2020/06/20 のログ
ご案内:「訓練施設」に矢那瀬陽介さんが現れました。
■矢那瀬陽介 > センサーに学生証を翳して音もなく開いた鉄扉を潜る。
生徒が傷つかぬように施されたクッションフロアを素足で進み。
白い壁に覆われただけの広々とした訓練室に視線を巡らす。
「やっぱり誰もいない。みんな落第街の方に行ってるのかな?」
高窓から差し込む夕陽にどことなく寂しげな鈍色で染まる訓練室。
下がりそうになる眉尻を指で持ち上げ。
「それじゃ今日も自己鍛錬しよう」
タンクトップから覗く靭やかな腕を、背筋を、大きく伸ばし。
膝を折り曲げ脚の筋肉解しながらゆっくりと深呼吸を繰り返していく。
次第次第に身体が軽くなっていくのを実感
――やがて左足前の中段の構えを取り黒瞳を鋭く前方を見据えていった。
■矢那瀬陽介 > 上段、中段に、放つ正拳。空手の型を思わす動き
かと思えば軸足を踏み変えながら打ち込んだ拳を釣り手に抱えて素早い下段足払いを掛ける柔道。
少年が独自に編み出した型をその身体で試すうちに一手一手鋭さが増してゆく。
静かな訓練室に軽快なステップ音と短い気合の声が響いていった。
「シッ」
股座に足を挟み込み背負投げ。尤もイメージの相手だから全く重さのない相手にバレリーナのように足が高らかに持ち上がる。
重みなき相手に繰り広げる格闘は決して苦はないが、間断なく続く型の一つ一つに少年の額に珠のような汗が浮かんでゆく。
■矢那瀬陽介 > クッションフロアに斑模様に滴る汗が落ちていく。
熱持つ肌を冷やそうとひっきりなしに浮き立つ汗を
拭う間もなく動いているからだ。
休み無く続けていく動作に肺は酸素を求めて忙しなく動いて唇から息が乱れるのに
休みを入れないのはかってないほどに充足しているから。その手応えに心が湧くから。
「……は ぁ、できる、かな?」
今ならば……掌でしか発動しない異能で、己が自身を回転できるだろうかと。
抗えない欲求に無意識に呟いていた。
「ハッ!」
長嘯一斉、地を蹴って高らかに宙を舞う。旋子転体で大きく足を横に薙いだ。
体を軸に足を回転させようと――
(ダイス6で成功) [1d6→3=3]
■矢那瀬陽介 > 薙ぎ払う足に釣られて体が傾く。
跳躍していた体はバランスが崩れ始め。
「……とっとと!?」
思うように体が動かずに背中から落ちて盛大な音が室内に響き渡った。
肺の空気が押し出されて歪む顔。呼吸はすぐに戻って思い出したように襲ってくる疲労が体を地に抑えつける。
「やっぱ、手からしか発動しないかぁ……いいアイデアだと思ったんだけれど」
眼前に五指開いた手を翳し、そのまま額の汗を拭って目元に置いた。
今日のトレーニングは終わった。だが張り切りすぎて体が動かない。
誰もいない訓練室ならば邪魔も入らぬだろう。
少年はゆっくりと呼吸を整えながら四肢を投げ出して休んでいくのだった。
ご案内:「訓練施設」から矢那瀬陽介さんが去りました。