2021/01/31 のログ
ご案内:「訓練施設」にセレネさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
セレネ > 訓練施設の中にある一室に一人佇む。
思えば此処に来たのは今年初めてだったか。

まぁ今回は自身の訓練の為、ではなく魔術を教えている友人兼弟子の為訪れたのだけど。

『…きちんと来るかしら。』

目前で逃げ出すような人ではない…とは思うし、彼も本気で学ぼうとしている気概は見える。
己も今のところは優しく教えるつもりではあるし。

胸の下で腕を組み、スマホで時刻を確認する。
もうそろそろ予定している時刻だ。

ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > さて、本日は友人兼師匠との自衛や魔術の訓練を行う日である。
彼女にも語った事があるが、少年は別に強い力や技術などを求めてはいない。
だが、自分や友人達を最低限守れる力は矢張り必要だとは考えている。

ならば、自身の異能や彼女から貰った魔道具を駆使する技術、経験はどうしても必要だ。
約束の時刻少し前、そうして少年は逃げる事も無く約束どおりに姿を現した。

「おーっす、セレネさん!今日はよろしく頼むぜ!」

と、彼女に何時もの明るいノリで軽く右手を挙げつつ挨拶を交わそう。
既に左手には異能制御用の赤と黒の色彩のグローブを装着しており、準備はできている。

セレネ > 少しばかり気を揉んでいたが、約束していた相手はいつもの調子で部屋に入って来た。
右手には己が作成したリング、左手には異能の制御用のグローブが嵌められているのが視界に映る。

「前回とは違い、時間より少し早く来ましたね。良い心掛けです。
此方こそ宜しくお願い致しますね。」

組んでいた腕を解きスマホをカーディガンのポケットへin。
さて早速訓練を、と行きたい所だがその前に。

「雷鳥さん。不躾ですが質問をさせて下さい。
…自分の身を守る事において必要な事は何だと思います?」

実践より先に、心構えを教えておかねばなるまいと。

火光雷鳥 > 「流石に遅刻とか論外だしなぁ、こっちから頼んだんだし。
…って、心構え?」

実践の前に問い掛けられる一つの質問。勿論、戦闘においては喧嘩レベルがせいぜいのこの凡人。
いきなり問われても正解など分かる筈も無く、そもそも正解があるのかも分からないが。

「んーー…自分の力量、っつーか出来る事をきちんと把握しておく事。
あとは、その場にある物や状況を出来る限り利用する事。
最後に、やばくなったら迷わず逃げる事も視野に入れる事。
俺は喧嘩レベルの経験しかねーから、その中で学んだのはこの3つくらいかな。」

心構え、といえるかは分からないが凡人にしては意外とすらすらと答えており。

セレネ > 己が唐突に投げた問いに対し、臆する事なくスラスラと答える相手。
ふむ、と少し考えた後。

「三つのうち二つはまぁ殆ど正解です。
ただ、最後の一つ。身の危険を感じたら迷わず逃げる事、は少し違いますね。
それは”戦闘”において必要な事です。
”自衛”は如何に怪我無く自分が安全な場所まで逃げられるか、が大事になるので
『危ない状況ではなくとも真っ先に逃げる事』が最優先です。
戦闘は本当に最終手段…なので、私も必要最低限の技量しかありません。」

そこまで言い切った後彼の反応を見る為に沈黙しよう。
それと同時、己が師に教わった事を記憶から引き出しながら。

火光雷鳥 > 「あーー成程…だよなぁ。俺が今口にしたのって喧嘩で学んだ事だから、自衛とは違うもんな。
確かに、自衛っつーのは自分の身を守る事が最優先で戦う事は可能な限り避けるのが大事だもんな。」

実際、気質は凡人だし戦闘技巧に優れている訳でも無い少年にはまずそこから、だろう。
戦闘の『素質』が皆無な訳ではないが、現時点での彼にとって大事なのはそこではなく。

彼女の訂正と指摘に、成程と馬鹿正直に頷くも何も考えていない訳ではない。

(まぁ、別に好き好んでやばい連中と戦いたい訳じゃねーし、無事に生き延びるのが最優先な以上、真っ先に逃走手段を考えるのは恥じゃねぇよなぁ)

セレネ > 「はい。それと、自分の情報は基本的に隠しておく事…も、一応頭に置いておいた方が良いと思います。
ここで言う情報は、自分が持つ異能や使用できる魔術、武器を持っているなら武器類等…ですね。
私が秘匿主義なのは、実はそういう理由なのですよ。
歓楽街方面なら、利用してやろうという考えを持っている人も少なからずいるでしょうし…
有益な術(すべ)を持っていると分かれば、引き入れに来るかもしれませんから。」

自分は大したものは持っていない一般人なのだと思わせられれば、相手の油断も誘えて逃げやすくなりますし、と添えて。

「……必要な事はこれくらい、ですかねぇ。とりあえず。
何か質問はありますか?」

また何かあれば都度教える、で良いだろう。
一度に詰め込んで全て覚え切れる訳ではないのだし、時間も有限だ。
緩く首を傾げ、そう問いかける。

火光雷鳥 > 「俺の隠すべき情報っつーと…発火能力、魔道具、あとは――アテにはならんが『アイツ』とか『門』かねぇ。」

後者二つはそもそも未だによく分からないので、それこそ異能と魔道具を駆使するしかない。
ただ、彼女があまり自分の事を語らない傾向があるのはそういう理由か、と納得もした。

(配達のバイトで歓楽街は偶に出向くが、客引きとかたまーにやばそうなのも見掛けるし)

要するに『目を付けられるな』という事なのだろう。特に凡人を自称する自分は。

「あーー現時点では無いな。まぁ、一度にあれこれ教えて貰っても俺の頭加減じゃ追い付かねーし。
特に、俺の場合はやたらと危険な場所に迷い込みやすいみてーだから、心構えもだけど実践も早めにしておきたし。」

『門』ゆえの厄介な不幸体質じみたもの。まぁ少年自身はまだ把握していないのだが。

ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
セレネ > 「”彼”と≪門≫については最重要事項でしょうし、
貴方が本当に信用、信頼している人にしか教えない方が良いでしょうね。
無論、私は口が堅いのでそこは安心して頂ければ。」

後者は絶対に口に出さない方が良いと告げる。
知られれば何が何でも引き入れるに違いなさそうだし。

「そうですか、分かりました。
では実践をやりましょう。
…貴方の魔術がどれ程上達したのか、知りたいので。」

相手は捕縛するのを主とする戦闘スタイルだったか。
ならば今回は己は武器持ちの方が良いかなと思い、右手に己の魔力で形成した蒼白いナイフを一振り持ち。

「模擬戦の時は武器無しでしたし、今回は有りで良いですね?
…あぁ、でも。私が使う魔術の属性は一つだけにしておきましょうか。」

そうすれば彼も対処がしやすいだろうし。
手に持った武器を軽く振って感覚を確かめながら。

火光雷鳥 > 「そもそも、俺自身が両方とも未だによく分かってねーからなぁ。いずれきちんと把握したいもんだけど。」

苦笑を浮かべて肩を竦める。自分の事なのだが、そもそも正体がどちらも未だに分からない。
まぁ、どちらにしろ『利用価値』があると見られて面倒な輩に目を付けられるのは避けたい。

「上達っつーか異能との併用、あと捕縛主体の自主訓練してたんだけどな。
武器はありで構わないぜ。魔術は…まぁ、流石に自由に使われると俺の手札がそもそもねぇからあっさり負けそうだし。」

苦笑を浮かべつつ、軽く左手で指を鳴らすようにして発火、左腕全体が薄く炎に包まれる。
対して、右手の中指に嵌めたシルバーリングが輝き水の鎖…否、蛇を形成していく。

「そんじゃ、始めますか!よろしく頼むぜ師匠!」

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セレネ > 「自主訓練とは…なかなか殊勝な心掛けですね。
やる気があると教え甲斐があって私も嬉しいですよ。」

己も”彼”や≪門≫についてももっと知りたいので今後も色々探っていくつもりだ。

そうして彼も戦闘態勢に入る。
左腕は炎、右は水。
ただ、鎖ではなく蛇になっている。そこまでイメージ出来るようになったかと感心しつつ。

「此方こそ。」

ナイフを手の中で回転させて逆手に持ち変え、相手へと駆けて行く。
充分な距離まで近付けたなら、ナイフを斜め下から斬り上げるように振り上げようとするだろう。

火光雷鳥 > 「前々から地道に訓練はしてたんだけどな。特に魔道具の方はまだまだ課題も多かったし。」

水と氷の属性が付与された右手中指のリングだが、まだ氷属性が上手く扱えない。
対して水は意外と呑み込み画が早く、このように鎖だけではなく蛇というイメージまで出来るようになった。

彼女が仕掛けてくれば、慌てず騒がず喧嘩の時と訓練の時の心がけを思い返す。
彼女がナイフを振り上げてきた瞬間、右手首を軽くスナップする動きでナイフの刃を蛇の顎でがっちりガードしようと。

(セレネさんが手加減してくれてんだろーが、何とかナイフの軌道は予測できた!)

そして次にカウンター!と、見せ掛けてそのまま思い切り後ろへと跳躍しつつ――

「―――行け!」

左手のグローブのお陰で、今は一時的に普段より異能の制御が向上している。
『目視』で彼女の前方の空間にバスケットボールくらいの火球を発生させ―『爆発』させようとする。

ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
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セレネ > 水で出来た蛇は振り上げたナイフを牙で受け止め、離さない。
近距離での間合いの取り方は己自身もまだ未熟だ。
だが、だからこそ今の彼には釣り合っているだろう。

己の間合いは相手の間合い。カウンターでも仕掛けてくるかと思っていたが、彼は後ろに飛び退いた。

――距離を取った。相手の能力は炎だけではない。そうなると。

「≪雷撃≫、≪転移≫」

何をしてくるかの予想がつき、横を向いて視界で座標を指定、雷属性の短距離転移。
手に嵌めている指輪を介して魔力を変換、自身を指定した座標に到達させる。

傍から見れば己の身体が雷と化し、バチリと大きな音を立てて瞬間移動したのが見えるだろう。
所謂緊急回避だ。

ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > 「――げっ!?」

彼なりに考えた奇襲カウンターだったのだが、矢張り後ろに飛び退いたのが露骨だったか?

(――いや、単純に距離を取って俺が何を仕掛けるかを即座に看破したんだな。)

少年の発火能力は本来、視界範囲内10メートルの任意の場所に発火現象を引き起こすもの。
今は異能制御グローブで制御しているから、腕に直接炎を纏わせているが、グローブ無しではまだ出来ない。

ならば、着地と同時に身を翻してから左腕を振るう。

「――【炎鎖】!」

叫ぶのはイメージの補正も兼ねている。炎で形作られた10本の鎖が彼女に迫る!!

セレネ > 距離を取って攻撃するのは爆破しかあるまいと考えたからの回避方法だ。
まともに食らってたら危なかったななんて爆発音を聞きつつ。

「…っ。」

転移後も少し電気を帯び、バチバチと弾ける音がする。
手足がやや痺れるのは慣れない魔術を使用した後遺症。

歩けない程ではない。物が握れない程ではない。
ならばまだ動ける。

炎の鎖が己に向かって飛んでくる。
その数10本。

『…少し彼を甘く見てたわね。』

異国の言葉で呟けば、今度は両脚に属性付与、身体強化を施す。
そのまま再び彼へと走れば、迫る鎖を避けながら懐へと強襲出来るかもしれない。

火光雷鳥 > (下手な奇襲は察知されると考えりゃあ…)

仕掛けた炎の鎖は10本。これが今の自分の限界で、これ以上増やすと操作が覚束なくなる。
まるで生き物のように鎖が10本ともバラバラの軌道で彼女へと飛んでいけば、その手足や体を拘束しようとする。

――が、彼女の動きが急に加速した。迫る彼女に鎖は回避され、軌道を曲げてもおそらく後ろからは追い付けない。

「なら、ぶっつけ本番しかねぇか!」

右手に纏わりついていた水の蛇を消す。余計な消費を抑えるのと、そもそも集中しないと出来ない。
タイミングを見計らう――外せば終わり、当たれば…少なくとも師匠に一泡吹かせるくらいは出来る筈!

セレネ > 炎で編まれた鎖は全て直線ではなくバラバラな動きだ。
そこまで精密に動かせるようになっているとは。

ただ、元が炎なだけに拘束されると服が燃えてしまいそうな気がするし、何しろ熱いだろう。
あれに拘束されて火傷で済めば良いのだが。

無事に懐に飛び込めたなら、ナイフの柄の部分を相手の腹部に叩き込もうとする。
視界で先程まで出していた水の蛇が消えていくのが見える。
彼が何を考えているのかは分からないが…警戒だけはしておかねば。

火光雷鳥 > (タイミングを外したら俺の負け。いや、まぁ勝ち負けじゃねーんだけどさ。)

彼女としては、こちらの上達ぶり、戦いぶりを再確認する意味合いが大きいのだろうし。
集中すれば右手の中指のリングが輝き、そこで今まで使っていなかった氷の属性が発動する。
代わりに、水の蛇だけでなく炎の鎖も全て消す――それだけ集中しないと出来ないのだ。

狙いは腹部――ここだ!!

「――よし、狙い通うぐぉっ!?」

身体強化して先程より彼女の動きが早かったせいか、タイミングがややズレたらしい。
ほぼまともに腹部にナイフの柄を叩き込まれてしまうが、同時に氷が発生して彼女のナイフごとその手首を凍りつかせてしまおうと。

本当は腹部に氷の障壁を作ってナイフの柄の一撃を防ぐつもりだったが、結果的にこうなったようだ。

セレネ > 「――っ!」

視えた魔力の働きに気付いてももう遅く。
腹部に打ち込んだ形のままで氷漬けにされた。

直後、凍った手から激痛が走り魔力で形成されたナイフを分解して炎の魔術で氷を溶かしにかかる。
悲鳴は何とか噛み殺した。

「…このっ…!」

フリーな左手で彼の首をひっつかみ、勢いよく引き倒そうとするだろう。
引き倒せたなら彼の身体に馬乗りになり、動きを封じてしまおうと。

ご案内:「訓練施設」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > 「うぐっ…!?」

彼女のフリーな片手がこちらの首を思い切り引っ掴んだ挙句、そのまま引き倒そうとしてきた。
流石に踏ん張り、というか氷の魔術を使うための集中で足元が疎かになっていたのもあり、そのまま倒れこんでしまう。

で、結果的に師匠に馬乗りされる形で見上げる羽目に。
後、倒れた時に軽く後頭部を強打したので地味に痛い。

「いってぇ…くっそ、中々イイ線はいってた気がすんだけどなぁ」

と、零すもまぁ多少なり粘れた時点で成長はしている、と思いたいものである。

セレネ > 「今鈍い音がしましたね。大丈夫ですか。」

溶けた氷に右手を握ったり開いたりして動く事を確認しつつ、
相手のお腹の上に腰を落ち着ける。

己の髪と蒼目、そして豊かな胸が下から拝めるであろうポジション。

「……今日の訓練はここまで。
しかし驚きました。氷属性、使えるではないですか。」

それに鎖や蛇も、と上に乗ったまま相手を見下ろしつつ話し始めよう。

火光雷鳥 > 「あーー…何とかまぁ、平気っちゃあ平気だ。」

受身すれ取れていないが、そこまで酷い事にはなっていないようである。
とはいえ、直ぐには起き上がれない程度に衝撃があったのか、仰向けに彼女に馬乗りになられつつ片手で頭を抑えており。

(――っていうか、冷静に考えたらこの体勢やばくね!?あとこの友人おっぱいでけーな!?)

このアングルからだと強調されている、というかまぁ絶景である。頭を打った痛みも吹っ飛びそう。
だが、彼女からの言葉に直ぐに我に返りつつ。

「お、おぅお疲れさん。…いやー使えるんだけど水と同時には使えないし、異能との併用もきっついんだよ。
こう、やっぱ水に比べると難しいつぅか、集中が必要だから異能や水の魔術を使う余裕が無いっていうか。」

だからこそ、ここぞという場面でだけ使おうと割り切っていたのだけど。

セレネ > 「そうですか。なら良いのですけど…。」

彼の場合、特に頭は気をつけないといけないし。
分かっていたがやったのは己だ。迂闊だったと反省。

「…?どうしました?やはり頭痛みます?」

彼が今の体勢にどう思っているか、己の身体つきに何を思っているかなど気付かず。
不思議そうに首を傾げてみせ、押さえられている手を見る。
正直な所、魔術による後遺症で足が痺れて動けないのだ。

「はい、お疲れ様でした。
氷だけやけに苦手ですよね。水はあんなに細かくイメージ出来てるのに。」

ナイフを受け止めただけでも驚きだったのだ。
想像以上に上達しており、素質はあるのだなと改めて思う程。

火光雷鳥 > 「――あぁ、成程。セレネさんが心配してんのはアレだ、俺の頭の中の『アイツ』だろ?
まぁ、確かに俺の頭の中がおかしな事になってるのは間違いねーみたいだし、その懸念はわかるけどさ?」

と、苦笑交じりに。単純に心配されたというより、そっちのほうかぁ、と納得してしまったのが彼らしいというか。
まぁ、問題はむしろこちらの頭の状態よりこの態勢なんだが。ぶっちゃけ絶景だけど色々とあかん気がする!

取り敢えず、彼女の手首とナイフを凍りつかせて言えるそれを解除して置きつつ。
流石に凍傷とかになられたら大変だし。まぁ彼女なら治癒とかも出来そうだが。

「うーん、俺も何で苦手なのか分からん。相性みてーなもん?水は意外と使いこなせそうな気はするけど。」

彼自身が魔術を自力で発動できないだけで、『魔道具使い』としての素質は中々のものらしく。
ただ、矢張り相性や不得手な属性はあるようで、彼の場合はどうやらそれが氷属性らしい。

セレネ > 「…まぁ、確かに”彼”も心配ですが。
今回ばかりは貴方も心配してますよ。ぶつけた衝撃で内出血起こしたりしてたら大変なので。」

友人で師匠でもあるけれど、医者でもあるのだ。
何か違和感感じたら言って下さいね、と念押し。

氷魔術を解除されれば、ナイフを消してぎこちなく右手を動かす。
…手の感覚がないが壊死はかろうじて起こしていないようだ。安心した。

「あぁ…成程、貴方が苦手なのは水ではなく氷の方か…。」

得手不得手は誰でもあるだろうし、そこは仕方ないよね、と。
ふと何かを思いつき、文字通り氷のように冷たい右手を彼の頬に宛がおうとする。

火光雷鳥 > 「頭の中に爆弾抱えてるような気分だしなぁ…まぁ、普段は何もしてこねーから助かってるけど。
…あーー取り敢えずちょっと打ったくらいで別に眩暈がするとかもねーから平気。」

彼女はそういえば元の世界では医者だったか、と思い出しつつも心配無い、と笑ってみせる。

「苦手というか、何か上手く使えないっつーかコツが中々掴めない――うひょわっ!?」

なにっ!?何かいきなり頬に手を添えられたんだけど!?あと冷たいから!すんごい冷たいから!!

セレネ > 「…貴方自身が≪門≫なら、自分で開けたり閉めたりとか出来そうな気もしますけれどね。
どうするかは流石に想像つきませんが。」

相手から向けられる笑顔に嘘はないと感じると、とりあえずはそれ以上は突っ込まないでおいて。

「ふふ、やはり貴方温かいですねぇ。
ほらー貴方のせいでこんなに冷たくなったんですから責任取って下さいよー。」

言いつつうりうり、と尚も右手を押し付け、もっと暖かそうな首元へと手を潜り込ませていこうとし。
その表情は少しばかり反応を楽しむような感情が滲んでいるのが分かるかも。

火光雷鳥 > 「流石に開け閉め自在に出来るかどうかは分からんしなぁ――と、言うかどうやったらいいかサッパリだし。
つーか、開け閉め出来るなら真っ先に俺の頭の中の奴を門の向こう側?に追い返したいんだけど。」

反りが合わないし、アイツは厄ネタにしかならない気がするし。ともあれ、そんな事よりも。

「いや、そりゃ人並みに体温あるし――って、何の責任じゃーー!!」

と、突っ込みを入れつつ慌てるが、この友人兼師匠は絶対に反応を楽しんでいるに違いない!
と、いうか明らかに手が首元まで潜り込――つめたっ!?すんごい冷たい!!
逆にあちらからすれば温かいかもしれないが。ともあれ、抗議しようとするがこちらの反応を楽しんでそうな表情。

ならば!

「――うん、セレネさんや?今の態勢、実はセレネさんが俺を押し倒してるみたいな感じになってるのお分かり?
あと、そちら美人でスタイル良いから男の子としては色々ドキドキする訳でしてね?」

と、伝家の宝刀・ぶっちゃけで爆弾を投下してみるスタイル。

セレネ > 「魔術と同じようにイメージしてみる…とか?頭の中にありますし、
物理的に干渉は出来ませんから…やはりそういうものでしか出来ないのでは。」

”彼”の特性というか、気紛れなのもあるだろうし確かに反りは合わないだろうなぁ…なんて。

「何のって、それは私の手を危うく壊死させかけた責任ですよ。
カイロ代わりくらいなってもらわないとー。」

仮にも異性、というのがすっかり抜け落ちているのもあってか。
温かい場所を求めて色々な所を触る始末。

すると、今の体勢を指摘されて動きが止まった。

「……。」

まぁ、男性を押し倒すのはこれが初めてではないのだけど。
うーん、と少し悩んだ後。

「女性から押し倒されるのは好みではないのです?
ドキドキするから、何でしょう。何か不都合でもおありで?」

脚の痺れは未だ取れず、動けない状態。
少しだけ体勢を前屈みにして、両手を相手の顔の傍に置いて。

ニコニコ、笑みを浮かべてみせる。

火光雷鳥 > 「イメージねぇ?と、いうかそんな気楽に開け閉め出来たら大問題じゃねーかな?《門》なんだし。」

そもそも、自分自身が《門》というのがよく分からない。人型の門、とかそういうのは調べてみた限り書物には無いし。
まぁ、禁書庫とか別の本が沢山ある場所にはそういう記録があるのかもしれないが。

「あれ?壊死させるまでやばかった?調整とかロクに出来ねぇからなぁ」

それは予想外、なので謝るしかないわけだが何でカイロ代わりにならないといけないのだろう?
あと、完全に体を弄ってませんかね、この友人!?実はエロいのでは!?

と、こちらの指摘に流石に動きが止まった、というか何か悩んでいるように見えるが。

「好みとか以前に押し倒された経験全然ねーよ!あと、不都合というか色々やべーから!主に理性とか体の一部が!」

具体的には言えないけどね!あと、前かがみになられると、更にマズいんですけど!!

(だからおっぱーーい!!が、余計に強調されてんじゃん!?あと、顔が近いじゃん!!)

男からすれば素晴らしいシチュエーションなのかもしれないが、凡人からすれば色々やべぇ状態でもある。

セレネ > 「大問題なのは”彼”の方で貴方には問題はないのでは?
…あぁでも、閉めている間は異能が使えない状態になりそうですね。」

そこは彼自身のデメリットになりえそうだが、そもそも閉められるかも分からないから良いのか。

「もう少し解除が遅かったら凍傷や壊死まで行っていたかと。
氷漬けにされた時凄く痛かったんですからね?」

彼の身体に触れているのは半分触診も兼ねているので別に気にしていない己。
…触れてみて初めて分かったが、一応男性らしくそれなりに筋肉はありそうな印象を受けた。

「あら、ないのです?それはそれは貴重な経験が出来ましたね。」

クスクスと小さく笑えば、これ以上弄ぶと可哀想だしやめておこう。
屈んでいた体勢を戻し、ワンピースのスカートを押さえながらゆっくり相手の腹の上から下りて。

「はい、下りました。これで宜しいですか?」

隣に座り込んで問いかけた。

火光雷鳥 > 「つーか、薄々勘付いてたけど、どーも俺の発火能力はアイツの力?の一部が俺に流れ込んでるだけっぽいし。
つまり、俺自身は本来は完全に無能力者っぽいんだよな。魔術の素養も無いし。それこそ『凡人』だった訳だ。」

つまり、《門》という特殊性がなければ異能に目覚めることもなく、この島に来ることも無いまま凡人のままだった。
そういう意味では疫病神な体質だが、こちらで出会えた友人や知人も居るし、これはこれで良いと思っている。

(とはいえ、自分自身の事が分からないっつーのも問題は問題だしなぁ)

内心で吐息を零しつつも、どんな貴重な経験だ!と、ジト目で友人を見上げながらも彼女がこちらの腹の上から降りれば一息。
取り敢えず上半身だけよっこらせ、と起き上がりつつ軽く後頭部を抑える。痛みは落ち着いてきた。

「へいへい、まったく案外悪戯好きだよなぁセレネさんは」

あと、童貞はからかうもんじゃないんですよ、と言いたいが止めておこう、俺自身にダメージが来る!

「取り敢えず今日はこんな所かね?まぁ課題もあるだろーけど。」

セレネ > 「その凡人のままだったなら、この島に来る事もなかったでしょうに。
…この島に来て良かったと思います?なんて、まだ一年も経ってないのに答えるのも難しいでしょうけれど。」

少し気になったので問いかけてみる。
彼が特異体質でなければ、こうして魔術や自衛手段を教えたりする事もなかったわけで。

脚を擦りながら上半身を起こす相手を眺める。
ジト目を向けられても気にしない。

「貴方が弄りやすいのでつい…。リアクションが大きい人だと反応が面白いんです。
勿論、この人なら大丈夫だろうって考えてやってますからね?
誰彼構わずやっている訳ではないのです。」

弄るのも信頼の証なのだとのたまう。
やられている方は気が気でないのだろうけれど。

「そうですね。
色々と分かったので収穫はありましたし。」

火光雷鳥 > 「まぁ、この島に来たのも何かの縁っつー事で、別に後悔も何もしてねぇけどさ?
むしろ、本来はこの島に来る事が多分無かったんだろーし、そう考えりゃ貴重な経験になってるよ、多分。」

少なくとも本来望んでいたとは言えないが、この島に来た事に少なからず意味はあると思う。
まぁ、そもそも何で自分が《門》なのか、とかどうして突然異能に目覚めて1年も入院したのか、とか詳細はわからないままだが。

「俺はリアクション芸人じゃねーっつーの!ある意味信頼されてるのはいいけどさぁ…。」

と、何とも言えない渋い表情を浮かべていたが、やがて諦めたように溜息を零して。
まぁ、これもそれなりに信頼されていると見ていいのだろうか?いや、まだ信用はされてないけど。
そこは見極めると彼女も言っていたし、きっと現在進行形なんだろう。

「取り敢えず、次もまた頼むぜセレネ師匠。そろそろいい時間だし腹も減ったし。」

よっこらせ、と今度こそ完全に立ち上がれば、ほら、と友人に軽く右手を差し出して。
取り敢えず、本日の訓練はこんな所だろう。

セレネ > 「随分プラスに捉えているのですねぇ。」

そも、己がマイナス思考気味なのがいけないのかもしれないが。
後悔も何もないと言い切れるのは、己には出来ないなぁと思う。

「でも芸人さんのように良いリアクションしますよ?」

渋い表情の後に溜息を零されれば、嫌ならもうやりませんので、と苦笑する。
色々と弄るのも見極めの一つだと言えばまだ納得もしてもらえたかもしれないな。

「私ももう少し実力をつけておかないと貴方に負けてしまいそうですね。
――…あー…その。
実は、先程の戦闘で足が痺れてまして。」

今立てないんですよね、と立ち上がり己に手を差し出してくれる彼に告げる。

「だから、置いて行っても良いのですよ」

と見上げて言おうか。

火光雷鳥 > 「ま、その辺りは腹が立つけど親父に似たのかもなぁ。母さんも割とマイペースでのほほんとした人だし。」

そこは両親の良い部分が遺伝した、と思いたい。そもそも、後悔を抱くような波乱万丈人生を送っていないのもあるが。

(――むしろ、異能に目覚めてからだよなぁ、波乱万丈?かは分からんが人生動いたのって。)

「嫌とかそうじゃなくて、俺も男だしその辺りは理性の限界もあるんで、そこはセレネさんが見極めてくれよって感じで。」

肩を竦めてそう述べる。あと、芸人じゃねーよ!!と、再度念押ししておこう。
ともあれ、先に立ち上がって彼女に手を差し伸べたのだが――そういう事らしい。

「…足が痺れた?あーー何か電撃っぽい魔術使ってた気がするけど、それのせい?
なら、うーーん…仕方ない、ちょっと失礼するぜっと!」

そのまま一度彼女の傍にしゃがみ込んだかと思えば、ひょいっ!と、抱き上げてしまおうと。
女の子一人を抱き上げられる程度に腕力も体力もあるつもりですハイ。

「取り敢えず近くの保健室まで送るわ。俺はこの後に配達のバイトもあるからそこまでだけど。」

と、こういう時は特に照れとかは無いのか割と平然と言いつつ、有無を言わさず彼女を保健室に連れて行くのである。

多分、彼自身がこういう行動とか無意識にやっているので、ある意味でしょうもない奴なのであった。

セレネ > 「へぇ…そうなのですね。」

どういう人なのか気になる。
というのも、己には養父しかいないから普通の家庭、というものが分からないのだ。
普通の親子というのも知らない。だから気になる。
機会があれば是非聞いてみたいものだと思った。

「えぇ、それはまぁ。
…でももし”そう”なっても、責任取ってくれるなら別に構いませんよー?…なんて、冗談ですけれど。」

再度少しばかり弄りつつ。

「はい、ご名答。扱えるだけで適性はないので、使った後は少なからず痺れが残るんですよね…。
――って、はい?!」

しゃがみ込んだ彼から抱き上げられ、小さく悲鳴を上げた。
重くないか、とか気になったけれど大丈夫だろうか。

「ぇ、ぁ、わ、分かりました…」

蒼を瞬かせては、大人しく抱えられて保健室まで連れていかれる。
こういう時は平然としてるのになと、今度は逆の立場になりつつ。

火光雷鳥 > まぁ、彼女が尋ねれば少年は普通に答えるだろう。
特殊な背景や家庭環境ではないので、別に隠す事でも無いのだ。

「責任!?あぁ、まぁ確かにそうなるわな…って、冗談かい!!」

と、そこは何時もの賑やかなノリで突込みなどを律儀に入れつつ。
ほんと、隙あらば弄ってきそうで油断ならんなー、とか思ったりもしつつ。

「はいはい、痺れてるなら動けないだろ?大人しく連行されなさいってな。」

そんな感じで、立場が逆転?しつうt、そのまま大人しくなった友人を保健室に送り届けて。
その後は、彼女に軽く挨拶をして別れを告げてから配達のバイトに勤しむ事になるのだろう。

セレネ > 「あら、冗談ではない方が良かったでしょうか。」

なんて、律義に突っ込む彼に首を傾げ。
でもそれって遠回しに告白しているようなものだし、うん。
己と付き合いたい人なんてそれこそ身体目的か物好きかしかいないだろうと思っているし。
相手から蒼を逸らせば少しだけ悲し気に伏せたけれど、誤魔化すように咳払い。

「う…。」

無事に保健室に送られれば、保健医から色々と処置をされつつ。
別れた後はふと、バレンタインの贈り物は何が良いのか聞くのを忘れていたのを思い出し。

『…まぁ、何贈っても喜んでくれそうだからいっか…』

なんて呟くのだった。

ご案内:「訓練施設」からセレネさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から火光雷鳥さんが去りました。