2020/09/20 のログ
ご案内:「訓練施設」に幣美奈穂さんが現れました。
■幣美奈穂 >
鈴が使に着いた懐刀を手にしまして。
頂上に上げた手を、左足を滑らすようにして一歩前にし。
同時に振り下ろします。
――しゃんっ
鈴が鳴り、それだけで穢れを散らします静謐な空気が広がります。
けっして、勢いも力強さもない一振り。
ですが、ぶれることもなく。そこを通り、そこにあるのが自然と思えるような一振りです。
それを見守るのは、イナバ老子。
赤いお目めをくりっとさせて、ぽふっとした丸い尻尾を持つ白兎。
前足で顎にのびた白髭を撫でながら、うむっ、と頷きます。
■幣美奈穂 >
休日の今日、午前中を兵法の修練にあてた美奈穂。
朝7時から休むことなく修練。
美奈穂ができるのは、型の修練です。
≪守る≫というのがなければ、守り巫女の彼女の実践の腕前など素人以下。
ですが、島に来る前より続けております修練で、体幹だけはしっかりしているので。
型だけは素晴らしいのです。
そして通りかかった、委員会で実技訓練で教官もやっております白いウサギのイナバ老子。
長い年月で武術に増資の深いうさぎさんに型を見てもらっていたのです。
長いお耳をぴんとたてたイナバ老子がお幾つなのか知りませんが。
聞いた話では前足の一撃で穢れた怪異の頭を切り飛ばすそうですが。
でも、美奈穂にとっては単なる優しいうさぎ先生なのです。
■幣美奈穂 >
「・・どうですかしら?」
一通りの神道流兵法の短刀術の型。
古い古い武術の型です。
美奈穂がやると、そのゆたりした動きで舞いをしているようにしか見えないかもしれませんが。
老子に尋ねると、きゅっ、と腕前が上がっていると頷きを頂きます。
普通に現代的な鍛錬であれば、ランニングや腕立て伏せなど。
身体を鍛えることもされるのでしょうが。
残念ながら美奈穂は神木の加護のため、疲労を感じる前にするりと回復してしまうのです。
おかげで筋力はつかず、瞬発力もありません。
ただ、朝からやって昼前の今の時間になっても汗ひとつかかない持久力は凄いですが。
■幣美奈穂 >
風紀委員のお仕事。
普段の美奈穂には雑事と言いますか、なんか平和なものしか割り当てられません。
それは、誰が見ても実戦などにだすと不安になる腕前だからです。
ただ、それらは美奈穂としても楽しいのですが。
こう、話に聞くような取り締まりのお仕事も、もう初等部生でないオトナですから、割り当てられてもいいのではないかと思っているのです。
両手で木刀を持ったイナバ老子(ちなみに、前足の形から片手で持てないので。挟むような拝み持ちです)が、随分と手加減しながら美奈穂のお相手。
受ける、のではなく、受け流す修練です。
非力な美奈穂では、≪守る≫時でも受け止めるのは難しい。
そのため、受け流す修練です。
剣術などは、天狗の法眼老子が委員会の訓練でも色々教えてくださいますが。
孫のようにかわいがられている美奈穂の、実戦参加欲を散らすためにされているのですが。
美奈穂には判っていません。
■幣美奈穂 >
イナバ老子も優しいですが、法眼老子は優しいというより甘やかしなのです。
ちなみに、肉体を鍛えるような修練は、島に来て一週間もたたず修練計画から放り捨てられました。
意味がない、と理解されてしまったのです。
「えいっ、やぁっ!」
鈴を転がす様なお声で、なんとものんびり聞こえる気合の声。
イナバ老子の手を抜いた木刀に合わせて懐刀を動かしまして型通りに受け流します。
筋力はつきませんが、型は意味があります。
そのように動かすことや、身体の幹をどう支えるか。
それは覚えることができるからです。
ですので、筋力などはつきませんが体幹は細いなりにしっかり身に付きます。
あと、身体は付いてきませんが反射は育ちますので。
≪守る≫という時には、しっかりとした動きができるようになるのです。
■幣美奈穂 >
美奈穂が習っているのは、古い神宮に伝わる神道流の兵法。
日本で『剣術』というのが言われる前の術です。
そこだと剣術だけでなく棒術や、今なら忍術にも入られられるような手裏剣術や、無手の技。
そして築城術なんてものもあります。
武士などはそれを戦働き――人に使いましたが、
巫女である美奈穂のものは対怪異に洗練されているものです。
所作の一振り、一動作にも穢れを散らす想いを込められます。
「・・ありがとうございました」
訓練場で正座しまして。深々と頭を下げますと。
イナバ老子もちょこんと座り頭を下げます。
そして老子はぴょこぴょこと出ていくのです。
今度、ススキをプレゼントしようと思うのです。
イナバ老子、なんかこの時期はススキをもって走りたくなるそうですから。
■幣美奈穂 >
イナバ老子が出ていきましたのを見送りましてから。
使った訓練場はお掃除しておきます。
乾拭きして、水拭き。
・・イナバ老子の抜け毛がありますね。
夏も終わったということでしょう。
本格的に抜け毛がでるのはもう少し涼しくなってからでしょう。
ごしごしっ。
来た時より綺麗にするつもりでお掃除をしまして。
訓練場を出るのでした。
ご案内:「訓練施設」から幣美奈穂さんが去りました。