2020/09/08 のログ
■日月 輝 > 当たり前の話がある。
親族でもなし、無関係の人間が行方不明になったから探してくれと訴えて、即日動いてくれる訳がない。
事件性の有無を探ってくれるなら良い方でしょう。でもそれは組織としては当然で、島外の警察でも同じこと。
島内の──世界から特異の集まる常世島の出来事であるのなら尚更でしょう。
異邦人が一人、落第街でも活動している奇特な誰かとなれば尚の事。
日下さんの言葉は全き正当性に満ちていて、彼女が模範的な風紀委員であることを教えてくれる。
別に、落胆も失望もしない。
彼女の立場を考えたら当然だもの。
だからあたしは、個人的に親交のある山本さんを頼ったのだから。
「……え?」
だから、日下さんが個人で動けると言う事に思わず問い返してしまうの。
「いいの?」
鼻を鳴らすかのように笑う日下さんに重ねて問い返す。
それから、自分が随分と物騒な言葉を使っていたことに漸くと気付いて、数度空咳をすることとなる。
「おっと。……いけない、まあ、その辺は聞き流して頂くとして。
あたしは善良な生徒で通っているから、ほほ、ほほほほほ」
そして誤魔化すように笑って、湿った声で笑って。
「……その、ありがとう。そうだ。風紀委員の山本さん。アフロヘアの立派な彼にもお伝えはしてあるの。
何かあったら彼にも教えてあげて欲しいの。……お願い、してもいい?」
それから、目隠し越しに視線を合わせるように顔を向けた。
■日下 葵 > 「いいの?って、だって風紀委員ですし……
これで何かあって私があとから責任を問われても困りますし……」
――なによりもう一回手合わせしたいですしねえ?
そう言って、頭を掻いた。
仕事だから、何てもっともらしい理由を挙げているが、
結局殴り合いの相手……友人が減るのはいやだな、なんて。
「別に犯人にリンチするのはいいですけど、
その場合は学生証を返納する覚悟を固めておいてください」
もしくはバレないようにうまくやってくださいね?
ごまかすような笑いをする日月さんに、
ちょっと冗談めかして面白半分に言って見せる。
大抵の人は冗談に聞こえるだろうが、割と本気だ。
「山本さんですか。
確か――バーベキューでフレイヤに日焼け止めを塗っていたアフロの」
思い出した。というか、強烈に覚えている。
忘れる方が難しい彼。
「ええ、いいですよ。
山本さん、なんだかんだ風紀委員の間でも有名みたいですし。
協力は惜しみませんよ」
そう言って、端末を確認するといい時間だった。
「じゃあさっそく報告書を書いてきますかね。
日月さんも何かあれば連絡をください。
ただ、くれぐれも無理だけはしないように、ですよ?
あなたに何かあればお仕事増えちゃいますから」
そう言って、
目隠し越しに視線を合わせれば任せろ言わんばかりにドヤ顔をして見せる。
そうして、訓練施設を後にするのだった>
■日月 輝 > 「あたしは善良な学生ですよーだ」
シラを切って合わせた視線を切る。
不満を示すように横を向いて唇を尖らせて、マリーと戦いたいからと言う彼女に心地よく呆れる。
「ええ、勿論。無理はしないわ。だって、そういうのは可愛くないでしょう?」
諸々の話を取りまとめ、穏やかに日下さんを見送り、紅茶を口にして大きく息を吐く。
「……でもね。可愛く無くっても、やらなきゃいけないのなら、あたしはやるわ」
一歩進んだ。とは言わない。
でも、何もしないよりは良かった。
ご案内:「訓練施設」から日月 輝さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から日下 葵さんが去りました。