は気紛れに来るものじゃない。
今度はジャージ上下で来よう……
と、爆風の煽りを受けて跳ねた髪を撫で付けながら訓練中の人を見ていると。

「…ん」

全身を鎧(よろ)う、鋼の戦士と形容するべき人の姿が気になった。
ああいうの、装備してみたい。
けど、得てして私の場合は身長と筋力が足りてないし、
自分用に造るにも構造の理解がまるで追いつかないだろう。

それにしても、あの重そうな姿でよくあんなに動けるなぁ。

天月九郎 > 理想を描きその上を拙くなぞる。
繰り返すうちに歯車が噛み合うように、不完全ながらも少しずつ近づいていく。
そうしてまた初見のテクニックに翻弄されてはと思考が加速していき……過熱した意思に深呼吸で酸素を送り込み集中。
手の中に光が集まり新たなバレットを生成、チャンバーに叩き込み撃鉄を起こし、弾く。

<<Load MAGICIAN>>

技能の恒常、柔軟性を意味するアルカナの力が発動、スピードのギアが一つ上がり描いた理想をそのままトレースするかのように身体が動き連携して迫り来るボールを拳拳蹴拳と弾き飛ばし、バレットの力が霧散していく感覚に深い呼吸を繰り返し……。

「あれ?アリスじゃん、そっちも特く――ほぐぅっ!」

自らが身長さえ変わったフルフェイスの姿という事も忘れ見知った顔に手を上げ声をかけ。
伏兵、という新たな戦術をぶつけて来たボールがわき腹にクリティカルヒット、真横に吹き飛んで転がっていく。

アリス >  
おお。かなりすごい。
どの組織が作った鎧なのかはわからないけど。
あれくらい戦えたらかなりのもの。

ボールを弾き飛ばす鋼体拳足は、その軌道が鮮やかに煌いて。

「へ?」

今の声、九郎!? でも身長が合わなくない!?
そしてわき腹にいいのもらったー!?
い、痛そう!! 私のせいかなぁ!?

「九郎……」

怪我とかしていないことを願う。
あの鎧があったとしても過激な訓練をしているなぁ。

天月九郎 > よろよろと立ち上がりながら追撃を仕掛けようとするボールに手を降って停止命令を送り即座に訓練中止。
しかし慣性まで停止するはずもなく勢いよくバウンドしたボールに顎をカチ上げられ仰け反るようなポーズで吹っ飛び、頭からドシャア!と彼女のすぐ目の前に頭から着弾。

よろよろと立ち上がりながらバックルを掴むとベルトが弾け、鎧が光りながらバレットの形に戻り胸の中に吸い込まれていって……。

「あれ?アリスじゃん、そっちも何か特訓?」

しれっと何事もなかったかのようにリテイク、ブースを隔てていたシールドを解除する。

アリス >  
「ヒッ」

ヒッてなるよ!!
ドシャアって、ドシャアって吹っ飛んできたし!!
私も次から安全策を取ろう……今度から無茶な特訓は絶対にするまい…

そんなことを考えていたら、装備を解除した九郎が普段通りの身長になって…げふんげふん。
とにかく、いつもの九郎が話しかけてくる。

「あー……パンデミック対策? みたいな?」
「そんなことより今の大丈夫だったの? 相当、派手に吹っ飛んだけど」

装備のことを聞くよりも気になる。
何事もなさそうにしてるけど、相当スゴイ吹っ飛び方してたよ!!

天月九郎 > 「パンデミックって、あのニュースなんかでたまになんかやってる?」

あれの対策ってアリスって風紀か何かやってるんだろうか?と首をかしげ……

「あーあの姿の時って痛いのは痛いけど基本めっちゃ頑丈だし、っていうか生身でも割と頑丈なんだけどね俺。
 っていうかアリスのほうこそ大丈夫?」

髪の毛ボッサボサであちこち乱れていて、こういう場所じゃなかったから血相変えそうな格好で心配そうに……。
自分自身は無造作ヘアーでブラシなんて持っているはずもなく心配する以上のことは出来はしないけど。

アリス >  
「うん、赤いゾンビのアレ」

表情を暗くする。前に、目の前でゾンビになった学生を撃ち殺してしまった。
自分が生き残るために、ゾンビとはいえ人の形をした存在を粉砕するのは気分がよくない。

「あれの巨大種にマーキングの針を打ち込まれて、残ったかすかな魔力で追ってくるかも、って話」
「いや頑丈だからで済む吹っ飛ばされ方じゃなかったわよね!?」

男の子ってスゴくない?
思わずツッコミを入れたけど。頑丈で済む話なんだ…

「私?」

手元に鏡とブラシを錬成し、髪を梳る。
まっっっったく、元通りの髪型にならない。

「ダメ、死ぬ」

絶望に満ちた表情で。

天月九郎 > 「あーたまに騒ぎになってるもんなあ……って針!?刺されたのか!?っていうか追ってくるって大丈夫なのかよ……
 ヤバそうなら呼んでくれよ?あー……風紀の次くらいで良いから」

さっきの吹っ飛びかた見られたら頼りにはなんないよなあ……と肩を落としてため息を。
ヒーローなら俺に任せろと胸を叩いたらそれだけでもう安心、というくらいじゃないと。

「俺の異能ってさっきみたいに発動しないとダメなのもあるけど、常時型?ってのもあって、基本的に頑丈だし傷の治りも早いんだよ……って、すげぇなそれ、魔術か何か?」

手の中にブラシと鏡が出現すればおおっと身を乗り出し目を輝かせる。
髪については……うん、そっとしておこう。
爺ちゃんが髪は女の命、下手な事を言うと腎臓刺されても文句はいえないぞ、とか言ってたし。

アリス >  
「巨大な蜂みたいなゾンビ? 自分で言ってて、わけがわからないけど、そんな感じ」
「ありがとう、その時はメールで呼ぶからすっ飛んできてね」

でも、もう誰かを巻き込むつもりはない。
自分のせいで誰かが傷つくのが耐えられない。
そのためなら、私は一人で戦える。

「パッシブスキルもあるのね……私はアクティブスキルよ」

手のひらで鏡がパイナップルの缶詰に変わる。
缶詰は古びた装丁の本に変わり、本は手のひらの上で溶けて水になる。
水は床に落ちる前に無害な大気成分に分解され、足元を濡らさない。

「物質創造系の異能、空論の獣(ジャバウォック)。見ての通りの面白手品よ」

ドヤ顔で濡れた手をAAと刺繍の入ったハンカチで拭く。
親友とお揃いのハンカチ。刺繍はママにしてもらった。

天月九郎 > 「とりあえず怪物って事は良く判った……夢に見そうだなそれ
 ん、じゃあその時はすっ飛んでいく、約束な」

彼女の内心には気付くはずもなく、よっしすっ飛ぶかとニッと笑って親指を立てて。

「お……おお……っ!凄いなそれ!っていうかすげぇ便利そう!
 うわぁ本当に魔法使いって感じだ……かっこいい」

この学園に来てから魔術や異能のたぐいはすっかり慣れるほど見てきたが、目の前で物が生まれ、くるくると姿を変えていく光景は判りやすく「魔法使い」だ。
拳を握り締め、目をキラッキラにして凄い凄いと繰り返して。

「っていうか名前もかっこいいな……
 俺のはアルカナバレットって言って……ん~今みたいに変身したり、バレットに込められた力を扱ったり…」

自分自身はもう本能で使い方を理解するといった感じで扱っているせいで言語化が難しく、首を捻ったりしかめっ面を浮かべたりと上手く説明できなくて、ちょっとかっこ悪い……と内心凹んで。

アリス >  
「よく見るわ、悪夢にね」
「……ええ」

彼は多分、呼べば助けに来てくれる。
付き合いは短いけど、そう思った。
だからこそ、巻き込めない。
いい人が傷つくのは、この常世学園という小さな世界の損失だ。

「魔法は適正がないけど、この異能のおかげで日々便利に過ごせているわけ」

白い純白のタオルを錬成して彼に手渡す。
コストゼロだし返さなくていいから、と付け加えておこう。

「アルカナバレット……」

アルカナというからには、大アルカナの種類分の効果があったりするのだろうか。

「変身能力が異能の一つとは、またレアね……」
「とりあえず立ち話もなんだしベンチ側に行きましょ」

ベンチに座って足を見る。
思ったよりストッキングの伝線がひどい。
これは上手く直せないし、帰ったら捨てるしかないか……

天月九郎 > 「そか……」

短い言葉に篭った感情の中身を察せられるほどに器用な人間ではないけれど
あまり触れて欲しくは無いのだろうなと考える事くらいは出来て言葉短く。

「あ、魔法じゃなくて異能なんだ。その辺の違いが未だに良く判らない……あ、サンキュ」

魔術師からすれば大違いらしいのがまたややこしいと眉根を寄せて、差し出されたタオルをありがたく受け取り汗を拭いて。
あ、なんかいい匂いがする、とか女の子にタオル渡してもらうとかスポーツ漫画でたまにあるやつ!とか男の子ハートが発動してぶんぶんと首を振ってよし正気に返った!

「そう、タロットカードの図案と同じ……らしいけど占術とかに使うような魔術とは違って
 同じモチーフを使った別のアプローチなんじゃないかって魔術の研究してる教師の人には言われた。
 っていうか俺が目覚めた異能なんじゃなくて、アーティファクト?が俺に与えてくれたって感じらしい、異能使いっていうか遺産使いだな」

誘われるままにベンチに向かい、近くにある自販機に寄って、何か飲む?と彼女の分も買うつもりで。
自分はブルーアイスホワイトソーダを、300円するエナジードリンクだ。
強靭で無敵で最強らしい。

アリス > 「私もパッと見で異能と魔術の区別はつかないわね…」
「これ、異能学と魔術学の先生に言ったら両方から怒られるやつだわ」

首をぶんぶん縦に振ってる。
ロックンロール? まぁいいか。

「アーティファクト……遺産使い、天月九郎。不思議ね」

世の中には不思議が満ちている。
その不思議が世界を混乱させた。いや、させている。

「あら、おごってくれるの? それじゃカロリーゼロのコーラで」
「最近、スイーツが美味しいけどポチャりたくなくて……」

よよよ、と泣くジェスチャーをしてストッキングから目を離す。
タロットモチーフ。変身。アーティファクト。
恐らく、彼の異能はファーストステージなのだろう。
常世学園生徒でまことしやかに囁かれる異能ステージ説。
セカンドステージに達したら、彼はきっと今より強くなる。

「また先輩風を吹かせたくなったから言うけど、異能ステージ説って知ってる?」

天月九郎 > 「なんか色々違いはあるらしいんだけど、原理とか小難しい話になるからなあ……
 俺はその辺基礎も基礎から勉強してるところなんでまだ触れないけど、迂闊なこと言ったら怒られるだろうなあ……」

特に漫画やゲームみたいなフィクションと同じような認識でいたら怒られるだろう、怒られたよ。

不思議、と言われたらその言葉の意味するところが判らずにそれこそ不思議そうに小首をかしげ。

「カロリーゼロね、カロリーゼロって不思議だよな……飲んだらお腹もちょっとは膨れるし甘いのにゼロって…
 俺からすればアリスって心配になるくらい細いと思うんだけどなあ」


筋肉つけたら良くない?とは思うものの女の子に筋肉トークは割りと禁止らしい、とそっちの方は飲み込んで……。
はい、と手渡し隣に腰を下ろして。

「異能ステージ説……えっと、単語くらいは知ってる」

中身は知りませんと無知を恥じるように視線を逸らしてホワイトソーダを口にする、うん、疲れた身体に染み入るね。

アリス >  
「確かに、怒られるでしょうね……私なんて二年にもなってこの認識だもの」

なんかこう、手からぶわぁーっと火とか出るイメージが異能。
手からぶわぁーっと火とか出るイメージが魔術。

「ありがとう九郎。不思議よね……甘くて爽やかで…黒いのに美味しそうで」
「ラベルを外したコーラは醤油みたいで不味そうなのに本当不思議」

自分の腕と足を見る。細いか。細いならいいか。

「今がベスト体重だからこれ以上太くなりたくないのよねー」

ベンチで足を揺らしてコーラを飲む。

「難しいことは何もないわ、学生たちが勝手に分類してる異能の進化度のことよ」
「異能を覚えたてがファーストステージとして」
「異能が進化するごとにセカンドステージ、サードステージって分類するの」

私たちがさっきまでいた訓練スペースでは、身体強化型の生徒がトレーニングを行なっている。

「多分だけど、私もあなたもファーストステージなのよ」
「っていう、益体もない話を後輩にして知識をひけらかした気分に浸るわけ」

天月九郎 > 「というか異能とか魔術とか本格的に解き明かそうと思ったら一生仕事だよなあ……」

なんて、今度は真理に辿り着くのに一生で足りるか怒られてしまいそうな事をしみじみと呟いて。
ハァッ!てやったらなんか出るのが異能で、魔法陣とか色々出てきて頭良さそうなのが魔術というイメージ。

「ああ……ラベルの裏にアタリとか書いてるキャンペーンで買ってすぐに剥がしたらなんか……それだけで美味しそうレベルが下がる……」

そして異能を語るのと同じようなテンションでしみじみ頷いて。

「ん~俺には良く判らないけど、理想って大事だよな。
 そうありたいって思うって最強の理屈だし」

細かな理由は別の理屈が対案になるだろうけど、自分はこれがいい、というのは何より優先されるべきだろうと頷いて。

「ふーん……なんか、かっこいいな!ステージとか進化とか!
 まあ俺が異能が身についたばっかで扱いこなせてないのは確かだけど、未熟って言うよりファーストステージって言うほうがかっこつくし。
 セカンドになったらどうなるのかなーって楽しみになるし、金色になったりするのかな」

完全に男の子ハートに火がついてしまったらしく脚をぶらぶら揺らしながら楽しげに拳を握り締めて。

「益体はあったよ、テンション上がるし、アリスって話上手いから俺は好きだよ」

だから益体なくなんてないと、なくなくない?うん、舌を噛みそうだ。

アリス >  
「摂理を解き明かすことを学問と呼んで、常世で勉強することがその一助になるんじゃないかしら」

万象を暴く異能を持っているからこそ、一生勉強の覚悟をしている。
でもはっきり言ってわからないものはわからない。だってわからないもの。

「そうなのよねー……最近、醤油みたいなラベルが貼ってある黒いオレンジジュースが売ってたけど」
「買う勇気が出なかったわ……」

額に指を当てる。髪は相変わらず爆発してて、ストッキングは伝線してるけど。
会話をしていて楽しいと思えるメンタルなのは、平和。

「そうなのよ、『綺麗は諦めた瞬間終わる』のが女の子の理論ッ!」

諦めたくない。綺麗になりたい。
そう信じることが、明日のダイエットのパワーをくれるのだ。

「異形型の異能はセカンドステージで大きく姿が変わることもあるそうだし」
「九郎もセカンドステージを目指さなきゃね、今よりもっとかっこよくなるかもよ?」

ふ、と笑って髪をふあさぁとかきあげ……ああ指に絡まる。
いつものキューティクルが台無しで格好つかない。

「ふふん、ありがとう九郎。そういうあなたも相手を全然退屈させない、平和なインテリジェンスを持っているわ」

コーラを片手に立ち上がって。

「さて、それじゃ私はそろそろ帰るわ。またね、九郎」

髪を諦めて、訓練施設を後にした。

ご案内:「訓練施設」からアリスさんが去りました。
天月九郎 > 「まあとりあえず、俺は俺の力を責任持って扱えるようになる知識を最優先で、摂理の探求は学者先生に任せるよ」

そもそも自分が学ばないといけない事は他にもたくさんあると、手の届く範囲を、そして届かせなければいけない場所だけを見るようにと。

「外見じゃなくて中身が大事ってこと食べ物に関してはあてはまらないよな……」

虫の形したお菓子とかジョークグッズであったけど形だけとはいえ食べる気にはなれなかったと遠い目をして。

「俺がかっこよく思われたいって思うようなもんかなあ……いや一緒にしたらダメな奴だな……」

カロリー計算しながら食べるとか、そういうのはたぶん鋼の意思がないとダメなんだろう。
自分だって鉄の意思はあるけど溶鉱炉のような熱い食欲に負けてしまうのだ。

「うんうん、パワーアップって胸が躍るよなあ……あ、今よりって事は今のもかっこよかった?」

かっこいいよなアレ!と貰い物の力だからこそ自身の戦士の姿を他人事のように拳を握り締め立ち上がって

「インテリ……?えっと、うん、ありがとな! それじゃまたなー」

平和なインテリジェンス、と言われてもどういうこと?ってなってしまう残念英語力だったが、たぶん褒められたのだろうと本能的に察して満面の笑みでぶんぶんと手を振り見送って。
自分も荷物を纏めて帰るのだった、運動した後はお肉が食べたい気分。

ご案内:「訓練施設」から天月九郎さんが去りました。