2021/11/08 のログ
ご案内:「訓練施設」に妃淵さんが現れました。
■妃淵 >
学園での生活は息の詰まることもある
色々なことが保証されているかわりに、色々と束縛もあるもんだ、と
まあ大凡理解はできているし、そういうものだと思っている
ただ、それはそれとして人間社会というのは窮屈なもの、そして時に辛辣なもの
相変わらず元・二級学生だということで絡んでくるヤツもいれば、
必要以上に距離を縮めてこようとするヤツもいる
そういった人間同士の関係に適切な距離を見出さなきゃならないんだ、ということが
最近ようやくわかってきた
大変にめんどくさい
表に生きてる人間はみんなこれやってるのか、スゲーな、なんて思ったりした
さてそれは置いておいて
一応の風紀委員預かり、監視下にあるとはいえ正規学生になったことで、自分の異能と向き合うタイミングが訪れた
■妃淵 >
簡単なテストの結果、自分の発現している異能の力はなかなかのモノだということが理解った
落第街に住んでいた頃なんかは『よくわからないがコイツの攻撃は防御ができない』といった程度の認識で
誰が呼び始めたかは知らないが、人呼んで防禦不可《ガードレス》
が、実態は無機物有機物問わず、衝撃を伝える対象の硬度や抵抗値だけに留まらず、
その存在強度や概念自体を破壊可能とする、一種の過干渉異能力であったらしい
そう、今目の前に出現しようとしている、学園の魔術教諭謹製の召喚陣の中の装甲戦車
正面からのRPG-7の直撃すら耐えうるこの特殊車両ですら───
「……ふっ」
肩口から先を素早く動かしただけの裏拳
それを受けた装甲戦車は文字通り紙屑のように拉げ、特殊なフィールドの壁へと激突し破砕する
ついでに人間関係でのフラストレーションがちょっと発散された
■妃淵 >
とんでもない力だ、と見る人が見れば言うだろう。しかし
「んー……」
ぴら、と手元の紙束に視線を落とす
研究区画での簡易異能テストの結果用紙である
拉げ、黒煙を上げる戦車に近づき、今度は思い切り、回し蹴りを叩き込む
ガン!という硬質な音が響き…それ以上の破壊は行われない
「痛ってえ!!」
むしろ自分の脚が痛かった
これだ
レモン?なんとかメソッド?で記される異能のレベルは、ファーストステージ
力の割に低すぎる評価の理由は……そう、まったく任意での異能の発動が不可能なのだった
■妃淵 >
……結局のところ、異能があるのはわかっているし、どんなタイプの異能なのかも分析できたが
自分で自在に使うこともできず、かといって異能の力が勝手に暴走する…なんて危険性もない
ぶっちゃけた話、この少女が暴力を振るわなければなんてことはない、あっても仕方のないレベルの異能なのだった
「…どうせ今なら出るんだろ?」
ひゅん、と風切音と共に振るわれた手刀が装甲板をバターのように溶断する
ほらみたことか
多分、今蹴って痛かったせいで多少のストレスがあったのだ
今のですっきりしたから、多分次は何も起こらない
装甲板にパンチ
ガン!
痛い
■妃淵 >
要するに、ムカついた時、苛々した時
そんなフラストレーションが溜まっている状態で何かを破壊しようとすると、発現するらしい
逆に言えば、我慢我慢でそのうち落ち着けば、もしくは壊そうなどと思わず触れるだけなら何も起こらない
なんてめんどくさい、異能ってみんなこんなのか?
紙束をくしゃくしゃにしつつ、大きな溜息
こんなワケのわからない力もあるなら、やっぱり自分の兄貴のアレコレも異能なんじゃないかと思えてくる
せめてなんか金にでもなってくれればと思う
「…そーいやー、何か始まるんだっけナ」
ふとぼんやりSNSを見ていた時に見つけたモノを思い出す
なんだったか、TUBS(チューブス)とかいう、キナくささを感じるバトルイベント
学園がその存在を公に認めていない二級学生や、違反学生まで含んで参加可能を謳っている辺りはどうにも怪しい
しかし優勝賞品は豪華である、という話
金の匂いには敏感だった
「…そーだ。そういうのでいいじゃん。いい加減ちまちまタルいバイトも飽きたしナ」
自分の異能の使い所、なんていえばこういうモノだろう
喧嘩以外の使い道がさっぱりなのなら、喧嘩に使えばいい
……風紀委員に監視されてる身ではあるけど、責任は多分この主催者に行くだろうし、多分
「優勝したら何貰うっかなー、やっぱ金カナ」
そんな皮算用をしつつ
斬も出場させればワンチャン八百長で勝ち負け譲ったりして簡単に優勝できねーかな、
などと浅ましいことなんかも考えながら、今日は帰宅するのだった
ご案内:「訓練施設」から妃淵さんが去りました。