2020/07/02 のログ
ご案内:「演習施設」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 授業が終わり、放課後も過ぎ去り、夕食時をも通り過ぎた夜半。
仄暗い演習施設の一室には、未だ煌々と灯りが灯っている。
耳を澄ませるまでもなく、その部屋から響くのは爆音、砲声、銃声、金属音。

「……次」

たった今迄相対していた巨大なゴーレムは、その巨体と剛腕を振るう前に、徹甲の雨霰を浴びて文字通り粉々に粉砕され無数の破片となって辺りに散らばっている。
それを無感動に見つめながら、手元の端末を操作して次のプログラムを準備する。

「……より火力を集中させ、より制圧力を向上させ、より密度の高い攻撃を。今の儘では、何もかもが中途半端過ぎる」

怪異との戦い。公安委員会の侍との戦闘。思えば、反省する点ばかりである。
であれば、それを克服しなければならない。本庁での雑務を終えて真直ぐに此の場所を訪れた少年は、唯只管に。無心に無感情に表れる敵を屠り続けていた。

ご案内:「演習施設」にソフィア=リベルタスさんが現れました。
ソフィア=リベルタス > 「おおぅ……おっかないねぇ、これが風紀委員と実力というやつかい?」

呟く理央の言葉の合間に、開く扉の音。
背後から近寄る少女らしき声。
拍手の音と共に、プログラムが起動する合間に少女はその一室に足を踏み込んだ。

中世から飛び出してきたようなドレスを身に着けて、一丁の、何処か古ぼけた拳銃を片手に
少年の隣に立った。

「やぁ、君が神代理央くんだね、お噂はかねがね、聞いているよ。」

にししと、少女はおかしそうに嗤う。
悪戯好きな子供のように、理央のことをじっと見つめながら見上げている。

神代理央 >  
端末を操作していた指が、ぴたりと止まる。
開く扉の音。軽やかな動作で此方に歩み寄る、時代設定が10世紀程ズレているのではないかという様な装いの少女。貴族主義華やかなりし時代のドレスを纏い、古式ゆかしい銃を手に持った小柄な少女。
科学・魔術・異能の粋を集めた演習場に似付かわしくない筈のドレスを纏う少女は、何故か、奇妙なまでに場に溶け込んでいる様にすら見える。

「……今晩は、リベルタス先生。私の様な一生徒の評判等、些末なものです。まあ大概は、悪評の類でしょうが」

現れた少女は、魔術学の教鞭を取るまごうこと無き教師。小柄な己よりも更に小さな。細く、小さなその見た目で、高度な魔術を指導していると耳に入れた事はある。
かくいう己も、魔術学は履修しようか悩んでいたところでもあり、彼女の存在は知識として有してはいた。名前と見た目だけ、程度のものではあるが。

「こんな夜更けに如何為されたのですか?見回りや巡回なら、風紀委員に任せておけば良いでしょうに」

一応、相手が教師ということもあり。外面の良い優等生の仮面を被ったまま、此方を見上げる少女に視線を合わせる。
見ただけでは、本当に子供の様だな、と暢気な感想を抱きながら。

ソフィア=リベルタス > 「いや、今日は見回りじゃないんだ。
 まぁ、普段見回りをしているのは否定はしないけれどね。
 風紀委員では守れないものを私なりに守っているだけに過ぎないよ。
 まぁ、悪評を聞かないわけでもないが、否定するつもりもない。
 君たちの価値観に私は介入するつもりもない。
 というか、君にはその余地も残されていないだろう。
 それは君の能力がよく表している。」

鉄壁の盾に、絶大な火力、生み出し続ける兵隊の数だけ回復していくその異能。
神代理央の曲がらない、後退しない精神が形になったような異能を、ソフィアは記憶によみがえらせる。

「ま、別に君にお叱りをしに来たとか、そういうことじゃないから安心してほしいな。
 そうだな、して言うなら気まぐれに。
 そう、気まぐれに見て見たくなったんだ。
 君をね。」

理央の周りを小さい歩幅でくるくると廻りながら、仮面をかぶった表情を、瞳を見る。

「ふふ、子供っぽい、そう思うかい?」

自分を見てだれもが思う印象を、率直に尋ねてみる。