2021/08/11 のログ
ご案内:「演習施設」に幣美奈穂さんが現れました。
幣美奈穂 >  
「・・これで、いきますわ」

色が均一で鍛えられた様子。
太さも整っており、形がいい。
少し刺さるほどの棘、白いものが多くあります。

『ですが、あいつらはこの為に本体を作って――』
『遺伝子から弄っている者も・・』

「そこが、間違っています!
 あくまで、人としてあるべき作りでなくては!」

きりっとしたお顔で美奈穂は声を大きくします。
この開発プロジェクト、負けられません。

「重心は前寄りにばかりしてはいけません。
 乗る方のことも考え・・」

速度だけに目がいき、安全性や乗り心地を考えない昨今の造りに物を申すのです。
確かに早いのが尊ばれる仕様ですが、それだけではないはずです。
昨年も途中で傾いたり倒れたりと事故が多発しています。

幣美奈穂 >  
「速くするために長くするのも悪手ですわ。
 バランスが取れなかったり、途中で外れる事も・・」

慎重に組み立てるのです。
大きさ、重さ、形・・あらゆる情報を読み取ります。
少し曲がっている形を活かした作りに。

昨年の他が作ったものを分析します。
四輪仕様、少し惹かれるものがあります。
ですが後部に機械化部品を取り付けたり、足回りに韋駄天文珠を取り付けたりはよくないと思うのです。
こちらから送り、そして戻ってくる。
結構長距離でハードな往復路。
開発の締め切りも迫っています。

失敗作は、お塩を振ってまな板の上でこすり。
あと、棒でたたいた後にゴマ油に出汁、塩昆布を乗せてぱりぽり。
開発に漬かれた身体に水分補給。

幣美奈穂 >  
そう、ここは精霊馬の開発現場。
胡瓜に割りばしが主なものです。
明日までに予定の数を作り上げなくてはいけません。
祭祀局から頼まれてお手伝い。
古い古い神道である美奈穂にはあまり関係ないのですが、お盆の準備です。
仏教系の方々が主戦力。

割りばしをぱきり・・。

「ほら、綺麗に割りませんと。バランスが崩れてしまいますわ?
 ケバがないようにこすり合わせまして・・」

幾つもの開発グループに分かれまして、せっせと作ります。
いつもながら、作っていくうちに競争になるのは毎年の事です。
料理人をいれたグループなど、飾り切りで見事なお馬さんを・・!
ふわぁっ、と。ついつい見に行ってしまいます。
北欧の方が、足を8つに・・すれいぷにーる号だそうです。

そこで、どんっと出てきましたのが・・イギリスのガーデニングでできたという。
1mほどもある巨大胡瓜!
英国に行っていた先生がお土産に持ってきたようです。
その1本を貰えましたので、さっそく美奈穂の開発グループで会議です。
大体が小学生というちびっこグループ。

「・・食べても美味しくないそうです。。」

10kgぐらいありそうなその胡瓜を置いて、どうすべきかと喧々諤々。
あそこのグループは、バス仕立てにすることに決めましたようです。
――明日までにしなびていないか、ちょっと心配ですね。

幣美奈穂 >  
脚の長さが地面に揃うように、慎重に。
割り箸をさす場所を決めていきます。
大きいので、何本も刺すことに・・。
上面には爪楊枝を差し、糸を張って柵にします。
多分、霊が数十人乗ってやってこれそうです。
・・足が沢山になって、まるで腐界の王蟲のようです。
迫力があります。

競走になる精霊場は、太めの割りばしを長くした『緑兎馬号』。
イメージはサラブレッドです。
すぐそばの密教系僧が作られた、十二鬼頭の三輪型は強敵そう。
向こうでは二胡瓜仕立てで、間に例が座れるように設計。
中々の強敵そうです。
無理は駄目ですが、頑張ってくるのですよ。

出来たものは、出走場所に置いておきます。
《大変容》があったのもありますが、多くの精霊馬が用意されます。
すぐにへたったりしないようにと、いくつもの氷の彫像が置かれ涼しくされており。
その彫像はわざわざ、馬の様子に削られているのです。

幾つか、ミニ胡瓜仕立てで、後ろには箱を繋げておきます。
急いで帰らなくても言い霊のための、ゆっくりと現世に戻る用のもの。
もう、急いで帰らなくてもいいけれど。
たまには少し現世を見てみたい、という方のためのものです。
必要な分の精霊馬を作りましたら、次は帰りの精霊牛です。
のんびり帰れるように、座り心地優先。

このお仕事が終われば、次は百鬼夜行の受付に行かなくてはいけません。
最近は騒音条例などがあるため、時間やルートを守ってもらわなくてはいけないのです。
忙しい忙しいな美奈穂なのです。

ご案内:「演習施設」から幣美奈穂さんが去りました。