2020/06/13 のログ
ご案内:「演習場」に水瀬 葵さんが現れました。
水瀬 葵 > 剣を手に、演習場で一人訓練に励む。

静かに剣を振れば、ダミー人形の足元に鉄の棘が複数出現し、ダミー人形たちを串刺しに。
次に剣を振るえば、剣先から炎が伸び、ダミー人形の一体を燃やし尽くす。

「ふふ、私もまだまだ捨てた者じゃないな。」

得意げな表情を浮かべ、静かに剣を虚空へと仕舞い。

「とはいえ、異能を使う相手との戦闘は経験がないからな。
誰か練習相手になってくるといいのだが。」

演習場の隅に設置された自販機へと向かい、お茶を購入する。
ドリンクのタブを開け、ゴクゴクと一息に飲み干して。

水瀬 葵 > 500mのお茶を飲み干し、空になったボトルをゴミ箱へ。

「よっし、もう一度やるぞ。」

虚空から剣を呼び出し、両手で握る。
横なぎに払い、ダミー人形たちを真っ二つに両断し。

「やはり、私もそれほど捨てた者じゃない気がするなあ。」

と、一人で腕前に満足した時に、腹の虫が鳴る。

「どうやら動き過ぎた様だ。
お腹が減ってきたぞ。」

ご案内:「演習場」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 > (演習場にふらりと現れるはくびれた紺色のコートを着た男性。仏頂面を浮かべたまま、静かな足取りで歩いていた。ふらり、と何故ここに寄ったかはわからない。しいて言えば、体がこういった場所を求めていたのかもしれない。鍛錬に重ねていた体が、自然とそう言った臭いを覚えていた。)

「…………。」

(そこでは、既に誰かが鍛錬中の様だった。男は黙って、それを見ていた。静かに隅で、静かな眼差しで相手を見ている。ふと、腹の虫の音が聞こえると同時に、男がゆっくりと相手へと近づいていく。コートの懐に手を入れて、ゆっくりと歩み寄り────……。)

(す、と差し出したのは、タッパ詰めの味玉…!と、握り飯…!)

「……食うか?」

(思いきり善意での行動だが、余りにも唐突過ぎて不審者感があるぞ…!)

水瀬 葵 > (…おおぉぉぉぉぉぉ!?)

空腹を訴えていた水瀬の前に、それは輝いて見えた。

「いいのか? 後でお返しはするが、今は頂いてしまうぞ?」

通常ならば訝しむかも知れないが、水瀬葵は警戒心が乏しい。
初めて会った男の差し出した握り飯を一つ掴むと、白い歯を見せて笑う。

「これは実に、美味いな。
いや、ご馳走になる。」

おにぎりを一つ平らげると、味玉も頂き、その場でぺろりと平らげて。

「いや~、実に助かった。
私は水瀬葵と言う者だ。
して、親切な貴方は誰かな?」

指に着いた米粒をぺろりと舐めとり、漸く落ち着いてきたのか。
今頃になって自己紹介を。
海のような瞳を輝かせ、男の顔を見上げる。

紫陽花 剱菊 > 「……かかずらう成れば、見過ごす事も出来なかった故。私は空腹ではなかった。礼はいらない。ただ、私は私の成すべきと思った事をしたまでの事……。」

(遠出ついでに、小腹が空いたら食べる予定ではあったが、あのような腹の虫を聞いては無視も出来ないというもの。要するに、困った時はお互い様と言っているらしい。静かに首を横に振って、礼はいらないのやんわり断った。)

「……さりとて、良い食べっぷりであった。」

(見ていて気持ちが良かった。うむ、と小さく頷いた。)

「親切かはさておき、私は紫陽花 剱菊(あじさい こんぎく)。如くは無き男だ……。」

(輝く海のような瞳とは比べて、くすんだ黒の瞳が相手を見下ろしていた。)

水瀬 葵 > 「お? お!?」

(…この人は何を言っているのだ?
半分しか分からないぞ?)

難しいと言うか…聞きなれない単語が飛び出してくると目がくるくる回る。
お礼が要らないと言ってくれているのかな、とまでは理解するが。

「は、は、は。 私は昔から燃費の悪い方でな。
今日も食べ物を用意してきたのだが、生憎食べつくしてしまった。」

食べ方を褒められたので、腰の両手を宛て。
胸を張って喜んでいる。

「紫陽花殿か。
この辺りではあまり見かけない顔だな。
今日は何しにここに?
もし訓練相手を探しているのなら、ここに打ってつけの相手が居るぞ?」

自分の顔を指さして見せる。
丁度異能を使った訓練をしたかった所だ。
そして、目の前の相手からは抜身の刀のような鋭い気配を感じる。
練習相手には丁度よいだろう。

紫陽花 剱菊 > 「…………。」

(異邦人……と言うよりは察しのいい方ではない。相手が今一理解に及んでいないかは分からないようだ。)

「若人なれば、其れ位が丁度良い。特に、多量に食べる其方は可愛げがあると思ったよ。」

(子供らしい無邪気さとも言うべきか。人が食べる姿は見ていて微笑ましいものだ。そう語る男の表情は、ほとんど変わらないのだが、張られた胸は一瞥したり意外とちゃっかりしている。)

「……私は故会って、島のはずれで暮らしている。余りこういう場所には来ないが……一介の剣士として、惹かれたのやも知れん……。」

(不法島入者であることは伏せておいた。余計な混乱を招くのは、この場に相応しくない。あてどなく彷徨って言えば、敢えて言うなればそうだろう。倒れ伏すダミー人形を一瞥すれば、静かな視線が再度、海の底を覗くように戻ってくる。)

「……其れしか能がない故、手合わせならば請け負う事は出来る。然るに、如何様に試合うのか……?」

水瀬 葵 > 「可愛げか。
うむ、なんだか恥ずかしくなってくるな。」

義理の親からは可愛がって貰っているが、他人からはあまり言われないので困ったような表情に。
胸元へと向けられた視線は意外にも気づいてしまうのだが、食い物を貰った恩があるので指摘はしない。

「島の外れか…。 ふむ、なるほど。」

その言葉で大方スラムか落第街の住人と理解する。
となると、学内にどうやって入って来たのかと問いかけるのが役割なのだろうが。
害意も感じられない相手にそれを聞くのは無粋だろうと飲み込んで。

「そうだなあ…。お互い剣を使う様だし、剣術と異能でやりあうのはどうかな?」

紫陽花に提案しながら、演習場を歩き出す。
途中でボタンを操作し、ダミー人形たちを片付け。
広くなった演習場の中央で足を止めると、虚空から剣を抜き取り。

「お互いの剣を相手の前か、首筋に当てるまででどうだ?
多少怪我はするかも知れんがな。」

「紫陽花殿が持っているのも真剣であろう?」

紫陽花 剱菊 > 「……そうか……。」

(照れる姿もまた可愛げがある。だが、それを言っては迷惑であろうと男は思った。元より、自らの評価は地表ギリギリ所か虚構に消えている。当たり障りない相槌を打っておいた。)

「……詮無き事。私の事は、一時の夢幻に相違無い。」

(自らの事を追求する気は、恐らくないだろう。だが、詮索したところで良い事は一つもない。口に出す事での、彼なりの優しさ、けん制。自らの事など、追及するだけ時間の無駄だ、と。)

「……承知した。然れど、"此れ"は抜かない。」

(竹刀袋に入っている其れは、手合わせで抜くような代物ではない。静かに袋を下ろせば、虚空へと手を翳す。)

「────手合わせと成れば、此れにて充分。」

(翳した手に握られる日本刀。音もなく、いつの間にか生成された自らの異能。何の変哲もない、刃の『理』を追求した実にオーソドックスな刀だ。それを強く握れば、静かに、切っ先を地面に向けたまま相手を見ている。悠然とした、独自の構えだ。)

(先の発言は、手合わせだからこそ本気を出す必要ないというもの。相手の実力を見合う意味合いもかねてだが……さて、人によっては"舐めている"ように聞こえるが、アナタの場合は……?)

水瀬 葵 > 「妙なことを言うが、私はそもそも探るつもりはないぞ。」

世話になっているし、悪事を働く様子もない。
それだけで十分と納得している。
ただ、他の風紀委員が出てくるとそうもいかないだけに、どうしたものかと首を傾げ。

「ほほう、貴殿も同じような異能の持ち主か。
まあ、どう来ようと構わんぞ。
但し、私は最初から本気で行かせてもらうからな。」

ロングソードタイプの剣を両手で握り、胸元で構える。
相手が本気で来ようと来なかろうと、こちらがすることに変わりはない。

こちらで人間相手に異能をまともに使うのは初めて。
それだけに緊張が走る。

が、次の刹那。

「いくぞ!」

剣を横なぎに振り、異能の力で三日月を横にしたような斬撃を飛ばす。
互いの距離は10メートル前後。
相手のカウンターを警戒し、即座に剣先を上方に向けて構えなおす。

紫陽花 剱菊 > (……返事はない。手合わせなれど、刃を交えるとなれば余計な言葉を交わす気はなかった。今全ては言葉ではなく、刃が語る。戦いでしか生きられなかった男の考えだ。)

「─────……。」

(張り詰めた空気に変わった。戦いの合図だ。距離を離れた所から飛ばされず斬撃を一瞥する。……成る程、飛ぶ斬撃。自分の世界でもそう言った手合いは何人も見てきた。即座に自らの刃を振るい、斬撃を払いのけた。空気を縫うような綺麗で、真っ当な太刀筋だ。)

「(……成る程。)」

(油断の欠片もない。本気と言うのは本当の様だ。此方の反撃を警戒し、既に構え直している。良い剣士だ。胸中で素直な感嘆を零し、ぐっと力に足を込めた。────大よそ九間の間合い。手合わせなれば、正面にて。参る────。)

(トン、と静かに床を蹴り飛ばせば男の体は駆け出す。疾風の如き速さで風を切り、黒髪を靡かせ、あっという間に間合いを詰め、横薙ぎに刃を振るった──!狙いは上段、その肩先。さて、どう対処する?)

水瀬 葵 > 初手は様子見が多いが、水瀬の一撃は最初から本気である。
喰らえば致命傷はともかく、それなりに深手を負ってもおかしくない威力の斬撃を刀で払いのける。

男の纏う空気からすれば予想できた展開だ。

「やるな。 やはりこれ位はな。」

感心していたところで、男が駆け出し、一気に距離を詰めてくる。
水瀬は横薙ぎの刃が肩先に触れる手前にて、剣先で受け止め、そのまま切っ先を男の喉元へと向ける。
男が距離を取らねば、鋭い突きが喉元へと行くことだろう。

紫陽花 剱菊 > (キン!受け止められた刃は甲高い音を立てて重なり合う。同時に、自らの喉元に滑り込む相手の切っ先。)

「(────上手いな。)」

(攻防一体の動き。刃の『理』を理解し、そして思いきりが無ければ出来ない。可憐な子どもでは終わらないようだ。さりとて、此方もただで通す気はない。刃が重なっているという事は、即ち"打ち合い"の間合い。即座に両手で刀を持ち、ぐっと力を込めて刃の軌道をずらした。相手の剣先は狙いを逸れ、代わりに男の横髪を僅かに切り落とした。)

「────……。」

(接戦の間合いなれば、力押し。交わる刃にぐっと力を込め、ギリギリと鍔迫り合いに持ち込む気だ。見た目は細身の男なれど、武に生きる男の腕力は見た目以上に強い。相手の腕力が如何程のものか不明だが、このまま鍔迫り合いとなるか、或いは振り払うか、それとも────さて、如何出る?)

水瀬 葵 > 喉元に切っ先を当て、勝利で終えるつもりがそうは行かなかった。
剣の軌道は刀によりずらされ、横髪を切り落とすに留まる。

「…くぅぅ。」

互いに近接戦となり、距離が縮まる。
剣の刃を押しつけ合っての鍔迫り合い。
腕力での勝負となれば体格で劣る水瀬はやや不利となる。
徐々にだが、剣が押し返されていく。

「ええい、離せ。」

このまま力比べとなれば、押し負けてしまう。
不利を悟った水瀬は相手の刀を振り払い、数歩ほど距離を開ける。
全身に魔力を漲らせ、足元に剣先を突き刺す。

すると、突き刺した先から鉄製の棘が芽吹くように出現し、男の足に突き刺さらんとするだろう。
これで動きを封じれば水瀬の勝利だ。
だが、男が何らかの手段でこれを回避、あるいは無力化できれば。
術発動後の隙を狙い、水瀬に切っ先を突き出すことなど用意だろう。

紫陽花 剱菊 > (男は勝負を知っている。手合わせと成れど、其れは変わらない。戦いとは自身にとって"不条理・不都合の連続"。だから、どの様な相手だろうと一切の油断は無い。くすんだ黒い瞳も、此の手合わせの最中はまるで鈍色の刃のように鈍く、輝いている。)

「(距離を──成れば詰める……否、足元……!)」

(咄嗟に距離を離されようと、即座に此方は追撃しようと身を屈めた。相手の刃が床に刺さると共に、研ぎ澄まされた危機察知能力が足元の敵意を強く感知したが、間合いを詰めようとした判断が仇となる。)

(寸分の出来事。芽吹いた鉄の茨を避ける事を能わず、足元に突き刺さる。鈍い痛みと共に、足元が赤く染まる。痛みを表情に出すことなく、一切の油断も無い。受けても"その後"の手打ちは幾らでも思考を巡る。────が、飽く迄其れは死合いでの機敏。足元に突き刺さった茨の拘束。そして、其れによる一瞬の停止は、"勝利条件を満たすには十分すぎる隙であった。")

水瀬 葵 > 「…これで、どうだ?」

足から血を流し、地面を赤く染めた剣士。
練習試合と言うのに、奥の手を使ってしまった。
硬直した剣士の首元へ切っ先を触れさせ、決着を迎えたことを双方理解する。

「やれやれ、こうなったか。
貴殿はまだ本気を出していないと言うのにな。
これは戦闘スタイルを見直す必要がありそうだ。」

魔法剣の間合いで戦っていたつもりが、あっという間に相手の間合いに入られてしまった。
水瀬はため息を吐くと、魔法を解除する。
手にしていた剣と、剣士の足元で咲いている鉄の茨が消失し。

「そのままでは帰れんだろう。
治療室に行くぞ。」

相手が応じれば、肩を貸して治療室へ。
断るのならば、手合わせの礼だけをしてその場を後にしただろう。

紫陽花 剱菊 > (喉元に突きつけられる相手の剣先。決着を理解すれば、静かに瞬きし、またその瞳はくすんだ黒へと戻った。)

「────見事。否、手合わせ成れば、然るべき本気を振るった。此れは其方の実力の結果。誇るべきだ。」

(素直な賞賛を口にする。剣での打ち合いを望む成ればこその全力。これ以上は"手合わせに非ず"。其れ以上を望むのであれば、そもそも断っていたであろう。剣に生きた男であるが、不要な戦いを好む訳ではない。)

(茨が消失して尚、赤い血液はぐずぐずと溢れている。程なくして床は一面、男の血液で染まっていく。そして、相手の言葉には首を横に振った。)

「……故合って世話になる身ではない。然れど、必要とあらば何時でも手合わせには応じよう。……長居をしては、其方の迷惑になる。では……。」

(不当な住民を、ましてや異邦人を受け入れさせるのは相手の名誉にかかわる。必要以上に関わりはせず、踵を返し、怪我を気にすることはなく、静かな足取りでその場を去っていくだろう……。)

ご案内:「演習場」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
ご案内:「演習場」から水瀬 葵さんが去りました。