2020/08/21 のログ
時任時図 >  
「楽しみにしてるっすよ。
 僕、こういう話好きなんで。
 魔術と異能、どっちも僕から見ると解明されているとは到底思えない。
 いや、既存の科学だってきっとそうだと思うんすよ。
 進んだ先を知っている『誰か』が仮にいれば、僕らの持つ知識なんてきっとどれもこれも『未踏破の理屈』に違いない。
 異世界に新技術放り込んで無双みたいな話が親しまれるのってみんなそれがわかってるからだろうし」

学問が未熟な世界なら、下手をすれば梃子の原理ですら大発明に違いない。
それが魔法に見える人もきっといるだろう。
だとすれば……今自分たちが『そうだ』と信じているものですら、発達した知性と知識を持つものからすれば『ただの常識』でしかないのかもしれない。
呪いと信じられていたものが、後年ではタダの病気に分類されることも多いように。

「まぁ、『生活を豊かにする』って意味でいうなら、僕は力に質の違いはないと思うんで。
 異能も魔術も、使い方次第じゃないっすかね。
 その使い方がまだ誰にも全然わかんないってだけで……って、こんな時間か。
 長々、ありがとうございました、先生。
 すげぇ参考になったし、楽しかったっす、またどこかで」

去っていくおにーさんを見送り、生徒も筆記用具を片付ける。
気付けば、教室に残っている人影はもう他になかった。
最後に、生徒は溜息をついてから。

「思ったより時間くっちまったな、悪い事をした。
 『読み違えた』な」

そう、独り言ちた。

ご案内:「演習施設」から時任時図さんが去りました。