2021/11/02 のログ
ご案内:「訓練施設」にイェリンさんが現れました。
イェリン > 手には銀槍、舞でも踊るような円運動を中心とした動きにルーンマジックを織り交ぜていく。
投げる事に、落とす位置に、刻んだ言葉を掛け合わせて意味を持たせて牙と為す。
視覚で捉える情報と発現する内容が結びつかない、修術者以外には判別不能な魔術の連鎖。

「あっ……」

複雑で繊細だからこそ、一手誤ればそれは崩れる。
舞踊のような槍の演舞も含めて、一種の歌のよう。
歌詞を間違えれば、音程を誤れば台無しになるように、歌は形を成さなくなる。

「駄目ね、なんだか集中できてないみたい」

やめやめ、と不貞腐れるように身体を壁に預けてペットボトルの水に口を付ける。
眼を閉じてもできる程体に染みついたはずの動きが、今になって鈍る。
環境のせいか、あるいは――

思い悩む少女は唇を尖らせ、高い天上を仰いでいた。