2020/11/07 のログ
ご案内:「訓練施設」にセレネさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
■セレネ > 時間ピッタリに訓練施設のうちの一つに入る。
――夜というのもあってか中は無人だった。それなら好都合。
事前にメールで言われた通り今回は刀を持ってきていない。
元より己は武器を扱うのは不慣れなのだが…。
スマホで時刻を確認後、先日引き取った赤い核を上着のポケットから出し手元で手持ち無沙汰に弄ぶ。
相変わらず絶える事のない炎に思考を巡らせる。
あれから独自で調べてみたが不可解な事ばかりであまり眠れなかった。
尤も、それは難題に挑戦する研究者の如く、熱心にあれこれ試行錯誤していたせいだが。
…さて、彼は時間通りくるだろうか。
■火光雷鳥 > 結論を言おう。遅刻はしなかった。しなかったのだが、学生証を何処に仕舞い込んだのかを失念していて、結果的に遅れた。
「ぬぉぉぉ!!悪いセレネさん!ちょっと遅れた!!」
結果的に、数分程度の遅れとはいえ訓練施設に参上するのが少し遅れてしまった訳だ。
開口一番、挨拶よりもまず謝罪をしながら走ってくる。
その左手には何やら赤いバイクグローブのようなものを嵌めており。
「と、取り敢えず今夜はよろしくな!…あ、ちなみにこれ武器じゃねーから。
この前、扶桑百貨店で買ってきた発火能力者用の異能制御器具の一つでさ?」
と、彼女に問われるよりも先に説明をしておこうかと。
流石に、ハンデで武器無しを頼んだのにこちらが武器持ち、と思われるのもアレだ。
まぁ、そもそもメールでも言った通り、この男は武器の扱いなぞ完全にド素人なのだけど。
「んで、模擬戦闘っつったけどさ?細かい、って程でもねーけどルールは大まかに決めておいた方がよくねーかな?」
例えば、勝ち負けのラインだ。ちなみに、今回で模擬戦闘は2回目なので正直言えば緊張している。
■セレネ > ――まだかな、と待っていたら程なくして忙しなく走って来た待ち人。
数分の遅れに表情は少しばかり不機嫌そう。
「女性を待たせるなんて酷い人ですね?
…まぁ素直に謝ってくれたので今回は不問と致しましょう。」
本気で怒ってはいないけれど彼の反応が気になったので意地悪い言葉をかけてみたり。
駆け寄って来た彼の左手にはバイクグローブが嵌められており。
「此方こそ宜しくお願い致します。
仮に貴方が武器を持ち出しても私は構いませんでしたが。
へぇ、異能制御の道具を買えたのですね。それは良かったではないですか。」
これならまた腕を火傷する事も減るでしょうね、と蒼を細めつつ。
そうしてルール、と言われれば、特に考えていなかったなと首を傾げる。
「片方がリザインするまででは駄目ですか?」
己の目的は勝ち負けではなく彼の特異性を確かめる事なのだ。
だからどちらか一方が戦闘続行不可能と判断出来るまでで良いのでは、と。
■火光雷鳥 > 「いや!聞いてくれ!学生証持ってないとここ利用出来ないだろ?ただ、学生証何処に仕舞ったか失念してて、つい手間取って…。
……あ、いや、まぁ、うん…申し訳ない。」
必死に言い訳というか理由を説明するが、そもそもこちらのミスなので素直に謝るのであった。
これで友人からの心証が悪くなったら、チキンハートの自分的には大ダメージだぞチクショウ!
「お、おぅ…いや、だから俺は生まれてこの方、武器なんて使った事ねーから。
そもそも、戦闘経験なんて人並みの喧嘩が本土に居た頃に何度か、と。後は前にここで模擬戦闘一度やったきりだし。」
あと、この前の裏常世渋谷のアレも戦闘経験、にはカウントされるんだろうか?
ともあれ、これを買って正解だったのは確かだ。現状、異能の制御が一番課題であったし。
「えーと、つまり続行不可能な状態になったら、っつー事か?気絶とか動けないとか。」
それならまぁ、オーソドックスで分かり易いけれど。
そもそも、模擬戦闘だから多分彼女も手加減してくれる……筈?
(いや、そもそもセレネさん魔術色々使えそうだし手加減なしだったら、俺は瞬殺なのでは?)
と、内心で戦々恐々である。ともあれ、軽く左手のグローブの装着具合を確かめてから深呼吸を一つ。
「スゥ……ハァー…っし。じゃあぼちぼち始めるか?」
予め、ウォーミングアップというか体は暖めて解してある。何時でも動ける状態だ。
■セレネ > 「言い訳も説明も必要ありません。遅れたという事実の前ではそれらも無力ではないですか。」
いくら説明されても事実は覆らないのだ。
事実を受け入れ素直に謝罪した方が己にとっては印象が良い。
端的に言えば”あれこれ言い訳する人は嫌い”なのだ。
「私も自衛程度の実力ですから。本格的に戦闘技術を身につけている方だと
恐らく足元にも及ばないでしょうし。」
この島の人達は分からないが、少なくとも己が居た世界を基準にするなら、だ。
「そういう事です。分かりやすいでしょう?」
言いながらどうすれば彼の意識を喪失させられるかを考える。
一番は脳震盪を起こさせるのが早いが、頭というのは結構繊細だ。
扱い方を間違えれば即死させてしまう。
彼の不安は知る由もなく、戦闘準備に入る彼に一つ頷いた。
「いきましょうか。あまり遅くなるといけませんし。」
一切の感情を消し真剣そのものとなる。
言うや否や己の上斜め後ろから数十の魔法陣を展開、光の矢を彼に向かって放とうか。
魔術とはいえ物理攻撃。矢は真っ直ぐにしか飛ばない。走れば避けるのは容易いだろう。
■火光雷鳥 > 「ぐぅの音も出ませんハイ…(これ普通に心象悪くなってんじゃん!?俺の馬鹿ーー!!)」
がっくりと項垂れる。とはいえ、自業自得なのは分かってるので気を取り直そう。
正直、勝ち負けというかそれよりも大事な事が男にはある…そういう意味では彼女と同じだろう。
(…さて。どの程度まで制御と操作が出来るか…分水嶺を見極めねーと。)
少なくとも、あっさり負ける訳にはいかない。負けるならやる事をやってからだ。
彼女の言葉に、「俺は自衛すら怪しいんだけどなぁ」と微苦笑を浮かべて肩を竦める。
「ああ、俺は頭よくねー凡人だから分かり易いルールの方が助かるさ。」
頷きながら、表情を消して臨戦態勢に入る彼女に対峙しながら、こちらも僅かに腰を低くして構える。
……と、ぞくりと悪寒……彼女が魔法陣を展開すればギョッとしたような顔になるが。
ぼさっとしていたらやられる!と、ばかりい一気に前へと走り出す!!
「――…っ!!」
直線にしか飛ばないとはいえ、数十もある光の矢に真っ向から挑むのは気が気でない。
だが、反射的に走りながら赤いグローブを嵌めた左手の指をパチン、と一度鳴らして。
「い……けぇっ!!」
走る速度は緩めず、光の矢はギリギリ交わしながら左手を振るう。
すると、左腕全体から炎が発生。それがまるで『鞭』のような形状に変化すれば、鋭く打ち据えるように彼女へと伸びていく!
■セレネ > 射出される魔術の矢に対して横に走るでもなく後ろに跳ぶでもなく前に走るとは。
少しでも遅れれば刺さるだろうに、臆することなく飛び込んでいく彼を蒼が見据える。
グローブを嵌めた指が発火を促すよう鳴らされた。
左腕ごと炎に包まれたそれが鞭のようにしなり己に向かって飛んでくる。
片手に嵌めている雷属性専用の変換器に改良した指輪を介し脚に一時的な魔術を付与すれば。
一足で跳び上がって攻撃を避け、彼の頭に向かって踵落としを繰り出そうとするだろう。
禁止されたのは武器だけだ。肉弾攻撃を禁止された訳ではない。
それにこれならやたらと炎は撒かれないだろうという考えもあって。
■火光雷鳥 > (冷静に考えたら、何で俺って自分から突っ込んでるんだろーなーーー!?)
無謀、蛮勇、あるいは勇気?度胸?いいや、ただの反射的な行動でしかない。
グローブのお陰で、こうして体に炎を纏えるようになったし、火傷もしない。
更に、限定的だがこうして炎の形状変化も出来る…自身の能力の欠点は多少は補える筈だ。
だが、まぁ――そうあっさりとこちらの付け焼刃が通じる友人でもあるまい。
なまじ、裏常世渋谷での動きを見ているから交わすか防ぐだろう、とは思っていた。
「…っぶねぇ!?」
そして、彼女が飛び上がって攻撃の回避から踵落としを繰り出してくれば、走る勢いを殺さずに前に飛び込むように前転でギリギリ回避!
起き上がりながら素早く背後を振り向いて――着地直後の彼女を狙い『照準』を合わせる。
「っ…!」
直後、彼女の居る空間が突然燃え上がる…視線による自然発火。
近距離から中距離は炎の付属と形状変化、遠距離は今までの自然発火。
つまりは――間合いに応じた能力の『使い分け』だ。
■セレネ > 『あら、避けられるなんて。私もまだまだね。』
思わず口に出す言語が英語になりつつ、
走る勢いをそのままに前転して回避するその機転に驚く。
カツ、と着地と共響くヒールの音。直後展開する魔法陣は水属性。
着地狩りを狙う彼からの攻撃――視界が赤く染まり熱に覆われる感覚。
衣服は予め耐火の魔術を付与しているので燃える事はないだろうが、それでも熱さまでは軽減する事は無い。
燃える視界が水の壁によって鎮火されていく。
その水を利用して今度は氷の魔術を発動させよう。
「≪凍結≫」
相手の足元に向かって氷が伸び、動きを封じ込めようと試みた。
■火光雷鳥 > 彼女が英語で何か言っているようだが、正直こっちは一杯一杯だ。
一歩でも対応を間違えば即アウト…少なくとも、状況判断を読み間違えるとほぼ詰みに近い。
炎の付属、形状変化はまだアクションが必要だが自然発火は視線で照準を合わせれば即座に行える。
だけど――
「…やっぱり水か!まぁそうなるよな…っ!」
水の壁らしきもので自然発火を消火する彼女の手際に舌打ち。
水の魔術や能力は分かり易いくらいに己とは相性が悪いのは身に染みている。
と、今度はこちらの足元へと向かって氷が地を這うように迫ってくる!!
「マジかよ、くっそ!」
雷、水、そして氷。こちらは発火能力だけだから手数が違いすぎる。
咄嗟に今度は横に跳躍して回避――だが一瞬遅れた。左足に氷が触れれば、そのまま凍り付いて身動きが封じられる。
(やっべ!?反応が遅れた…!!)
そもそも、最初の光の矢と続く踵落としを回避できただけでも健闘している、と言えるだろう。
■セレネ > 水を凍らせる形で行った為比較的魔力の無駄な消費は抑えた筈だが、
それでも全ての魔力を効率的に変換出来た訳ではない。
変換できなかった魔力は魔素に溶け込み、”色”を残す。己の魔力が視界に映る。
『Checkmate.』
相手の足元目掛け這って行く氷が彼を捉え、動きを封じる。
片足だけでも充分だ。彼の傍へと跳び、鳩尾に雷属性の魔力を叩きこもうとする。
簡易的なスタンガン。これで彼の意識が削げれば良いのだが。
己の目的を達成出来たなら、後ろに下がり距離を取って彼の動向を注視するだろう。
■火光雷鳥 > (自然発火か付属で溶かす――駄目だ間に合わねぇ!)
凍りついたのは左足だけだが、それだけでも動きを止めるには十分だろう。
そして、場数が少ないのが災いしてか咄嗟の判断がまだまだ遅い。
気が付けば、すぐ傍に彼女の姿が在り――
「しまっ―――ぐほぁっ!?」
まともに鳩尾へと雷属性の魔力を叩き込まれる。打撃とスタンガンを纏めて食らったような衝撃。
そのまま、がくん、と項垂れて全身が弛緩するように倒れ込み――
「――――…。」
突如、まるで操り人形のように彼女へと右手が無造作に向けられる。
次の瞬間、発火――ではなく、『爆発』を引き起こして彼女を吹き飛ばさんとする。
その爆発に魔力反応は『無い』――つまり、純粋に能力の所業で。
■セレネ > 己の攻撃、そして目論見は成功したようだ。
攻撃を受けた相手は意識を失い倒れ込んだ――ように見えたが。
「――っ!?」
向けられた”右手”、グローブが嵌められていない手が己に向けられ。
警戒したと同時爆発が起こる。
「――うっ…!」
吹き飛ばされた勢いを殺す為背から蒼く輝く翼を現して羽搏かせる。
視えるような魔力はなかった。という事は異能という事か。
宙に舞い、羽根を時折落としながら相手の動向を伺う。
■火光雷鳥 > 「………。」
まるで、人形か機械のように緩慢な動作でゆっくりと顔を上げる。
意識があるのか無いのか、無機質で無感情な赤い瞳が静かに彼女へと向けられて。
不意に、男の左足を絡め取っていた氷が纏めて『蒸発』する。膨大な熱量によるものだ。
水蒸気を上げながら、まるで夢遊病者のように一歩、また一歩と彼女へと向けて歩き出す。
「………。」
明らかに様子がおかしい、というよりも男の意識というものがまるで無いような。
それでいて、彼女の目的でもあるかもしれない『誰か』の気配も無い。
その足取りはとても緩慢であり、まだ老人の歩みの方が速いと言えるくらいだ。
つまり、遅い上に隙だらけ――なのだけれど。
「………。」
突如、男の周りに複数の…数にしておよそ『50』ものバスケットボール大の火球が出現し――
そして、彼女――どころか無差別に全方位へと向けてそれが放たれる!
明らかに、異能制御器具ありでも不可能な筈の芸当、そして無差別な攻撃だ。
■セレネ > 『お出ましのようね。』
己の目的そのものが、やっと顔を出したようだ。
表情、そしてその赤い瞳に人間らしい感情はない。
文字通りの人形にも見える。
そうして、拘束していた氷がいとも簡単に氷解…いや、蒸発した。
初級魔術とはいえそれを一瞬にして融かす熱量に舌を巻く。
言葉も発さない。表情らしきものもない。
やり過ぎたのかとも思うも、それに思考を裂く時間はないようで。
緩慢な動きで己に向かって歩いていた彼が、突如火球を多数創り出した。
耐火の魔術を織り交ぜた魔力壁を即座に周囲に展開し、火球の攻撃を防ごうとする。
『これは想定外ね…。』
どうしたものかと苦い笑みを浮かべて空中から観察しようか。
■火光雷鳥 > 「………?」
ふと、その緩慢な歩みが止まる。ぎこちない動きで己の体を見下ろすような仕草。
まるで彼女のことなど気付いていない、とばかりにあまりにも無防備と言えようか。
と、いきなりその体が足元からストン、崩れ落ちて。そのまま右手でこめかみの辺りを押さえながら。
「あっ痛ぅ……くっそ、何だ…?」
男の意識が戻ったのか、頭痛を堪えるようにうめきながらこめかみを抑えており。
そしてハッ!?と、気付いたように顔を上げて周囲を見渡せば――…翼が生えた友人が居た。
「…え?…は?…セレネさん、何で翼が生え…痛っつ…!」
思わず呆然としつつも、直ぐに疑問を尋ね…ようとしてまた『頭痛』に苛まれてるのか顔を顰めて。
■セレネ > 緩慢過ぎるとも言える歩みが止まり、自身の身体を見下ろす仕草をする相手。
これ以上攻撃を加えれば、人の身である彼に大怪我を負わせかねない。
魔力の残りも考えてあまり無茶は出来ないなと思考し。
唐突にその身体が膝から崩れ落ち、頭を押さえる様子が見られる。
「――!!」
彼自身の意識が戻ったか、己の姿を見られてしまった。
慌てて地に足を降ろし翼を魔術で消す。
舞い降り、地に落ちていた羽根も淡い蒼の光の粒となって消え失せて。
「…大丈夫ですか」
一歩二歩彼に近づこうとし、不安げな声をかけるも。
蒼や表情にはその感情を乗せる事は無く。