2020/10/05 のログ
■セレネ > 純度の高い宝石を用いたとて、変換の効率が上がるだけで威力そのものはほぼ変化は起こらない。
威力を上げるのだとしたら上位の魔術を覚えるしかないだろう。
少なくとも己の知る魔術は、だが。
「同種だと波長も合いやすいみたいですしねー。
…色々と魔術を覚えてはおりますが、未だ課題は沢山です。
怪我をしても治せますから問題はないのですけど、怪我はしないに越した事はありませんからね。」
元の世界なら兎も角、この島では己も刀術に長けていそうな人物は知らない。
…まぁそれは追々探すとして、だ。急いで探す程切羽詰まっている訳でもないのだし。
「とりあえずゆっくり探すとします――と。」
まさかこの世界でも師事する事になるとは、と内心苦笑しつつ。
ずり落ちていく黒仔猫が奇妙な形で止まったのに蒼を瞬かせた。
「バランスが良いにしては、少し良すぎる気もしますね、クロちゃん。」
■ラピス > へっぽこ教師の場合、魔力総量はダムの水量、放出量は放水量となる。
そして、放出した魔力が、宝石やら術式やらを通って変換されて、事象に変わる。
宝石は、その内の後者に作用して、変換効率を飛躍的に向上させ、減衰量を減らす。
それ故、減衰する分を考慮して上乗せしていた魔力が不要になるし、込めれば威力が上がる。
へっぽこ教師の扱う魔術は、酷く単純で簡単で、それ故に魔力量・放水量が上の相手には勝てない仕様となっている。
「うい、その通りです。波長が合いやすいので、うまく扱えるわけですね。
――ふむ、それなら色々勉強してみると良いですよ。良いのがあるかもですし。
怪我して治せると言っても、刀は四肢の一本なら切り落せますから、要注意です!」
彼女が如何に治癒の魔術に秀でていても、切り落とされた肉体を戻すのは大変だろう。
切り傷を治すのとは、消費する魔力の量も、体力の消耗も異なるはずだ。
なにせ、へっぽこ教師ですら、四肢欠損を治す秘薬はかなりのリソースを用いるのだ。
出来ないとは言わないまでも、それこそ寿命を削る程度の品だ。容易くなんてない。
だからこそ、へっぽこ教師はへっぽこなりに彼女を案じ、釘を刺す。
「ん、それがいいでしょう――っとと、クロ、前が見えねーですよ、登ってくださいな。
うーにゅ、あそこまできたら落下するはずですが、不思議なこにゃんこですねぇ、クロは」
ずり落ちたこにゃんこは、よたよたと頭上に戻っていく。代わりに杖を少し上に掲げた。
すると、こにゃんこは主の腕の疲れなど気にする由もなく、ペフペフ肉球で光を消し始める。
なんとなく、これはもうテストを続ける様な雰囲気ではなくなってきた。ならば潮時というもの。
後はのんびりと、彼女とゆったり会話して、時が来たら別れる。そんな緩い時間を味わうことになる――。
ご案内:「訓練施設」からラピスさんが去りました。
■セレネ > 彼女の魔術は己の扱う魔術とは細部が少し異なるものだ、と分かるのは
もう少し彼女の魔術を視なければ難しいか。
しかしそれでも世界や人によって様々な魔術、異能があるから面白い。
興味はなかなか尽きそうにない。
「この刀、異常なくらい切れ味が良いのでうっかり間違えると簡単に斬り落とせそうですからね。
人に向ける時は注意しないといけません。」
外傷や内臓の治療は過去何度もやってきたが、四肢の切断はそういえばまだだったな。
試しに上手く繋がるかどうか試してみるのも有りかもしれないなんて、物騒な考えを抱えつつ。
釘を刺されてしまえば苦笑して、上辺だけで気を付けるとは言うが。
――必要ならばやるのが己だ。ただ、流石に他人では実験できないが。
今までもしてきたことだ。腕の一本くらいどうにかなろう。
「生き物である人は異能も魔術も扱えるのですし、他の生物も異能や魔術が扱えない道理はありませんよね。」
もしかしたらそんな子なのかも?と不思議そうに、飼い主の頭上に戻って魔力と戯れを再開する黒仔猫を見て。
実際はどうかは分からないが、可能性はない訳ではない…筈。
ともあれ、もう暫くは共に話をするとして。
頃合いを見計らい彼女と別れた後己も本来の目的であった試し切りに向かう事だろう――。
ご案内:「訓練施設」からセレネさんが去りました。