2020/11/03 のログ
ご案内:「訓練施設」に毒嶋 楽さんが現れました。
■毒嶋 楽 > 「たまにゃぁこういうとこで運動もしないとねぇ~」
気楽な鼻歌と共に訓練施設を訪れた毒嶋 楽。
施設の更衣室にて制服を脱ぎ、運動着へと着替えてからロッカーのカギをくるくる手持無沙汰に弄びながら廊下を歩く。
運動目的で来たものの、詳細はほぼノープラン。
他の利用者が居ればそれを真似ようとまで考えて居る始末である。
「そういやここって異能の訓練と普通のトレーニング、利用者はどっちが多いのかねぇ?」
どっちでも良いかねぇ、とヘラヘラ笑いながらひとまず施設内をぐるっと見て回ろうか。
ご案内:「訓練施設」にアージェント・ルーフさんが現れました。
■アージェント・ルーフ > ―某日、天候は晴天、時間帯も普通の人間である様であったら活動するのに最適
「絶好の運動日和、って所だねぇ」
他の人も当然ながら鍛錬に励んでいるのだろう、金属の弾く音、複数の足音等が折り重なっている施設の中に、ポツリと呟きを漏らす。
「数日間能力の類とか使ってなかったからなぁ…どうなってる事やら」
ボク自身、血を見るのは苦手とかそういうわけでもない、というか裏の世界で活動している以上、そう言ったことも付いてくる。
また、この島では必要最低限の護身を持ち合わせていなければ、その内そこらで血を散らばらせなければいけないのは明白である。物騒ではあるが、裏の世界ではそこらに鮮紅のペイントが施されてるので、信じざるを得ない。
汗の匂いが滲む施設の中そうした事を考えながら、どこかふわふわとした足取りで、銀の影は的が用意されている練習場の前まで移動する。
■毒嶋 楽 > ぐるっと見て回ってみたところ、どうやら異能や魔術といったものの訓練に利用する方が多いらしい。
これが常にそうなのか、それとも今日いまこの時だけの状況なのかは分からないが。
ふーむ、と興味深そうに唸りながら、一度歩いた廊下を再び歩く。
「まあ、普通に運動するなら外でランニングとかの方が良い、か。」
幸い外は秋晴れ、気温も暑過ぎず寒すぎずと運動には最適だろう。最適なのだろうけれど。
「俺ちゃん、あんま外うろつくの好きじゃないし~」
はぁ、と肩を落とすとたまたま視界に入った銀髪の少年を目で追う。
彼も異能を使った訓練をするのだろうか、そうであればひとつ見学でもさせて貰おうといった腹積もりで。
■アージェント・ルーフ > 的の位置はおおよそ30m、かなり離れた位置ではあるが、人一人よりは大きい的なので比較的当たりやすいと言えてしまう。また、この世界では50m離れてリンゴのヘタを打ち抜くのも容易だと言うものも多数いるであろう。戦慄してしまう事実だが、異能なんて言うアノマリーがある以上、底知れない事実がそこにある。
「じゃあ始めようかな~」
ボクはそう言いながら、足、腕、手首と順々にストレッチをこなしていく。
特に手首周りのストレッチは大切である。何せ、30mと言う距離を飛ばすには腕も使うのが得策だろうが―
「…よし」
―カードの投擲となれば話は別である。ボクは日頃から隠し持っているカードを一枚、急に掌で掴む。
■毒嶋 楽 > 「ほぉ~ん?」
少年が入ったのは射撃練習場のような場所だった。
邪魔にならない様にこっそりと、入り口の前で中の様子を窺う楽。
本当に多種多様な設備があるもんだ、感心しながらも少年の行動に注目する。
的があり、人が居て、銃は携行されていない。
だのに少年はストレッチを行っている、ということは。
「なぁにか投げるか飛ばすか……そんなとこかねぇ。」
果たして自分の読みは当たるか外すか。
ヘラヘラと口角を釣り上げながら、ぼんやりと見守っている。
■アージェント・ルーフ > 「さて…と」
後ろに見物客がいるとは露知らず、ボクはスッと目を細め、的の中心を見つめる。
さて、ここで重要となるのはカードの投げ方でなく、『位置』である。カードと言う性質上、重量が面積に対して軽く、風の影響、空気抵抗等をモロに受けてしまう。その為、投げる前のカードの角度等を見定めるのは的に当てるための過程の8割程を占めると言っても過言でない。
(角度OK…足の位置OK…手の位置OK…)
本番であるならばこんなに悠長に時間をかけていられないが、手の訛りを危惧している為、いつもより念入りにフォームのチェックをする。
「…ッ!」
全ての条件が満たったその瞬間、ボクは手首のスナップだけで30m先の的に向かい、カードを投擲する。
カードは自身に受ける空気抵抗に流され、横に波を描きながらも一直線に的へ向かい…
トン…
軽い物が落ちたかのような音を発しながら、静かに的に刺さり、勢いを止めた。しかし、
「んー…やっぱりブランクが長かったかなぁ…」
命中した場所は中心より2cm程左、少しばかり落胆の色を滲ませながら独り言を漏らす。
■毒嶋 楽 > 「へぇ……」
果たして楽の読み通り、少年は的へ向けて何かを投擲した。
随分と準備に時間を掛けていたが、的に刺さった物を見れば納得である。
小さく感嘆の声を上げつつ、少年がカードを投げた手の動きを真似てみる。
「……一朝一夕で出来るもんじゃあねぇよなぁ。」
少年自身は何やら落胆しているが、それでもかなりの技術であることに違いは無いだろう。
■アージェント・ルーフ > 時間と言うものは何かを得らせるのと同時に、何かを失わせるものである。事実、ここ最近は暖かい公共の場でマジックを披露し、得意になっていた部分もあったが、この様では師に顔見世も出来ないだろう。
「ちょっと面倒くさいけど…やらなきゃかぁ」
普段から物ぐさな一面があるボクは、いつも通常のカード投げしか行っておらず、能力を使った鍛錬は体力面からそれ程行っていなかった。その為、幼き頃にはよく叱られたものである。
ボクは少しばかり深呼吸をして能力の使用を決意する。何れにせよ、訓練施設に来たからには能力を使った鍛錬を行わないと損である。
生憎ボクは師の様に無詠唱で能力は使えない。足を少しだけ開き、能力名を高らかに宣言する。
「ジオメトリテンペスト!」
瞬間、訓練所に不釣り合いであろう少しばかり幼さを残した声と共に、数えるにも苦労するほどのカードの集団が銀の少年を規則的な並び方で隊列を組み、囲む。
■毒嶋 楽 > 「ふぅむ、ホント末恐ろしい生徒がわんさか居るもんだ。」
正直なところ実生活でカード投げがどれだけ必要になるかといった事は楽にはさっぱりだったが。
それを必要とする場面があるから、少年は自分の腕を確認したのだろうと推測する。
であれば、凡そ真っ当な学生という訳でも無いであろうことは容易に想像がついた。
やれやれだ。
溜息混じりに呟いて、今度は異能の展開を始めた少年の居る射撃場から静かに離れる。
見物を続けても問題は無さそうだとも思えたが、かと言って盗み見をされていると知れたら気分を害するかもしれない。
単純な身体能力に付随する技術技能と比べて魔術や異能というのは機密性を重視する人も少なくは無いだろう。
もし仮に自分だったら、なるべくなら赤の他人に知られたくは無いと思う。
「……それにまぁ、本来の目的は運動だしねぇ。」
適当にランニングマシンで走っておこうか、と楽は頭を掻きながらその場を静かに後にするのだった。
ご案内:「訓練施設」から毒嶋 楽さんが去りました。