2020/06/24 のログ
ご案内:「訓練施設」に山本 英治さんが現れました。
山本 英治 >  
崩拳を相手に当てた瞬間、対戦相手のカバーアミュレットが砕け散る。
カバーアミュレット。それは訓練施設内にかえられた結界内でのみ使える防護アイテム。
攻撃を受けた場合、ダメージを肩代わりして壊れる仕組みだ。

これを使い、今……異能ありのバーリ・トゥード勝ち抜き戦が行われている。

今の相手で四人目。
最速で動く波を操る異能者であり、琉球空手の使い手。
強敵だったが、今回はなんとか勝ちを拾えた。

「ありがとうございましたッ!!」

左掌に右拳を当てて一礼。
勝敗に関係なく、礼は尽くされなければならない。

安全性に配慮して、一日の連続戦闘回数は5回までとなっている。
つまり、ここで戦う誰もが五連勝を目指しているのだ。

ご案内:「訓練施設」にアイノさんが現れました。
アイノ > でけーな。
最初の感想はそんなもの。いや、敗者として入れ替わりに立ち去る男もデカいし、勝ち抜いた男もデカい。
そして目の前のアフロもまたデカい。
いやまあ、それでも食い散らかすにはちょうどいいサイズだ。
物陰、舌で己の唇を舐める少女。 戦いが終わったことを察知すれば、すい、っと立ち上がり。



扉が開いてやってくるのは、洋人形のような小さな少女。
金髪のツインテールはお団子にちょいとまとめて短め。
それでも、ピンク色のブラウスにスカートと、まるで争う気配のない恰好で現れれば、中央まですたすたと歩いて、スカートの裾を摘まんで華麗にご挨拶。

「お兄さん、5戦目? お相手如何?」
にっこりと笑う少女。

言葉から、ここがどこなのかはわかっているようだが。

山本 英治 >  
さぁ、五連勝といくか。
開かれる扉を前に呼法で肺腑に空気を送り込む。

そして。
可憐な少女が目の前に現れ、素敵なカーテシーを見せたのだ。

「は? え、君が対戦相手?」

バーリ・トゥードである。戦えれば誰でも参加できる。
かといってこのような美少女に、拳を向けるなんて。
そしてどこかで見た覚えがある。

「……あー…………外人美少女三人組の一人か」
「その、なんだ。安全とはいえ、怖いかも知れないぞ」

近づきながら身振り手振りで説明をする。

「拳や蹴りが乱れ飛ぶんだ、君みたいなキレイな女の子があんまり危ないことは…」

アイノ > 「なーんだ、知ってるのね。
 可憐な振りして損したわ。」
相手の言葉にぺろりと舌を出して、ウィンクを一つ。
幼いころから異能が発露し、戦闘経験は割と豊富。
この島に来てからは成績は優秀、異能のコントロールもおおよそ……ではあるが、完成している少女。

何も知らない相手だったら楽だったのになぁ、なんてボヤきながら。
それでも相手が心配するような所作をするのを見れば、唇の端を持ち上げて。

「あら怖い。じゃあ、加減して下さいまし。
 そうすれば………。」
くすくすと掌で口元を抑えて笑い。

アイノ > 「私の五連勝って奴だからさ!!」
地面を念動力を込めた靴で蹴り飛ばし、少女の身体が一気にトップスピードへ。
そのまま、心配している山本くんの足の間にある山本くんを蹴りあげようとしてくる。

危険度A級、悪魔女子出陣。

山本 英治 >  
「加減、って言われてもなぁ……」

次の瞬間、股間を蹴られる。
諸兄ならご存知であろう。
これの痛みと苦しさを。
いや、今は痛くない。痛くない。けど。

「~~~~~~~~~~~~~~~~ッッ!?」

表情筋が強張り、胸のアミュレットが一気に黒ずむ。
このダメージを受けてたら潰れてたわ!?
あまりの惨撃に股間を手で抑えながら後方に跳躍する。

「こ、このメスガキ………ッッ」

心意六合拳の構えを取る。

「大人の怖さをわからせてやるッッ」

相手に掴みかかる。
手を出す時には狼の心。
虎の残忍さを要求し。
各動作には全て恨みの意を込めて。
全て残酷の意を込めて打つ。

それが心意六合拳ッッ!! 潰れる幻想を見た俺のカノン砲の恨みッッ!!

アイノ > ケッケッケ、と悪い笑い方をする少女。相手が後方に飛び下がるのに合わせて、こっちもするりと後方にステップバック。

「やーだ本気になった? 本気になった?」
きゃはは、と甲高い声で笑いながらも、ぺろりと舌でまた己の唇を舐めて。
悪ガキの笑顔から、悪い笑顔へとシフトする。

「この島ならこんなこと、よくあることだろ。
 種無しになってもそのアフロちょっと千切って地面に植えればなんかすくすく生えるんじゃなーいの?」
 煽りに煽る。煽っておいてから、とんとん、と自分の靴の踵を地面に打ち付ける所作。少しだけ足元を緩めるように。

「大人の怖さね。
 そうは行くかいっ!!」
思いっきり右足を振りぬけば、空中を蹴るように。
僅かに発光して見えるかもしれない靴が、リモコン操作かのごとくうなりをあげて、男の顔面目掛けて突っ込んでくる。
単なる靴飛ばし? とんでもない、次第に加速する弾丸だ。

山本 英治 >  
「本気で怒るわこんなん!?」

何笑っている!? こんなことしちゃいけないんだぞ!!
大人には子供に、危険でやっちゃいけないことを教える義務がある!!

「うるせぇー!! アフロは種子でもなんでもねぇよ!!」

周囲の観戦者から失笑が漏れる。

「!!」

そして飛ばされた靴を手で払う……のは怖いから紙一重で避ける。
心意六合拳は拳勢勇猛、気勢威厳、打法凶恨ッ!!
背が低い彼女を狙い下からすくい上げるように拳を打つ横拳(おうけん)を放つ!!

アイノ > 「怒った? 怒った?」
煽りながら、少女の瞳がじ、っと相手を見つめる。腕の動き、身体の捻り、全てを射抜くように見つめながら、一歩、二歩と、更にステップバックして。

「ならこいつはどうよ。」
瞳が光る。相手の身体を直接は止められない。
真っ当に殴り合いをして勝てるわけもない。 おそらく、全力でガードをしても体重差で見事に吹っ飛ばされるのがオチだ。

ぐん、っと。男の身体が背後に引っ張られるような感覚。
丁度拳を打とうとしたその瞬間に“ジャージ”が邪魔をしてくる。
その場で着ているジャージが動きを止めて、空間に縫い留められたかのようにずっしりと重く、重く。

身軽にステップを繰り返す少女も、歩幅の差であっさり捕まえられるはずなのだけれど。
まるで普段のジャージが鎖帷子か、鉄板仕込みかのように次第に重くなっていく。

山本 英治 >  
相手に追いついて、横拳を打った。はずだ。
だが。

「!?」

ジャージが重くなっていく……!!
それでいて、背後に引かれる力も発生し、拳を打たせまいとする抑制の力もある。
俺はカッと目を見開いて。

「そうか、わかったぞ!! 小豆色Vネック2ラインジャージを操作する異能か!?」

かなり重たい。
ここは………少し、ほんの少しだけ。
異能を使わせてもらうか。

「墳破(フンハ)ッ!!」

不可視の力を怪力で振り切る。

アイノ > 「範囲せまいなおい!!」
思わずツッコミを入れてしまった。
ぐ、ぐぐぐ、っと思い切り念動力を行使してやり、相手の身体を押し付ける。
下手な相手なら、潰れたカエルのように地面にへばりついて許しを請うはずだ。

「………っちょっ!?」
気合一発。念動力が腕力で強引に振り払われる。
思わず顔色が変わり、二の矢をすぐさまに打ち込まんとし。
できるだけ距離を取ろうとし続ける少女。 接近戦は苦手だと口にしているようなもの。

二の矢。
先ほど振りぬいて避けられた靴が、大きく上空で反転して、後頭部を蹴り飛ばさんと高速で迫る。
次第に加速する念動力のスキル性質上、一度避けてもらって威力を増して。
アフロに突き刺さらんと背後から唸りをあげる!

山本 英治 >  
「ふはははは。この俺に異能を使わせたことは褒めてやろう」
「だがそのアミュレット」

後ろから飛んでくるアミュレットを見もせずに再び回避する。
風の理を知るためにムショの中庭で一日中立っていた経験が生きた。
ありがとう師父!! 今からあなたの教えを借りてメスガキをわからせます!!

「壊させてもらうぜ!!」

相手との距離はぱっと見、4メートル。拳を打つ。
なぜこんな無意味な距離で拳を打ったかって?
俺の拳は3メートル先のロウソクを拳圧で消す。

異能を使った状態で拳を振るえば。風圧で子供くらい転んじまうのさ!!
げっはっは。

アイノ > 「んなっ……!?」
流石に思わず声が漏れる。本当の格闘技を知らない彼女は、その感覚の鋭さだけは肌感覚として理解の外。
視界に入らない攻撃、理外の攻撃は当たる。
その思い込みを行動で撃ち抜かれて、目を見開いて。

「そう簡単に捕まらないって言ってん、……だぁ、ぁあああっ!?」
同時に、捕まらなければダメージも無い、という常識も覆される。
単なる強い風ではない、一呼吸の間に圧縮された空気の壁。
小さな体は簡単に浮き上がって、車にでも撥ねられたかのように後方に飛ばされ。

「……っか……っ! あ、っぶね。」
先ほどの逆。
ピンク色のブラウスとスカートが壁に叩きつけられる前に自身に乗っているスピードを殺して、壁に柔らかく両足で着地。

「………残念♪」
圧倒的な膂力、そして鋭い感覚。まさかの長射程。
冷や汗がじんわりとにじむが、そういう時こそ自信満々に笑って、舌をぺろりと出して煽る少女。得意技はハッタリだ。

「ちょい待ち、ストップ。」
片掌を向けて、相手にタイムを願う少女。 待っても待たなくてもいいのだけれど。

山本 英治 >  
「ふはははは。俺は風雨に身を晒す修行の果てに風が読めるのだよ」

なんかちょっと楽しくなってきたな。
って駄目だろ!? 俺は風紀なんだぞ!!
子供を追い詰めるのを楽しんでどうする!!

まぁ、当然そうあるかのように周囲の応援は完全に彼女向きだ。
俺がなんか行動するとブーイングが飛ぶ。

───アフロ差別だッ!!

こうなったらとことんまで悪役をやるしかない。
畜生、俺はただメスガキをわからせたいだけなのに。

「このまま追い詰めて、そのアミュレッ……」

相手のタイム宣言に両目を見開き。

「認めるッ!!」

アフロたるもの、メスガキをわからせる時であっても紳士たれ。
とりあえず無意味に漢立ち。

アイノ > 「風が読めるか。………4連勝は伊達や酔狂じゃ無理ってことか。」
タイムを認めてもらえれば、ごそごそと準備をしながら頭の中を整理する。
相手は己の身一つあれば戦えるストレートな力の持ち主。
対してこちらは、「何か」を介さないと力が出せない。
となれば、やることは簡単だ。

少女はいきなりブラウスを脱いで、タンクトップのシャツ一枚に。
スカートも面倒そうに脱ぎ捨てれば、スパッツ一枚の姿に変わる。

「刺激的っしょ? っていうか暑いんだよアレ。」
振り向きながらウィンク一つ、にしし、と悪い笑顔で露出を上げて。
悪い少女は更に笑顔を深くする。

「さーて、そろそろ始めよっか。
 私さ、成績も優秀だから、いつだって文房具、たっぷり持ってるんだよねぇ。」
によによと笑いながら、筆箱をひっくり返す。
ばらばらと何本か落ちるペンが、空中で静止して。
ペン先が全て男に向く。


念動力者の戦いの鉄則だ。
物が多い場所で戦え。 なければ増やせ。
タイムを取ってから入念に物を自分の周囲に増やせば、ケケケ、と、悪い笑顔。

山本 英治 >  
「当然、ただ強いだけでここで連勝はできない」

ふんぞり返ってフフンとアフロをいじっていたが。
突如、彼女が脱ぎだすと。

「!?」

観戦者がざざっと引いた。

「いや待て俺なにもしてねぇよ!?」

周囲の視線は既にアラスカの地吹雪級に冷たい。
なんか六角形を重ねたような赤い壁状バリアが見えた。
きっと彼らと俺の間にある心の壁だ。

「誤解……誤解なんだ…俺は何も言ってな………!」

うろたえていると、彼女の周囲にペンが展開されていた。
それはちょうど、刺さると痛そうな尖り具合だった。

「オオウ………」

一応、構えを取る。まだアミュレット持つかなぁ? もう泣きそうだ。

アイノ > 「だろーね。」
距離を取って、距離を取って。
出来るだけ近寄らないようにしながら……。

「ふふーん?」
ちら、とタンクトップを捲りあげて白いお腹を見せつける少女。
相手を動揺させるならなんだってする悪魔の所業。
子供服のモデルまでちょびっとこなすのだから、身体はできている。

「さあて、飛んでって………刺さってしまえっ!!」
両手を前に突き出せば、今度はペンが4本、一気にうなりを上げて相手に迫る。
今度は靴では感じ取れない、はっきりとした鋭い殺気を纏わせて。

少女の顔が悪くゆがむ。殺ったッ!! と言わんばかり。

山本 英治 >  
「バ、バカなことはやめろ!! お前は包囲されている!!」
「今すぐタンクトップをめくりあげるのをやめてわからせられなさい!!」

子供相手とはいえ、艶めかしい腹部だな。
そんなことを考えていると。ペンが四本、すっ飛んできた。

「くっ……!!」

問題ない、この程度の飛来物ッ!!
払い除けられる、六本までなら!!

その時、脳裏に過る。
女子の私物って壊したらマズいんじゃないか、と。
いやいや待て待て、凶器だぞ!! コントロールされた!!

その時、見えたのは。
クマさん柄のファンシーなペンだった。

あ、これ壊すの無理。

俺の体に四本、ペンが刺さり。
それら全てのダメージをアミュレットが肩代わりして、砕けた。
床にアミュレットの破片とペンが落ちる。

「バカな……この俺がわからせられるとは………」

連勝は4でストップ。がっくり。

アイノ > 「あれぇーっ!?」
思わず声が出た。鋭い攻撃が突き刺さるのが分かれば、相手のアミュレットが粉砕され。
終了のアラームが鳴る。目をぱちくりとさせる少女。

「おっさん、そのくらいならぶっ壊せただろ。
 ……なーにやってんのさ。」
ゆっくりと近寄れば、ジト目でつんつんと足で突いてくるクソガキ。
相手の実力が分からないわけではない。
本気で、怪我を覚悟で突っ込まれたら先にやられるのはどちらかは明白だ。

ラフすぎる恰好のままに、ほれほれ、っと痛くない程度のローキック。

「それとも、やっぱり可愛いから手加減する気になったとか?」
にひひ、と悪い笑顔になって、タンクトップの襟元をちょいとつまんで。
小悪魔っていうか、普通に単なる悪魔。

山本 英治 >  
「オ……俺にはできない………女子の私物を壊すなんて…ッ」
「あとおっさんじゃない、お兄さんだ!! 俺はまだ22歳だ!!」

ローキックでぺちぺちやられるとやめてくださいと手で弱々しい抵抗。
くそう。くそう。山本英治一生の不覚。
まーたタンクトップをどうにかしようとしてる。

「やめなさい!? 身持ちが減る!!」
「拳諺(けんり)にこういう言葉がある……女子たるもの、淑やかに、と」

全然拳法の諺じゃなかったね。
しかし何を言っても虚しい。
俺は負けたのだから。

観戦者はよくやった、と彼女を褒め称えている。
よくやったって言われるの普通負けた側じゃないですかね!?

アイノ > 「あー。………ミスったな。そういうのを気にするタイプか。
 そいつはなんかあれだ。ごめん。」
頬をぽりぽりと掻きながら、存外に素直に言葉を吐いて。
そういうの気にしないタイプ。

「あんだよ、そんな程度でビビるなっての。子供だよー?
 それに、淑やかに過ごしてるし? 普段は。」
 淑やかに見えるようにふるまうの得意なんだよ、女子ってのは。」
にひひ、と笑いながらウィンク一つ。

「………しっかし、3mくらい離れて吹っ飛ばされるとは思わなかったな。
 次はどうする。 どっかで本気でやるかい。」
とっても可愛らしい、愛らしい笑顔を浮かべて観客席に手を振ってから、振り向いての悪ガキの笑顔。

山本 英治 >  
「……いいさ、俺が弱かっただけだ」

そう言って立ち上がり、左掌に右拳を打ち据えて一礼。

「常世学園一年風紀、山本英治! 此度の仕儀、敗北を認め精進の糧とする!」

そう言って顔を上げるとニイ、と破顔一笑。

「お前は美少女なんだから立ち居振る舞いには気をつけろよな」
「ああ、そうかいそうかい。五年後が楽しみなこって」

肩を竦めてシケ顔。

「いいや、遠慮しておくよ。本気で蹴たぐられたら、たまらん」

最初の一撃を思い出して身震いして。
まぁ、楽しかったからいいかな。

「それじゃ俺はこの辺で。またな、チャンピオン」

電光掲示板に表示されていたのは。
本日の五連勝、1名───アイノ・ヴィーマの名前があった。
それを見てから人智を超えたダサさのジャージのポケットに手を突っ込み、去っていった。

ご案内:「訓練施設」から山本 英治さんが去りました。
アイノ > 「………当然。美少女らしく目立っていくさ。」
ウィンクをしながら、相手に対して小さくお礼。
しっかりとした礼をしないのも彼女らしさではあり。

「さーて、いい経験が出来たって奴か。
 ……もうちょい出力を上げないとな。」
自分の掌を眺め、ぽつりと言うのだけれど。
写真のシャッター音が響けば愛想笑いに変えて。

「はーいはい、こっち? 目線?」
にっこにこの愛想笑いで手を振りながら、己の名声もきっちり高めていく女子。
悪い人ににらまれる? かかってこいや。
小悪魔少女はその勝利に浮かれこそしないが、派手に喜んで、派手にフラッシュを浴びて見せる。
いえーい。

ご案内:「訓練施設」からアイノさんが去りました。